2012年12月31日月曜日

2012年のおわりに: 脱原発の〈思想〉と〈行動〉が試された年

2012年のおわりに: 脱原発の〈思想〉と〈行動〉が試された年


 今年のはじめ、「2012年のはじめに: 脱原発の〈思想〉と〈行動〉が試される年」という文章を書いた。
 一年を振り返って思うのは、やはり今年は「脱原発の〈思想〉と〈行動〉が試された年」だったのではないか、ということである。来年以降、いや今後数十年にわたり、日本における「脱原発の〈思想〉と〈行動〉」が試され続けることになると私には思えるので、下に全文を再掲しておこうと思う。

 先の選挙における自公圧勝、安倍政権の再登場そのものに関しては、ほとんど語るべき言葉を持たない。一番思ったのは、内閣総理大臣という日本の政治制度においては最大の権力と権限、それゆえの責任を持つ職を自ら投げ出した政治家に対し、「日本人は何と寛容なのだろう!」ということである。

 まことに、日本人は「寛容」だ。そして「国民的健忘症」を患っているように思えた。

 今回の選挙結果を通じ、これから「私たち」は自らの政治的意思、政策的選択が現実的な政治過程に反映されようのない、その意味では政治的に気の晴れようのない、非常に鬱屈した長い時間を送ることになるだろう。
 とりわけ決定的だと思えるのは、「自民党政治」からの転換を主観的にはめざそうとしたはずの民主党の「政権交代の実験」が、わずか3年で見事なまでの大失敗に終わったことだ。

 しかし、民主党の自壊についても、私はこれまで述べてきたこと以上の語るべき言葉を持たない。はっきりしているのは、すでにその動きが始まっているが、この間民主党が打ち出してきた「改革」路線の数々が、おしなべて来年の前半期を通じて政権交代以前、つまりは安倍-麻生政権時代の「既定方針」の下に吸収・回収され、解体されることになるということだ。
 「悲観的過ぎる」という批判を覚悟の上で言えば、おそらく「脱原発」をとりまく社会状況は、諸個人の意思や選択を政治に反映させようがないという意味で、私たちが想像する以上に深刻なのだと思う。

 目先の「課題」に追われ、そこにエネルギーを全力投入するだけでは、その「課題」さえ実現できない間にまた新たな「課題」への対応に迫られ、「私たち」はただただ個人としても〈運動〉としても消耗・疲弊・困憊し、未来への架け橋役さえ果たせなくなってしまう・・・。
 だからきっと、振り出し以前に戻ったところから、もう一度未来をどのように組み立て直してゆくか、きっと来年はこのことがどの団体や運動体にとっても問われる年になるのではないだろうか。

 いつものことながら、怠惰で書きなぐったようなこのブログを懲りずに訪問してくれている人々に、感謝を記して。

・・・
安倍首相、原発新設容認も 「福島第1とは違う」
 安倍晋三首相は30日、TBS番組で今後の原発政策をめぐり「新たにつくっていく原発は、事故を起こした東京電力福島第1原発とは全然違う。国民的理解を得ながら新規につくっていくということになる」と述べ、新規の原発建設を容認する姿勢を示した。
 「福島第1は津波を受けて電源を確保できなかったが、福島第2は対応した。その違いを冷静に見極める必要はある」と指摘した。 福島第1原発を29日に視察し、民主党政権が決めた2030年代の原発ゼロ目標を転換する考えを重ねて示していた。(共同) 

原発ゼロ見直しで県内自治体意見交錯 (デーリー東北、12/28)
「・・・ 使用済み核燃料再処理工場などのサイクル施設を抱える六ケ所村。民主党政権時は原子力政策の見直し議論に翻弄(ほんろう)され、一時は議会が燃料搬出を求める意見書を可決するなど強硬姿勢を見せた経緯がある。・・・
 ・・・一方、核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団の山田清彦事務局長は「福島第1原発事故で国民が犠牲になった反省がない。国民を無視し、元の政策に戻そうというのは、まるでちゃぶ台返しだ」と批判した。
 事業者側では、日本原燃の川井吉彦社長が27日の定例会見で「再処理の意義、必要性を理解してもらいうれしいし、重く受け止めたい」と評価・・・」

「高線量で精神的苦痛」 長泥住民申し立てで審問 (福島民友 12/28)
「・・・審問後、会見した長泥行政区の鴫原良友区長は「(仲介委員は)高線量下で生活していた、われわれの気持ちを理解するべきだ」と訴えた。・・・。「なぜ子どもたちだけでも避難させなかったのか。賠償で簡単に済む問題ではない」と述べた・・・」

西川知事「現実みたエネ政策を」 原発めぐり1年を総括 (福井新聞 12/28)
「・・・政権交代により新増設は行わないとの原則が再検討されることに関しても、知事は福島の教訓を踏まえた新たな安全基準により再稼働できない原発が出てくる可能性に言及した上で「より安全で強固な原発は造るべきだという議論を明瞭(めいりょう)にやっていくことが大事」と踏み込んだ・・・」

上関原発予定地 地裁、入会権認めず 反対住民敗訴 (山口新聞 12/27)
「・・・ 山林は、中電が上関原発1号機炉心や発電タービン建屋の設置を予定している約10万平方メートルで、2004年に地元神社が中電に売却した。地元住民がこの山林を共同で使用、管理できる入会権が成立するか、山林の所有者が誰かが主な争点だった。
 原告側は、地元住民がまきなどを山林に入って採取してきたとして「入会的慣行に基づいて行っており、山林の管理もしてきた」と主張。しかし、山本裁判長は「神社地として管理保全されている中で、まきの採取は黙認されていたにすぎない」と退けた。原告側の「神社は名義人にすぎず、山林は地元住民が購入した」との主張に対し、山本裁判長は客観的な証拠がないなどとして「神社から買い受けたと認めるのが相当で、入会権が成立する余地はない」とした・・・。
 判決を受けて、被告の中電側は「主張が認められた妥当な判決。地域住民が安心できる発電所を目指す」とコメントした。原告の男性は棄却されたことについて、「信じられない。人間の命は金に換えられない。最後は勝つと信じている」と話し、控訴の意向を示した」

もんじゅ、前政権の方針を踏襲 下村文科相
「・・・前政権が9月に決定したエネルギー・環境戦略を受けて、文科省の作業部会はもんじゅの今後の計画を議論しており、来年夏をめどに計画を策定する。運用する日本原子力研究開発機構は作業部会で、来年末以降に試運転開始、10年程度運転するとの計画案を提示している」(共同)

廃炉計画「リスク評価が不十分」 東電に規制委
 原子力規制委員会(田中俊一委員長)は21日、東京電力がまとめた福島第1原発の廃炉作業の実施計画が妥当かどうか議論する検討会の初会合を開いた。規制委側からは燃料の再臨界などに対し「リスク評価が不十分だ」と厳しい意見が相次いだ。検討会は2月下旬に審査結果を取りまとめる予定。
 東電の実施計画には、使用済み核燃料プールからの燃料取り出しといった中長期的な作業計画のほか、作業員の被ばく線量管理などの安全対策が盛り込まれている。 会合で外部専門家の阿部弘亨東北大教授は「再び(放射性物質を)出さないという姿勢が見えない」と批判した。(共同)
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2012年のはじめに: 脱原発の〈思想〉と〈行動〉が試される年


 2012年のはじまりに、新年を祝うお決まりの文句は控えたい。国際的にも、国内的にも、私たちの目の前には、祝うより解決すべきこと、そのために考えるべきこと、二年越しの「宿題」が山積していると思うからだ。私はむしろ、「祝うべきことなど何もない」="No hay nada que celebrar."という言葉を、厳粛な気持ちで噛みしめたいと考えている。

 "No hay nada que celebrar." アメリカ大陸の先住民族/民衆の運動体が、各国の「独立記念日」や「コロンブス・デー」など、国を挙げた祝賀行事に対して抗議の意思を示すために使ってきたフレーズである。私自身が今年に持ち越してしまった、ということはおそらく〈脱原発〉派全体もまたこれから真剣かつ真摯に向き合わざるをえない、と思える「宿題」の数々を列挙しながら、新年の挨拶にあえてこのフレーズを持ち出した理由を書き記しておこうと思う。

