2012年9月30日日曜日

大間原発の建設断念を強く求める

大間原発の建設断念を強く求める

 内閣総理大臣 野田佳彦 様
 経済産業大臣 枝野幸男 様
 電源開発(株)社長 北村雅良 様

 新聞報道によると、「電源開発(東京)は9月28日、建設が中断している大間原発(青森県大間町)について年内に工事を再開する方針を固めた」とされている。私たちは、電源開発に対して、大間原発の工事再開に反対し、建設を断念することを強く求める。

 また9月15日に枝野経済産業大臣が「既に設置許可を与えている原発について、 これを変更することは考えていない。」と述べ、それを追認するかたちで、建設再開を政府として支持する旨の考えを表明した野田政権に対しても、大間原発の建設再開容認を取り消すことを求める。

 大間原発の建設再開は、日本社会の多数派となった脱原発を求める声を無視し、ふみつぶそうとするものだ。同時に、政府が決めた「2030年代の原発ゼロ」をめざす「革新的エネルギー・環境戦略」を政府自らが踏みにじる行為である。私たちは、日本政府と電源開発が一体となって進めるデタラメな大間原発建設を絶対に認めない。原発なしでも電力が足りることは、この夏に証明されており、大間原発を建設する理由は、何もないのである。

 しかも大間原発は、商業用では世界で初めてのMOX燃料を全炉心で使用する、きわめて危険性の高い原発であり、もし稼働したら、青森県や北海道に放射能が放出され基幹産業である漁業や農業の一次産業などに被害を与えることになる。事故が起これば、その被害の大きさがどれほどになるか想像もつかない。まして大間の前沖に複数の活断層がある可能性も指摘されているのだから、建設そのものが間違っている。

 大間町では6月に全国から130人が集まり、30年ぶりの反原発デモが行なわれた。これまで反対の声を出せなかった地元でも不安の声が広がっている。建設予定地から23キロしか離れていない対岸の函館市では、9月25日、市議会で大間原発の無期限凍結を求める決議案を全会一致で可決した。「大間原発はいらない」という声は広がっている。電源開発は、こうした声に耳をかたむけ、大間原発建設から撤退すべきである。

 日本政府は、「原発の新増設は行わない」という方針を守り、大間原発の建設再開容認を撤回すべきである。
 大間原発建設を断念することを、重ねて強く求める。

呼びかけ団体
大間原発訴訟の会 
SHUT泊 STOP!原発 北海道 
ほっかいどうピースネット 
 脱原発をめざす女たちの会北海 
市民自治を創る会

(この件についてのお問い合わせは
越田 090-7519-1731 koshida@jca.apc.org まで。
http://yaplog.jp/koshidakiyo/
http://www.facebook.com/kiyokazu.koshida

沖縄平和市民連絡会からのメッセージ

沖縄平和市民連絡会からのメッセージ

  みなさまへ
 台風で、やっとメールをする時間ができました。ただ、 台風の中でも普天間野嵩ゲート(第3ゲート)の 封鎖をしている宣伝カー2台を防衛するために 頑張っている仲間から、米兵(十数名)がゲートを開けて迫ってきているとの緊急連絡があって、応援の緊急連絡を 始めたところに、直ぐまた、連絡が入って米兵はプラスチック製のブロック(中に水を入れて使用する)をかたづけて帰ったとの連絡が入り緊張が解けたところです。
 なお、「野嵩ゲートへ集合」と言っても外は猛烈な暴風(今年一番の強い風)が吹き荒れて身動きが取れない状況です。交代要員をよこせとの声もありますが、非情ではありますが「風が収まるまで待ってくれ」としか言えない状況です。

 ところで、沖縄の反基地闘争はこの「オスプレイ沖縄配備反対闘争」で新たな段階に入りました。特にここ十数年の「辺野古新基地建設阻止闘争」 「高江ヘリパッド(オスプレイパッド)建設阻止闘争」の帰趨を決める結節点の闘いとして、この「オスプレイ沖縄配備阻止闘争」はあると言えます。

 日米両政府(特に日本政府)が在日米軍再編が沖縄県民の辺野古新基地建設阻止闘争で糞詰まり状況にあるのを突破せんとしての窮余の戦術(世界一危険な基地に欠陥機オスプレイを配備し、より危険性を高めて、沖縄県民に県内移設(辺野古移設)を飲ますとの思惑= 県民世論の分断)は、逆に世界一危険な普天間基地を閉鎖(封殺)する沖縄県民の闘いでボロボロになるであろ う。
 否、ボロボロにしなくてはなりません。つまり、普天間基地のゲート封鎖等の普天間基地閉鎖の戦術→オスプレイ配備阻止→高江のオスプレイ建設阻止→辺野古新基地建設阻止につながり、串差しになる構図にあります。

 全ての民主的手法(間接民主主義と直接民主主義)を尽くしての「オスプレイ配備反対」の沖縄県民の総意を鼻であしらい、愚弄する日本政府官僚・防衛族等に対しての県民の怒りは頂点に達しています。全ての知恵と力を結集して普天間基地の閉鎖に向かいましょう。
 まずはゲートの閉鎖に向かいましょう(普天間基地の一番の弱点は、兵士を含めて維持する人が全て通勤であることです。それゆえに7時~8時の通勤時間にゲートが閉まれば大混乱します)。(←出勤は6時半から。辺野古浜通信)
戦術なき戦略は単なるホラでしかありません。普天間基地のゲート閉鎖に結集しよう!がスローガンです。

 今、普天間野嵩ゲートにおいて、県民大会実行委員会が7時~8時まで早朝の集会が開催されています。そこに集まった多くの政治家(超党派の議員、首長、)の皆はほとんどが議会開会中との事情もあり、直ぐ帰られますが、その後を受けて、平和運動センター、平和市民連絡会、普天間爆音、嘉手納爆音(各支部で輪番を組んで参加しています)などがゲート封鎖に立ち上がっています。その主力は高齢者(?)です
 金武湾まもる会で闘った人、反戦地主会で闘っている人、公害環境問題で闘っている人、辺野古の海上闘争で闘った人、高江で闘っている人、読谷で飛行場返還闘争を闘った人、恩納村で米軍の都市型訓練施設建設反対を闘った人、本部の自衛隊基地P3C通信基地を闘った人、中部地区労で闘った人たちの顔が見えます。

 その代表格の一人が山内徳信参院議員です(山内さんは読谷村長時代の読谷補助飛行場の返還闘争でタイヤを燃やしたり等あらゆる戦術を駆使して勝利した経験の持ち主、戦略・戦術家)。山内さんは3日間連続で参加され闘いを指導されています。この3日間の闘いの先端を切り開いた初日の闘いが私たちの周辺の高齢者でした。そして、2日目以降は出張から帰ってきた平和運動センターの事務局長の山城博治氏が頑張っています。三日間の詳しい闘いの内容は不十分ですが沖縄の沖縄タイムス、琉球新報の両紙参考にしてください。

 この闘いで、目立つことは日本政府の意向を受けた沖縄県警の動きです。初日から県警機動隊を導入して座りこみを排除しています。初日は確認していませんが2日目(9/27)は大型車3台を含む8台の車両、3日目(9/28)は大型車6台を含む12台に増やし県警機動隊を増強していました。そして全ての指揮・判断は現場ではなく県警本部から行って、容赦なく座りこみの住民を襲わせています(まるで、アメリカの無線機が住民を爆撃するかの如く)。 お陰で、この闘いで2人が肋骨にヒビが入るケガを負わさせられ、一人が卒倒して救急車で運ばれています。しかし、肋骨ヒビの2人はコルセットをしながら行動に参加する元気さではあります。今後の闘いについては、台風が通過し風が収まり次第大山ゲート(第1ゲート)に集合することにしています。

 日本政府と米軍も台風が収まり次第普天間へオスプレイの飛来を行おうとしています。呼びかけ合って、ゲート封鎖行動にご参加してください。なお、座りこみができない方でも周辺で警察に抗議をすることはできますので、ご参加下さい。 市民の大結集が一番の力です。

・・・
⇒「基地ゲートの座り込み」(琉球朝日放送)
IWJ沖縄 マルチチャンネル
普天間3ゲート、車で封鎖 米兵、市民引っ張る(琉球新報)
普天間ゲート封鎖 法の隙間突く(沖縄タイムス)

2012年9月29日土曜日

10/8 「福島と生きる -再生・復興にいま必要なこと」 ―『福島と生きる』出版記念企画

10/8 「福島と生きる -再生・復興にいま必要なこと」 ―『福島と生きる』出版記念企画

 3・11から一年半を経てもなお、福島の再生・復興、そして福島第一原発の「事故収束」の展望は何も見えていません。
 放射能汚染が広がる中、健康被害の実態さえ把握されていません。福島から避難した人、福島に残る人々への生活支援や賠償も進んでいません。
解散・総選挙に向けた政局にメディアの関心が集中する中で、福島の人々が直面するこうした問題が見過ごされ、解決が先送りにされています。

 福島の再生・復興、そしてこれからの支援活動に問われていることは何か?
 それぞれの団体の活動報告と経験の交流を通じて考えます。ぜひご参加ください。
※本企画は、『福島と生きる―国際NGOと市民運動の新たな挑戦』の出版記念イベントです

【東京企画】 
「いま福島で何が起きているか、これからの福島支援で問われるもの」

■日時
2012年10月8日(月・祝) 14:30~17:00
■場所
早稲田奉仕園アバコビル6F スカイラウンジ  
(東京都新宿区西早稲田2-3-18/地下鉄東西線・早稲田駅 徒歩5分)

■内容
①各団体の活動報告とディスカッション
②参加者を交えた意見交換

■スピーカー:
南相馬での復興FM・仮設支援活動の今後
  ・・・谷山由子(日本国際ボランティアセンター)
いわき市における被災者の現状と支援活動のこれから
  ・・・小松豊明(シャプラニール)
被災者支援の確立に向けて: 原発事故子ども・被災者支援法を中心に
  ・・・渡辺瑛莉(FoE Japan)
国際協力NGOネットワークとしてのJANICの福島支援: 現状と今後の課題
  ・・・竹内俊之(国際協力NGOセンター) 
■コーディネータ: 中野憲志・藤岡美恵子
■参加費 500円(予約不要)
■主催 〈NGOと社会〉の会
■問合せ ㈱新評論編集部・〈NGOと社会〉の会事務局
Tel. 03-3202-7391/Fax. 03-3202-5832

・・・・・・・・
【福島企画 11/4】
「福島の再生・復興のためにいま何が問われているか」

■日時:11月4日(日)午後1時~5時
■場所:ふくしまNGO協働スペース
福島県福島市栄町6-5 南條ビルA館3F/福島駅東口正面

■内容:
第1部 福島の各団体の発言
吉野裕之(放射能から子どもを守る福島ネットワーク)
橋本俊彦(自然医学放射線防護情報室、9月よりNPO法人ライフケアに改称)
黒田節子(原発いらない福島の女たち)
菅野瑞穂(あぶくま高原遊雲の里ファーム)

第2部 各NGOの活動紹介と今後に向けた全体討論
(シャプラニール、JANIC、JVC、FoE Japan〈予定〉)

2012年9月26日水曜日

『福島と生きる 国際NGOと市民運動の新たな挑戦』(目次)

福島と生きる 国際NGOと市民運動の新たな挑戦』 (目次)

はじめに…………藤岡美恵子 
題字に寄せて……山田久仁子

Ⅰ 福島の声

1 ふくしまを生きる  吉野裕之
震災の起きるまで /震災が起きてから /市民グループの自然発生的な発足 /行政の対応とその課題 /市民活動という可能性 /表現にまで還元する /おわりに

