日本維新の会の「維新八策」を読む
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「近いうち」に行われるはずの、次の衆院選に向け、橋下徹大阪市長を代表とする新党「日本維新の会」が結成され、その「公約」としての「維新八策」が発表された。(→橋下氏によると「維新八策」は公約ではないのだそうだ。じゃ、ナンダコレハ?)
・・
維新八策の骨子
1. 統治機構の作り直し ~決定でき、責任を負う統治の仕組みへ~
2. 財政・行政・政治改革 ~スリムで機動的な政府へ~
3. 公務員制度改革 ~官民を超えて活躍できる政策専門家へ~
4. 教育改革 ~世界水準の教育復活へ~
5. 社会保障制度改革 ~真の弱者支援に徹し持続可能な制度へ~
6. 経済政策・雇用政策・税制 ~未来への希望の再構築~
7. 外交・防衛 ~主権・平和・国益を守る万全の備えを~
8. 憲法改正 ~決定できる統治機構の本格的再構築~
・・
「維新八策」の基本的理念は、「中央集権から地方分権へ」と、結局のところ政権交代によっても民主党が実現できなかった「官僚主導から政治主導へ」の二つを柱にしている。
これらに、公共政策における市場・競争原理導入、規制緩和、「小さな政府」など、「小泉改革」でおなじみの新自由主義的政策概念が彩りを与える格好になっている。
その意味では、国民政党としての日本維新の会とは、「未完の小泉改革」の完遂をめざし、それにあたって官僚主導からの脱却をはかれなかった民主党を反面教師とする、非常に保守色が際立った政党、と定義することもできる。 日本ではじめて登場した、政権奪取が展望できる「日本型ネオ・コン政党」と言えるかもしれない。
ところで、「維新八策」に疑問をいだいたり、矛盾を感じる人はかなり多いのではないか。
たとえば、「八策」のすべてが改憲か現行法の改定を必要とするので、仮に維新の会が政権交代を実現したとしても、「八策」が「絵に描いた餅」になる可能性が強い。
改憲を阻んでいるのは、最大の「護憲勢力」たる官僚機構である。その官僚機構の巻き返しに翻弄され続けてきた民主党の敗北を、維新の会はどう総括するのか。難問である。
あるいは、道州制はどうか。「大阪都」以前に、東京都と首都圏の行政的区割りをどうするのかの議論抜きに、道州制への移行などありえない。それを阻んでいるのも中央官庁である。これもかなり深刻な問題だ。
つまり、問題意識は理解できても、「八策」のそれぞれを実現する具体的な方法論や回路が見えてこないのだ。衆参両院で多数派を握り、「ねじれ国会」を克服すればそれでカタがつく、そんな生易しい問題ではない。 それを思うにつけ、民主党の改革路線がなぜ破たんしたのか、その総括がますます重要になってくるように思う。
「終わった」はずの野田政権は、「居座りつづける政権」になろうとしている観もあるが、いずれにしてももはや寿命は尽きている。
あっけないほど短命に終わった民主党の敗北を目撃してしまった以上、橋下流「地方分権」「官から政へ」路線に、そう楽観的にはなれそうにない。
(つづく)
・・・
資料: 「日本維新の会 維新八策」
日本再生のためのグレートリセット
これまでの社会システムをリセット、そして再構築
給付型公約から改革型公約ヘ
~今の日本、皆さんにリンゴを与えることはできません。リンゴのなる木の土を耕し直します~
大阪維新の会
維新が目指す国家像
大阪維新の会の理念は、個人の自由な選択と多様な価値観を認め合う社会を前提に、
・自立する個人
・自立する地域
・自立する国家を実現することです。
そのためには、国民全員に開かれた機会の平等を出発点として自助、共助、公助の範囲と役割を明確にすること、公助から既得権を排し真の弱者支援に徹すること、そして現役世代を活性化し、世代間の協力関係を再構築することが必要です。 多様な価値観を認めれば認めるほど
・決定でき、責任を負う民主主義
・決定でき、責任を負う統治機構を確立しなければなりません。
中央集権と複雑な規制で身動きが取れなくなった旧来の日本型国家運営モデルは、もはや機能せず、弊害の方が目立つようになっています。今の日本を覆う閉塞感を克服し、国民の希望を取り戻すには、国からの上意下達ではなく、地域や個人の創意工夫によって社会全体を活性化し、グローバルな競争力を持つ経済を再構築する必要があります。そのためには国民の総努力が必要です。大阪維新の会の理念を実現するために、維新八策を提案する。