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 2012年は〈脱原発〉の思想と行動が試される年となる。
 思想の質と、それに規定された具体的な行動の中身が試される年になる。
 様々な方向性と内容を伴った、その意味では統一性も一貫性もない〈脱原発〉運動--私はそれをむしろポジチブに捉えている者の一人であるが--から、「排除の思想」を排除しつつ自らの思想の境界を広げ、深めること、その上でどこに、そして何にプライオリティをそれぞれが設定するかという、きわめてアクチュアルかつ困難な〈問題〉群に直面する、文字通りの「正念場の年」になるだろう。

 大状況的なリアリティから言えば、私たちは「減原発」による「原発+再生可能エネルギーのベストミックス」と原発輸出促進を通じて、「3・11」からの国家的「復興」とその先に広がる「経済成長」を夢想する民主、自民、公明の三大既成政党+官僚機構で成り立つ政治権力の構造を変えうる展望を見いだせないでいる。
 つまり、民主党が政権の座に今年いっぱい居座ろうが、万が一に解散→総選挙となって自民を中心とした政権、あるいは公明がいずれかと連立を組み政権に加わろうが、この「構造」が変わりようがない現実を引きずりながら私たちは新年を迎えてしまった、ということだ。

 政党政治や政局の動向に関する分析は後回しにしたい。
 最初に、民主党および官僚機構が「「減原発」による「原発+再生可能エネルギーのベストミックス」と原発輸出促進を通じ、「3・11」からの国家的「復興」とその先に広がる「経済成長」」を夢見ているという点について、簡単に触れておこう。


 まず、「減原発」による「原発+再生可能エネルギーのベストミックス」について。
 資源・エネルギー庁の「新しいエネルギー基本計画に向けたご意見を募集します」のページには次のような一節がある。
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 経済産業省資源エネルギー庁では、幅広く有識者の方々から新しい基本計画策定のためのご意見を聴く場として、総合資源エネルギー調査会に基本問題委員会が設置され、平成23年10月から議論が開始されております。 「革新的エネルギー・環境戦略」の策定を行うエネルギー・環境会議と連携しつつ議論が進むこととなっております。
 また、平成24年春頃には、望ましいエネルギーミックスの選択肢を提示し、国民的議論につなげていく予定です。
・・

 ここで言われている「望ましいエネルギーミックス」が、私が言う「「減原発」による「原発+再生可能エネルギーのベストミックス」のことである。そこでは将来的に一部廃炉にした原子炉を「絶対安全な(第四世代)原発」に交替させることをも含めて、つまりそれを選択肢から排除せず、今後の日本の中長期的な「エネルギー基本計画」なるものが構想されている。このことをまず私たちは踏まえておく必要がある。

 「幅広い国民の皆様からのご意見」の圧倒的多数は脱原発であるにもかかわらず、原発維持・推進を大前提にした「望ましいエネルギーミックスの選択肢」を構想しているのが経産官僚なのだ。

 「エネルギー・環境会議」の基本方針(案) 〔概要〕。(2011年12月21日
・・
(2)原子力政策、エネルギーミックス、温暖化対策に関する選択肢提示に向けた基本方針
① 原子力政策に関する選択肢の提示に向けた基本方針

原子力のリスク管理を徹底するとの方針に基づき選択肢を提示する
○ 原子力発電については、相当程度の社会的費用があり、世界最高水準の安全基準とその客観的かつ厳格な運用を確立するなど、安全対策を抜本的かつ計画的に立て直す。
また、賠償等のスキームを、国際的な動向と調和を図りつつ、整備する。
中長期的な原子力政策の在り方については、核燃料サイクル政策も含む原子力政策の徹底検証を行う中で、安全、環境、エネルギー安全保障、経済性などの論点を整理した上で、選択肢を提示する。
・・

 たしかに「エネルギー・環境会議」は、口先では、「脱原発」「原発推進」のいずれの立場にも立たず、「白紙」から「抜本的に」国の「エネルギー基本計画案」をまとめ、今春「提言」すると言っている。
 しかし、すでに「中長期的な原子力政策」という表現があますところなく示しているように、この会議の審議そのものがあくまでも「脱原発」ではなく「原発推進」の立場に沿って行われてきた/いる。野田政権登場時点から何度も強調してきたように、この点に関する野田政権・経産省・「エネルギー・環境会議」に対する幻想に未だとらわれている人がいるとしたなら、ただちにその幻想を捨て去るべきだろう。 


 うえの3を押さえたうえで、福島・宮城・青森三県の「復興計画」の中身を見てみよう。
 あわただしかった年末・年始の数日間、私はこれら三県の「復興計画」と、南相馬市のそれを読んで過ごした。 もちろん、これらのみを読んでいたわけではないし、好んでそうしたわけでもない。クリスマスの三連休に「相馬と南相馬で考えたこと」がこれらに目を通すことを余儀なくさせたのである。(⇒南相馬市の「復興計画」については、「相馬と南相馬で考えたこと(2)」において触れることにする。)

⇒「福島県復興計画(第1次)」(今後10年間)とその「概要」版⇒「青森県復興プラン/青森県復興ビジョン」とその「概要」版
⇒「宮城県震災復興計画」とその「概要」版
⇒関連サイト「東日本大震災復興対策本部

 できるだけ時間を取り、福島・宮城・青森三県の「復興計画」あるいは「ビジョン」の、せめて「概要」だけは目を通してほしい。そうすれば自ずと、以下の二点が理解できるはずだ。それらは、

1)福島県は脱原発宣言を行い、福島第一・第二すべての廃炉を国と東電に要請し、「原発に依存しない社会」を明言しつつも、宮城・青森両県については県内の原発および原子力関連施設の存続を前提にして「復興計画」が策定されていること、
2)福島県とその他二県の「復興計画」との間に存在する上に述べた違い、また表現上の違いはありつつも、県としての具体的な「再生可能エネルギー推進」の中身は、三県とも非常に似通ったものになっていること、である。

 たとえば、青森県の「復興ビジョン」の、「Ⅳ 視点と中長期的な取組の方向性」の、
「(4)再生可能エネルギーの導入推進による産業振興と持続可能な低炭素社会の実現」の次の内容を福島県・宮城県のそれと対照してみてほしい。
再生可能エネルギーの導入推進と産業振興(太陽エネルギー、風力発電、地中熱・温泉熱、バイオマス、廃棄物エネルギー、コージェネレーション関連(燃料電池、LNG冷熱利用等)、海洋エネルギー)
持続可能な低炭素社会の実現(全県民的取組の加速化、夏季及び冬季の省エネルギー対策、設備導入促進のサポート体制づくり等)

 この問題を考えるにあたっては、さらに「参考資料」として経産省がまとめた2012年度の「資源・エネルギー関連予算案等のポイント」を参照することをすすめたい。 ほとんど同じ内容と言ってよい三県の「復興計画」に組み込まれた「再生可能エネルギー推進」が、経産省による「ポイント」の「3.再生可能エネルギー・省エネルギー等の導入支援・最先端の技術開発」と完璧に対応したものであることが透けて見えてくるはずである。


 福島県の「復興計画」の問題点--〈脱原発〉の思想と行動、その課題に引きつけて

 続きは後日に。(未完)
・・・
試験再開準備始まる/再処理工場(東奥日報)
解説:使用済み核燃料・直接処分コスト試算隠蔽 原子力ムラの異常論理(毎日)
原発の再稼働重点 東北電社長「地域理解得る」(河北新報)

「原発問題に対峙しようとしない」と宮城知事、国を糾弾(河北新報)
 ↓
 「原発事故の対応は県境で区切る問題ではない。汚染レベルによって対応しなければ、宮城県民としては大きな不満が残る結果になる」とまで語りながら、女川原発の再稼働・存続問題を含め「原発問題に対峙しようとしない」のは、知事および県、県議会も同罪ではないだろうか?

2012年12月30日日曜日

シリア内戦を長引かせているのは誰か?(2) ~「ポスト・アサド」とオバマの「暗殺リスト」

シリア内戦を長引かせているのは誰か?(2) ~-「ポスト・アサド」とオバマの「暗殺リスト」


 とあるパレスチナ人の友人の一人が、「抑圧的な王政、世襲的権力がアラブ世界から一掃されたなら、アラブ世界はすぐにでも統一するだろう」と語ったことがある。

 「すぐに統一する」かどうかはともかく、アラブ世界の統一を妨げているのが、「抑圧的な王政、世襲的権力」だというのはその通りだ、と私も思う。  
 けれども、私たちが生きている間に、これがアラブ世界から「一掃」される日が来るだろうか。それがいつになるであれ、はたして世界史にそういう日が刻まれることが、本当にありえるのだろうか?

