2012年のおわりに: 脱原発の〈思想〉と〈行動〉が試された年
1
今年のはじめ、「2012年のはじめに: 脱原発の〈思想〉と〈行動〉が試される年」という文章を書いた。
一年を振り返って思うのは、やはり今年は「脱原発の〈思想〉と〈行動〉が試された年」だったのではないか、ということである。来年以降、いや今後数十年にわたり、日本における「脱原発の〈思想〉と〈行動〉」が試され続けることになると私には思えるので、下に全文を再掲しておこうと思う。
先の選挙における自公圧勝、安倍政権の再登場そのものに関しては、ほとんど語るべき言葉を持たない。一番思ったのは、内閣総理大臣という日本の政治制度においては最大の権力と権限、それゆえの責任を持つ職を自ら投げ出した政治家に対し、「日本人は何と寛容なのだろう!」ということである。
まことに、日本人は「寛容」だ。そして「国民的健忘症」を患っているように思えた。
今回の選挙結果を通じ、これから「私たち」は自らの政治的意思、政策的選択が現実的な政治過程に反映されようのない、その意味では政治的に気の晴れようのない、非常に鬱屈した長い時間を送ることになるだろう。
とりわけ決定的だと思えるのは、「自民党政治」からの転換を主観的にはめざそうとしたはずの民主党の「政権交代の実験」が、わずか3年で見事なまでの大失敗に終わったことだ。
しかし、民主党の自壊についても、私はこれまで述べてきたこと以上の語るべき言葉を持たない。はっきりしているのは、すでにその動きが始まっているが、この間民主党が打ち出してきた「改革」路線の数々が、おしなべて来年の前半期を通じて政権交代以前、つまりは安倍-麻生政権時代の「既定方針」の下に吸収・回収され、解体されることになるということだ。
「悲観的過ぎる」という批判を覚悟の上で言えば、おそらく「脱原発」をとりまく社会状況は、諸個人の意思や選択を政治に反映させようがないという意味で、私たちが想像する以上に深刻なのだと思う。
目先の「課題」に追われ、そこにエネルギーを全力投入するだけでは、その「課題」さえ実現できない間にまた新たな「課題」への対応に迫られ、「私たち」はただただ個人としても〈運動〉としても消耗・疲弊・困憊し、未来への架け橋役さえ果たせなくなってしまう・・・。
だからきっと、振り出し以前に戻ったところから、もう一度未来をどのように組み立て直してゆくか、きっと来年はこのことがどの団体や運動体にとっても問われる年になるのではないだろうか。
いつものことながら、怠惰で書きなぐったようなこのブログを懲りずに訪問してくれている人々に、感謝を記して。
・・・
・安倍首相、原発新設容認も 「福島第1とは違う」
安倍晋三首相は30日、TBS番組で今後の原発政策をめぐり「新たにつくっていく原発は、事故を起こした東京電力福島第1原発とは全然違う。国民的理解を得ながら新規につくっていくということになる」と述べ、新規の原発建設を容認する姿勢を示した。
「福島第1は津波を受けて電源を確保できなかったが、福島第2は対応した。その違いを冷静に見極める必要はある」と指摘した。 福島第1原発を29日に視察し、民主党政権が決めた2030年代の原発ゼロ目標を転換する考えを重ねて示していた。(共同)
・原発ゼロ見直しで県内自治体意見交錯 (デーリー東北、12/28)
「・・・ 使用済み核燃料再処理工場などのサイクル施設を抱える六ケ所村。民主党政権時は原子力政策の見直し議論に翻弄(ほんろう)され、一時は議会が燃料搬出を求める意見書を可決するなど強硬姿勢を見せた経緯がある。・・・
・・・一方、核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団の山田清彦事務局長は「福島第1原発事故で国民が犠牲になった反省がない。国民を無視し、元の政策に戻そうというのは、まるでちゃぶ台返しだ」と批判した。
事業者側では、日本原燃の川井吉彦社長が27日の定例会見で「再処理の意義、必要性を理解してもらいうれしいし、重く受け止めたい」と評価・・・」
