シリア内戦を長引かせているのは誰か?(2) ~-「ポスト・アサド」とオバマの「暗殺リスト」
1
とあるパレスチナ人の友人の一人が、「抑圧的な王政、世襲的権力がアラブ世界から一掃されたなら、アラブ世界はすぐにでも統一するだろう」と語ったことがある。
「すぐに統一する」かどうかはともかく、アラブ世界の統一を妨げているのが、「抑圧的な王政、世襲的権力」だというのはその通りだ、と私も思う。
けれども、私たちが生きている間に、これがアラブ世界から「一掃」される日が来るだろうか。それがいつになるであれ、はたして世界史にそういう日が刻まれることが、本当にありえるのだろうか?
もともと、「アラブの春」=「アラブ革命」は、「抑圧的な王政、世襲的権力」、あるいは民衆に対して絶対的な権力を行使し、弾圧する独裁的権力に対する非武装(非暴力)の抵抗運動、「民主化」闘争としてはじまった。年が明け、しばらくすれば、やがて二年を迎えることにシリアにおける「民主化」闘争が、血で血を洗う泥沼の内戦的事態に陥ってしまったのは、いつのことだったろう。そしてその責任は、誰が負うべきなのか? アサド政権を断罪し、一切の罪を負わせ、それですむとはとても思えない。
「政権」としてはもうとっくに終わっている、「政府」の体裁を何らなしていない、にもかかわらず退陣の気配さえみせないアサド「政権」。
そのアサド政権「打倒」を、軍事的にバックアップしようと反政府武装勢力に次から次に武器を売り、送りつづける欧米を中心にした国々。殺されてゆく人間の死体に蝿のように群がる「死の商人」たち。そしてこれに「反発」し、アサド政権側の外交的スポークスマンになることによって政権存続に手を貸すロシアやイラン・・・。
さらに、「大国」の政治に翻弄され、内戦を終結させる権威も権力もない、しかし「人道支援」だけは訴える国連、はたまた一部の国際「人道」NGO・・・。
これらの、それぞれの〈利害〉を持つ国家や集団・勢力の衝突、「調整」によって展開されてきたシリア内戦。 これはいったい、何だろう?
ともあれ、こうした内戦の「政治力学」の暗闇に怯えながら、いつもパレスチナ人の友人の言葉を思い出すのだが、しかし万が一、アサド政権が年明け早々に退陣したとしてもその後に待ち受ろているであろう最悪の事態を想像するにつけ、「より良きシリアの未来」を私には思い描くことができない。
年の瀬を迎え、ありうるかもしれない「ポスト・アサド」後の「最悪の事態」のシナリオについて、少し書き記しておこうと思う。
2
対テロ戦争を永続化させるオバマ政権と「テロリスト暗殺リスト」
日本の主要メディアが、その分析はもとより事実さえまともに報じていない「オバマ政権の暗闇」の一つに、今年の5月下旬にニューヨーク・タイムズ紙が詳細に報じた「極秘のテロリスト暗殺リスト」、通称"Kill List”と呼ばれているものがある。
→Secret ‘Kill List’ Proves a Test of Obama’s Principles and Will
このアルカイダおよびこれと関係があるとされる「イスラーム過激派」勢力の個別的殺害を目論み、その対象リストをまとめた「暗殺リスト」に関しては、その後米国の様々な市民メディアがその問題性をめぐって報道している。その中の一つに、Democracy Now!のGlenn Greenwald: Obama’s Secret Kill List "The Most Radical Power a Government Can Seize"がある。Democracy Now! Japanがまとめたその概要を引用させていただこう。
・・
・グレン・グリーンウォルド:オバマの秘密殺害リストは「政府が手にし得る究極の権力」
・・・
・「反体制派がシリア代表」 支援国組織も承認 (東京新聞 2012年12月13日)
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とあるパレスチナ人の友人の一人が、「抑圧的な王政、世襲的権力がアラブ世界から一掃されたなら、アラブ世界はすぐにでも統一するだろう」と語ったことがある。
「すぐに統一する」かどうかはともかく、アラブ世界の統一を妨げているのが、「抑圧的な王政、世襲的権力」だというのはその通りだ、と私も思う。
けれども、私たちが生きている間に、これがアラブ世界から「一掃」される日が来るだろうか。それがいつになるであれ、はたして世界史にそういう日が刻まれることが、本当にありえるのだろうか?