 もともと、「アラブの春」=「アラブ革命」は、「抑圧的な王政、世襲的権力」、あるいは民衆に対して絶対的な権力を行使し、弾圧する独裁的権力に対する非武装(非暴力)の抵抗運動、「民主化」闘争としてはじまった。年が明け、しばらくすれば、やがて二年を迎えることにシリアにおける「民主化」闘争が、血で血を洗う泥沼の内戦的事態に陥ってしまったのは、いつのことだったろう。そしてその責任は、誰が負うべきなのか? アサド政権を断罪し、一切の罪を負わせ、それですむとはとても思えない。

 「政権」としてはもうとっくに終わっている、「政府」の体裁を何らなしていない、にもかかわらず退陣の気配さえみせないアサド「政権」。
 そのアサド政権「打倒」を、軍事的にバックアップしようと反政府武装勢力に次から次に武器を売り、送りつづける欧米を中心にした国々。殺されてゆく人間の死体に蝿のように群がる「死の商人」たち。そしてこれに「反発」し、アサド政権側の外交的スポークスマンになることによって政権存続に手を貸すロシアやイラン・・・。
 さらに、「大国」の政治に翻弄され、内戦を終結させる権威も権力もない、しかし「人道支援」だけは訴える国連、はたまた一部の国際「人道」NGO・・・。
 これらの、それぞれの〈利害〉を持つ国家や集団・勢力の衝突、「調整」によって展開されてきたシリア内戦。 これはいったい、何だろう?

 ともあれ、こうした内戦の「政治力学」の暗闇に怯えながら、いつもパレスチナ人の友人の言葉を思い出すのだが、しかし万が一、アサド政権が年明け早々に退陣したとしてもその後に待ち受ろているであろう最悪の事態を想像するにつけ、「より良きシリアの未来」を私には思い描くことができない。
 年の瀬を迎え、ありうるかもしれない「ポスト・アサド」後の「最悪の事態」のシナリオについて、少し書き記しておこうと思う。

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 対テロ戦争を永続化させるオバマ政権と「テロリスト暗殺リスト」

 日本の主要メディアが、その分析はもとより事実さえまともに報じていない「オバマ政権の暗闇」の一つに、今年の5月下旬にニューヨーク・タイムズ紙が詳細に報じた「極秘のテロリスト暗殺リスト」、通称"Kill List”と呼ばれているものがある。
Secret ‘Kill List’ Proves a Test of Obama’s Principles and Will

 このアルカイダおよびこれと関係があるとされる「イスラーム過激派」勢力の個別的殺害を目論み、その対象リストをまとめた「暗殺リスト」に関しては、その後米国の様々な市民メディアがその問題性をめぐって報道している。その中の一つに、Democracy Now!のGlenn Greenwald: Obama’s Secret Kill List "The Most Radical Power a Government Can Seize"がある。Democracy Now! Japanがまとめたその概要を引用させていただこう。
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グレン・グリーンウォルド:オバマの秘密殺害リストは「政府が手にし得る究極の権力」
 ニューヨーク・タイムズ紙は今週、オバマ大統領が自ら「秘密殺害リスト」作成を監督しているという事実を明らかにしました。このリストには米国が無人機による暗殺の標的としている人物たちの名前と写真が掲載さているということです。
 同紙によると、オバマはイエメンソマリア、さらに複雑で危険をはらむパキスタンでの攻撃において、殺害対象とされる人物すべてについて自ら承認を与えています。このリストには米国市民や17歳の少女たちまでが含まれています。
 「この米国大統領は、人を殺せという命令を出す権限を自分が持っていると信じている──それも徹底して秘密裏に、何ら法的手続きをも踏まずに、不透明なまま、いかなる種類の監査も受けることなくです」とSalon.comのブロガーであり憲法専門弁護士であるグレン・グリーンウォルドは言います。「これは文字どおり、政府と大統領が手にし得る究極の権力だと思いますよ。しかもオバマ政権はそれを獲得し積極的に実行しているが、議論が起きることはほとんどありません
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 この「暗殺リスト」に基き、個別的殺害を狙った無人爆撃機によるオバマ政権による「対テロ戦争」が、ありうるかもしれない「ポスト・アサド」のシリアにおいて、アルカイダと関係がある、とされている現在の反政府武装勢力内の「イスラーム過激派」に向けられればどうなるか?

 すでに終わっているアサド政権を退陣に追い込むだけでは、シリアに平和は訪れない。
 「復興支援」も「国家再建」もありえない。
 そこまでを見越した上での〈シリアの平和〉をめぐる議論が必要だ。


 「暗殺リスト」がはらむ問題は、米国の民主政治のあり様や、米国市民の市民的権利や人権問題を中心問題に考えるなら、グリーンウォルドが言うように、米国大統領が「徹底して秘密裏に、何ら法的手続きをも踏まずに、不透明なまま、いかなる種類の監査も受けることなく」「人を殺せと言う権限」を持つにいたった、ということで済ませることができるかもしれない。

 もちろん、既存の「米国民主主義」という名の政治制度を信奉している人々にとっては、そんなことは絶対にあってはならない、許せないことになる。 また、「米国民主主義」を信奉していない私のような人間にとっても、この事態を通じて大統領制という政治制度が、大統領個人や大統領府に権限や権力を集中させればさせるほど、このようなことが「合法的」に行われるようになってしまう政治制度なのだということを、改めて学んでおくよい機会だと思う。

 日本においてもこの30年ほど、「政治改革」の名において「内閣および内閣総理大臣の政治的権限の強化」、つまりは「大統領的内閣総理大臣」の形成に向けた法的・制度的「改革」が進んできたが、それが極めて危うい政治的賭け、「両刃の剣」なのだということも知っておいてよいだろう。(→上にいう「合法的」とは、あくまでもただ単に「オバマ政権が「合法性」を主張できる」という意味での「合法性」であって、国際法的意味におけるそれや米国憲法に無前提的に違反しないという意味でのそれでもない。誤解なきようにしてほしい)。

 しかし、歴史を振り返ってみれば、このようなことはイスラエルやロシアなど、実はこれまで米国以外の国々、しかも米国やその他の西洋諸国、日本などが「民主主義国家」と呼んできた国々において「反体制派」を撲滅するための「国家テロ」として繰り返し行われてきたことである。いや、「リスト」があったかどうかは知らないが、米国政府・CIAが直接手を染めたし政治的暗殺さえあっただろう。

 対叛乱戦略におけるこれまでの米国の常套手段は、武器や資金を、ある場合には国家にまたある場合には非合法の非正規軍勢力に援助しながら、直接には自分の手を汚さず、そうした国家テロを国々や武装勢力を養成したり、支援したりするというものだった。 私が少し歴史を知るラテンアメリカは、そういう国々であふれている。その意味で、個人的に言えば、このニュースに接したときに「米国もここまであかさまにやるようになったか」とは思ったが、殊更に驚いたりすることはなかった。

 では〈問題〉はどこにあるのか?
 それは無人爆撃機であれ特殊部隊であれ、この「暗殺リスト」に基く米軍による「テロリスト」殺害作戦が、ブッシュ政権時に編み出された「対テロ戦争」を永続化させてしまうことにある。その結果、米国、英国、フランスを中心としたNATO諸国による軍事介入を国際法的合法化し、正当化するような(「保護する責任」?)「不安定」地域を、半永久的に世界各地に、とりわけイスラーム圏社会に再生産し続けてしまうことにある。 説明は次の機会に譲ることにしたい。

⇒「フランスのマリへの軍事介入: ~「対テロ戦争」? それともトゥアレグ遊牧民族の民族自決と自治の圧殺?」と
⇒「マリを「第二のソマリア」にしてはならない ~フランスの軍事介入が失敗に終わる理由」につづく
「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「シリア内戦を長引かせているのは誰か?~最近のシリア情勢に関し、知っておきたい2、3の情報」 

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「反体制派がシリア代表」 支援国組織も承認 (東京新聞 2012年12月13日)
 【カイロ=今村実】内戦に陥ったシリアの事態打開のため、欧米やアラブ諸国などの連絡組織「シリアの友人」は十二日、モロッコのマラケシュで会合を開いた。AFP通信によると、十一月に発足した、反体制派の統一組織「シリア国民連合」を、アサド政権に代わる「唯一のシリア人の代表」と承認した。 同組織は百三十カ国で構成。幅広い承認が得られたことで、国民連合は、暫定政府の樹立に向けた動きを加速させるとみられ、アサド政権には打撃だ。
 「友人」会合は声明で、アサド政権の退陣を求め、国際法違反の処罰を逃れることはできない、と強調。仮に化学兵器を使用すれば、国際社会が厳しく対処すると警告した。同会合に親アサド政権のロシア、中国は参加していない。
 