・「高線量で精神的苦痛」 長泥住民申し立てで審問 (福島民友 12/28)
「・・・審問後、会見した長泥行政区の鴫原良友区長は「(仲介委員は)高線量下で生活していた、われわれの気持ちを理解するべきだ」と訴えた。・・・。「なぜ子どもたちだけでも避難させなかったのか。賠償で簡単に済む問題ではない」と述べた・・・」
・西川知事「現実みたエネ政策を」 原発めぐり1年を総括 (福井新聞 12/28)
「・・・政権交代により新増設は行わないとの原則が再検討されることに関しても、知事は福島の教訓を踏まえた新たな安全基準により再稼働できない原発が出てくる可能性に言及した上で「より安全で強固な原発は造るべきだという議論を明瞭(めいりょう)にやっていくことが大事」と踏み込んだ・・・」
・上関原発予定地 地裁、入会権認めず 反対住民敗訴 (山口新聞 12/27)
「・・・ 山林は、中電が上関原発1号機炉心や発電タービン建屋の設置を予定している約10万平方メートルで、2004年に地元神社が中電に売却した。地元住民がこの山林を共同で使用、管理できる入会権が成立するか、山林の所有者が誰かが主な争点だった。
原告側は、地元住民がまきなどを山林に入って採取してきたとして「入会的慣行に基づいて行っており、山林の管理もしてきた」と主張。しかし、山本裁判長は「神社地として管理保全されている中で、まきの採取は黙認されていたにすぎない」と退けた。原告側の「神社は名義人にすぎず、山林は地元住民が購入した」との主張に対し、山本裁判長は客観的な証拠がないなどとして「神社から買い受けたと認めるのが相当で、入会権が成立する余地はない」とした・・・。
判決を受けて、被告の中電側は「主張が認められた妥当な判決。地域住民が安心できる発電所を目指す」とコメントした。原告の男性は棄却されたことについて、「信じられない。人間の命は金に換えられない。最後は勝つと信じている」と話し、控訴の意向を示した」
・もんじゅ、前政権の方針を踏襲 下村文科相
「・・・前政権が9月に決定したエネルギー・環境戦略を受けて、文科省の作業部会はもんじゅの今後の計画を議論しており、来年夏をめどに計画を策定する。運用する日本原子力研究開発機構は作業部会で、来年末以降に試運転開始、10年程度運転するとの計画案を提示している」(共同)
・廃炉計画「リスク評価が不十分」 東電に規制委
原子力規制委員会(田中俊一委員長)は21日、東京電力がまとめた福島第1原発の廃炉作業の実施計画が妥当かどうか議論する検討会の初会合を開いた。規制委側からは燃料の再臨界などに対し「リスク評価が不十分だ」と厳しい意見が相次いだ。検討会は2月下旬に審査結果を取りまとめる予定。
東電の実施計画には、使用済み核燃料プールからの燃料取り出しといった中長期的な作業計画のほか、作業員の被ばく線量管理などの安全対策が盛り込まれている。 会合で外部専門家の阿部弘亨東北大教授は「再び(放射性物質を)出さないという姿勢が見えない」と批判した。(共同)
・・
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2012年のはじめに: 脱原発の〈思想〉と〈行動〉が試される年
1
2012年のはじまりに、新年を祝うお決まりの文句は控えたい。国際的にも、国内的にも、私たちの目の前には、祝うより解決すべきこと、そのために考えるべきこと、二年越しの「宿題」が山積していると思うからだ。私はむしろ、「祝うべきことなど何もない」="No hay nada que celebrar."という言葉を、厳粛な気持ちで噛みしめたいと考えている。
"No hay nada que celebrar." アメリカ大陸の先住民族/民衆の運動体が、各国の「独立記念日」や「コロンブス・デー」など、国を挙げた祝賀行事に対して抗議の意思を示すために使ってきたフレーズである。私自身が今年に持ち越してしまった、ということはおそらく〈脱原発〉派全体もまたこれから真剣かつ真摯に向き合わざるをえない、と思える「宿題」の数々を列挙しながら、新年の挨拶にあえてこのフレーズを持ち出した理由を書き記しておこうと思う。