もともと、「アラブの春」=「アラブ革命」は、「抑圧的な王政、世襲的権力」、あるいは民衆に対して絶対的な権力を行使し、弾圧する独裁的権力に対する非武装(非暴力)の抵抗運動、「民主化」闘争としてはじまった。年が明け、しばらくすれば、やがて二年を迎えることにシリアにおける「民主化」闘争が、血で血を洗う泥沼の内戦的事態に陥ってしまったのは、いつのことだったろう。そしてその責任は、誰が負うべきなのか? アサド政権を断罪し、一切の罪を負わせ、それですむとはとても思えない。
「政権」としてはもうとっくに終わっている、「政府」の体裁を何らなしていない、にもかかわらず退陣の気配さえみせないアサド「政権」。
そのアサド政権「打倒」を、軍事的にバックアップしようと反政府武装勢力に次から次に武器を売り、送りつづける欧米を中心にした国々。殺されてゆく人間の死体に蝿のように群がる「死の商人」たち。そしてこれに「反発」し、アサド政権側の外交的スポークスマンになることによって政権存続に手を貸すロシアやイラン・・・。
さらに、「大国」の政治に翻弄され、内戦を終結させる権威も権力もない、しかし「人道支援」だけは訴える国連、はたまた一部の国際「人道」NGO・・・。
これらの、それぞれの〈利害〉を持つ国家や集団・勢力の衝突、「調整」によって展開されてきたシリア内戦。 これはいったい、何だろう?
ともあれ、こうした内戦の「政治力学」の暗闇に怯えながら、いつもパレスチナ人の友人の言葉を思い出すのだが、しかし万が一、アサド政権が年明け早々に退陣したとしてもその後に待ち受ろているであろう最悪の事態を想像するにつけ、「より良きシリアの未来」を私には思い描くことができない。
年の瀬を迎え、ありうるかもしれない「ポスト・アサド」後の「最悪の事態」のシナリオについて、少し書き記しておこうと思う。
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対テロ戦争を永続化させるオバマ政権と「テロリスト暗殺リスト」
日本の主要メディアが、その分析はもとより事実さえまともに報じていない「オバマ政権の暗闇」の一つに、今年の5月下旬にニューヨーク・タイムズ紙が詳細に報じた「極秘のテロリスト暗殺リスト」、通称"Kill List”と呼ばれているものがある。
→Secret ‘Kill List’ Proves a Test of Obama’s Principles and Will
このアルカイダおよびこれと関係があるとされる「イスラーム過激派」勢力の個別的殺害を目論み、その対象リストをまとめた「暗殺リスト」に関しては、その後米国の様々な市民メディアがその問題性をめぐって報道している。その中の一つに、Democracy Now!のGlenn Greenwald: Obama’s Secret Kill List "The Most Radical Power a Government Can Seize"がある。Democracy Now! Japanがまとめたその概要を引用させていただこう。
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・グレン・グリーンウォルド:オバマの秘密殺害リストは「政府が手にし得る究極の権力」
ニューヨーク・タイムズ紙は今週、オバマ大統領が自ら「秘密殺害リスト」作成を監督しているという事実を明らかにしました。このリストには米国が無人機による暗殺の標的としている人物たちの名前と写真が掲載さているということです。
同紙によると、オバマはイエメンやソマリア、さらに複雑で危険をはらむパキスタンでの攻撃において、殺害対象とされる人物すべてについて自ら承認を与えています。このリストには米国市民や17歳の少女たちまでが含まれています。
「この米国大統領は、人を殺せという命令を出す権限を自分が持っていると信じている──それも徹底して秘密裏に、何ら法的手続きをも踏まずに、不透明なまま、いかなる種類の監査も受けることなくです」とSalon.comのブロガーであり憲法専門弁護士であるグレン・グリーンウォルドは言います。「これは文字どおり、政府と大統領が手にし得る究極の権力だと思いますよ。しかもオバマ政権はそれを獲得し積極的に実行しているが、議論が起きることはほとんどありません」
・・
この「暗殺リスト」に基き、個別的殺害を狙った無人爆撃機によるオバマ政権による「対テロ戦争」が、ありうるかもしれない「ポスト・アサド」のシリアにおいて、アルカイダと関係がある、とされている現在の反政府武装勢力内の「イスラーム過激派」に向けられればどうなるか?