2 福島に生きる  黒田節子
福島集団疎開裁判 /福島原発告訴団 /「原発いらない福島の女たち」のアクションとこれから /最後に

3 大災害を生きていくために  橋本俊彦
健康相談を始めるまで /自然療法による手当て法 /数値だけではわからないこと /現場を見据える /大災害を生きのびる智慧 /最後に

4 原発のない、住民主体の復興と農の再生をめざして  菅野正寿(インタビュー)
一 すべてを変えた三・一一 
原発と真の地域づくり /原発事故─混乱と不安の中で
二 農家に負担を押し付ける作付制限 
やはり種を播こう、耕そう /国と東電の責任
三 放射能汚染との格闘 
きめ細かな放射線量調査 /再生の光─土がセシウムを吸着する
四 食品の放射線量の基準について 
みなで問題を乗り越えていく 
五 住民主体の復興をめざして 

Ⅱ 福島とともに

5 福島支援と脱原発の取り組み  満田夏花
はじめに 
一 なぜ、FoEJapanが原発に取り組むのか? 
三・一一後の忘れえぬ日々─「いま何をなすべきか」徹底議論 /「素人に何がわかる」への葛藤
二 二〇ミリシーベルト撤回運動 
ある日の文科省前 /文科省「二〇ミリシーベルト」の衝撃 /高まる批判の声 /五月二日、政府交渉での攻防 /五月二三日文科省前要請行動と文科省「一ミリシーベルト」通知 
三 「避難の権利」確立に向けて 
避難の権利とは? /避難したくてもできない、福島の実情 /避難区域設定の問題点 /福島の声をきけ! /正当な賠償を求める市民運動 /原発事故の被災者生活支援の法制化の動き 
四 「渡利の子どもたちを守れ」─避難問題の最前線の状況 
面的に広がる高い放射線量 /効果を発揮しない除染 /市民団体による調査 /立ち上がった住民たち /「わたり土湯ぽかぽかプロジェクト」 
五 原発輸出─ベトナムで見たものとは 
六 何を得たか、発見と出会い─日本の市民運動の担い手たち 
おわりに 

6 自分の生き方の問題  原田麻以
福島へ─見えない、感じない放射能 /「福島」で見たもの、「釜ケ崎」で見てきたもの /釜ケ崎から福島へ、東北移住から現在まで /時間とともに /生き方の問題 /他者の人生でなく自分の人生を生きる─場と出会いとまなびと

7 南相馬での災害FM支援を通して ─活動におけるコミュニティへの展開と葛藤 谷山博史/ 谷山由子
はじめに 
一 福島で活動を始めるまでの経緯 
JVC内の議論と放射能の壁 /活動地と活動分野の絞り込み 
二 南相馬での支援活動 
支援の開始 /新たな課題――被災と復興の狭間でのFM放送の役割 /コミュニティFMの放送化に向けて /コミュニティFM化に向けた最初の一歩 /災害FM以外の活動――仮説住宅でのサロン活動 
三 国外の活動と国内の活動の共通点と違い 
人々の力を信じる /物資だけではない長期的視点に立った支援 /当事者としての福島支援 
四 活動の振り返りと教訓 
福島への関わりを考える /外部から支援に入ることの難しさ /行政を窓口に支援に入るということ 
おわりに

8 「雪が降って、ミツバチが死んだ」  ─原子力災害の中で、大学という場から思うこと 猪瀬浩平
剥き出しにされた〈個〉 /揺さぶられた大学─東京電力は私たちではなかったのか? /おずおずと始めたこと /「雪が降って、ミツバチが死んだ」 /「生きるための必需品」としての知に向かって

9 シャプラニールの震災支援活動 ─外部支援者としての経験から考える国際協力NGOの役割  小松豊明
はじめに 
一 緊急救護活動の開始 
活動実施の決定 /北茨城、そしていわきへ /緊迫度の違い 
二 復旧支援、そして生活支援へ 
災害ボランティアセンターの運営 /生活支援プロジェクトの実施 /被災者の声を聴く 
三 被災地の現状とこれからの課題 
その1─避難者の生活支援 /その2─情報発信および市民交流 
四 国内災害における国際協力NGOの役割 
直面した課題 /次へ活かすために /「現地パートナー」としての経験 /今後の役割 
おわりに

10 国際協力NGOが福島の「震災支援」に関わる意味  竹内俊之
福島支援に関わる国際協力NGOの現状 /なぜ関わるのか─国際協力NGOは国際救助隊か? /福島から地球規模の世直し運動へ /国際協力NGOに求められること /「ソーシャル・ジャスティスNGO」へ

11 NGO共同討論-福島はNGOに何を教えたか?  
「三・一一以後」のNGOを考える/復興の大合唱と現実のギャップ /軋轢・葛藤・分断 /福島支援の位置づけと「出口戦略」 /福島に関わる意味 /なぜ福島に関わるNGOが少ないのか /福島はNGOに何を教えたか /「自立支援」と再生・復興─NGOだからできること /海外での活動を振り返る /教訓をどう生かすか

12 境界を超え、支援と運動を未来につなげる ─複合惨事後社会とNGOの役割 中野憲志
 
はじめに 
一 「国民が守られない国家」とNGO 
福島の再生・復興に向けた諸課題 
二 NGOの「専門性」と「ミッション」を問い直す 
三 NGO自身のエンパワメント 
政策提言力のアップ /被災者の自立支援とNGOの自立
おわりに 

あとがき…………藤岡美恵子・中野憲志
 

執筆者 
猪瀬浩平 明治学院大学教員
黒田節子 原発いらない福島の女たち
小松豊明 シャプラニール=市民による海外協力の会
菅野正寿 福島県有機農業ネットワーク
竹内俊之 国際協力NGOセンター(JANIC)
谷山博史・谷山由子 日本国際ボランティアセンター(JVC) 
橋本俊彦 自然医学放射線防護情報室(9月よりNPO法人ライフケアに改称)
原田麻以 NPO法人インフォメーションセンター
満田夏花 FoE Japan
吉野裕之 子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク

編著者
中野憲志 先住民族・第四世界研究
藤岡美恵子 法政大学大学院非常勤講師、〈NGOと社会〉の会代表

2012年9月21日金曜日

「領土紛争」の長期化を回避するために

「領土紛争」の長期化を回避するために


 紛争解決(conflict resolution)の大前提は、当の紛争の当事者(個人、企業、国家、国際機関・・・)が、自らを紛争の当事者として認識することにある。
 
 客観的に見れば、明らかに紛争状態に陥っているにもかかわらず、紛争の当事者が他者との間の紛争の存在を認めず、自己主張と自己正当化に終始し、もう一方の紛争当事者に対する非難と攻撃をくりかえす限り、紛争は終わらない。永続化するだけである。「テロとの戦い」然り、「竹島」/「独島」、「尖閣諸島」、「北方領土」問題然りである。

 紛争の当事者が、紛争の存在を認め、その暴力的発展を未然に防ぎ、当事者間の解決を望む場合には、まず、他方の当事者の主張に冷静に耳を傾ける必要がある。そして、その主張に同意しなくとも、少なくともそれが自己との間の紛争を引き起こしている根拠になっていること、すなわち、自分は認めなくとも、もう一方の当事者の論理に従うならその主張にもそれなりの正当性があることを、文字通り、正当に認める必要がある。
 個人がかかえる紛争であれ、大企業や国家がかかえる紛争であれ、「話し合い」や「対話」によって紛争を解決するためには、このような当事者による「紛争の認知」が不可欠になる。

 次に紛争の当事者は、当事者間で紛争の解決ができないと判断する場合には、「第三者」による調停/仲裁によって紛争の解決を追求することができる。その場合、「第三者」は、当の紛争事案の「利害関係者」でないことが必須の条件になる。日本が周辺諸国とかかえる「領土紛争」に関して言えば、米国は紛争に強烈な利害を有する国家であり、「第三者」たりえない。

 米国は、東アジアにおける「領土紛争」の当事国である。米国に「中立的立場」を取る選択肢などありえないし、それを認めてはならないだろう。これまで何度も述べてきたように、米国は、他の当事国と並び、戦後の東アジアにおける国際秩序と国際法の枠組みにおいて、それぞれの「領土紛争」に対する自国の公的な見解を国際的に明らかにすべきなのだ。

 「第三者」は、その米国の見解をも含め、各当事国の利害から中立の立場で、紛争解決に向けた提案を取りまとめる義務と責任を負う。「第三者」は、一国や複数の国家、既存の国際機関、あるいは国際的な「専門家委員会」など、さまざまな組織的形態を取ることができるだろう。


 昨日(9/20)、中国の漁業監視船が「尖閣諸島」の「接続水域」内などで中国漁船に立ち入り検査を行った。これに対し、玄葉外相は今日、「日本の漁業管轄権を侵害した」として、中国側に抗議したという。
 この事態を報じた読売新聞は、「接続水域は沿岸国が漁業資源などの独占的な権利を持つ排他的経済水域(EEZ)に含まれる。日中のEEZの境界は画定していないが、日本は日中の中間線の日本側を自国のEEZとしている」と解説している。

 まず、このような日中両政府による「対抗措置」の応酬と「国際広報合戦」の展開が、「尖閣諸島」をめぐる日中間の領土紛争をいたずらに長期化させるだけだということを、私たちは認識する必要があるだろう。
 日中両政府は、ともに「固有の領土」論を主張することに終始し、「接続水域」「排他的経済水域」の軍事化・緊張化を増幅させているだけである。米国はと言えば、これに便乗し、自国の軍産学複合体の利益のために日米安保と米軍基地の永続化をもくろんでいる。そして、米国の軍産学複合体の利害にさらに便乗する日本の「日米同盟ムラ」が、「動的防衛力」と「離島防衛」の名の下に、日本の「周辺」のいっそうの軍事化をもたらそうとしている。

 「南・東シナ海」の「領土紛争」を、「第三者」の調停/仲裁を通じ、当事国間の話し合い・対話にとって「平和的に解決」できるなら、「動的防衛力」もろとも日米安保を存続させる論理の根幹が崩れ去ってしまうことを、私たちは見抜いておかねばならないだろう。


 野田首相が 来週明けから始まる国連総会で「一般討論演説」を行い、その中で尖閣・竹島の問題を取り上げ(「北方領土」問題はどうしたのだ?)、「国際社会に向けて日本の立場を説明する」らしい。「法の支配」を強調し、日本固有の領土であることを主張」することが目的なのだという。
 読売新聞電子版によると、野田首相は、26日に予定されているその国連演説において、「国際司法裁判所(ICJ)で他国から訴えられた場合に応じる義務が生じる「義務的管轄権」の受諾を、各国に呼びかける意向」なのだという。
・・
 日韓の間の島根県・竹島や、中国と周辺国の間の南シナ海の領有権問題などを念頭に、国際法に基づく平和的解決の必要性を訴える。同時に、義務的管轄権を受諾していない韓国や中国と、受諾済みの日本との国際法に対する姿勢の違いを際立たせ、日本の主張の正当性を国際社会にアピールする狙いもありそうだ。

 ICJが領有権問題の裁判手続きに入るためには、紛争当事国間の同意が前提となるが、一方が提訴しても、他方が義務的管轄権を未受諾ならば応じる義務がなく、制度上の課題となっている。
・・

  一般論として言えば、私は「義務的管轄権」の「呼びかけ」に賛成である。しかし、外務官僚が考案したこの方針は矛盾に満ちている。
 なぜなら、まず第一に、日本と同じ論法で「独島は韓国固有の領土であり、日韓間に領土問題は存在しない」と主張する韓国が、「義務的管轄権」を受諾する謂れも、見込みも存在せず、この方針の破産は、現時点においてすでに確定していると言えること、
 そして第二に、外務省は領土問題の「国際法に基づく平和的解決」を言いながら、「北方領土」や「尖閣諸島」問題の「国際法に基づく平和的解決」をめざそうとしていないからである。
 そのことは、玄葉外相が、上に述べた21日の記者会見で、沖縄県・尖閣諸島をめぐる中国との対立を国際司法裁判所(ICJ)で争うかどうかについて、「尖閣は国際法上、歴史上疑いのないわが国固有の領土だ。現時点において必要性は考えていない」と述べていることにもはっきりと示されている。