2
2012年は〈脱原発〉の思想と行動が試される年となる。
思想の質と、それに規定された具体的な行動の中身が試される年になる。
様々な方向性と内容を伴った、その意味では統一性も一貫性もない〈脱原発〉運動--私はそれをむしろポジチブに捉えている者の一人であるが--から、「排除の思想」を排除しつつ自らの思想の境界を広げ、深めること、その上でどこに、そして何にプライオリティをそれぞれが設定するかという、きわめてアクチュアルかつ困難な〈問題〉群に直面する、文字通りの「正念場の年」になるだろう。
大状況的なリアリティから言えば、私たちは「減原発」による「原発+再生可能エネルギーのベストミックス」と原発輸出促進を通じて、「3・11」からの国家的「復興」とその先に広がる「経済成長」を夢想する民主、自民、公明の三大既成政党+官僚機構で成り立つ政治権力の構造を変えうる展望を見いだせないでいる。
つまり、民主党が政権の座に今年いっぱい居座ろうが、万が一に解散→総選挙となって自民を中心とした政権、あるいは公明がいずれかと連立を組み政権に加わろうが、この「構造」が変わりようがない現実を引きずりながら私たちは新年を迎えてしまった、ということだ。
政党政治や政局の動向に関する分析は後回しにしたい。
最初に、民主党および官僚機構が「「減原発」による「原発+再生可能エネルギーのベストミックス」と原発輸出促進を通じ、「3・11」からの国家的「復興」とその先に広がる「経済成長」」を夢見ているという点について、簡単に触れておこう。
3
まず、「減原発」による「原発+再生可能エネルギーのベストミックス」について。
資源・エネルギー庁の「新しいエネルギー基本計画に向けたご意見を募集します」のページには次のような一節がある。
・・
経済産業省資源エネルギー庁では、幅広く有識者の方々から新しい基本計画策定のためのご意見を聴く場として、総合資源エネルギー調査会に基本問題委員会が設置され、平成23年10月から議論が開始されております。 「革新的エネルギー・環境戦略」の策定を行うエネルギー・環境会議と連携しつつ議論が進むこととなっております。
また、平成24年春頃には、望ましいエネルギーミックスの選択肢を提示し、国民的議論につなげていく予定です。
・・
ここで言われている「望ましいエネルギーミックス」が、私が言う「「減原発」による「原発+再生可能エネルギーのベストミックス」のことである。そこでは将来的に、一部廃炉にした原子炉を「絶対安全な(第四世代)原発」に交替させることをも含めて、つまりそれを選択肢から排除せず、今後の日本の中長期的な「エネルギー基本計画」なるものが構想されている。このことをまず私たちは踏まえておく必要がある。
「幅広い国民の皆様からのご意見」の圧倒的多数は脱原発であるにもかかわらず、原発維持・推進を大前提にした「望ましいエネルギーミックスの選択肢」を構想しているのが経産官僚なのだ。
「エネルギー・環境会議」の基本方針(案) 〔概要〕。(2011年12月21日)
・・
(2)原子力政策、エネルギーミックス、温暖化対策に関する選択肢提示に向けた基本方針
① 原子力政策に関する選択肢の提示に向けた基本方針
~原子力のリスク管理を徹底するとの方針に基づき選択肢を提示する
○ 原子力発電については、相当程度の社会的費用があり、世界最高水準の安全基準とその客観的かつ厳格な運用を確立するなど、安全対策を抜本的かつ計画的に立て直す。
また、賠償等のスキームを、国際的な動向と調和を図りつつ、整備する。
○ 中長期的な原子力政策の在り方については、核燃料サイクル政策も含む原子力政策の徹底検証を行う中で、安全、環境、エネルギー安全保障、経済性などの論点を整理した上で、選択肢を提示する。
・・