すでに終わっているアサド政権を退陣に追い込むだけでは、シリアに平和は訪れない。
「復興支援」も「国家再建」もありえない。
そこまでを見越した上での〈シリアの平和〉をめぐる議論が必要だ。
3
「暗殺リスト」がはらむ問題は、米国の民主政治のあり様や、米国市民の市民的権利や人権問題を中心問題に考えるなら、グリーンウォルドが言うように、米国大統領が「徹底して秘密裏に、何ら法的手続きをも踏まずに、不透明なまま、いかなる種類の監査も受けることなく」「人を殺せと言う権限」を持つにいたった、ということで済ませることができるかもしれない。
もちろん、既存の「米国民主主義」という名の政治制度を信奉している人々にとっては、そんなことは絶対にあってはならない、許せないことになる。 また、「米国民主主義」を信奉していない私のような人間にとっても、この事態を通じて大統領制という政治制度が、大統領個人や大統領府に権限や権力を集中させればさせるほど、このようなことが「合法的」に行われるようになってしまう政治制度なのだということを、改めて学んでおくよい機会だと思う。
日本においてもこの30年ほど、「政治改革」の名において「内閣および内閣総理大臣の政治的権限の強化」、つまりは「大統領的内閣総理大臣」の形成に向けた法的・制度的「改革」が進んできたが、それが極めて危うい政治的賭け、「両刃の剣」なのだということも知っておいてよいだろう。(→上にいう「合法的」とは、あくまでもただ単に「オバマ政権が「合法性」を主張できる」という意味での「合法性」であって、国際法的意味におけるそれや米国憲法に無前提的に違反しないという意味でのそれでもない。誤解なきようにしてほしい)。
しかし、歴史を振り返ってみれば、このようなことはイスラエルやロシアなど、実はこれまで米国以外の国々、しかも米国やその他の西洋諸国、日本などが「民主主義国家」と呼んできた国々において「反体制派」を撲滅するための「国家テロ」として繰り返し行われてきたことである。いや、「リスト」があったかどうかは知らないが、米国政府・CIAが直接手を染めたし政治的暗殺さえあっただろう。
対叛乱戦略におけるこれまでの米国の常套手段は、武器や資金を、ある場合には国家にまたある場合には非合法の非正規軍勢力に援助しながら、直接には自分の手を汚さず、そうした国家テロを国々や武装勢力を養成したり、支援したりするというものだった。 私が少し歴史を知るラテンアメリカは、そういう国々であふれている。その意味で、個人的に言えば、このニュースに接したときに「米国もここまであかさまにやるようになったか」とは思ったが、殊更に驚いたりすることはなかった。
では〈問題〉はどこにあるのか?
それは無人爆撃機であれ特殊部隊であれ、この「暗殺リスト」に基く米軍による「テロリスト」殺害作戦が、ブッシュ政権時に編み出された「対テロ戦争」を永続化させてしまうことにある。その結果、米国、英国、フランスを中心としたNATO諸国による軍事介入を国際法的合法化し、正当化するような(「保護する責任」?)「不安定」地域を、半永久的に世界各地に、とりわけイスラーム圏社会に再生産し続けてしまうことにある。 説明は次の機会に譲ることにしたい。
⇒「フランスのマリへの軍事介入: ~「対テロ戦争」? それともトゥアレグ遊牧民族の民族自決と自治の圧殺?」と
⇒「マリを「第二のソマリア」にしてはならない ~フランスの軍事介入が失敗に終わる理由」につづく
「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「シリア内戦を長引かせているのは誰か?~最近のシリア情勢に関し、知っておきたい2、3の情報」
同紙によると、オバマはイエメンやソマリア、さらに複雑で危険をはらむパキスタンでの攻撃において、殺害対象とされる人物すべてについて自ら承認を与えています。このリストには米国市民や17歳の少女たちまでが含まれています。
「この米国大統領は、人を殺せという命令を出す権限を自分が持っていると信じている──それも徹底して秘密裏に、何ら法的手続きをも踏まずに、不透明なまま、いかなる種類の監査も受けることなくです」とSalon.comのブロガーであり憲法専門弁護士であるグレン・グリーンウォルドは言います。「これは文字どおり、政府と大統領が手にし得る究極の権力だと思いますよ。しかもオバマ政権はそれを獲得し積極的に実行しているが、議論が起きることはほとんどありません」
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この「暗殺リスト」に基き、個別的殺害を狙った無人爆撃機によるオバマ政権による「対テロ戦争」が、ありうるかもしれない「ポスト・アサド」のシリアにおいて、アルカイダと関係がある、とされている現在の反政府武装勢力内の「イスラーム過激派」に向けられればどうなるか?