 つまり、政府・外務省は、「北方領土」と並び「尖閣諸島」に関しても、意味不明の「国有化」宣言以降(「国際法上、歴史上疑いのないわが国固有の領土」を、なぜ「国有化」する必要があるのか?)、これだけの事態を引き起こしておきながら、いまだに「領有権問題は存在しない」という立場が国際的にまかり通ると考えているのである。(これと同様のことが中国(と台湾)政府に対しても言えることは、改めて指摘するまでもないだろう)。

 「尖閣紛争」は、たとえば孫崎亨氏などの元外務官僚の評論家が言うようには、もはや従来通りの「棚上げ・解決先送り」策では通用しないところにまできてしまった。ロシア、韓国、中国/台湾との「領土紛争」を長期化させず、できるだけ早く解決するためには、そのことの自覚を、私たち市民一人一人が持つことが先決であるだろう。
 紛争を、真剣に解決しようとしない、国家と(元)官僚の論理に惑わされ、だまされてはいけない。

・・・
長期化懸念の声も=過去最多の中国監視船-尖閣沖でにらみ合い・海保
「・・・海保は全国から巡視船数十隻を投入し、監視船と1対1で対応。ただ、国連海洋法条約により外国公船には実力行使ができず、退去要請のほか、伴走や追跡で圧力をかけるにとどまる・・・。
 中国政府が保有する船は1000隻以上とみられ、対する海保の巡視船艇は357隻。ある海保幹部は「長期化し総力戦になれば、少ないこちらの方が状況は厳しい」と苦慮する・・・。船や乗員の交代も必要で、別の幹部は「士気を維持し、常駐数が減らないようにする。やるしかない」と語気を強めた・・・」(時事)
 ↓
「接続水域」の本質的定義は公海であって、日本の領海ではない。
どこまでを日中双方の「了解」「接続水域」「排他的経済水域」とするか、要するに「東シナ海」における日中の国境ラインをめぐる最終的な合意が存在しないことがこの問題の核心なのである。
 であるなら、まず日中の国境ラインを、そして次に相互に合意できる不確定領域を確定することが、先決になるはずではないか。
 国連安保理常任理事国たる中国と、常任理事国入りを執拗に追求する日本政府・外務省は、ともに「国際の平和と安全」を軍事に依らず守る、国際的な責任を負うという自覚の下に、「対話」による「尖閣紛争」の解決に向け、全力を傾注すべきなのだ。
 日・中・台の「市民社会」からそういう声が高まらない限り、この問題は永遠に解決しようがない。

中国税関:日本検査を強化 生産、販売へ影響懸念(毎日)
新たな脅威 台湾抗議船出現 無秩序行動の恐れも(産経)
 ↓
「領土紛争」の解決のために、すべての当事国のメディアは、扇動的報道を厳に慎むべきである。

スリーマイル原発「大音響」発し、緊急停止

スリーマイル原発「大音響」発し、緊急停止

 スリーマイル島原発(米国、ペンシルベニア州)の1号機で20日、冷却水のポンプが突然停止し、原子炉が緊急停止した。「周辺住民に聞こえるほどの大きな音」がし、「蒸気」が外部に放出されたという。例によって、原発運営企業、エクセロン社は「原子炉は必要な時には自動停止する仕組みになっており、周辺住民の健康や安全性には問題ない」と言ったという。
 また、CNNによると、米原子力規制委員会(NRC)の報道官は「原子炉の安全システムが設計通りに機能していることを示すもの」と話したという。
・・
同原子炉の緊急停止は過去1カ月で2度目となる。8月22日には加圧水用の加熱装置に問題が見つかり、この装置の交換が行われた。検査の結果、残る2つの装置に問題はないと判断し、9月5日に原子炉の運転を再開していたという。
・・

 周知のように、スリーマイル原発では1979年に2号機でメルトダウンが起きている。「大音響」→「蒸気」の外部放出とは、一般的には、何らかの爆発→メルトダウン→ベントが考えられるが、早計には断定できない。下の記事では、ベントそのものが「大音響」を出したとも推測できるからである。
 いずれにしても、当面、NRCの公式な「事故調査」報告と米国の専門組織/NGOの分析を待つしかなさそうである。

・・・
Three Mile Island nuclear reactor shuts down unexpectedly
...The system tripped when "the pump stopped operating and created a power/flow imbalance," said NRC spokesman Neil Sheehan.
...Exelon, the plant operator, said in a statement that "during the shutdown, steam was released into the atmosphere, creating a loud noise heard by nearby residents."(NBC)

Threee Mile Island nuclear plant shuts down unexpectedly(USA Today)

2012年9月12日水曜日

「リリウムの会」が面白い

リリウムの会」が面白い
 
東海第2原発のある村で、立ち上がった女たち。もう男たちだけには任せていられない! 
・・・
たった3人の主婦から始まった「リリウムの会」
今では、沢山の心強い協力者が沢山出来ました
素人の私たちに出来る事には、限界があります・・・・
「本当にこの3人で大丈夫かな?」と心配にさせる位の方が、有能な方々が次々と「応援するよ」「協力するよ」と、優しく力強い言葉を掛けて下さいます 本当に有りがたいです
そんな、力強い協力を得て、なんとか作り上げたのがこの「リリウム通信 創刊号」です・・・。
・・
 
ブログ最新記事(9/12)
知ってますか?茨城県東海村に福島の94倍のセシウム137が保管:ガレキ受け入れと同じ問題
全国の原発から出る高レベル廃液,一時保管地は青森県と茨城(ki)県那珂郡東海村.
茨城(ki)県民ご存知だろうか?
どこの県も嫌がる高レベル廃液が青森と茨城(東海第2原子炉)に一時保管. 
東日本大震災のガレキ焼却は・・・  この茨城県に集められた高レベル廃液と同じ問題.

誰だって,自分の県には置きたくない.
じゃあ,どこに置きますか・・・・・・
自分の県でガレキ処理は誰だってイヤな事は判りますが・・・・・・  
高レベル放射性廃棄物,原発がある県で保管するようになります.
もう保管場所がない状態になります.

廃液セシウム137が茨城県東海村に,福島で大気放出した分の約94倍が保管されている.
青森県は約58倍.東海村のほうが膨大に保管されている. 
電源喪失で冷却できなくなると自己崩壊熱で約40時間で沸騰を始め,爆発の可能性がある.
もし破局的な爆発が起きると・・・下の評価図を参照.
・・・

第一回脱原発サミット in 茨城

10月14日(日)

開場:午後12時30分
開演:午後1時~
会場:東海文化センター  茨城県那珂郡東海村船場768-1
029-282-8511 常磐線東海駅東口右方向徒歩10分
参加費:前売り1300円 当日1500円 (チケット販売:東海文化センター他)

パネリスト紹介
佐藤栄佐久氏 1939年生まれ
1983年参議院初当選 1988年福島県知事就任
5期18年の間、東京一極集中に異議を唱える。原発、道州制で政治と対決した「闘う知事」 2006年辞職
東京電力によるトラブル隠しが発覚した後、福島第一第二原子力発電所の増設、プルサーマル導入に一貫して反対の立場を明らかにし、福島原子力事故では「事故は人災だった」と断定し歴代政府と原子力安全委員会を批判している。
著書に「福島原発の真実」

根本良一氏 1937年生まれ
連続無投票当選で6期、矢祭町長の職に就いた。2001年「市町村合併をしない矢祭町宣言」で全国に知られる
さらに、全国で最初に住民基本台帳ネットワークシステムへの接続拒否を表明。2007年6期24年務めた町長を退職
2012年、住民に近い基礎自治体の目線で原子力政策や再生可能エネルギー、福島への支援策などについて勉強会や視察を実施し、政府や国会に政策を提言する「脱原発をめざす首長会議」を呼びかけ、発足させた。

 村上達也氏 1943年生まれ
 東海村村長 1997年東海村村長就任
1999年のJCO臨界事故で、国や県の対応を待たず人命第一として村民の避難を行った。その後、原子力に依存した村が発達できる時代は終わったとして二度の村長選で新規の原子力発電所建設に慎重姿勢を示した福島原発事故後には、原子力撤廃の姿勢を鮮明にし東海第二発電所の廃炉を提案している。

コーディネーター
佐高信氏 1945年生まれ
高校教師、経済雑誌の編集者を経て評論家に。「社畜」という言葉で日本の企業社会の病理を露わにし会社・経営者批評へ一つの分野を築く。経済評論にとどまらず、憲法、教育など現代日本の直面する諸問題について鋭い視点からの評論活動を続ける
原発に関する著書に「電力と国家」「原発文化人50人斬り」など多数


「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「東海村の「原子力センター」構想
⇒「村上東海村村長が東海第2原発の廃炉を要望
⇒「やっかいな放射線と向き合う(茨城大学有志の会)

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坂本龍一さんの政治活動、山口市「配慮」要望へ
「山口市は、市が設置した山口情報芸術センターの10周年記念祭総合芸術監督を務める音楽家の坂本龍一さん(60)が「脱原発」などの活動をしていることに対し、今後、「配慮」を求めることを明らかにした。  12日の市議会一般質問で市幹部が答弁した。
 市議会では、議員が「(芸術監督として)税金を使って活動するのだから、政治活動を慎むよう申し立ててほしい」と市に要請した。  答弁に立った市幹部は「個人としての思想言論の自由は、基本的には尊重されるべきだ」としながら、「記念祭が国内外から高い評価を得られるよう、本人に配慮いただくようお伝えしたい」と述べた・・・」(読売)

脱原発法が国会提出されました! 海渡 雄一 (脱原発法制定全国ネットワーク 弁護士)

脱原発法が国会提出されました!
海渡 雄一
 (脱原発法制定全国ネットワーク 弁護士)

 ○103名の国会議員の賛成・賛同で法案提出
  本日9月7日、ついに脱原発法が国会提出され、継続審議となった。 脱原発法制定全国ネットワークが超党派の国会議員に提案を求めていた、遅くとも2020年から25年までの脱原発実現などを定めた「脱原発基本法案」が9月7日午前9時過ぎに衆議院事務総長に、13名の提出者(新党「国民の生活が第一」、社民党、新党きずな、減税日本、新党改革、新党大地・真民主の六会派)によって、23名の提出会派と無所属議員(土肥隆一氏)を含む賛成者を得て提出された。

 法案提出の記者会見に際して、全国ネットワークは、この法案提出に会派としては参加しなかったが、民主党議員(55名)、みんなの党、みどりの風、たちあがれ日本、無所属議員(糸数慶子氏)など合計で67名の賛同議員名簿を公表した。(名簿の詳細はネットワークHPに掲載)。

  以上のとおり、9月7日の時点で、この法案提出には、提出・賛成者と賛同議員を合計して103名の議員が賛同したこととなる。今後、全国ネットワークは、賛同議員を増やし、次の臨時国会以降の国会で法案成立を求めて活動していく方針である。同法案は、期末処理で継続審議とされることが決定された。