1.統治機構の作り直し~決定でき、責任を負う統治の仕組みへ~
【理念・実現のための大きな枠組み】
・中央集権型国家から地方分権型国家へ
・難問を先送りせず決定できる統治機構
・自治体の自立・責任・切磋琢磨(せっさたくま)
・国の役割を絞り込み、人的物的資源を集中させ外交・安全保障・マクロ経済政策など国家機能を強化する
・内政は地方・都市の自立的経営に任せる
・国の仕事は国の財布で、地方の仕事は地方の財布で・倒産のリスクを背負う自治体運営
・国と地方の融合型行政から分離型行政へ
【基本方針】
・首相公選制(人気投票的になることを防ぐ方法を措置)・現在の参議院廃止を視野に入れた衆議院優位の強化
・首相公選制とバランスのとれた議会制度・国会の意思決定プロセスの抜本的見直し
・政府組織設置に関し、法律事項から政令事項へ
・道州制を見据え地方自治体の首長が議員を兼職する院を模索(国と地方の協議の場の昇華)
・条例の上書き権(憲法94条の改正)
・地方財政計画制度・地方交付税制度の廃止・消費税の地方税化と地方間財政調整制度
・自治体破綻制度の創設・都市間競争に対応できる多様な大都市制度=大阪都構想・道州制が最終形
2.財政・行政・政治改革~スリムで機動的な政府へ~
【理念・実現のための大きな枠組み】
・役人が普通のビジネス感覚で仕事ができる環境の実現
・簡素、効率的な国会制度、政府組織・首相が年に100日は海外に行ける国会運営・持続可能な小さな政府
【基本方針】
・大阪府・市方式の徹底した行財政改革・外郭団体、特別会計の徹底見直し
・無駄な公共事業の復活阻止・密室の談合を排した行政プロセスの可視化
・行政のNPO化、バウチャー化→行政サービスの主体を切磋琢磨させる・国会、政府組織の徹底したICT化
・プライマリーバランス黒字化の目標設定
・国民総背番号制の導入・歳入庁の創設
・衆議院の議員数を240人に削減・議員スタッフ機能の強化・歳費その他の経費の3割削減
・企業・団体献金の禁止、政治資金規正法の抜本改革(全ての領収書を公開)・政党交付金の3割削減
・地域政党を認める法制度・ネットを利用した選挙活動の解禁
3.公務員制度改革~官民を超えて活躍できる政策専門家へ~
【理念・実現のための大きな枠組み】
・公務員を身分から職業へ・倒産のリスクがない以上、人材流動化制度の強化・省益のためでなく国民全体のために働く行政組織・厳しくとも公の仕事を望むなら公務員に
【基本方針】
・大阪府・市の公務員制度改革(頑張ったものは報われる、能力、実績主義、職位に見合った給料)を国に広げる
・官民給与比較手法(総額比較)の抜本的改正、人事院制度の廃止
・地方公務員も含めた公務員の総人件費削減・大阪府・市職員基本条例をさらに発展、法制化
・公務員の強固な身分保障の廃止・内閣による人事権の一元化・内閣による公務員採用の一元化
・社会人中途採用を基本・採用試験の抜本的見直し・任期付を原則とする等官民の人材流動化を強化
・管理職の内外公募制・大胆な政治任用制度(次官、局長級幹部の政治任用)・年齢・在職年数によらない職務給制度・任期付の場合には民間に劣らない給与・処遇・若手時代は官庁間異動を原則
・公務員労働組合の選挙活動の総点検・公務員の関係首長選挙活動の制限・国家公務員制度に合わせて地方公務員制度も抜本的改革
4.教育改革~世界水準の教育復活へ~
【理念・実現のための大きな枠組み】
・自立する国家、自立する地域を担う自立する個人を育てる・基礎学力を底上げしグローバル人材を育成
・格差を世代間で固定化させないために、世界最高水準の教育を限りなく無償で提供する
・あしき平等・画一主義から脱却し、理解ができない子どもには徹底的にサポートし、理解できる子どもはぐんぐん伸ばす、個人の能力を真に伸ばす教育ヘ・教育行政機関主導から生徒・保護者主導へ
【基本方針】
・文科省を頂点とするピラミッド型教育行政から地方分権型教育行政へ
・教育委員会制度の廃止(首長に権限と責任を持たせ、第三者機関で監視)、教育行政制度について自治体の選択制
・生徒・保護者による公公間、公私間学校選択の保障・選択のための学校情報開示の徹底