すでに終わっているアサド政権を退陣に追い込むだけでは、シリアに平和は訪れない。
「復興支援」も「国家再建」もありえない。
そこまでを見越した上での〈シリアの平和〉をめぐる議論が必要だ。
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「暗殺リスト」がはらむ問題は、米国の民主政治のあり様や、米国市民の市民的権利や人権問題を中心問題に考えるなら、グリーンウォルドが言うように、米国大統領が「徹底して秘密裏に、何ら法的手続きをも踏まずに、不透明なまま、いかなる種類の監査も受けることなく」「人を殺せと言う権限」を持つにいたった、ということで済ませることができるかもしれない。
もちろん、既存の「米国民主主義」という名の政治制度を信奉している人々にとっては、そんなことは絶対にあってはならない、許せないことになる。 また、「米国民主主義」を信奉していない私のような人間にとっても、この事態を通じて大統領制という政治制度が、大統領個人や大統領府に権限や権力を集中させればさせるほど、このようなことが「合法的」に行われるようになってしまう政治制度なのだということを、改めて学んでおくよい機会だと思う。
日本においてもこの30年ほど、「政治改革」の名において「内閣および内閣総理大臣の政治的権限の強化」、つまりは「大統領的内閣総理大臣」の形成に向けた法的・制度的「改革」が進んできたが、それが極めて危うい政治的賭け、「両刃の剣」なのだということも知っておいてよいだろう。(→上にいう「合法的」とは、あくまでもただ単に「オバマ政権が「合法性」を主張できる」という意味での「合法性」であって、国際法的意味におけるそれや米国憲法に無前提的に違反しないという意味でのそれでもない。誤解なきようにしてほしい)。
しかし、歴史を振り返ってみれば、このようなことはイスラエルやロシアなど、実はこれまで米国以外の国々、しかも米国やその他の西洋諸国、日本などが「民主主義国家」と呼んできた国々において「反体制派」を撲滅するための「国家テロ」として繰り返し行われてきたことである。いや、「リスト」があったかどうかは知らないが、米国政府・CIAが直接手を染めたし政治的暗殺さえあっただろう。
対叛乱戦略におけるこれまでの米国の常套手段は、武器や資金を、ある場合には国家にまたある場合には非合法の非正規軍勢力に援助しながら、直接には自分の手を汚さず、そうした国家テロを国々や武装勢力を養成したり、支援したりするというものだった。 私が少し歴史を知るラテンアメリカは、そういう国々であふれている。その意味で、個人的に言えば、このニュースに接したときに「米国もここまであかさまにやるようになったか」とは思ったが、殊更に驚いたりすることはなかった。
では〈問題〉はどこにあるのか?