 国民連合は、分裂状態の反体制派をまとめるため発足。これまで、湾岸諸国やフランス、英国、トルコの承認を受けていた。米オバマ大統領も、会議に先立つ十一日、国民連合の承認を米メディアで明らかにしていた。 ただ、シリアでは反体制派の中で、イスラム過激派の伸長が目立ち、支援各国の懸念材料となっている。十日は、北部アレッポ近郊にある戦略上、重要な政府軍の基地を、過激派の「ヌスラ戦線」などが掌握した。 米政府は、ヌスラ戦線にはイラクに拠点を置く国際テロ組織アルカイダ系勢力が、深く関わっているとみて、十一日、「テロ組織」に指定。反体制派を支援しつつも、過激派の勢力拡大の阻止が課題となっている。
 シリア人権監視団(ロンドン)によると、「友人」の前回会合が七月にパリで開かれた際、死者は一万六千人。半年足らずで四万二千人に膨らんだ。国際社会が有効な手だてを示せない間、状況は急速に悪化した。
 ↓
 日本の新聞メディアは、もういい加減に「イスラム過激派」や「テロリスト集団」という断定的で、独善的な政治的レッテル貼り、表記を改めるべきではないか。 東京新聞その他新聞メディアが「過激派」と定義する上の「ヌスラ戦線」は、シリアでの現地取材を行ってきた一部「西側」のメディアでも、反政府勢力の中で相当の支持基盤を形成していることが報じられている。
 その最大の根拠は、「ヌスラ戦線」が過去の「アルカイダ」戦術(無差別的殺人・「自爆テロ」など)を総括し、政府軍および軍事施設にターゲットを絞った攻撃に集中するようにしてきたことが大きい、との分析がある。
→たとえば、US designates Syria's Jabhat al-Nusra front a 'terrorist' group at lightning speed他、このサイトにある関連ページを参照のこと。

 この問題についても、またの機会に触れるようにしたいが、いずれにしても、かねてから述べているように、日本の主要メディアは「西側」の巨大メディアが配信する情報を垂れ流すのではなく、もっと独自の調査・研究・分析を行い、最大限「客観的」で「公正」な報道に努めるべきだろう。

シリア反体制派に妥協求める ブラヒミ氏とロシア外相 (朝日新聞、12/30)
「・・・ブラヒミ氏は会談後の記者会見で「政権交代が必ずしもシリアの危機を解決することになるとは思わない」(???)と述べ、アサド大統領の即退陣を求めている反体制派が歩み寄る必要があるとの認識を示した。ラブロフ外相も「政治的な解決のチャンスは残されているが、反体制派はアサド大統領の即退陣要求をひとまず置いてほしい」(???)と語った・・・」
 ↓
 「政権交代」を実現しない「シリアの危機」の「解決」策がありうるのだろうか?
 「大統領の即退陣要求」を「ひとまず置い」たとして、それで近未来のアサド退陣における可能性が開けるのだろうか?
 このようなアサド政権に即時退陣を説得しないような国連やロシアの調停は、アサド政権の時間稼ぎと居座りを許し、ただただ内戦を長期化させるだけである。
 リビアに対する「保護する責任」の名による軍事介入批判の論考でも書いたが、私は民衆虐殺を行った政権および軍中枢・要人に対して、退陣・辞任を促すための資金凍結をはじめとする一連の経済的また外交的措置に反対しない。
 リビアと同じく、シリア内戦においても「国際社会」がどこまで無血の政権交代に向けた「経済的また外交的措置」を講じてきたか、そこからこの一年半近くの「和平交渉」とその破産の分析・検証を深めねばならないだろう。

国連、シリア人道支援へ国際会議 1月末、費用負担要請 (朝日新聞 12/29)
 「・・・国連の潘基文(パンギムン)事務総長は28日、内戦が続くシリアの国内避難民や周辺国へ逃れた難民に対する人道援助を話し合う国際会議を、1月30日にクウェートで開くと発表した。潘氏が議長を務め、来年1~6月に見込む人道支援費用15億ドル(約1300億円)の拠出を呼びかける。
 国連によると、シリア内戦で現在200万人以上が国内避難民となっており、トルコやレバノンなど周辺国に逃れた難民は54万人以上。来年前半(???)にはそれぞれ約400万人、約100万人に達するとみており、衣服や食料、医療サービスなどの緊急人道支援にかかる費用を15億ドルと見積もっている・・・」
 ↓
「・・・・・。」  

2012年12月29日土曜日

「トモダチ作戦」参加の米軍兵士らの東電提訴をめぐって

「トモダチ作戦」参加の米軍兵士らの東電提訴をめぐって

 フジテレビ系(FNN)が、トモダチ作戦参加の米軍兵士ら8人が、被ばくを理由に東電を提訴したというニュースを流した。
・・
  東日本大震災の救援活動を行う「トモダチ作戦」に参加したアメリカ軍兵士ら8人が、「原発事故について誤った情報をもたらされ、被ばくした」として、東京電力に対し、損害賠償などあわせておよそ189億円を求める訴訟を起こした。
 サンディエゴの裁判所に、21日提出された訴状によると、「トモダチ作戦」に参加した兵士8人は、福島第1原発の事故について、「東京電力が日本政府と共謀し、現地が安全であるかのように印象づけたうえ、不完全で誤った情報を発信したため、被ばくした」としている。兵士らは損害賠償のほか、医療費をまかなう基金設立など、あわせて2億2,000万ドル(日本円でおよそ189億円)の支払いを求めている。(12月28日)
・・
 
 現段階において入手できる情報は非常に限られており、そのことを前提に上の記事のみに基づいて言えば、この米軍兵士たちの「提訴」には様々な疑問が残る。
 一点目は、「東京電力が日本政府と共謀」したというのに、なぜ日本政府を提訴せず東電のみを相手に訴訟を起こすのか?
 二点目は、米軍のよる「トモダチ作戦」は、言うまでもなく米国政府(オバマ政権)の意思決定に基き、米軍のアジア・太平洋司令部および在日米軍司令部の指揮の下に行われた、いわば軍事作戦である。
 であるにもかかわらず、兵士たちはなぜ米国政府、つまりオバマ政権および作戦指揮にあたった両司令部の責任者たちを提訴しないのか?

 三点目は、今後のニュース情報に求められている点にもなるが、これらの兵士たちが、いつ、どこで、どのような作業を行っている間に、どの程度被爆したのか、これらについて明らかにされていない点である。
 この三点目に関連し、四点目として、部隊として福島で「支援活動」を展開していない米軍兵士が、もしも作戦展開中に福島県外で被爆したのであれば、県外の被災者、および福島県内外で活動していた自衛隊員、また支援に入ったボランティアたちなども、当然、被爆した可能性が高くなる。
 もっと言えば、県外の被災者、自衛隊員、ボランティアが、まるで被爆していないことを当然のことのように考え、振舞ってきた、日本政府、防衛省・自衛隊、各自治体、そして主要メディアのあり方が、この問題を通じて改めて、また根本的に問われ直されねばならないのではないか。

 もしも、兵士たちが被爆したのであれば、言うまでもなく兵士たちは被害者である。賠償・補償を受けて当然だと私は思う。しかし、「トモダチ作戦」を遂行した日米両政府、および米軍の法的責任を問わずして、東電のみを相手に訴訟を起こし、莫大な賠償・補償金を取ろうというのは筋違だろう。

 ともあれ、地上展開においては大したことをしていない米軍兵士が、福島県外で被爆したというのであれば、福島県民は言うにおよばず、各地から支援に入ったボランティア、自衛隊、消防団、警察関係者なども、米軍兵士などよりははるかに、はるかに被爆しているはずである。

 日本政府、防衛省・自衛隊、各県警・消防団、各自治体は、現地に入った者たちの被曝検査をどこまでしたのか。 そこに情報隠蔽はなかったのか。
 検証は何もされていない。 今回の案件の今後の展開を通じ、改めてこれらのことが問われることになるだろう。
 検証が急がれる。


「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「パレットのデブリス① 」(2012, 2/4)
オバマ政権および米軍が、「3・11」直後より福島第一惨事の状況を詳細に調査・分析していたのは周知の事実であり、米軍兵士の被爆責任は、東電と日本政府の共謀というより日米両政府、米軍・防衛省-自衛隊官僚・東電による共謀というべきである。