たしかに「エネルギー・環境会議」は、口先では、「脱原発」「原発推進」のいずれの立場にも立たず、「白紙」から「抜本的に」国の「エネルギー基本計画案」をまとめ、今春「提言」すると言っている。
しかし、すでに「中長期的な原子力政策」という表現があますところなく示しているように、この会議の審議そのものがあくまでも「脱原発」ではなく「原発推進」の立場に沿って行われてきた/いる。野田政権登場時点から何度も強調してきたように、この点に関する野田政権・経産省・「エネルギー・環境会議」に対する幻想に未だとらわれている人がいるとしたなら、ただちにその幻想を捨て去るべきだろう。
4
うえの3を押さえたうえで、福島・宮城・青森三県の「復興計画」の中身を見てみよう。
あわただしかった年末・年始の数日間、私はこれら三県の「復興計画」と、南相馬市のそれを読んで過ごした。 もちろん、これらのみを読んでいたわけではないし、好んでそうしたわけでもない。クリスマスの三連休に「相馬と南相馬で考えたこと」がこれらに目を通すことを余儀なくさせたのである。(⇒南相馬市の「復興計画」については、「相馬と南相馬で考えたこと(2)」において触れることにする。)
⇒「福島県復興計画(第1次)」(今後10年間)とその「概要」版⇒「青森県復興プラン/青森県復興ビジョン」とその「概要」版
⇒「宮城県震災復興計画」とその「概要」版
⇒関連サイト「東日本大震災復興対策本部」
できるだけ時間を取り、福島・宮城・青森三県の「復興計画」あるいは「ビジョン」の、せめて「概要」だけは目を通してほしい。そうすれば自ずと、以下の二点が理解できるはずだ。それらは、
1)福島県は脱原発宣言を行い、福島第一・第二すべての廃炉を国と東電に要請し、「原発に依存しない社会」を明言しつつも、宮城・青森両県については県内の原発および原子力関連施設の存続を前提にして「復興計画」が策定されていること、
2)福島県とその他二県の「復興計画」との間に存在する上に述べた違い、また表現上の違いはありつつも、県としての具体的な「再生可能エネルギー推進」の中身は、三県とも非常に似通ったものになっていること、である。
たとえば、青森県の「復興ビジョン」の、「Ⅳ 視点と中長期的な取組の方向性」の、
「(4)再生可能エネルギーの導入推進による産業振興と持続可能な低炭素社会の実現」の次の内容を福島県・宮城県のそれと対照してみてほしい。
○再生可能エネルギーの導入推進と産業振興(太陽エネルギー、風力発電、地中熱・温泉熱、バイオマス、廃棄物エネルギー、コージェネレーション関連(燃料電池、LNG冷熱利用等)、海洋エネルギー)
○持続可能な低炭素社会の実現(全県民的取組の加速化、夏季及び冬季の省エネルギー対策、設備導入促進のサポート体制づくり等)
この問題を考えるにあたっては、さらに「参考資料」として経産省がまとめた2012年度の「資源・エネルギー関連予算案等のポイント」を参照することをすすめたい。 ほとんど同じ内容と言ってよい三県の「復興計画」に組み込まれた「再生可能エネルギー推進」が、経産省による「ポイント」の「3.再生可能エネルギー・省エネルギー等の導入支援・最先端の技術開発」と完璧に対応したものであることが透けて見えてくるはずである。
5
福島県の「復興計画」の問題点--〈脱原発〉の思想と行動、その課題に引きつけて
続きは後日に。(未完)
・・・
・試験再開準備始まる/再処理工場(東奥日報)
→解説:使用済み核燃料・直接処分コスト試算隠蔽 原子力ムラの異常論理(毎日)
・原発の再稼働重点 東北電社長「地域理解得る」(河北新報)
・「原発問題に対峙しようとしない」と宮城知事、国を糾弾(河北新報)
↓
「原発事故の対応は県境で区切る問題ではない。汚染レベルによって対応しなければ、宮城県民としては大きな不満が残る結果になる」とまで語りながら、女川原発の再稼働・存続問題を含め「原発問題に対峙しようとしない」のは、知事および県、県議会も同罪ではないだろうか?