・公立学校長の権限の拡大・強化、校長公募など、学校マネジメントの確立・学校を、学長・校長を長とする普通の組織にする
・国立大学長の権限拡大・強化、大学マネジメントの確立・世界標準の英語教育と海外留学支援、最先端を行くICT教育環境
・教育バウチャー(クーポン)制度の導入=教育機会を拡大するとともに教育機関の切磋琢磨を促す
・校長・教頭等の人材確保のための適正な給与、教諭の定期昇給は一定在職年数まで・教員を雑務から解放し教育に専念させる・教員は幅広い学部出身者と社会人から実力重視で採用
・障害者教育の充実・大学入試改革を通じた教育改革・高度人材養成機関としての大学院の質向上と選抜性強化
・大阪府・市の教育関連条例をさらに発展、法制化・教職員労働組合の活動の総点検
5.社会保障制度改革~真の弱者支援に徹し持続可能な制度へ~
【理念・実現のための大きな枠組み】
・真の弱者を徹底的に支援・自立する個人を増やすことにより支える側を増やす
・個人のチャレンジを促進し、切磋琢磨をサポートする社会保障・若年層を含む現役世代を活性化させる社会保障
・負の所得税(努力に応じた所得)・ベーシックインカム(最低生活保障)的な考え方を導入=課税後所得の一定額を最低生活保障とみなす=この部分は新たな財源による給付ではない
・持続可能な制度・世代間・世代内不公平の解消・受益と負担の明確化・供給サイドヘの税投入よりも受益サイドヘの直接の税投入を重視(社会保障のバウチャー化)→供給サイドを切磋琢磨させ社会保障の充実を通じて新規事業・雇用を創出
【基本方針】
・自助、共助、公助の役割分担を明確化・社会保障給付費の合理化・効率化
・(給付費の効率化には限界があるので)高負担社会に備え積立方式を導入・生活保護世帯と低所得世帯の不公平の是正
・(1)努力に応じた、(2)現物支給中心の、最低生活保障制度を創設
・所得と資産の合算で最低生活保障・所得と資産のある個人への社会保障給付制限・(受益と負担の関係を明らかにするため)提供サービスをフルコストで計算・社会保険への過度な税投入を是正、保険料の減免で対応
[年金]・年金一元化、賦課方式から積み立て方式(+過去債務清算)に長期的に移行・年金清算事業団方式による過去債務整理
・高齢者はフローの所得と資産でまずは生活維持(自助)・国民総背番号制で所得・資産(フロー・ストック)を完全把握・歳入庁の創設
[生活保護]・高齢者・障害者サポートと現役世代サポートの区分け・現物支給中心の生活保護費・支給基準の見直し
・現役世代は就労支援を含む自立支援策の実践の義務化・有期制(一定期間で再審査)
・医療扶助の自己負担制の導入・被保護者を担当する登録医制度・受給認定は国の責任で
[医療保険・介護保険]・医療保険の一元化・公的保険の範囲を見直し混合診療を完全解禁
・高コスト体質、補助金依存体質の改善・公的医療保険給付の重症患者への重点化(軽症患者の自己負担増)
6.経済政策・雇用政策・税制~未来への希望の再構築~
~経済政策~
【理念、基本方針】
・実経済政策・金融政策(マクロ経済政策)・社会保障改革・財政再建策のパッケージ・実経済政策は競争力強化
・国・自治体・都市の競争力強化・競争力を重視する自由経済・競争力強化のためのインフラ整備・産業の淘汰を真正面から受け止める産業構造の転換・グローバル化する知識経済に適応できる産業構造への転換
・自由貿易圏の拡大・国民利益のために既得権益と闘う成長戦略(成長を阻害する要因を徹底して取り除く)
・イノベーション促進のための徹底した規制改革・付加価値創出による内需連関・供給サイドの競争力強化による質的向上=額(量)だけでなく質の需給ギャップも埋める
・新エネルギー政策を含めた成熟した先進国経済モデルの構築
・TPP参加、FTA拡大
・為替レートに左右されない産業構造・貿易収支の黒字重視一辺倒から所得収支、サービス収支の黒字化重視戦略・高付加価値製造業の国内拠点化・先進国をリードする脱原発依存体制の構築
~雇用政策~
【理念、基本方針】
・民民、官民人材の流動化の強化徹底した就労支援と解雇規制の緩和を含む労働市場の流動化(衰退産業から成長産業への人材移動を支援)・ニーズのない雇用を税で無理やり創出しない・社会保障のバウチャー化を通じた新規事業・雇用の創出(再掲)・国内サービス産業の拡大(=ボリュームゾーンの雇用拡大)