⇒「米軍は日本を守らない---「日米安保という虚構」 」 (2011,4月まで)
 今ではもう「歴史的文書」の観さえあるが、「トモダチ作戦」とはいったい何のための、どのような「作戦」だったのか、その検証と考察を真剣に行う段階にきている。
 海外であれ国内であれ、自然災害では人命の救済が第一義の目的とされるため、もっとも「機動的」とされる軍の出動が国家・軍によって正当化される。機能的・合理主義的思考のみに足をすくわれてしまうと、私たちの多くもそのように考えがちになる。

 しかし、米国政府や米軍はタダでは動かない。むしろ一般市民・納税者としては、「トモダチ作戦」によって米国・米軍がどのような「見返り」を得ようとするのか、どれだけ利益をむさぼろうとするのかを中心に考えるべきだろう。
 米軍に依存しない「防災体制」の構築はいくらでも可能なのだから。

・・・
アメリカが日本に4億2100万ドルの兵器売却を承認
   アメリカ国防総省が、日本へのイージス艦ミサイル防衛システムと関連機器の強化に向けた武器売却を承認しました。
 ロイター通信によりますと、アメリカ国防総省は、議会に対し、「日本のミサイル防衛力の強化のために、4億2100万ドルの武器売却を承認した」と伝えました。他国への武器売却を担当するアメリカ国防安全保障協力局は、「日本は、自国の防衛システムの強化を我々に要請している」としています。

 ロイター通信はまた、「アメリカ議会は、30日以内にそれを受け入れるか否かを決定する」と報じました。もし議会に承認されれば、ロッキード・マーチンが主要請負業者となり、新レーダーシステムなどを含めた設備が日本に売却されることになります。こうした中、日本自衛隊は最近、北朝鮮の脅威に対抗するため、ミサイル防衛システムを配備しています。(Iran Japanese Radio 2012/12/11)

2012年12月28日金曜日

外務省「対イラク武力行使に関する我が国の対応(検証結果)」に対する緊急声明

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
参議院議長 平田 健二 殿
衆議院議長 伊吹 文明 殿
外務大臣 岸田 文雄 殿

外務省「対イラク武力行使に関する我が国の対応(検証結果)」に対する緊急声明
─情報開示と政府による検証を求める

http://iraqwar-inquiry.net/?p=678841142

先週 12 月21 日、外務省は「対イラク武力行使に関する我が国の対応(検証結果)」として、2003年3 月に開戦したイラク戦争への、同省としての対応を検証したと公表した。一部報道では、「分厚い」報告書がまとめられたと報じられているが、公開されたのは、わずか4ページの要旨のみであった。これをもって日本のイラク戦争への対応が検証されたとはとても言えない。

私たち市民団体とNGO は、以下の二点を求める。

1. 外務省の「検証」報告書の全文を公開すること
2. 外務省のみならず政府および国会における独立した第三者の検証委員会により検証が行なわれること
*全文 ⇒ http://iraqwar-inquiry.net/?p=678841142

2012 年12 月26 日

イラク戦争の検証を求めるネットワーク
(特活)日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)
(特活)日本国際ボランティアセンター(JVC)
 ピースボート
非戦を選ぶ演劇人の会
WORLD PEACE NOW
外務省のPDFはこちら 
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/iraq/pdfs/houkoku_201212.pdf
(関係国政府とのやり取り等、そのまま公開した場合には各国との信頼関係を損なうおそれの高い情報等が多く含まれていることから、報告そのものの公表は行わないとして、わずか4ページに要約されています)

2012年12月13日木曜日

放射能拡散に反対する市民を支援する会

放射能拡散に反対する市民を支援する会(12/13公開)
http://keepcivicactivity.jimdo.com/
放射能と有害物質を含む震災がれきの広域処理に反対する市民の逮捕は不当です。下地真樹准教授らの即時釈放と謝罪を求めます。
【署名フォーム】https://ssl.form-mailer.jp/fms/1e766d39226791
12月9日、阪南大学経済学部の下地真樹准教授が、大阪府警によって逮捕されました。この逮捕は、形式上も内容上も大変不当なものであり、市民の活動に対する明らかな弾圧です。 下地准教授らは、震災がれきに含まれる放射性物質やアスベストなど、本来焼却してはいけない有害物質を全国に拡げて焼却・埋立しようとする「震災がれき広域処理」政策に反対していました。大阪市は2月から焼却・埋立を開始しようとしています。

逮捕の経緯は次のようなものです。10月17日、大阪市の震災がれき試験焼却に反対する市民有志(下地准教授含む)は、午後3時 、大阪駅・東北角の歩道上に集まり、大阪市役所にむけて三々五々歩いて移動しました。その際に、大阪駅構内の東コンコースを北から南へ通り抜けており、この行為を根拠に逮捕されたようです。逮捕容疑は「鉄道営業法違反」「威力業務妨害」「不退去」です。

しかし、「駅構内を通り抜けた」行為が行われたのは2か月近くも前のことであり、今になって逮捕するというのは非常に不自然です。意図的な市民活動への弾圧であると考えざるを得ません。下地准教授ら市民有志は、小さな子どもを持つお母さんたち、とりわけ福島・東北・関東から関西に避難移住して来られた人たちの不安な気持ちに寄り添い、放射能汚染の拡散を阻止するために活動をされてきました。福島原発事故は、膨大な人々の心身の健康と財産に被害を及ぼしました。適切な安全対策を行わず原発の運転を強行し続けた国と電力会社・原発メーカーなどの責任こそが問われなければならないはずです。

ところが、これら放射能を拡散させた国や企業の刑事責任は一切問われないままに、今回のように、放射能汚染の拡散に反対して声を上げることが刑事弾圧の対象にされているのです。このようなことは決して許されることではありません。既に大阪だけでも震災がれきの広域処理に反対した市民5名が逮捕され、長期にわたって拘留され、起訴されている人もいます。私たちは、今回の不当逮捕に対し、厳重に抗議すると共に、即時釈放と謝罪を求めます。
2012年12月10日
放射能拡散に反対する市民を支援する会

【重要】署名に協力してくださる皆様へ
 ① 署名を大阪府警察等に提出する際、「呼びかけ人」のお名前のみを公表し、それ以外の賛同者(署名してくださった方)については、人数のみを公表します。署名簿は保管に留めて提出はしません。
② メディアに対する公表についても①と同様にします。ただし、メディアから「署名簿を確認させてほしい」という依頼があれば、閲覧のみ許可します(コピー・撮影は不可)。
 【署名フォーム】
 ※ページ上部の【署名フォーム】と同じ内容ですhttps://ssl.form-mailer.jp/fms/406c1b14226859

放射能拡散に反対する市民を支援する会  呼びかけ人メッセージ
岡真理(京都大学人間・環境学研究科教授)
「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった、
私は共産主義者ではなかったから。
社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった、
私は社会民主主義ではなかったから。
彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった、
私は労働組合員ではなかったから。
彼らがユダヤ人たちを連れて行ったとき、私は声をあげなかった、
私はユダヤ人などではなかったから。
そして、彼らが私を攻撃したとき、
私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった。
反ナチのマルティン・ニーメラー牧師の「彼らが最初、共産主義者を攻撃したとき」と いう有名な詩です。今、あらためてこの詩を想起せずにいられません。
彼らが最初、オウム信者を不当逮捕したとき、私は声をあげなかった、私はオウムではなかったから、彼らが外登証不保持を理由に外国人を逮捕したとき、私は声をあげなかった、私は外国人ではなかったから、彼らが北朝鮮へ行く者を不当逮捕したとき、私は声をあげなかった、私は朝鮮人ではなかったから、彼らが釜の労働者を不当逮捕したとき、私は声をあげなかった、私は釜の労働者ではなかったから…

「非・国民」は、これまでずっとずっと不当逮捕されてきました。しかし、自らを「健全な国民」と見なす者たちは、それを自分の問題とは考えませんでした。でも、これらの者たちの身にずっと起きていたこと、それは、私たちの社会の問題であり、国民自身の問題に他なりません。「国民」の身にそれが及んで私たちが事態の異常さに気づいたとき、それでは、もう遅すぎるのかもしれない、でも、今、食い止めなければ、ニーメラーの詩の最後の一節が、この社会の姿となるでしょう。
私が不当逮捕されたとき、私のために声を上げる者は誰ひとり残っていなかった」