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今年のはじめ、「2012年のはじめに: 脱原発の〈思想〉と〈行動〉が試される年」という文章を書いた。
一年を振り返って思うのは、やはり今年は「脱原発の〈思想〉と〈行動〉が試された年」だったのではないか、ということである。来年以降、いや今後数十年にわたり、日本における「脱原発の〈思想〉と〈行動〉」が試され続けることになると私には思えるので、下に全文を再掲しておこうと思う。
先の選挙における自公圧勝、安倍政権の再登場そのものに関しては、ほとんど語るべき言葉を持たない。一番思ったのは、内閣総理大臣という日本の政治制度においては最大の権力と権限、それゆえの責任を持つ職を自ら投げ出した政治家に対し、「日本人は何と寛容なのだろう!」ということである。
まことに、日本人は「寛容」だ。そして「国民的健忘症」を患っているように思えた。
今回の選挙結果を通じ、これから「私たち」は自らの政治的意思、政策的選択が現実的な政治過程に反映されようのない、その意味では政治的に気の晴れようのない、非常に鬱屈した長い時間を送ることになるだろう。
とりわけ決定的だと思えるのは、「自民党政治」からの転換を主観的にはめざそうとしたはずの民主党の「政権交代の実験」が、わずか3年で見事なまでの大失敗に終わったことだ。
しかし、民主党の自壊についても、私はこれまで述べてきたこと以上の語るべき言葉を持たない。はっきりしているのは、すでにその動きが始まっているが、この間民主党が打ち出してきた「改革」路線の数々が、おしなべて来年の前半期を通じて政権交代以前、つまりは安倍-麻生政権時代の「既定方針」の下に吸収・回収され、解体されることになるということだ。
「悲観的過ぎる」という批判を覚悟の上で言えば、おそらく「脱原発」をとりまく社会状況は、諸個人の意思や選択を政治に反映させようがないという意味で、私たちが想像する以上に深刻なのだと思う。
目先の「課題」に追われ、そこにエネルギーを全力投入するだけでは、その「課題」さえ実現できない間にまた新たな「課題」への対応に迫られ、「私たち」はただただ個人としても〈運動〉としても消耗・疲弊・困憊し、未来への架け橋役さえ果たせなくなってしまう・・・。
だからきっと、振り出し以前に戻ったところから、もう一度未来をどのように組み立て直してゆくか、きっと来年はこのことがどの団体や運動体にとっても問われる年になるのではないだろうか。
いつものことながら、怠惰で書きなぐったようなこのブログを懲りずに訪問してくれている人々に、感謝を記して。
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・安倍首相、原発新設容認も 「福島第1とは違う」
安倍晋三首相は30日、TBS番組で今後の原発政策をめぐり「新たにつくっていく原発は、事故を起こした東京電力福島第1原発とは全然違う。国民的理解を得ながら新規につくっていくということになる」と述べ、新規の原発建設を容認する姿勢を示した。
「福島第1は津波を受けて電源を確保できなかったが、福島第2は対応した。その違いを冷静に見極める必要はある」と指摘した。 福島第1原発を29日に視察し、民主党政権が決めた2030年代の原発ゼロ目標を転換する考えを重ねて示していた。(共同)
・原発ゼロ見直しで県内自治体意見交錯 (デーリー東北、12/28)
「・・・ 使用済み核燃料再処理工場などのサイクル施設を抱える六ケ所村。民主党政権時は原子力政策の見直し議論に翻弄(ほんろう)され、一時は議会が燃料搬出を求める意見書を可決するなど強硬姿勢を見せた経緯がある。・・・
・・・一方、核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団の山田清彦事務局長は「福島第1原発事故で国民が犠牲になった反省がない。国民を無視し、元の政策に戻そうというのは、まるでちゃぶ台返しだ」と批判した。
事業者側では、日本原燃の川井吉彦社長が27日の定例会見で「再処理の意義、必要性を理解してもらいうれしいし、重く受け止めたい」と評価・・・」
・「高線量で精神的苦痛」 長泥住民申し立てで審問 (福島民友 12/28)