○大江健三郎氏らのことば
 衆院第2議員会館で記者会見したノーベル賞作家の大江健三郎さんは「議員が個人の意思を発揮して法案提出されたことに改めて希望を持った」「国民、市民が(原発に)反対の意思をはっきり示すしかない」と強調した。
 弁護士の宇都宮健児さんは「市民と議員の協力で国会に法案を提出できたことは画期的だ。次は国民運動を巻き起こして、この法案を現実に成立させなければならない」と述べた。
 鎌田慧さんは「さよなら原発1000万人署名をしながら、どうやってさよなら原発を現実のものにしようかと考えてきた。法案提出でゴールが見えてきた」と述べた。
 原子力資料情報室の伴英幸代表は「情報室の前代表である高木仁三郎が呼びかけたときには、300万人以上の署名を集めても法案の提出に至らなかった。法案提出にこぎ着けたことは感慨深い」と述べた。

 同法案では、政府に対して、「遅くとも2020~25年までのできる限り早い時期」に脱原発を実現させるとし、最新の科学的知見に基づく災害防止基準に適合しなければ、原発の運転を認めないとして、再稼働にも厳しいハードルを課している。電力会社の発電事業と送電事業を分ける発送電分離、再生可能エネルギーの拡大、原発の立地地域や周辺の経済への影響に適切な対策を講じることも盛り込まれている。

○衆議院選挙のリトマス試験紙に -ネットワークの今後の活動-
 ネットワークは8月22日の立ち上げ以降、今国会中の法案提出を目的に大車輪で活動してきた。このような方針をとった理由は、秋以降の早い時期に衆院解散が実施され、総選挙では今後の原子力政策が大きな争点となるにもかかわらず、各政党、候補者の政策は明確でないなか、明確な争点を提示する必要があると考えたからだ。年限の明らかでない「脱原発依存」政策と脱原発時期を明記した法案に賛成を表明している政党・候補者を見分け、次の国会で脱原発政策を確実に実現するためのツールとして、法案をこの国会に提案する必要があると考えたのだ。

 全国の仲間からは、二つの声が寄せられている。一つの声は、「国策としての原発推進を転換させるため、このような活動を期待していた。各地でどのように活動したらよいのか、方法を教えてほしい。」という積極的な声だ。ネットワークとしては、ステッカー、脱原発法政治契約、運動マニュアルなど各地の脱原発運動がこの法律をツールとして活動する時の「パッケージ・ツール」を作り、弘めたいと考え、賛同団体を募っている。ぜひともご協力を!

○脱原発法制定運動と再稼働反対のための活動は矛盾しない
 もう一つの声は、法案は2020年から2025年まで原発の稼働を認めているようにみえる。この法案は再稼働を認める事とならないかという危惧の声である。脱原発法は、大飯3,4号機などの原発再稼働を容認するものではない。法案には個別の原発の再稼働は、最新の科学的知見に基づいて原子力規制委員会が定める技術上の基準に合格することが最低限の条件であることを明記した。
 私たち脱原発弁護団全国連絡会は福島原発事故の事故原因を踏まえた安全対策も執られていないのに原発の再稼働をすることに強く反対し、すべての原発の再稼働を止めるための訴訟に取り組んできた。規制委員会のトップに原子力ムラの人々が選任されることを阻止するための活動にも取り組んでいる。

 今必要なことは、一つ一つの再稼働を止めるだけでなく、これまで54基もの原発の設置を許可し、運転を認めてきた国の政策を、法律によって明確に方向転換することだ。日本が国として脱原発政策を選択し、廃炉や立地地域の産業復興などに国を挙げて取り組むためには、再稼働を止めるだけでは不十分であり、国会の多数による法律という形での決定を避けてとおることはできない。
  大江健三郎さんは、ネットワークの結成時の会見で、「小説を書いている人間として、一人の市民として、原発は根本的な倫理に反するものだと申し上げてきた。私たち、今生きている人間の根本的なモラルは、次の世代の人間が生きていくことを妨害しないことだ。そのためには原発をすぐにやめなければならない。大飯原発の再稼働を許したじゃないかと言う、敗北感、無力感を、強く感じながら、私はこの夏を過ごしていた。脱原発法は、遅くとも2020~25年には脱原発を実現するという、根本的でありながら、現実的な政策だ。」と述べられた。

 ドイツにおいても、福島原発事故後に2011年5月に国民的なコンセンサスによって2022年までの脱原発が国の方針となったが、2011年7月に原子力法を改正している。2022年までに国内17基の原発を停止する内容で、福島第1原発の事故後、運転を停止している旧式の8基はこのまま閉鎖し、残る9基については、15、17、19年に各1基、21、22年に各3基を順次停止していくことが確認されている。
 原発をやめるべきだという私たち一人一人の倫理的な判断を政治的な現実に転化していくためには、国会における法律がどうしても必要なのだ。全国で再稼働反対に取り組むことと、脱原発法制定に取り組むことは同じ目標のためのひとつながりの活動であり、互いに矛盾するものではない。自信を持って取り組んでいこう。

9・22「福島原発告訴団全国集会」(いわき市)

・・・
大飯原発差し止め求め提訴 原告募集し10月にも
 京都や滋賀、大阪の弁護士のグループが12日、京都市内で記者会見し、関西電力大飯原発1~4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを関電に求め、京都地裁に提訴すると正式に発表した。 グループは「京都脱原発弁護団」を結成し、1万人を目指して原告を集め、10月下旬にも提訴する。
 訴訟では、東京電力福島第1原発の事故によって、原発の危険性が明らかになったと主張。大飯原発の稼働によって、平穏な生活を送るという人格権が侵害されていると訴える。 差し止めのほか、原発を止めるまで原告1人当たり月1万円の損害賠償を関電と国に求める。(共同)

脱原発テント1周年

 
 
 
 
 

 
 
 
 

9・11「テント1周年イベント&アクション」

9月11日(火)
午後1時 プレイベントSTART  ライブ トーク ワークショップ(かんしょ踊り) etc
午後3時 「再稼働是非」で国会議員を糺す――アンケート結果記者会見
午後4時 1周年記念集会  テントひろば  とつきとおかアクション
       特別アピール   福島原発告訴団  1000万人アクション
       1分間メッセージ・・・たくさんの人々から
       ライブ    お茶・ところてんタイム
       手編みロープによる地球(いのち)の小分け
午後6時半  経産省前かんしょ踊り
午後7時~8時半 経産省・規制委包囲人間の鎖


2012年9月11日火曜日

カリオカ2宣言 「リオ+20および母なる大地に関する先住民族世界会議」(2012年6月13日―22日)

カリオカ2宣言
「リオ+20および母なる大地に関する先住民族世界会議」
2012年6月13日―22日

 国連持続可能な開発会議リオ+20に参加するため、第1回カリオカ会議が開催されたリオデジャネイロの聖地、カリオカ・プクに結集したわれわれ母なる大地の先住民族は、ブラジルの先住民族に対し、われわれをその領域に迎え入れてくれたことを感謝する。

 われわれは、母なる大地、自然、われら先住民族の未来の世代、そして全人類とすべての生命の健全性と安寧を守り、発展させることを訴える責任があることを再認識している。われわれは、世界の先住民族を招集したこの第2回会議の意義を認め、カリオカ宣言と先住民族地球憲章が採択された1992年の歴史的な第1回カリオカ会議の重要性をあらためて確認する。

 カリオカ会議および第1回国連地球サミットへの先住民族の参加は、先住民族の権利を求める運動にとって、また環境保全・持続可能な発展において先住民族が果たす重要な役割にとって、前進のための大きな一歩となった。また、リオ+20に合わせた先住民族国際会議としてカリオカ2を招集することを求めたマナウス宣言の意義を、あらためて認識する。

植民地主義の制度化

 リオ+20の目標である「グリーン経済」とその前提である、生命を生み出し維持する能力の商品化によってのみ自然を「救う」ことができるという考え方は、先住民族とわれらの母なる大地が520年間直面し抵抗してきた植民地主義の継続である。

 「グリーン経済」は貧困を撲滅するとするが、実際は多国籍企業と資本主義を利するだけである。それは化石燃料や、採鉱および石油探査・生産といった採掘産業の行う自然開発による環境破壊、集約的なモノカルチャー農業、その他の資本主義的投資を前提とするグローバル経済の継続である。こうした活動はすべて一握りの者の利益と資本の蓄積のために行われている。

 1992年の地球サミット以降、植民地主義は貿易のグローバル化と主流のグローバル資本主義経済の根本原理となった。世界の生態系と生物多様性の搾取と略奪、そしてそれに依存して生きる先住民族の固有の権利の侵害がますます深刻化している。先住民族の自決権、自治権、自決に基づく発展の権利、われわれの固有の土地、領域、資源への権利に対する政府・多国籍企業一体の攻撃が驚くほど増えている。

 自分たちの領域を守ろうとする先住民族の活動家や指導者に対する暗殺や投獄、嫌がらせ、「テロリスト」とのレッテル貼りなどの抑圧や軍事化が続いている。先住民族の集団的権利の侵害もまた、罪に問われることがない。強制移住や同化により、われわれの未来の世代、文化、言語、土地に対する精神的あり方や関係が経済的、政治的に脅かされている。

  われわれ世界各地の先住民族は、持続不可能な開発や、採鉱、伐採、巨大ダム、石油の探査・採取による自然資源の過剰搾取の侵略から母なる大地を守ってきた。われらの森林は、農作物燃料、バイオマス、プランテーションなど、気候変動と非持続的・破壊的な開発に対する誤った解決策の押し付けに苦しんでいる。

  「グリーン経済」は自然の資本主義にほかならない。神聖なるものとすべての生命体および空を民営化し、商品化し、売り払うことで天地創造から利潤を上げようという、企業、採掘産業、政府による倒錯した試みである。そこには、地球上に生きることを可能にし、喜びにしてくれる、われわれが吸う空気、われわれが飲む水、すべての遺伝子、植物、伝統種子、樹木、動物、魚、生物および文化の多様性、生態系、そして伝統的知識が含まれる。

  先住民族の食糧主権の権利に対する重大な侵害の継続が、食糧の「不安全」を引き起こしている。われわれの食糧生産量、採集する植物や狩猟する動物、畑や収穫量、飲み水や農業用水、川や小川で捕る魚、これらが急速に減少している。
 化学物質を大量に使う大豆の単一栽培プランテーションなどの持続不可能な開発プロジェクト、採鉱などの採掘産業、その他の営利目的の環境破壊的なプロジェクトや投資が、われわれの生物多様性を破壊し、われわれの水、川、小川、大地を汚染し、生命を維持する地球の力を損なっている。生態系全体とそれが生命を育む能力に影響する気候変動および水力発電ダムその他のエネルギー生産が、それをさらに悪化させている。

 食糧主権は先住民族の自決と持続可能な発展に対する集団的権利を根本的に表現した権利の一つである。食糧主権と食糧に対する権利は遵守され尊重されなければならない。食糧はわれわれのアイデンティティ、文化と言語、そして先住民族として生き延びていくための力を育むものであり、利潤目的で利用・取引・投機される商品であってはならない。

 母なる大地は守られるべき生命の源であり、「自然資本」として搾取され、商品化される資源ではない。天地創造の神聖な秩序の中で、われわれは位置を与えられ、責任をもっている。物事が大地とそれが生み出し支えるすべての生命との調和のうちにあるとき、われわれは持続する喜びを感じる。
 天地創造の自然の秩序が壊され、母なる大地とその上に存在するすべての生命の経済的植民地化と劣化が続くのを目にするとき、われわれは調和の乱された大地の痛みを感じる。先住民族の権利が遵守・尊重されない限り、持続可能な発展と貧困撲滅は実現しないであろう。

 解決策

 先住民族にとって人間と大地の関係は分かちがたいものであり、われわれの未来の世代と人類すべてのために尊敬されなければならないものである。すべての人類に、われわれとともに、先住民族の窮乏化、抑圧、搾取を下支えする社会構造と制度、権力関係の変革にとりくむことを呼びかけたい。
 帝国主義的なグローバル化は生命を支えるすべてのものを搾取し、大地を損なう。一握りの人々が際限なく利益を蓄積するような生産と消費のあり方から、人類の必要に根ざした生産と消費に大きく方向転換する必要がある。