早尾貴紀(東京経済大教員)
「これは瓦礫問題だけでなく原発再稼働に向けた政治弾圧。 そして人間の尊厳と自由が、人権が賭けられた闘いです。屈するわけにはいきません。」

太田昌国(現代企画室編集者・評論家)
「辛うじて残っていた〈一線〉を超える行為と言動が、〈相手側〉に目立つ日々です。私たちにも、心して、新しい言葉と行為が必要だと痛感します。」

池田浩士(京都大学名誉教授・京都精華大学客員教授)
「原発事故後の京都「大文字」送り火に被災地の焚き木を使うという計画が持ち上がったとき、被災地への連帯の気持ちにもかかわらず、私はその計画に反対でした。「絆」とか「思いやり」とか苦しみを分かち合う」とかいうお涙ちょうだいの美辞麗句で原発・軍事資本とその御用政府の責任を隠蔽させてはならない――これは基本中の基本だと考えますので、下地さんたちの実践に私も連帯したいと思います。」

鵜飼哲(一橋大学教員)
 「これほどの暴挙を見過ごすことはできません。下地真樹さんと彼の友人たちの即時釈放を要求します。友たちの声の圧倒的な結集を!」

【不当逮捕者の救援活動のためのカンパ】
http://keepcivicactivity.jimdo.com/%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%91/
不当逮捕者を救援するための弁護士費用などに充てられます。どうかご協力をお願い致します。

▼カンパ振込先▼
 郵便振替「00980-2-195109」
 加入者名「関電包囲行動」
 ※通信欄に「12.9救援カンパ」と必ず明記してください。 (関電包囲行動さんの口座をお借りしています)

 <ゆうちょ銀行からの電信払込み・電信振替>
 記号「14340」
 番号「57581321」
加入者名「カンデンホウイコウドウ」

<他の金融機関からの送金>
ゆうちょ銀行
店名(店番):0九九(099)店(ゼロキュウキュウ)
預金種目:当座
口座番号:0195109
口座名称:関電包囲行動
(カンデンホウイコウドウ)
◆通信欄がない場合は、カンパに9円を追加して、金額の下一桁が9となるようにしていただければ12・9弾圧への救援カンパと判断させていただきます。

2012年12月12日水曜日

シリア内戦を長引かせているのは誰か? ~最近のシリア情勢に関し、知っておきたい2、3の情報

シリア内戦を長引かせているのは誰か?
~最近のシリア情勢に関し、知っておきたい2、3の情報

 オバマ政権は昨日(12/11)、シリア反体制派の統一組織「シリア国民連合」を、「シリア国民の正当な代表」として承認した。(CNN日本語版を参照) 米国による「シリア国民連合」の正式な承認は、英国、フランス、トルコ、湾岸協力会議(GCC)に次ぐものだが、これによって米・英・仏を中軸とした有志連合によるシリアの政権転覆に向けた動きが、いよいよ本格的に始まるだろう。
 反政府武装勢力に対する公的な軍事援助に始まり、アサド政権に対する最後通牒的辞任圧力と制裁の強化、そしてその次には米軍+NATO軍+αの有志連合軍による軍事介入のシナリオが控えている。そのパターンは、去年のリビアと同じである。
・・
英など秘密会議でシリア介入協議
【ロンドン共同】 英紙インディペンデントは11日、英国が最近、フランスや米国、中東の国防当局者を集めた秘密会議をロンドンで開き、軍事介入を含むシリア情勢への対応を協議したと報じた。欧米各国は外交上、介入に消極的姿勢を示しているが、水面下で軍事作戦の青写真作りが進んでいることになる。同紙によると、会議は英国軍トップのデービッド・リチャーズ大将が11月に主催しシリア情勢の関係国の制服組幹部が参加した。
・・

1 シリアに対する武器・軍事援助の構造

 CNNは、「米政府による承認は、反体制派を心理的に後押しする効果はあるが、米国から反体制派への武器供給には直結しない」と報じているが、これは作為的な誤報、いわば情報操作の一種である。なぜなら、シリアの反政府武装勢力に対するこれまでの武器援助に米国は主要な役割を果たしてきたからである。

 レバノンのメディア、al manarは、先月3日、Flooding Syria with Foreign Arms: A View from Damascus(by Franklin Lamb)を配信した。長文の、非常によく調査されたレポートだが、このレポートから反政府武装勢力に武器援助している国を列挙しておこう。
 レポートは、現在、36カ国以上の国から武装勢力に武器が流れているとしたうえで、その内のトップ24を挙げている。それらを地域別に分けると、
①USA, Canada、
②UK, France, Belgium, Germany, Italy, Spain, Portugal, Austria, Czech Republic,
③Iraq, Lebanon, Israel, Turkey, Qatar, Saudi Arabia, Yemen, Bahrain,
④Yugoslavia, Bulgaria,
⑤Brazil, Argentina, となる。
 
 このリストにはロシアやイランなどアサド政権に対して武器援助をしている国々は含まれていないが、上の24カ国の3分の2がNATO構成国であり、その数は全NATO構成国の半数に上ることに着目しておこう。

 武装勢力から押収された武器を、一部写真解説付きで武器名まで特定し解説しているところが、このレポートに説得力を与えている。私は武器には詳しくないが、米軍が使用しているスナイパー・ライフル、SMC M1903-A4や USMC M1903-A1/Unertl)、USMC M1C & M1Dに M21などが押収されていることを、オバマ政権や米国の主要メディアはどのように応えるのだろうか。
(さらに武器援助大国、イスラエルがゴラン高原などを経由し、シリア国内に武器を流していることにも注目したいが、ここではこれ以上触れない)。
・・
・ゴランPKO撤収へ、シリア内戦激化で判断
 政府は、国連平和維持活動(PKO)協力法に基づき、シリアとイスラエルの境界にあるゴラン高原の国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)に派遣している自衛隊について、撤収させる方針を固めた。 複数の政府関係者が8日、明らかにした。
 シリアの内戦激化に伴い、ゴラン高原で自衛隊員の安全確保が難しくなったと判断した。政府は国連側と調整を進めており、年内にも撤収に着手する見通しだ。
 ゴラン高原PKOを巡り、日本は1996年から、シリアとイスラエルの停戦監視活動などを行うUNDOFに自衛隊を派遣してきた。現在、陸上自衛隊の輸送部隊44人と、UNDOFの司令部要員3人の計47人が活動している。ほぼ半年ごとに部隊を入れ替えており、今回の派遣は来年3月31日が期限だ。(2012年12月8日  読売新聞)
 ↓
 
 国連の下で、地域の「平和」を「維持」するために派遣された自衛隊やその他の国の軍隊、およ国連機関が、地域の「平和」が「維持」できなくなると撤退、撤収する? 地域の「平和」を守るためではなく、隊員の身の安全を第一に考えて? これが日本および自衛隊、もっと言えば国連の「平和維持」活動の実態であり、本質なのだということだろう。私はすべての国連PKOからの自衛隊の撤退を主張する者のひとりだが、問題は、そもそも日本は何のために、またいったい何をしに自衛隊を「派遣」してきたのか、にある。

 国連PKOは、米・英・仏の覇権と、ロ・中の対抗的覇権政治に翻弄され、派遣先の地域的平和を「維持」することができないばかりか、紛争と混乱の火種の一つになってきた。しかし、国連PKOへの自衛隊参加、「武器使用」基準緩和などを論じ、いわゆる日本の「平和構築」を推進しようとする官僚、政治家、メディア、大学研究者のほとんどは、このことを論じない。自衛隊の国連PKO「派遣」、さらには「平和構築」論のデタラメさを、改めて検証するよい機会だと思う。そこでは、これまで自衛隊の海外派兵に反対してきた「反戦・平和」運動や、左翼勢力側の分析の総括もが問われることになるだろう。
 ともあれ、税金の無駄使いを少しでも減らすためにも、自衛隊の役割と機能をめぐる社会的な議論はもっともっと深められるべきたと私は思う。
・・

⇒「シリア内戦を長引かせているのは誰か?(2)--「ポスト・アサド」とオバマの「暗殺リスト」」へつづく

・・・
「シリア難民50万人超える」 国連発表、支援訴え
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は11日、内戦状態が続くシリアから戦闘を逃れ国外に脱出した難民が50万人を超えたことを明らかにした。UNHCRに難民登録したか、登録待ちの人数で、実際には80万人以上に上るとみられる。
 隣国のヨルダン、レバノン、トルコ、イラクのほか、エジプトなどにも逃れている。シリア国内の戦闘の激しい地域で居住地を追われた国内避難民などは250万人に達しているとみられ、国連は難民とともに支援が急務としている。 ただ、激戦地では国連の支援物資が奪われるケースも頻発。支援に当たる国連スタッフも一部が国外退避するなど、シリア国民の窮状は深刻さを増している。(共同)