「・・・審問後、会見した長泥行政区の鴫原良友区長は「(仲介委員は)高線量下で生活していた、われわれの気持ちを理解するべきだ」と訴えた。・・・。「なぜ子どもたちだけでも避難させなかったのか。賠償で簡単に済む問題ではない」と述べた・・・」
・西川知事「現実みたエネ政策を」 原発めぐり1年を総括 (福井新聞 12/28)
「・・・政権交代により新増設は行わないとの原則が再検討されることに関しても、知事は福島の教訓を踏まえた新たな安全基準により再稼働できない原発が出てくる可能性に言及した上で「より安全で強固な原発は造るべきだという議論を明瞭(めいりょう)にやっていくことが大事」と踏み込んだ・・・」
・上関原発予定地 地裁、入会権認めず 反対住民敗訴 (山口新聞 12/27)
「・・・ 山林は、中電が上関原発1号機炉心や発電タービン建屋の設置を予定している約10万平方メートルで、2004年に地元神社が中電に売却した。地元住民がこの山林を共同で使用、管理できる入会権が成立するか、山林の所有者が誰かが主な争点だった。
原告側は、地元住民がまきなどを山林に入って採取してきたとして「入会的慣行に基づいて行っており、山林の管理もしてきた」と主張。しかし、山本裁判長は「神社地として管理保全されている中で、まきの採取は黙認されていたにすぎない」と退けた。原告側の「神社は名義人にすぎず、山林は地元住民が購入した」との主張に対し、山本裁判長は客観的な証拠がないなどとして「神社から買い受けたと認めるのが相当で、入会権が成立する余地はない」とした・・・。
判決を受けて、被告の中電側は「主張が認められた妥当な判決。地域住民が安心できる発電所を目指す」とコメントした。原告の男性は棄却されたことについて、「信じられない。人間の命は金に換えられない。最後は勝つと信じている」と話し、控訴の意向を示した」
・もんじゅ、前政権の方針を踏襲 下村文科相
「・・・前政権が9月に決定したエネルギー・環境戦略を受けて、文科省の作業部会はもんじゅの今後の計画を議論しており、来年夏をめどに計画を策定する。運用する日本原子力研究開発機構は作業部会で、来年末以降に試運転開始、10年程度運転するとの計画案を提示している」(共同)
・廃炉計画「リスク評価が不十分」 東電に規制委
原子力規制委員会(田中俊一委員長)は21日、東京電力がまとめた福島第1原発の廃炉作業の実施計画が妥当かどうか議論する検討会の初会合を開いた。規制委側からは燃料の再臨界などに対し「リスク評価が不十分だ」と厳しい意見が相次いだ。検討会は2月下旬に審査結果を取りまとめる予定。
東電の実施計画には、使用済み核燃料プールからの燃料取り出しといった中長期的な作業計画のほか、作業員の被ばく線量管理などの安全対策が盛り込まれている。 会合で外部専門家の阿部弘亨東北大教授は「再び(放射性物質を)出さないという姿勢が見えない」と批判した。(共同)
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2012年のはじめに: 脱原発の〈思想〉と〈行動〉が試される年
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2012年のはじまりに、新年を祝うお決まりの文句は控えたい。国際的にも、国内的にも、私たちの目の前には、祝うより解決すべきこと、そのために考えるべきこと、二年越しの「宿題」が山積していると思うからだ。私はむしろ、「祝うべきことなど何もない」="No hay nada que celebrar."という言葉を、厳粛な気持ちで噛みしめたいと考えている。
"No hay nada que celebrar." アメリカ大陸の先住民族/民衆の運動体が、各国の「独立記念日」や「コロンブス・デー」など、国を挙げた祝賀行事に対して抗議の意思を示すために使ってきたフレーズである。私自身が今年に持ち越してしまった、ということはおそらく〈脱原発〉派全体もまたこれから真剣かつ真摯に向き合わざるをえない、と思える「宿題」の数々を列挙しながら、新年の挨拶にあえてこのフレーズを持ち出した理由を書き記しておこうと思う。
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2012年は〈脱原発〉の思想と行動が試される年となる。