 社会は、持続的な社会発展の必要を満たすために生産資源を共同でコントロールし、現在の支配的な独占的資本主義制度の下で必ずや生じる過剰生産、過剰消費、そして人間と自然の過剰搾取を防がなければならない。資本主義的発展ではなく、先住民族の智慧に基づいた持続可能な共同体に注目しなければならない。

 未来と生命のあり方を脅かす巨大な水力発電ダム、GMO樹木を含む遺伝子組み換え作物、プランテーション、農作物燃料、「クリーンな」石炭、原子力発電、天然ガス、水圧破砕法、ナノテクノロジー、合成生物学、バイオマス、バイオ炭、ジオエンジニアリング(気候工学/地球工学)、排出権市場、クリーン開発メカニズムとREDD+(途上国に対し植林活動などの森林保全に経済的インセンティブを提供すること)[訳注1]など、気候変動に対する誤った解決策を放棄するよう、国連、各国政府、企業に要求する。

 地球温暖化の緩和に貢献するどころか、これらの解決策は環境を害し、破壊し、気候変動の危機を急激に悪化させ、地球を居住不可能な場所にしてしまうだろう。地球の均衡を破壊し、季節を消滅させ、すさまじい異常気象を引き起こし、生命を私有化し、そして人類の生存そのものを脅かす誤った解決策を許すわけにはいかない。「グリーン経済」は人道と大地に対する罪である。

  持続可能な発展を達成するために、何千年も存在し、植民地主義に直面しても先住民族を支えてきた資源管理に関する伝統的な制度を国家は承認しなければならない。先住民族に影響を及ぼす意思決定プロセスへの先住民族の能動的な参加と、自由で、事前の、十分な情報を得た上での同意[訳注2]に対する権利の保障は必要不可欠である。同様に、国家は、先住民族の持続可能性と自己決定に基づく優先事項に関して、規制や抑制的なガイドラインなしに支援を提供するべきである。

 先住民族の若者と女性の活発な参加の重要性を認識すべきである。彼/女らは自然の商品化の負の影響から最も被害を受けている。母なる大地の継承者として、若者は祖先が勇敢に闘って残してきた自然資源を守るために重要な役割を果たしている。資源と文化の商品化のさなかにおいて、若者たちの行動と決定は、その弟、妹たち、さらには次世代の将来を決定する。

  われわれは、先住民族の水域、魚、生物多様性と生態系に影響を与える水力発電ダムやその他すべてのエネルギー生産に対する闘争を続ける。単一作物プランテーション、採掘産業とその他の環境破壊的なプロジェクトによる害から先住民族の領域を守るために行動し、また先住民族の文化とアイデンティティを保護しながら、自らの生活様式を守っていくつもりである。
 われわれは伝統的な植物と種子を保護するために活動し、またわれわれのニーズと母なる大地のニーズ、そして大地の生命を維持する能力の間のバランスを維持する。先住民族は、これが可能であり、なされなければならないことを世界に示していく。

 すべての事柄に関して、われわれは世界各地の先住民族の連帯を結集し組織し、そして善き志を持つ非先住民族とも連帯し、ともに食糧主権と食糧の安全保障のために闘う。われわれは伝統的な種子や食糧などの資源の私有化や企業による支配を拒否する。 最後に、食糧主権を発展させるための適切な技術などの具体的支援の提供を通じて、先住民族の伝統的な管理システムを統御する権利を支持するよう国家に要求する。

  われわれは、持続可能な発展と気候変動に対する解決策という嘘の約束を拒否する。それらは支配的な経済秩序を利するだけである。先住民族の生得的な権利である自決権と、土地、領域、水域、自然資源に対する権利、そして大地が生命を創造し維持する権利を侵し続けるような、REDD(途上国における森林の破壊や劣化を回避することで二酸化炭素の排出の削減を図ること)、REDD+、そしてその他の市場ベースの森林重視の解決策を拒否する。
 「持続可能な採掘作業」など存在しない。「倫理的な石油」など存在しないのである。

 遺伝資源と先住民族の伝統的知識に対する知的所有権の主張をわれわれは拒否する。それは、われわれの生活と文化に必要不可欠な神聖なるものの剥奪と商品化につながるものである。われわれは化学製品や遺伝子操作種子・作物の使用を促進する産業化された食糧生産を拒否する。したがって、われわれは先住民族の種子、医薬的効果のある植物、そして先住民族の土地と領域に根ざし、未来の世代に利益をもたらす伝統的知識を所有し、管理し、保護し、継承する権利を確認する。

 われわれが望む未来

 これまで持続可能な発展に向けた実効性のある政策は実行されてこなかった。その結果世界は、今や生物多様性の喪失、砂漠化、氷河溶解、食糧・水・エネルギー不足、悪化する一方のグローバル不況、社会不安の深まりと価値観の危機など、環境、経済、気候分野の複合的危機に直面するにいたっている。

 この意味において、これらの分野の国際的合意が先住民族の権利とニーズに適切に応えるには、まだ多くの課題が残されている。われわれ先住民族は、われわれの社会の真に持続可能な発展を通じ、「良く生きる」ことができる。先住民族がそのことによって世界に貢献できること、そして先住民族にはそうした潜在的能力が備わっていることが認められるべきである。

 われわれは民族(peoples)として、自己決定の権利を改めて主張する。先祖代々継承する土地と領域、水、その他の資源を所有、規制、管理する権利を主張する。大地と領域はわれわれの存在の核となるものである。われわれは大地であり、大地はわれわれである。われわれは大地、領域と特別な精神的・物質的関係を持っている。それらはわれわれの生存、智慧の体系と文化の保存および未来におけるその発展、生物多様性の保全と持続可能な利用、生態系の管理と分かちがたく結びついている。

 われわれは、われわれ自身による発展(self-development)、土地・領域その他の資源の利用に向けた優先事項と戦略を決定し、確立する権利を行使するであろう。われわれは自由で、事前の、十分な情報を得た上での同意が、われわれの大地、領域、その他資源に関するあらゆる計画、プロジェクト、活動の承認あるいは拒絶における原則となることを要求する。これらが実行されなければ、植民地主義的モデルに基づく地球とその資源の支配が、処罰されることなく継続するであろう。

 われわれは先住民族として団結しながら、われわれ自身と地域コミュニティ、そして真に先住民族のために行動する非先住民族の人々との強い連帯、連携の絆を築きあげる決意である。こうした連帯運動によって、われわれは土地、生命、その他の資源をめぐる先住民族の権利に関するグローバルキャンペーン、自己決定と解放の実現に向けた闘いを前進させるであろう。

 自然の支配、終わりなき経済成長、際限なき利潤目当ての資源採掘、持続不能な消費と生産、規制なき商品・金融市場など、植民地主義・資本主義的な開発モデルに対し、われわれは引き続き抵抗し、挑戦するであろう。人類は自然界の有機的一員であり、先住民族の権利を含むすべての人権は開発においても尊重され、遵守されねばならない。

 われわれは市民社会に対し、先住民族の権利、世界観を守り、促進し、自然の摂理、先住民族の精神世界と文化、互恵、自然との調和、連帯、集団性を重んじる価値観などに敬意を払うよう求めたい。慈しみ、分かち合うことは、より公正、平等で、持続可能な社会を実現するにあたり、とりわけ必要不可欠な価値観である。この文脈においてわれわれは、文化を持続可能な発展の第四の柱とすることを呼びかけたい。

 土地、領域、資源、伝統的知識に関する先住民族の権利の法的認知と保護は、開発や、気候変動への適応やその影響緩和、環境保全(「自然保護区」の創設を含む)、生物多様性の持続可能な利用、砂漠化阻止などをめざすあらゆる計画の前提でなければならない。これらすべてのケースにおいて、先住民族の自由で、事前の、十分な情報を得た上での同意がなければならない。

 われわれは、この政治宣言の中に示した地球サミットの公約が果たされるよう引き続き求めていく。われわれは国連に対し、国連先住民族権利宣言とFPIC(自由で、事前の、十分な情報を得た上での同意)の原則に則りながら、これまでの合意の実行を開始すること、そしてリオ+20会議およびそれ以降の全過程と活動における先住民族の十全で、公式の、かつ効力ある参加を保証することを訴える。

 われわれは、世界に最後に残された持続可能な生態系と生物多様性のホットスポットに生活しながら、これらを保全する決意である。われわれは持続可能な発展に大きく貢献できるが、そのためには生態系の全体的枠組みが促進されねばならないと考える。すなわち、人権に基づくアプローチ、生態系に基づくアプローチ、文化を重んじ、智慧に基づくアプローチの統合である。

 われわれは、先祖が残した足跡を歩む。

 2012年6月18日
 ブラジル、リオデジャネイロ、聖地カリオカ・プクのカリオカ村にて出席者の拍手で採択

[訳注1]
REDDは森林減少の抑制によって得られる温室効果ガスの排出抑制分を炭素市場で売買することを可能にする。先住民族はこれを市場ベースの解決策であるとして批判している。REDD+も植林活動の資金源に市場メカニズムを導入する方向で議論されている。そうなれば先住民族が住む森林が投機や商業的植林の対象となり、先住民族の慣習的な森林利用や伝統的管理ができなくなるなどの理由から批判し、反対している。

[訳注2]
「自由で、事前の、十分な情報を得た上での同意」の「自由」とは強制や操作のないことであり、「事前」とは事業の認可や企業活動の開始より前でなければならない。
 「十分な情報を得た」とは、事業に関する十全かつ法的に正確な情報が、影響を受ける先住民族が理解し利用できる形で開示された上での協議や参加を意味する。「同意」とは事業の事前評価から終了までのすべての段階における協議や意味のある参加が保障された上での同意でなければならない。

翻訳:木村真希子、中野憲志、藤岡美恵子
※ 「カリオカ2宣言」英語版は以下参照。
http://www.indymedia.org.uk/en/2012/06/497262.html

先住民族の10年市民連絡会News 第187号(最新号)より

2012年9月10日月曜日

「日本軍「慰安婦」問題に関する日韓交渉/仲裁を前進させる国際シンポジウム

日本軍「慰安婦」問題に関する日韓交渉/仲裁を前進させる国際シンポジウム

2012年9月22日(土)(13:30開場) 14:00~19:00 
東京・星陵会館ホール

「日韓両政府は「慰安婦」問題についてどのような交渉を今なすべきか」
 ―国際法の視点から考える―

【提案者】
ウスティニア・ドルゴポル(オーストラリア・フリンダース大学国際法准教授)
阿部 浩己  (日本・神奈川大学教授)
趙 時顯   (韓国・建国大学法学部教授)  
 * 各提案内容は、参加者を含め事前にインターネット配信予定

【コーディネーター】 戸塚悦朗(龍谷大学元教授) 
【参加費】 一般:1000円 会員(一般・シルバー・学生):800円  維持会員:無料
【通 訳】 日・韓・英語の逐語通訳
【参加者】 日韓の国会議員、法律家、歴史研究者、市民団体(発言可)
【集約】 提案者およびコーディネーター4人による提言(日韓両政府宛)を2日目にまとめる(関係者のみ)

日本の戦争責任資料センター
Center for Research and Documentation on Japan's War Responsibility