シリアへ人道支援「自由のための列車」(NHK)
「・・・特別列車には、フランスが承認した反政府勢力の統一組織「シリア国民連合」のマフース大使も乗り込み、「ヨーロッパ各国は、シリア国民を殺りくから守るため、反政府勢力に対して武器を供給してほしい」と述べ、国際社会に支援を呼びかけました・・・」

「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「「介入の政治」と覇権主義を超えて- 〈 NGOと社会〉の会ニューズレター最新号より
⇒「「保護する責任」(R2P)に関するヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)への質問状と回答: 解説」

『福島と生きる』メールマガジン第2号――息長く〈福島〉とつながり続けるために――

『福島と生きる』メールマガジン第2号
――息長く〈福島〉とつながり続けるために――
2012年12月13日発行(不定期刊)

ー目次―
◆イベント情報
◆ニュースクリップ
◆遊雲の里ファームの杵つきもち販売
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

◆イベント情報(イベント情報は変更されることもあります。必ず主催者サイトでご確認下さい)
1.12月14日(金)-16日(日)(郡山市)
  「フクシマ・アクション・プロジェクト
   ※日本政府と国際原子力機関(IAEA)共催の「原子力安全に関する福島閣僚会議」に対するアクションと申し入れ、市民集会など。 詳細→イベントサイト
   ※原発いらない女たちの会も「私たちを抜きに福島のことを決めるな!」をスローガンに非暴力アクションを行います。詳細→イベントサイト

2.12月14日(金)18:30-20:30(東京・会議室 内海 3F教室)
  「アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会ーー低線量被ばくの健康影響:国際機関の放射線安全概念を問う
  ※主催:FoE Japan  詳細→イベントサイト

3.12月14日(金)ー15日(土)(東京・国分寺市)
  「放射能対策セルフケア講座
  ※共著者の一人、橋下俊彦さん(NPOライフケア)による「放射能対策セルフケア10時間講座 ~自分のからだは自分で守ろう~」。
  ※主催:NPO法人自然育児友の会  詳細→ライフケア・イベントスケジュール

4.12月15日(土)-16日(日)(東京)
  「脱原発世界会議2
  ※「原子力を規制する」「チェルノブイリに学ぶ」「脱原発社会のつくりかた」の3つのテーマで行われる国際市民会議。
  ※FoE Japanコーディネート企画:
  ①「低線量被ばくと国際原子力機関(IAEA)・世界保健機関(WHO)」、
  ②「放射線防護のための被災者支援のあり方とは」(ともに12月15日)
  詳細→イベントサイト

◆ニュースクリップ
1.「ヨウ素剤無配布、健康調査不開示・・・国連専門家が国・県批判」 2012年11月29日、東京新聞
 「政府が住民にヨウ素剤を配布していなかったのは残念」「福島県の健康管理調査は不十分」─。福島原発事故の被災地などを現地調査した国連の専門家は、行政側の「被災者目線」の欠如を批判した。政府や県は国際社会の厳しい
視線を受け止め、説明責任を果たせるのか。(中略)
 県の子どもを対象とした甲状腺検査についても、「子どもの親は診断資料を受け取れない。医療記録にアクセスする権利を否定されている」と、県の対応を痛烈に批判した。
 一方、福島県外への避難を希望する人に対する県の住宅支援の新規申し込みは、来月28日で打ち切られる。行政の被災者支援については「政府は、すべての避難者が避難を続けるのか、自宅に戻るのかを自分の意思で決められるようにするべきだ。経済的な支援や補助金を継続、復活させなければならない」と問題提起した。(以下略)

※健康を享受する権利に関する国連特別報告者のプレス・ステートメントは以下のサイトで読めます。http://unic.or.jp/unic/press_release/2869/

2.「会長の井戸川双葉町長辞任 後任に山田広野町長 双葉地方町村会」2012年12月11日、福島民報
 双葉郡町村長から双葉地方町村会長の辞任要求を受けた会長の井戸川克隆双葉町長(66)は10日、郡山市の県農業総合センターで開かれた双葉地方町村長会議で会長を辞任した。新会長には副会長の山田基星広野町長(64)が就いた。任期は残任期間の来年3月31日まで。辞任理由について井戸川町長は「町村会の円滑な運営のため」と説明したが、東京電力福島第一原発事故に伴う中間貯蔵施設の現地調査をめぐり、他の首長と対立したことが原因とみられる。 (略)
 井戸川町長は辞任の理由について「国や県などの中間貯蔵施設建設に向けた進め方に不満がある。郡内の町村長でも中間貯蔵施設に関する考え方が異なる」と指摘した上で「町村会の運営を円滑に進めるためにも自分から辞任した」と語った。(以下略)

3.「福島の水産物風評被害」2012年12月11日、宮崎日日新聞社説
 福島県いわき市が、東京電力福島第1原発事故による水産物の風評被害対策に乗り出した。 「いわき見える化プロジェクト“見せます!いわき”」と銘打って、地元の小名浜港などに水揚げされるカツオやサンマについて放射性物質測定データの随時公表を始めたのである。正確なデータをネット上に迅速に公開し、消費者の理解に努めたいという地道な取り組みを評価したい。

■加工業者と一心同体■
 暖流と寒流が混ざる福島県沖は、「潮目の海」として豊かな漁場を形成してきた。ところが昨年3月の原発事故以降、北部の一部海域での試験操業を除き、南部海域では操業を全面自粛。はるか沖合で漁獲したカツオやサンマに限って地元の小名浜港などへ水揚げしている。
 これらの魚は福島県以外の港に水揚げすれば問題とされないが、地元に持ち帰れば外部の厳しい視線にさらされることになる。 それでも小名浜港へ水揚げするのは、地元に魚が揚がらなければ水産加工業者も生活が成り立たないからだ。漁師も加工する人間も浜では一心同体なのである。この関係を考えずに、真の水産復興はあり得ないというわけだ。
 そんな地元の苦境を察したイオンが、震災復興の一環として6月から小名浜港に水揚げされたカツオの販売を始めた。自社でも放射性物質の検査をした上で、漁獲水域と水揚げ港名を明記して販売したところ、首都圏の消費者の反応は良く、このカツオを加工したファストフィッシュが現在売り出されている。 「正しい情報が消費者に伝われば風評被害は減らせるのではないか」と担当責任者は説明する。

■魚を取って存在価値■
 福島双葉漁協は、福島原発の北部海域で6月からバイ貝やタコなどの試験操業を続けている。検査を繰り返しながら魚種を少しずつ増やし、消費地の市場でも受け入れられている。 「常磐もの」と呼ばれたアナゴやカレイが大量に水揚げされた震災前を考えれば微々たる試みだ。それでも「補償金に頼るだけの生活でいいのか。われわれは魚を取ってこそ存在価値がある」という漁師の言葉には重みがある。(以下略)

4.「重い一票 悩む学生 復興、原発…政策の差見えず 未来誰に託す」 2012年12月12日、福島民報
(略)
 会津若松市の会津大学短期大学部2年の国嶋麗(うらら)さん(20)が候補者の主張で最も関心を寄せるのは原発問題の対応だ。福島市出身で、市内でも比較的線量が高い地域に実家がある。家族や友人が心配で、自身も今年夏、内部被ばく検査を受けた。「しっかりと見極めたい」。インターネットで各党のマニフェスト(政権公約)を見比べている。
 「貴重な一票。必ず投票に行く」。福島市の桜の聖母短大2年の加藤朋栄さん(20)は力を込める。震災と原発事故が発生したのは市内の高校を卒業した直後。短大入学後に震災復興支援のサークルに入り、市内の避難所や仮設住宅で子どもの世話や物資配布のボランティアをしてきた。
 避難者の中には、先が見えない生活を送るうち、将来の希望を見失う人もいるのを感じた。「国は、政治家は実態を理解しているのか」。一向に現状が改善されない状況に、疑問を持つこともあった。被災地の声を中央に届け、政策に反映させる国会議員の重要性を実感した。「当選後も福島に何度も足を運んでくれる人に票を入れたい」。被災地に寄り添ってくれる政治家を選ぶという自分なりの条件を決めている。(略)
 福島市の福島大行政政策学類4年の男子学生(22)も投票先を決めかねている。新しい党をつくるばかりで、肝心の政策がよく伝わってこないと感じる。「必ず選挙には行くが、このままでは白票を投じるしかない」