それは無人爆撃機であれ特殊部隊であれ、この「暗殺リスト」に基く米軍による「テロリスト」殺害作戦が、ブッシュ政権時に編み出された「対テロ戦争」を永続化させてしまうことにある。その結果、米国、英国、フランスを中心としたNATO諸国による軍事介入を国際法的合法化し、正当化するような(「保護する責任」?)「不安定」地域を、半永久的に世界各地に、とりわけイスラーム圏社会に再生産し続けてしまうことにある。 説明は次の機会に譲ることにしたい。
⇒「フランスのマリへの軍事介入: ~「対テロ戦争」? それともトゥアレグ遊牧民族の民族自決と自治の圧殺?」と
⇒「マリを「第二のソマリア」にしてはならない ~フランスの軍事介入が失敗に終わる理由」につづく
「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「シリア内戦を長引かせているのは誰か?~最近のシリア情勢に関し、知っておきたい2、3の情報」
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・「反体制派がシリア代表」 支援国組織も承認 (東京新聞 2012年12月13日)
【カイロ=今村実】内戦に陥ったシリアの事態打開のため、欧米やアラブ諸国などの連絡組織「シリアの友人」は十二日、モロッコのマラケシュで会合を開いた。AFP通信によると、十一月に発足した、反体制派の統一組織「シリア国民連合」を、アサド政権に代わる「唯一のシリア人の代表」と承認した。 同組織は百三十カ国で構成。幅広い承認が得られたことで、国民連合は、暫定政府の樹立に向けた動きを加速させるとみられ、アサド政権には打撃だ。
「友人」会合は声明で、アサド政権の退陣を求め、国際法違反の処罰を逃れることはできない、と強調。仮に化学兵器を使用すれば、国際社会が厳しく対処すると警告した。同会合に親アサド政権のロシア、中国は参加していない。
国民連合は、分裂状態の反体制派をまとめるため発足。これまで、湾岸諸国やフランス、英国、トルコの承認を受けていた。米オバマ大統領も、会議に先立つ十一日、国民連合の承認を米メディアで明らかにしていた。 ただ、シリアでは反体制派の中で、イスラム過激派の伸長が目立ち、支援各国の懸念材料となっている。十日は、北部アレッポ近郊にある戦略上、重要な政府軍の基地を、過激派の「ヌスラ戦線」などが掌握した。 米政府は、ヌスラ戦線にはイラクに拠点を置く国際テロ組織アルカイダ系勢力が、深く関わっているとみて、十一日、「テロ組織」に指定。反体制派を支援しつつも、過激派の勢力拡大の阻止が課題となっている。
シリア人権監視団(ロンドン)によると、「友人」の前回会合が七月にパリで開かれた際、死者は一万六千人。半年足らずで四万二千人に膨らんだ。国際社会が有効な手だてを示せない間、状況は急速に悪化した。
↓
日本の新聞メディアは、もういい加減に「イスラム過激派」や「テロリスト集団」という断定的で、独善的な政治的レッテル貼り、表記を改めるべきではないか。 東京新聞その他新聞メディアが「過激派」と定義する上の「ヌスラ戦線」は、シリアでの現地取材を行ってきた一部「西側」のメディアでも、反政府勢力の中で相当の支持基盤を形成していることが報じられている。
その最大の根拠は、「ヌスラ戦線」が過去の「アルカイダ」戦術(無差別的殺人・「自爆テロ」など)を総括し、政府軍および軍事施設にターゲットを絞った攻撃に集中するようにしてきたことが大きい、との分析がある。
→たとえば、US designates Syria's Jabhat al-Nusra front a 'terrorist' group at lightning speed他、このサイトにある関連ページを参照のこと。
この問題についても、またの機会に触れるようにしたいが、いずれにしても、かねてから述べているように、日本の主要メディアは「西側」の巨大メディアが配信する情報を垂れ流すのではなく、もっと独自の調査・研究・分析を行い、最大限「客観的」で「公正」な報道に努めるべきだろう。
・シリア反体制派に妥協求める ブラヒミ氏とロシア外相 (朝日新聞、12/30)
「・・・ブラヒミ氏は会談後の記者会見で「政権交代が必ずしもシリアの危機を解決することになるとは思わない」(???)と述べ、アサド大統領の即退陣を求めている反体制派が歩み寄る必要があるとの認識を示した。ラブロフ外相も「政治的な解決のチャンスは残されているが、反体制派はアサド大統領の即退陣要求をひとまず置いてほしい」(???)と語った・・・」
↓
「政権交代」を実現しない「シリアの危機」の「解決」策がありうるのだろうか?
「大統領の即退陣要求」を「ひとまず置い」たとして、それで近未来のアサド退陣における可能性が開けるのだろうか?