2012年9月9日日曜日

日本維新の会の「維新八策」を読む

日本維新の会の「維新八策」を読む


 「近いうち」に行われるはずの、次の衆院選に向け、橋下徹大阪市長を代表とする新党「日本維新の会」が結成され、その「公約」としての「維新八策」が発表された。(→橋下氏によると「維新八策」は公約ではないのだそうだ。じゃ、ナンダコレハ?)
・・ 
維新八策の骨子
1. 統治機構の作り直し      ~決定でき、責任を負う統治の仕組みへ~
2. 財政・行政・政治改革     ~スリムで機動的な政府へ~
3. 公務員制度改革        ~官民を超えて活躍できる政策専門家へ~
4. 教育改革             ~世界水準の教育復活へ~
5. 社会保障制度改革       ~真の弱者支援に徹し持続可能な制度へ~
6. 経済政策・雇用政策・税制  ~未来への希望の再構築~
7. 外交・防衛            ~主権・平和・国益を守る万全の備えを~
8. 憲法改正             ~決定できる統治機構の本格的再構築~
・・

 「維新八策」の基本的理念は、「中央集権から地方分権へ」と、結局のところ政権交代によっても民主党が実現できなかった「官僚主導から政治主導へ」の二つを柱にしている。
 これらに、公共政策における市場・競争原理導入、規制緩和、「小さな政府」など、「小泉改革」でおなじみの新自由主義的政策概念が彩りを与える格好になっている。
 その意味では、国民政党としての日本維新の会とは、「未完の小泉改革」の完遂をめざし、それにあたって官僚主導からの脱却をはかれなかった民主党を反面教師とする、非常に保守色が際立った政党、と定義することもできる。 日本ではじめて登場した、政権奪取が展望できる「日本型ネオ・コン政党」と言えるかもしれない。

 ところで、「維新八策」に疑問をいだいたり、矛盾を感じる人はかなり多いのではないか。
 たとえば、「八策」のすべてが改憲か現行法の改定を必要とするので、仮に維新の会が政権交代を実現したとしても、「八策」が「絵に描いた餅」になる可能性が強い。
 改憲を阻んでいるのは、最大の「護憲勢力」たる官僚機構である。その官僚機構の巻き返しに翻弄され続けてきた民主党の敗北を、維新の会はどう総括するのか。難問である。

 あるいは、道州制はどうか。「大阪都」以前に、東京都と首都圏の行政的区割りをどうするのかの議論抜きに、道州制への移行などありえない。それを阻んでいるのも中央官庁である。これもかなり深刻な問題だ。

 つまり、問題意識は理解できても、「八策」のそれぞれを実現する具体的な方法論や回路が見えてこないのだ。衆参両院で多数派を握り、「ねじれ国会」を克服すればそれでカタがつく、そんな生易しい問題ではない。 それを思うにつけ、民主党の改革路線がなぜ破たんしたのか、その総括がますます重要になってくるように思う。
 

 「終わった」はずの野田政権は、「居座りつづける政権」になろうとしている観もあるが、いずれにしてももはや寿命は尽きている。
 あっけないほど短命に終わった民主党の敗北を目撃してしまった以上、橋下流「地方分権」「官から政へ」路線に、そう楽観的にはなれそうにない。

(つづく)

・・・
資料: 「日本維新の会 維新八策」

日本再生のためのグレートリセット
これまでの社会システムをリセット、そして再構築
給付型公約から改革型公約ヘ
~今の日本、皆さんにリンゴを与えることはできません。リンゴのなる木の土を耕し直します~
大阪維新の会

維新が目指す国家像
大阪維新の会の理念は、個人の自由な選択と多様な価値観を認め合う社会を前提に、
・自立する個人
・自立する地域
・自立する国家を実現することです。
 そのためには、国民全員に開かれた機会の平等を出発点として自助、共助、公助の範囲と役割を明確にすること、公助から既得権を排し真の弱者支援に徹すること、そして現役世代を活性化し、世代間の協力関係を再構築することが必要です。 多様な価値観を認めれば認めるほど
・決定でき、責任を負う民主主義
・決定でき、責任を負う統治機構を確立しなければなりません。
 中央集権と複雑な規制で身動きが取れなくなった旧来の日本型国家運営モデルは、もはや機能せず、弊害の方が目立つようになっています。今の日本を覆う閉塞感を克服し、国民の希望を取り戻すには、国からの上意下達ではなく、地域や個人の創意工夫によって社会全体を活性化し、グローバルな競争力を持つ経済を再構築する必要があります。そのためには国民の総努力が必要です。大阪維新の会の理念を実現するために、維新八策を提案する。

1.統治機構の作り直し~決定でき、責任を負う統治の仕組みへ~
【理念・実現のための大きな枠組み】

・中央集権型国家から地方分権型国家へ
・難問を先送りせず決定できる統治機構
・自治体の自立・責任・切磋琢磨(せっさたくま)
・国の役割を絞り込み、人的物的資源を集中させ外交・安全保障・マクロ経済政策など国家機能を強化する
・内政は地方・都市の自立的経営に任せる
・国の仕事は国の財布で、地方の仕事は地方の財布で・倒産のリスクを背負う自治体運営
・国と地方の融合型行政から分離型行政へ
【基本方針】
・首相公選制(人気投票的になることを防ぐ方法を措置)・現在の参議院廃止を視野に入れた衆議院優位の強化
・首相公選制とバランスのとれた議会制度・国会の意思決定プロセスの抜本的見直し
・政府組織設置に関し、法律事項から政令事項へ
・道州制を見据え地方自治体の首長が議員を兼職する院を模索(国と地方の協議の場の昇華)
・条例の上書き権(憲法94条の改正)
・地方財政計画制度・地方交付税制度の廃止・消費税の地方税化と地方間財政調整制度
自治体破綻制度の創設・都市間競争に対応できる多様な大都市制度=大阪都構想・道州制が最終形

2.財政・行政・政治改革~スリムで機動的な政府へ~
【理念・実現のための大きな枠組み】
・役人が普通のビジネス感覚で仕事ができる環境の実現
・簡素、効率的な国会制度、政府組織・首相が年に100日は海外に行ける国会運営・持続可能な小さな政府
【基本方針】
・大阪府・市方式の徹底した行財政改革・外郭団体、特別会計の徹底見直し
・無駄な公共事業の復活阻止・密室の談合を排した行政プロセスの可視化
行政のNPO化、バウチャー化→行政サービスの主体を切磋琢磨させる・国会、政府組織の徹底したICT化
・プライマリーバランス黒字化の目標設定
国民総背番号制の導入・歳入庁の創設
・衆議院の議員数を240人に削減・議員スタッフ機能の強化・歳費その他の経費の3割削減
・企業・団体献金の禁止、政治資金規正法の抜本改革(全ての領収書を公開)・政党交付金の3割削減
・地域政党を認める法制度・ネットを利用した選挙活動の解禁

3.公務員制度改革~官民を超えて活躍できる政策専門家へ~
【理念・実現のための大きな枠組み】

・公務員を身分から職業へ・倒産のリスクがない以上、人材流動化制度の強化・省益のためでなく国民全体のために働く行政組織・厳しくとも公の仕事を望むなら公務員に
【基本方針】
・大阪府・市の公務員制度改革(頑張ったものは報われる、能力、実績主義、職位に見合った給料)を国に広げる
・官民給与比較手法(総額比較)の抜本的改正、人事院制度の廃止
・地方公務員も含めた公務員の総人件費削減・大阪府・市職員基本条例をさらに発展、法制化
・公務員の強固な身分保障の廃止・内閣による人事権の一元化・内閣による公務員採用の一元化
・社会人中途採用を基本・採用試験の抜本的見直し・任期付を原則とする等官民の人材流動化を強化
・管理職の内外公募制・大胆な政治任用制度(次官、局長級幹部の政治任用)・年齢・在職年数によらない職務給制度・任期付の場合には民間に劣らない給与・処遇・若手時代は官庁間異動を原則
・公務員労働組合の選挙活動の総点検・公務員の関係首長選挙活動の制限・国家公務員制度に合わせて地方公務員制度も抜本的改革

4.教育改革~世界水準の教育復活へ~
【理念・実現のための大きな枠組み】
・自立する国家、自立する地域を担う自立する個人を育てる・基礎学力を底上げしグローバル人材を育成
・格差を世代間で固定化させないために、世界最高水準の教育を限りなく無償で提供する
あしき平等・画一主義から脱却し、理解ができない子どもには徹底的にサポートし、理解できる子どもはぐんぐん伸ばす、個人の能力を真に伸ばす教育ヘ・教育行政機関主導から生徒・保護者主導へ
【基本方針】
・文科省を頂点とするピラミッド型教育行政から地方分権型教育行政
教育委員会制度の廃止(首長に権限と責任を持たせ、第三者機関で監視)、教育行政制度について自治体の選択制
・生徒・保護者による公公間、公私間学校選択の保障・選択のための学校情報開示の徹底
・公立学校長の権限の拡大・強化、校長公募など、学校マネジメントの確立・学校を、学長・校長を長とする普通の組織にする

・国立大学長の権限拡大・強化、大学マネジメントの確立・世界標準の英語教育と海外留学支援、最先端を行くICT教育環境
・教育バウチャー(クーポン)制度の導入=教育機会を拡大するとともに教育機関の切磋琢磨を促す
・校長・教頭等の人材確保のための適正な給与、教諭の定期昇給は一定在職年数まで・教員を雑務から解放し教育に専念させる・教員は幅広い学部出身者と社会人から実力重視で採用
・障害者教育の充実・大学入試改革を通じた教育改革・高度人材養成機関としての大学院の質向上と選抜性強化
・大阪府・市の教育関連条例をさらに発展、法制化・教職員労働組合の活動の総点検

5.社会保障制度改革~真の弱者支援に徹し持続可能な制度へ~
【理念・実現のための大きな枠組み】

真の弱者を徹底的に支援・自立する個人を増やすことにより支える側を増やす
・個人のチャレンジを促進し、切磋琢磨をサポートする社会保障・若年層を含む現役世代を活性化させる社会保障
・負の所得税(努力に応じた所得)・ベーシックインカム(最低生活保障)的な考え方を導入=課税後所得の一定額を最低生活保障とみなす=この部分は新たな財源による給付ではない
・持続可能な制度・世代間・世代内不公平の解消・受益と負担の明確化・供給サイドヘの税投入よりも受益サイドヘの直接の税投入を重視(社会保障のバウチャー化)→供給サイドを切磋琢磨させ社会保障の充実を通じて新規事業・雇用を創出

【基本方針】
・自助、共助、公助の役割分担を明確化・社会保障給付費の合理化・効率化
・(給付費の効率化には限界があるので)高負担社会に備え積立方式を導入・生活保護世帯と低所得世帯の不公平の是正
・(1)努力に応じた、(2)現物支給中心の、最低生活保障制度を創設
・所得と資産の合算で最低生活保障・所得と資産のある個人への社会保障給付制限・(受益と負担の関係を明らかにするため)提供サービスをフルコストで計算・社会保険への過度な税投入を是正、保険料の減免で対応

[年金]・年金一元化、賦課方式から積み立て方式(+過去債務清算)に長期的に移行・年金清算事業団方式による過去債務整理
・高齢者はフローの所得と資産でまずは生活維持(自助)・国民総背番号制で所得・資産(フロー・ストック)を完全把握・歳入庁の創設
[生活保護]・高齢者・障害者サポートと現役世代サポートの区分け・現物支給中心の生活保護費・支給基準の見直し
・現役世代は就労支援を含む自立支援策の実践の義務化・有期制(一定期間で再審査)
・医療扶助の自己負担制の導入・被保護者を担当する登録医制度・受給認定は国の責任で
[医療保険・介護保険]・医療保険の一元化・公的保険の範囲を見直し混合診療を完全解禁
・高コスト体質、補助金依存体質の改善・公的医療保険給付の重症患者への重点化(軽症患者の自己負担増)