◆遊雲の里ファームの杵つきもちとお米の販売
 ※『福島と生きる』共著者・菅野正寿さんの遊雲の里ファーム(福島県二本松市)で「杵つきもち」の販売が始まりました。棚田米コシヒカリの販売も行っています。

 菅野さんをはじめ福島県の有機農家のみなさんは、3・11以降、セシウムを作物に移行させないためにさまざまな試行錯誤と努力を重ねています(詳細は『福島と生きる』の菅野さんのインタビューをお読みください)。販売物はすべて放射能検査済みです。
 添加物の一切ないお餅は本当に美味でした!
 詳細→遊雲の里ファーム注文ページ

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『福島と生きる』メールマガジン第2号
2012年12月13日発行
※『福島と生きる』メールマガジンは、『福島と生きる--国際NGOと市民運動の新たな挑戦』の共同執筆者の団体や活動の関連情報を発信していきます。
発行人=中野憲志・藤岡美恵子(『福島と生きる--国際NGOと市民運動の新たな挑戦』共編者)

破壊される玉川上水の緑

破壊される玉川上水の緑

皆様
沖縄でのオスプレイ配備、フクシマ被災民の黙殺、巨額の宣伝費を費やしたオリンピック招致活動の裏での福祉・障害者対策のメッタギリ、その一方でのポピュリズム煽るマスコミとそれに酔いしれる右翼政治家たち、、、、。そして、いよいよ平和憲法の改正、自衛軍の誕生、歴史教科書の全面的改訂、さらに大学秋入学化の先に見えるものは・・・・?

こうしたことに比べれば誠に些細なことかもしれませんが、東京の郊外でもオリンピックを想定してとんでもないことが次々が起こりつつあります。以下は、写真家の私の弟からのメールです。東京の西、小平市の玉川上水の緑、津田塾大学の前の緑がまもなく消えます。暴力的な手口はメキシコのPPPと全く同様です。以下、転送させていただきます。
北野 収(獨協大学)
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小平に住むお知り合いの方へ

こんにちは。
ご存知かもしれませんが、鷹の台中央公園の雑木林をつぶして、幅36m以上の道路を通す計画が本格化しそうです。多摩地区南北の道路整備自体には必要を感じますが、計画があまりに暴力的なので、危機感を感じています。形ばかりの「住民説明会」という”イベント”がありましたが、行政は住民に説明するつもりも、意見を聞くつもりも一切ないようでした。

3月に認可が出れば、都は用地買収に入ります。しかし認可が出た時点で行政代執行(つまり強制的な工事施行)の権限が発生します。あとはベルトコンベアーのように進み、林はなくなり、カワセミのいる上水の環境は激変するでしょう。そしてロードサイドにはコイデカメラやドンキなどの大型店舗が立ち、鷹の台の商店街は大打撃となるでしょう。住民から行政にアクセスする方法は(残念ながら日本には)ほとんどありません。(次期?)猪瀬知事はオリンピックを御旗に凍結していた道路開発を再開するでしょう。

が、ほとんど唯一の民主的な方法があります。住民投票です。そのために動きだした人がいて、1月11日までに市内の有権者3000人の有効署名が必要だそうです。とても短期間です。道路計画に反対のための住民投票ではなく、 「住民参加によって見直す必要があるか、その必要はないか」を問う住民投票であるところがミソです。

この署名、法律的にかなりきちんとしたもので、受任者(住民の代表)が集めなくてはなりません。うちの奥さんが受任者の一人になったので、お正月でも[一緒に]署名してもらえませんか。 (また有権者のお知り合いがいたら、ぜひ。)
ぜひぜひ、よろしくお願いします。
北野謙  (以下に、さらにくわしく書きます。)
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僕の住む玉川上水と雑木林のある小平市は環境のよい住宅地です。武蔵野美術大学や津田塾大学のある、西武線鷹の台駅周辺は、玉川上水沿いに公園と広い雑木林がひろがり、貴重の動植物も生息する、エリアです。

ところが、その雑木林の大部分をつぶして、幅36m4車線の道路を通す計画が、来年3月までに国の事業認可を受けて、やはて着工されようとしています。この計画は50年前に出来たものです。また都の発表した交通量予測と実際の交通量は大きく乖離 (都の予測値は過大予測)しています。そしてすぐ近くを通る府中街道を拡げるのではなく、府中街道からわずか55~200mを平行して、新たに道路を造るなど、住民のひとりとして問題と思える計画です。

ムサビ生の皆さん、ご存知でしたか? 国の認可が通れば(出せば確実に通るのですが)、極端な話、すぐに工事をしてもよい権限が発生します。ムサビの学生さんたちが野外展をひらいているあの林はすぐにでも消えて、ロードサイドに大型店舗が並ぶ、劣悪でありきたりの風景にとってかわるかもしれません。危急の課題です。

住民の意思を都に反映させる手だては、残念ながら極めて少ないようです。でもぜんぜんないわけではないようです。「住民参加により(3・2・8号線)計画案を見直す」べきか「見直しは必要でない」かを問う住民投票をしようという呼びかけをしている方々います。

雑木林で幻灯会や観察会を催している「どんぐりの会」の皆さんや 「小平都市計画道路に住民の意思を反映させる会」の皆さんです。道路計画に反対する住民投票ではなく、「住民参加によって見直す必要があるか、その必要はないか」を問う住民投票であるところがミソです。言ったら話し合いのための住民投票。数少ない殆ど唯一の民主的な手続きです。

住民投票を行う為には12月17日~1月11日の間に小平市の有権者の3000筆の署名が必要です。
署名してくださる方は、私にご一報くださるか、下記までお問い合わせ下さい。道路計画の詳細や街頭署名の日程もでています
http://jumintohyo.wordpress.com/2012/12/10/

来週から署名期間がはじまります!
どんぐりの会
http://www.facebook.com/events/224397617693024/
http://jumintohyo.wordpress.com/2012/11/28/
中沢新一x國分功一郎-講演会
12月8日(土)開催

ご協力下さい!

2012年12月4日火曜日

「東アジアに平和の海をつくる」

「東アジアに平和の海をつくる」
~Vol.1 パネル・ディスカッション: 竹島/独島問題を手がかりに~

1)領土問題で対立するのではなく、「平和の海」をつくるためのアイデアを出し合う。
 領土 問題の冷静な議論を続ける必要があるが、領土問題だけを取り上げて対立を深めることは、誰にも利益にならない。むしろ、東アジアに平和の 海をつくるために何ができるのか。何を議論するべきなのか。対話の場をつくりたい。 対立点は明確にしつつ、他方で、同意できる共通項は何 なのかを探りたい

2)そのために、国籍、民族、政治的立場を越えた、異なる意見の持ち主の対話の場(パネ ル・ディスカッション、シンポジウム、インタヴュー等)を作る。

3)規模は、最初は小規模な対話集会とする。1回ではなく、数回の継続性を。 第1回は竹島 /独島。

4)日程 2013年1月12日(土)午後1時30分~5時(開場1時)

5)会場 スペースたんぽぽ
東京都千代田区三崎町2-6-2 ダイナミックビル4階
03-3238-9035
http://www.tanpoposya.net/main/index.php?id=336 *60名規模の会場。

6) パネリスト
木 村三浩さん(一水会代表)
康  煕奉さん(在日朝鮮社会科学者協会)
朴 炳 渉さん(竹島=独島問題研究ネット)

7)参加費(資料代含む):500円

8)協賛 週刊金曜日

9)主 催:平和力フォーラム
192-0992 東京都八王 子市宇津貫町1556 東京造形大学内
TEL 042-637-8872(直通)
E-mail:maeda@zokei.ac.jp

メキシコに大統領はいない、メキシコと全世界はペニャ・ニエトを認めない

メキシコに大統領はいない、メキシコと全世界はペニャ・ニエトを認めない
México No Tiene Presidente, repudio a Peña Nieto en México y el mundo
 
desInformémonos--Periodismo desde abajo 大統領就任式(12/1)当日の抗議行動(メキシコシティー)の模様を伝えるフォトルポルタージュ
Soy 132のFace book
 
日本語関連サイト
⇒「「メキシコには大統領がいない」...数千人就任反対デモ」(レイバーネット、チョン・ウニ記者)