このようなアサド政権に即時退陣を説得しないような国連やロシアの調停は、アサド政権の時間稼ぎと居座りを許し、ただただ内戦を長期化させるだけである。
リビアに対する「保護する責任」の名による軍事介入批判の論考でも書いたが、私は民衆虐殺を行った政権および軍中枢・要人に対して、退陣・辞任を促すための資金凍結をはじめとする一連の経済的また外交的措置に反対しない。
リビアと同じく、シリア内戦においても「国際社会」がどこまで無血の政権交代に向けた「経済的また外交的措置」を講じてきたか、そこからこの一年半近くの「和平交渉」とその破産の分析・検証を深めねばならないだろう。
・国連、シリア人道支援へ国際会議 1月末、費用負担要請 (朝日新聞 12/29)
↓
日本の新聞メディアは、もういい加減に「イスラム過激派」や「テロリスト集団」という断定的で、独善的な政治的レッテル貼り、表記を改めるべきではないか。 東京新聞その他新聞メディアが「過激派」と定義する上の「ヌスラ戦線」は、シリアでの現地取材を行ってきた一部「西側」のメディアでも、反政府勢力の中で相当の支持基盤を形成していることが報じられている。
その最大の根拠は、「ヌスラ戦線」が過去の「アルカイダ」戦術(無差別的殺人・「自爆テロ」など)を総括し、政府軍および軍事施設にターゲットを絞った攻撃に集中するようにしてきたことが大きい、との分析がある。
→たとえば、US designates Syria's Jabhat al-Nusra front a 'terrorist' group at lightning speed他、このサイトにある関連ページを参照のこと。
この問題についても、またの機会に触れるようにしたいが、いずれにしても、かねてから述べているように、日本の主要メディアは「西側」の巨大メディアが配信する情報を垂れ流すのではなく、もっと独自の調査・研究・分析を行い、最大限「客観的」で「公正」な報道に努めるべきだろう。
・シリア反体制派に妥協求める ブラヒミ氏とロシア外相 (朝日新聞、12/30)
「・・・ブラヒミ氏は会談後の記者会見で「政権交代が必ずしもシリアの危機を解決することになるとは思わない」(???)と述べ、アサド大統領の即退陣を求めている反体制派が歩み寄る必要があるとの認識を示した。ラブロフ外相も「政治的な解決のチャンスは残されているが、反体制派はアサド大統領の即退陣要求をひとまず置いてほしい」(???)と語った・・・」
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「政権交代」を実現しない「シリアの危機」の「解決」策がありうるのだろうか?
「大統領の即退陣要求」を「ひとまず置い」たとして、それで近未来のアサド退陣における可能性が開けるのだろうか?
このようなアサド政権に即時退陣を説得しないような国連やロシアの調停は、アサド政権の時間稼ぎと居座りを許し、ただただ内戦を長期化させるだけである。
リビアに対する「保護する責任」の名による軍事介入批判の論考でも書いたが、私は民衆虐殺を行った政権および軍中枢・要人に対して、退陣・辞任を促すための資金凍結をはじめとする一連の経済的また外交的措置に反対しない。
リビアと同じく、シリア内戦においても「国際社会」がどこまで無血の政権交代に向けた「経済的また外交的措置」を講じてきたか、そこからこの一年半近くの「和平交渉」とその破産の分析・検証を深めねばならないだろう。
・国連、シリア人道支援へ国際会議 1月末、費用負担要請 (朝日新聞 12/29)
「・・・国連の潘基文(パンギムン)事務総長は28日、内戦が続くシリアの国内避難民や周辺国へ逃れた難民に対する人道援助を話し合う国際会議を、1月30日にクウェートで開くと発表した。潘氏が議長を務め、来年1~6月に見込む人道支援費用15億ドル(約1300億円)の拠出を呼びかける。
国連によると、シリア内戦で現在200万人以上が国内避難民となっており、トルコやレバノンなど周辺国に逃れた難民は54万人以上。来年前半(???)にはそれぞれ約400万人、約100万人に達するとみており、衣服や食料、医療サービスなどの緊急人道支援にかかる費用を15億ドルと見積もっている・・・」
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「・・・・・。」
国連によると、シリア内戦で現在200万人以上が国内避難民となっており、トルコやレバノンなど周辺国に逃れた難民は54万人以上。来年前半(???)にはそれぞれ約400万人、約100万人に達するとみており、衣服や食料、医療サービスなどの緊急人道支援にかかる費用を15億ドルと見積もっている・・・」
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「・・・・・。」