6.経済政策・雇用政策・税制~未来への希望の再構築~
~経済政策~
【理念、基本方針】

・実経済政策・金融政策(マクロ経済政策)・社会保障改革・財政再建策のパッケージ・実経済政策は競争力強化
・国・自治体・都市の競争力強化・競争力を重視する自由経済・競争力強化のためのインフラ整備・産業の淘汰を真正面から受け止める産業構造の転換・グローバル化する知識経済に適応できる産業構造への転換
・自由貿易圏の拡大・国民利益のために既得権益と闘う成長戦略(成長を阻害する要因を徹底して取り除く)
・イノベーション促進のための徹底した規制改革・付加価値創出による内需連関・供給サイドの競争力強化による質的向上=額(量)だけでなく質の需給ギャップも埋める
・新エネルギー政策を含めた成熟した先進国経済モデルの構築
・TPP参加、FTA拡大
・為替レートに左右されない産業構造・貿易収支の黒字重視一辺倒から所得収支、サービス収支の黒字化重視戦略・高付加価値製造業の国内拠点化・先進国をリードする脱原発依存体制の構築

~雇用政策~
【理念、基本方針】

・民民、官民人材の流動化の強化徹底した就労支援と解雇規制の緩和を含む労働市場の流動化(衰退産業から成長産業への人材移動を支援)・ニーズのない雇用を税で無理やり創出しない・社会保障のバウチャー化を通じた新規事業・雇用の創出(再掲)・国内サービス産業の拡大(=ボリュームゾーンの雇用拡大)
・正規雇用、非正規雇用の格差是正(=同一労働同一賃金の実現、非正規雇用の雇用保護、社会保障強化)
・新規学卒者一括採用と中途採用の区分撤廃の奨励・グローバル人材の育成・外国人人材、女性労働力(→保育政策の充実へ)の活用・ワークライフバランスの実現

~税制~
【理念、基本方針】

・簡素、公平、中立から簡素、公平、活力の税制へ・少子高齢化に対応→フロー課税だけでなく資産課税も重視
・フローを制約しない税制(官がお金を集めて使うより民間でお金を回す仕組み)・グローバル経済に対応
・成長のための税制、消費、投資を促す税制・受益(総支出)と負担(総収入)のバランス・負の所得税
・ベーシックインカム的な考え方を導入(再掲)・超簡素な税制=フラットタックス化・所得課税、消費課税、資産課税のバランス

7.外交・防衛~主権・平和・国益を守る万全の備えを~
【理念、実現のための大きな枠組み】

・世界の平和と繁栄に貢献する外交政策
・日本の主権と領土を自力で守る防衛力と政策の整備
・日米同盟を基軸とし、自由と民主主義を守る国々との連携を強化
・日本の生存に必要な資源を国際協調の下に確保
【基本方針】
日本全体で沖縄負担の軽減を図るさらなるロードマップの作成・国連PKOなどの国際平和活動への参加を強化
・自由で開かれた経済ネットワークの構築・豪、韓国との関係強化
・平等互恵と法の支配を前提とする、中国、ロシアとの戦略的互恵関係の強化・ロシアとの間で北方領土交渉を推進
・ODAの継続的低下に歯止めをかけ、積極的な対外支援策に転換・外交安全保障の長期戦略を研究、立案、討議するための外交安全保障会議の創設・学術や文化交流の積極化と人材育成、外国研究体制の拡充・外国人への土地売却規制その他安全保障上の視点からの外国人規制

8.憲法改正~決定できる統治機構の本格的再構築~
・憲法改正発議要件(96条)を3分の2から2分の1に・首相公選制(再掲)
・首相公選制と親和性のある議院制=参議院の廃止も視野に入れた抜本的改革・衆議院の優位性の強化(再掲)
・地方の条例制定権の自立(上書き権)(「基本法」の範囲内で条例制定)憲法94条の改正
憲法9条を変えるか否かの国民投票

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維新、衆院選350人擁立へ
 橋下氏。「政治的決定をやる以上は、(衆院選で単独)過半数を目指す」
 「地方で何かをやろうとしてもすべて永田町や霞が関の壁にぶつかってしまう。地方の自立を促すためには国の根っこの部分を変えていく」
「国と地方のあるべき姿を目指すために国政政党に一歩踏み出したい」
 「大阪都」構想を巡り、「(関連)法は成立したが、まだまだ不十分。目指していた大阪都とは非なるもので、法律改正を考えないといけない」( 読売)
維新国政進出 やはり「橋下頼み」 発言ぶれ、組織動揺(毎日)

2012年9月8日土曜日

オスプレイの配備に反対する9・9沖縄県民大会

 
 
 
大会決議(案)
我々は、本日、日米両政府による垂直離着陸輸送機MV22 オスプレイ強行配備に対し、怒りを込めて抗議し、その撤回を求めるためにここに集まった。
 沖縄県民は、米軍基地の存在ゆえに幾多の基地被害をこうむり、1972 年の復帰後だけでも、米軍人等の刑法犯罪件数が6,000 件近くに上るなど、米軍による事件・事故、騒音被害も後を絶たない状況である。

1995 年9月に、米海兵隊員3人による少女暴行事件が起こり、同年10 月には事件に抗議する県民総決起大会が行われ、8万5千人もの県民が参加し、米軍に対する怒りと抗議の声を上げた。県民の強い抗議の声に押され、日米両政府は、1996 年の日米特別行動委員会(SACO)により米軍普天間基地の全面返還の合意を行った。

しかし、合意から16 年たった今日なお、米軍普天間基地は市街地の真ん中に居座り続け、県民の生命・財産を脅かしている。そのような中、日米両政府は、この危険な米軍普天間基地に「構造的欠陥機」であるオスプレイを配備すると通告し、既に山口県岩国基地に陸揚げがなされている。
 さらに、オスプレイは米軍普天間基地のみでなく、嘉手納基地や北部訓練場など、沖縄全域で訓練と運用を実施することが明らかとなっており、騒音や墜落などの危険により、県民の不安と怒りはかつてないほど高まっている。

オスプレイは開発段階から事故をくり返し、多数に上る死者を出し、今年に入ってからもモロッコやフロリダ州で墜落事故を起こしている構造的欠陥機であることは、専門家も指摘しているところであり、安全性が確認できないオスプレイ配備は、到底容認できるものではない。
 沖縄県民はこれ以上の基地負担を断固として拒否する。そして県民の声を政府が無視するのであれば、我々は、基地反対の県民の総意をまとめ上げていくことを表明するものである。

日米両政府は、我々県民のオスプレイ配備反対の不退転の決意を真摯に受け止め、オスプレイ配備計画を直ちに撤回し、同時に米軍普天間基地を閉鎖・撤去するよう強く要求する。
 以上、決議する。

2012年9月9日
オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会
 
(詳しい情報は、no osprey沖縄県民大会事務局まで)
 
・・・
 
オスプレイ 後方気流「設計の問題」
「・・・米国防総省が・・・事故原因に挙げた後方気流について2000年当時に「両翼に回転翼が設置されたオスプレイ固有の設計上の問題」と指摘されていたことが分かった。再発防止のための試験評価プログラムが実施されたにもかかわらず、1年半後に海兵隊と製造元のベル・ボーイング社が「問題なし」と判断して中止していたことも分かった・・・」(琉球新報、9/6)
司令官の虚偽説明 報道操作は許されない(琉球新報、9/5)
「・・・第3海兵遠征軍司令官で在沖米四軍調整官のケネス・グラック氏は共同通信のインタビューで「(普天間飛行場周辺の)人口密集地上空をヘリモードでは飛ばない。保証する」と断言していたが、そのことを否定する事実が海兵隊の文書に記されていた。
 普天間飛行場配備に向けた環境審査書には飛行場の南端から約5キロ地点で転換モードに入り、飛行場の914メートル手前でヘリモードで飛行することが図とともに明記されている。「タッチ・アンド・ゴー」の訓練では1817メートル離れた場所で、すでにヘリモード飛行に入っている。いずれも住宅密集地上空だ・・・」(琉球新報、9/5)

2012年9月6日木曜日

福島と生きる ~国際NGOと市民運動の新たな挑戦




 校正作業もようやく終わり、9月下旬に書店に並ぶ運びとなった
 10月8日と11月4日には、東京と福島で出版記念イベントを行う予定である。
 版元の新評論のPR誌に書いた一文を改めて掲載し、本の紹介をさせて頂こうと思う。
 
・・
 「三・一一」から丸一年を迎えた日本社会をさして、「無関心の暗闇」が支配していると評した人がいた。
 その通りだと思った。
 「暗闇」は、ロンドン五輪の興奮を経て、本書が書店に並ぶ秋口頃には一段と深まっているにちがいない。
 私たちはそのことを十分に自覚している。それでもなお本書を世に問おうとするのは、東日本大震災と原子力大惨事に見舞われた複合惨事後の日本社会が〈福島〉に試されていると考えるからである。 
 本書は、「無関心の暗闇」に抗いながら、福島から各地へ向かい活動する市民・農民運動家と、各地から福島へと向かう国際NGOや個人の活動の記録である。
 そこに映し出されているのは、福島の市民・農民運動と国際NGOが交差する、十字路の風景である。「十字路」は南相馬、いわき、渡利(福島市)、郡山、二本松、三春にある。本書で取り上げることができなかった会津地方にも、もちろんある。

 本書の第Ⅰ部「福島の声」に耳をすませていただきたい。読者は〈福島〉の現実についてまだまだ知らない、知らされていないことがたくさんあることに息をのみ、驚くことだろう。
 第Ⅱ部の「福島とともに」では、今回の複合惨事を通じて初めて日本での支援活動を行うことになった国際NGOの苦闘や葛藤の軌跡とともに、現場で得た貴重な教訓などが紹介されている。NGO関係者必読である。

 福島と生きることが、ある種の覚悟を強いることを私たちは知っている。
 と同時に私たちは、〈福島〉と向き合い続け、福島とどう生きるかを真剣に考える以外に選択肢がないことも知っている。
 それが「複合惨事後」社会を生きる私たちが未来世代に負ってしまった責任なのだと考えている。
 「無関心の暗闇」の中で、「十字路」は確実に日本各地、世界へと広がっている。
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執筆者 
猪瀬浩平 明治学院大学教員
黒田節子 原発いらない福島の女たち
小松豊明 シャプラニール=市民による海外協力の会
菅野正寿 福島県有機農業ネットワーク
竹内俊之 国際協力NGOセンター(JANIC)
谷山博史・谷山由子 日本国際ボランティアセンター(JVC) 
橋本俊彦 自然医学放射線防護情報室
原田麻以 NPO法人インフォメーションセンター
満田夏花 FoE Japan
吉野裕之 子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク

編著者
中野憲志 先住民族・第四世界研究
藤岡美恵子 法政大学大学院非常勤講師、〈NGOと社会〉の会代表
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 私の小論の冒頭部分のみお見せしよう。
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境界を超え、運動と支援を未来につなげる
~複合惨事後社会とNGOの役割


 原発の「安全・安心」はもとより、エネルギー政策にせよ、三・一一クラスの地震・津波に備える防災対策から「復興」の中身にせよ、これまで通りの政策と意思決定のあり方を根本から変えなければ、きっとまた同じことが起こってしまう。今回が日本を変える最後のチャンスになるかもしれない―――。
 三・一一直後、大震災がもたらした破壊的被害の甚大さに言葉を失くしながら、私たちの多くは本気でこのように考えていたように思う。 今ではもう遠い昔のようにも思えてくるが、当時、追悼と追憶とともにこの国の未来を案じる何とも神妙な空気が日本中に漂っていた記憶がある。
 ところが、「文明論的転換」「戦後社会の抜本的見直し」までもが飛び交っていた三・一一直後の神妙な空気は、その後急速にしぼんでゆく。そしてやがて、「三・一一事態」を招いた者たちの政治・行政・法的責任を不問にし、被災・被ばく者、「自主避難」者を置き去りにしたまま、どこか「のっぺりとした空気」が日本社会を包み込むようになる。