思想の質と、それに規定された具体的な行動の中身が試される年になる。
様々な方向性と内容を伴った、その意味では統一性も一貫性もない〈脱原発〉運動--私はそれをむしろポジチブに捉えている者の一人であるが--から、「排除の思想」を排除しつつ自らの思想の境界を広げ、深めること、その上でどこに、そして何にプライオリティをそれぞれが設定するかという、きわめてアクチュアルかつ困難な〈問題〉群に直面する、文字通りの「正念場の年」になるだろう。
大状況的なリアリティから言えば、私たちは「減原発」による「原発+再生可能エネルギーのベストミックス」と原発輸出促進を通じて、「3・11」からの国家的「復興」とその先に広がる「経済成長」を夢想する民主、自民、公明の三大既成政党+官僚機構で成り立つ政治権力の構造を変えうる展望を見いだせないでいる。
つまり、民主党が政権の座に今年いっぱい居座ろうが、万が一に解散→総選挙となって自民を中心とした政権、あるいは公明がいずれかと連立を組み政権に加わろうが、この「構造」が変わりようがない現実を引きずりながら私たちは新年を迎えてしまった、ということだ。
政党政治や政局の動向に関する分析は後回しにしたい。
最初に、民主党および官僚機構が「「減原発」による「原発+再生可能エネルギーのベストミックス」と原発輸出促進を通じ、「3・11」からの国家的「復興」とその先に広がる「経済成長」」を夢見ているという点について、簡単に触れておこう。
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まず、「減原発」による「原発+再生可能エネルギーのベストミックス」について。
資源・エネルギー庁の「新しいエネルギー基本計画に向けたご意見を募集します」のページには次のような一節がある。
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経済産業省資源エネルギー庁では、幅広く有識者の方々から新しい基本計画策定のためのご意見を聴く場として、総合資源エネルギー調査会に基本問題委員会が設置され、平成23年10月から議論が開始されております。 「革新的エネルギー・環境戦略」の策定を行うエネルギー・環境会議と連携しつつ議論が進むこととなっております。
また、平成24年春頃には、望ましいエネルギーミックスの選択肢を提示し、国民的議論につなげていく予定です。
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ここで言われている「望ましいエネルギーミックス」が、私が言う「「減原発」による「原発+再生可能エネルギーのベストミックス」のことである。そこでは将来的に、一部廃炉にした原子炉を「絶対安全な(第四世代)原発」に交替させることをも含めて、つまりそれを選択肢から排除せず、今後の日本の中長期的な「エネルギー基本計画」なるものが構想されている。このことをまず私たちは踏まえておく必要がある。
「幅広い国民の皆様からのご意見」の圧倒的多数は脱原発であるにもかかわらず、原発維持・推進を大前提にした「望ましいエネルギーミックスの選択肢」を構想しているのが経産官僚なのだ。
「エネルギー・環境会議」の基本方針(案) 〔概要〕。(2011年12月21日)
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(2)原子力政策、エネルギーミックス、温暖化対策に関する選択肢提示に向けた基本方針
① 原子力政策に関する選択肢の提示に向けた基本方針
~原子力のリスク管理を徹底するとの方針に基づき選択肢を提示する
○ 原子力発電については、相当程度の社会的費用があり、世界最高水準の安全基準とその客観的かつ厳格な運用を確立するなど、安全対策を抜本的かつ計画的に立て直す。
また、賠償等のスキームを、国際的な動向と調和を図りつつ、整備する。
○ 中長期的な原子力政策の在り方については、核燃料サイクル政策も含む原子力政策の徹底検証を行う中で、安全、環境、エネルギー安全保障、経済性などの論点を整理した上で、選択肢を提示する。
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たしかに「エネルギー・環境会議」は、口先では、「脱原発」「原発推進」のいずれの立場にも立たず、「白紙」から「抜本的に」国の「エネルギー基本計画案」をまとめ、今春「提言」すると言っている。