 三・一一後しばらく続いたあの空気と、ロンドン五輪直近の今のこの空気の落差は、あまりに大きい。日本は「三・一一事態を二度とくり返さない社会」を構想するどころか、「国民主権」の否定の上に成り立ってきた三・一一以前的な官僚主権国家へと舞い戻ってしまったかのようだ。
 「こんなことは許せないし、許されてよいはずがない」と思う。 なのに、許されている。
 主権者や地域住民の多数派の意思を行政府が反映していないにもかかわらず、大震災と原発惨事の複合惨事後の市民社会が国や自治体が打ち出す個々の政策の立案・決定過程から構造的に排除され、その意思を政策に反映させることができないでいる。 行政府が、主要政党が打ち出す諸々の政策を変えるだけのパワーを私たちが持たないからである。

 この状況を変え、「戦後への回帰」ではなく、〈複合惨事後〉と呼ぶに値する社会をここから創りあげるためには、私たちにはもっとパワーが必要だ。そのために国際NGO(以下、NGO)にできること、しなければならないことを考えてみたい・・・。
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「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「シンポジウム 「原発災害・復興支援・NGO~現場の活動を通してみえてきたもの、その成果と課題」(2011, 10/31)

「介入の政治」と覇権主義を超えて- 〈 NGOと社会〉の会ニューズレター最新号より

 〈 NGOと社会〉の会のニューズレター最新号が完成した。最新号のテーマは、今年の連続シンポジウムのタイトル、「イスラーム社会の変革の胎動とNGO--「イスラーム的価値」の社会的実践から学ぶ」である。新評論のトップページに紹介されているので、興味のある人は読んでいただければと思う。(バックナンバーは 〈 NGOと社会〉の会のページから閲覧できる)
 以下、最新号に書いた拙文を紹介しておこう。
・・・

「介入の政治」と覇権主義を超えて
中野憲志(先住民族・第四世界研究)

〈脱「国際協力」論の基底にあるもの〉
  数ある開発理論の中に、そこに住む人々の権利と自己決定を起点に社会とその発展のビジョンを構想するという方法論がある(rights-based approach)。その基本にあるのは、開発プロジェクトをある地域で行う場合には、そこで生きる人々の特定の民族的・文化的アイデンティティと価値観に基づきながら、人々の集団的・個人的権利が保障されなければならない、という考え方である。
 一言で言えば、開発にあたり国家や企業はそこで生きている人々の〈人間としての尊厳〉を守る法的な責任と義務を負うという、厳格なる開発規制論だと言ってよい。

 しかし支配的な開発パラダイムは、いまだに経済成長主義に貫かれていると同時に人々の権利と尊厳を踏みにじるものになっている。そのような「開発」や「国際協力」なるものを、人々とともに在るべきNGOが支持するというのはおかしいのではないか?
 これが私たちの問題提起なのだが、NGOの世界でこの考え方が主流になるには、まだまだ長い年月がかかりそうだ。新世代の研究者やNGOスタッフによって支配的な開発パラダイムに対する批判的な検証と議論が継続されてゆくことを私たちは強く期待している。

〈内発的発展論と「土に根差した信仰/宗教」〉
 社会学者の鶴見和子は『内発的発展論の展開』(筑摩書房)の中で「後発国の内発的発展を論じるとき、植民地化その他の理由によって、伝統が断絶もしくは著しく変形された場合は、なにをよりどころとして内発性を表出するのか」(206頁)という問いを提出した。

 この鶴見の問いかけに対する答えを、私たちはすでに持っている。「伝統」は実際には破壊しつくされることなく、口承・伝承によって人々の記憶に残っており、その復元と再生は可能であること、そして「よりどころ」とすべきはその土地に根差した信仰/宗教に基づく価値観/世界観/宇宙観であること等々である。開発理論において、人々の権利保障を最も重視するアプローチとともに、信仰/宗教に重きを置くそれ(faith-based approach)が議論される背景がここにある。

 〈なぜ今、イスラーム的価値か?〉
 「植民地化」が今も続く「後発国」や地域において、たとえ慎ましくとも人々が互いに分かち合い「良く生きる」ための「よりどころ」は、人々の「心」に宿る信仰/宗教をおいて他にありえない。しかし、経済成長主義は人間の「魂」の成長を忘れ、西洋的価値に基づく「開発」モデルと外部からの「介入の政治」は、一定の均衡を保ちながらその地域の中で共存してきた様々な信仰/宗教的関係を撹乱し、異宗教間の対立や宗派間の紛争を引き起こしてきた。

 では、日本の「開発援助」や「人道支援」「平和構築」はどうなのか? それらは様々な人種と民族、宗教に生きる人々の権利や信仰、尊厳をどこまで守ろうとしてきたのか?こうした課題意識の下で、今では人類の5分の1を占め、しかも「テロとの戦い」や「人道的介入」のターゲットになってきたイスラーム社会と、そこでの「イスラームの教えに基づくプロジェクト」に焦点をあてたいと考えた。 
 イスラーム社会の多様性とイスラームの社会的実践を学ぶことは、「人道的介入」を乗り越え、イスラーム社会と私たちがつながるためのヒントを与えてくれるに違いない。

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 「保護する責任」の名によるシリアに対するNATOの軍事介入が迫っている。シナリオはアフガニスタン、イラク、リビアに続く政権転覆である。そのシナリオに沿って、ユダヤ-キリスト教社会を拠点とする国際NGOが「人権の普遍主義」を掲げ、「介入せよ!」と叫んでいる。
 聖なるものと俗なるものとの間には、互いに超えてはならぬ境界がある――。
 おそらくこれが、政治と宗教が複雑に錯綜しつつ展開される戦争/内戦に対して、特定の信仰を持たない者が言えるギリギリの境界なのではないか。その境界を侵犯し、殺戮をくり返した宗教改革=戦争の愚かさの自覚が、西洋近代が定義する「教養=人文」の基礎たるべき〈知〉というものなのだろう。だとしたら、現代世界の〈知〉は愚かさの極致に向かって退行していると言えそうだ。

 レシャード氏が語った「政府の歯車」と化した「未熟なNGO」が成熟するために必要なのは、「境界を侵犯することの愚かさを知る教養」なのかもしれない。今の大学にそれを望むことができるだろうか。できないとしたら、私たちには「民衆(peoples)の平和をめざす運動」の中で〈教養〉を身につけるしかなさそうである (〈NGOと社会〉の会NL9号 「編集後記」より)

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【〈NGOと社会〉の会 2012年連続シンポジウム】
イスラーム社会の変革の胎動とNGO~「イスラーム的価値」の社会的実践から学ぶ~

■第二回■ イスラーム社会のNGO~その多様性と実践に学ぶ

□日時: 10月27日(土) 午後2時~5時半
□場所: 法政大学市ヶ谷キャンパス 58年館5階 856教室
□発題:
・「イスラーム社会における「市民社会」の台頭:その特徴とパレスチナ問題への影響
  イヤース・サリーム(パレスチナ・ガザ地区出身。元中部大学講師/同志社大学大学院博士課程)
・「イスラーム的慈善制度とは何か
  子島進(東洋大学教員)
・ 「ムスレムNGOに日本のNGOができること
  長谷部貴俊(日本国際ボランティアセンター[JVC] 事務局長 )

【講演者紹介】
○イヤース・サリーム
パレスチナ・ガザ地区出身。国際援助ワーカーとして10年以上の経験を持つ。現在、トルコを中心としたイスラーム社会におけるNGOの研究を行っている。
○子島進(ねじま すすむ)
文化人類学、南アジア地域研究、イスラームと開発をめぐる問題を中心に研究。イスラーム的な価値観に根ざしたNGO活動に関心をもつ。東洋大学准教授。著書に『現代パキスタン分析―民族・国民・国家』(岩波書店、2004年。共著)など。
○長谷部貴俊(はせべ たかとし)
日本国際ボランティアセンター(JVC)事務局長。


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「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「「保護する責任」(R2P)に関するヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)への質問状と回答: 解説 」(2011, 12/14)
⇒「〈リビア以後〉の「保護する責任」にNO!と言う責任~「北朝鮮における『人道に対する罪』を止める国際NGO連合」をめぐって」(2011, 12/1)
⇒「ヒューマンライツ・ウォッチ(HRW)とオクスファム(Oxfam)が理解できていないこと」(2011, 2/24)

9・22「福島原発告訴団全国集会」(いわき市)

9・22「福島原発告訴団全国集会」(いわき市)

8月1日、福島地検は私たちの告訴状を受理し、東電経営陣らの刑事責任について、捜査を始めました。
また、11月の第2次告訴に向かって、全国各地での取り組みも進められています。
これから適正な捜査と立件が行われるよう、全国の皆さんと、意識と運動の共有をはかりたいと思います。
「福島原発の現状と危険性」及び「原子力ムラの犯罪性」を再確認し、告訴団弁護士とともに、検察の捜査を進捗させていくため、「これから私たちができること」を考えましょう。


■日時 9月22日(土) 13:30~16:30(13:00開場)
■入場 資料代500円
■会場 いわき市文化センター4階大会議室
     (いわき市平字堂根町1-4 ℡0246-22-5431)
■集会の内容
講演 『福島原発の現状と危険性』  たんぽぽ舎・山崎久隆さん
お話 保田行雄弁護士
    河合弘之弁護士
    海渡雄一弁護士(予定)
■主催 福島原発告訴団
■連絡先
メール:1fkokuso★gmail.com(★を@にかえてください)
TEL:080-5739-7279
FAX:0242-85-8006
同日開催
10:00~12:00 ドキュメンタリー映画 『主権在民』完成試写会
16:45~17:30 いわき市内デモ行進

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フランス:原発で水蒸気爆発…作業員2人やけど(毎日)
「・・・ フッセンハイム原発は77年に運転開始した仏国内最古の原発で、老朽化による安全面の不安からオランド大統領が任期中の閉鎖を公約している。今年4月にも機械室の冷却装置から出火する小規模な火災があった・・・」
福島第1原発の一部で停電 正門などで5時間以上(9/5 共同)
経済産業省原子力安全・保安院。「原子炉への注水など安全上重要な設備に影響はなかった。重大なことは起きていないと認識している」
原子力規制委の概算要求817億円 安全強化へ7割増
 原子力行政の安全規制などを担う原子力規制委員会の予算要求の内容が分かった。2013年度の概算要求額は817億円。規制委が業務を引き継ぐ原子力安全委員会などの12年度の当初予算を約7割上回る規模だ。国と自治体との緊急連絡網の増強、放射線測定器の充実など安全や防災対策に重点を置く。
 一般会計で78億円、特別会計で739億円を計上する。12年度当初予算は計485億円だった。 最大の力点は防災対策だ。緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の維持管理費や除染テントの配備などに使う自治体向けの交付金は171億円で、12年度予算に比べ約2倍の額を要求する。原発の過酷事故(シビアクシデント)への新対策の研究費用は新規事業として11億円を盛り込む。 
 原子炉の専門家を養成する「国際原子力安全研修院」の設立準備費など人材育成の関連で10億円超、国際原子力機関(IAEA)への拠出金など国際連携を強化する関連では約30億円をそれぞれ要求する。
 規制委は19日にも発足する見通しだ。委員になるには国会の同意が必要だが、今国会では同意が得られない可能性が高まっている。これまでのところ11日の閣議で設置法の施行日を決めた後、野田佳彦首相の権限で委員長らを任命する段取りが有力になっている。 
 首相が任命した場合、次の国会で同意を得るのが原則。ただ、政府が原子力災害対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令している段階なら、同意を得なくても済む。緊急事態宣言は発令中で、解除の見通しは立っていない。国会の同意を得ないまま規制委が始動しても「委員長や委員の判断の信頼性が傷つく恐れはある」(内閣官房)との声も出ている。 (日経)