しかし、すでに「中長期的な原子力政策」という表現があますところなく示しているように、この会議の審議そのものがあくまでも「脱原発」ではなく「原発推進」の立場に沿って行われてきた/いる。野田政権登場時点から何度も強調してきたように、この点に関する野田政権・経産省・「エネルギー・環境会議」に対する幻想に未だとらわれている人がいるとしたなら、ただちにその幻想を捨て去るべきだろう。
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うえの3を押さえたうえで、福島・宮城・青森三県の「復興計画」の中身を見てみよう。
あわただしかった年末・年始の数日間、私はこれら三県の「復興計画」と、南相馬市のそれを読んで過ごした。 もちろん、これらのみを読んでいたわけではないし、好んでそうしたわけでもない。クリスマスの三連休に「相馬と南相馬で考えたこと」がこれらに目を通すことを余儀なくさせたのである。(⇒南相馬市の「復興計画」については、「相馬と南相馬で考えたこと(2)」において触れることにする。)
⇒「福島県復興計画(第1次)」(今後10年間)とその「概要」版⇒「青森県復興プラン/青森県復興ビジョン」とその「概要」版
⇒「宮城県震災復興計画」とその「概要」版
⇒関連サイト「東日本大震災復興対策本部」
できるだけ時間を取り、福島・宮城・青森三県の「復興計画」あるいは「ビジョン」の、せめて「概要」だけは目を通してほしい。そうすれば自ずと、以下の二点が理解できるはずだ。それらは、
1)福島県は脱原発宣言を行い、福島第一・第二すべての廃炉を国と東電に要請し、「原発に依存しない社会」を明言しつつも、宮城・青森両県については県内の原発および原子力関連施設の存続を前提にして「復興計画」が策定されていること、
2)福島県とその他二県の「復興計画」との間に存在する上に述べた違い、また表現上の違いはありつつも、県としての具体的な「再生可能エネルギー推進」の中身は、三県とも非常に似通ったものになっていること、である。
たとえば、青森県の「復興ビジョン」の、「Ⅳ 視点と中長期的な取組の方向性」の、
「(4)再生可能エネルギーの導入推進による産業振興と持続可能な低炭素社会の実現」の次の内容を福島県・宮城県のそれと対照してみてほしい。
○再生可能エネルギーの導入推進と産業振興(太陽エネルギー、風力発電、地中熱・温泉熱、バイオマス、廃棄物エネルギー、コージェネレーション関連(燃料電池、LNG冷熱利用等)、海洋エネルギー)
○持続可能な低炭素社会の実現(全県民的取組の加速化、夏季及び冬季の省エネルギー対策、設備導入促進のサポート体制づくり等)
この問題を考えるにあたっては、さらに「参考資料」として経産省がまとめた2012年度の「資源・エネルギー関連予算案等のポイント」を参照することをすすめたい。 ほとんど同じ内容と言ってよい三県の「復興計画」に組み込まれた「再生可能エネルギー推進」が、経産省による「ポイント」の「3.再生可能エネルギー・省エネルギー等の導入支援・最先端の技術開発」と完璧に対応したものであることが透けて見えてくるはずである。
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福島県の「復興計画」の問題点--〈脱原発〉の思想と行動、その課題に引きつけて
続きは後日に。(未完)
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・試験再開準備始まる/再処理工場(東奥日報)
→解説:使用済み核燃料・直接処分コスト試算隠蔽 原子力ムラの異常論理(毎日)
・原発の再稼働重点 東北電社長「地域理解得る」(河北新報)
・「原発問題に対峙しようとしない」と宮城知事、国を糾弾(河北新報)
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「原発事故の対応は県境で区切る問題ではない。汚染レベルによって対応しなければ、宮城県民としては大きな不満が残る結果になる」とまで語りながら、女川原発の再稼働・存続問題を含め「原発問題に対峙しようとしない」のは、知事および県、県議会も同罪ではないだろうか?