・正規雇用、非正規雇用の格差是正(=同一労働同一賃金の実現、非正規雇用の雇用保護、社会保障強化)
・新規学卒者一括採用と中途採用の区分撤廃の奨励・グローバル人材の育成・外国人人材、女性労働力(→保育政策の充実へ)の活用・ワークライフバランスの実現
~税制~
【理念、基本方針】
・簡素、公平、中立から簡素、公平、活力の税制へ・少子高齢化に対応→フロー課税だけでなく資産課税も重視
・フローを制約しない税制(官がお金を集めて使うより民間でお金を回す仕組み)・グローバル経済に対応
・成長のための税制、消費、投資を促す税制・受益(総支出)と負担(総収入)のバランス・負の所得税
・ベーシックインカム的な考え方を導入(再掲)・超簡素な税制=フラットタックス化・所得課税、消費課税、資産課税のバランス
7.外交・防衛~主権・平和・国益を守る万全の備えを~
【理念、実現のための大きな枠組み】
・世界の平和と繁栄に貢献する外交政策
・日本の主権と領土を自力で守る防衛力と政策の整備
・日米同盟を基軸とし、自由と民主主義を守る国々との連携を強化
・日本の生存に必要な資源を国際協調の下に確保
【基本方針】
・日本全体で沖縄負担の軽減を図るさらなるロードマップの作成・国連PKOなどの国際平和活動への参加を強化
・自由で開かれた経済ネットワークの構築・豪、韓国との関係強化
・平等互恵と法の支配を前提とする、中国、ロシアとの戦略的互恵関係の強化・ロシアとの間で北方領土交渉を推進
・ODAの継続的低下に歯止めをかけ、積極的な対外支援策に転換・外交安全保障の長期戦略を研究、立案、討議するための外交安全保障会議の創設・学術や文化交流の積極化と人材育成、外国研究体制の拡充・外国人への土地売却規制その他安全保障上の視点からの外国人規制
8.憲法改正~決定できる統治機構の本格的再構築~
・憲法改正発議要件(96条)を3分の2から2分の1に・首相公選制(再掲)
・首相公選制と親和性のある議院制=参議院の廃止も視野に入れた抜本的改革・衆議院の優位性の強化(再掲)
・地方の条例制定権の自立(上書き権)(「基本法」の範囲内で条例制定)憲法94条の改正
・憲法9条を変えるか否かの国民投票
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・維新、衆院選350人擁立へ
橋下氏。「政治的決定をやる以上は、(衆院選で単独)過半数を目指す」
「地方で何かをやろうとしてもすべて永田町や霞が関の壁にぶつかってしまう。地方の自立を促すためには国の根っこの部分を変えていく」
「国と地方のあるべき姿を目指すために国政政党に一歩踏み出したい」
「大阪都」構想を巡り、「(関連)法は成立したが、まだまだ不十分。目指していた大阪都とは非なるもので、法律改正を考えないといけない」( 読売)
・維新国政進出 やはり「橋下頼み」 発言ぶれ、組織動揺(毎日)
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「近いうち」に行われるはずの、次の衆院選に向け、橋下徹大阪市長を代表とする新党「日本維新の会」が結成され、その「公約」としての「維新八策」が発表された。(→橋下氏によると「維新八策」は公約ではないのだそうだ。じゃ、ナンダコレハ?)
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維新八策の骨子
1. 統治機構の作り直し ~決定でき、責任を負う統治の仕組みへ~
2. 財政・行政・政治改革 ~スリムで機動的な政府へ~
3. 公務員制度改革 ~官民を超えて活躍できる政策専門家へ~
4. 教育改革 ~世界水準の教育復活へ~
5. 社会保障制度改革 ~真の弱者支援に徹し持続可能な制度へ~
6. 経済政策・雇用政策・税制 ~未来への希望の再構築~
7. 外交・防衛 ~主権・平和・国益を守る万全の備えを~
8. 憲法改正 ~決定できる統治機構の本格的再構築~
・・
「維新八策」の基本的理念は、「中央集権から地方分権へ」と、結局のところ政権交代によっても民主党が実現できなかった「官僚主導から政治主導へ」の二つを柱にしている。
これらに、公共政策における市場・競争原理導入、規制緩和、「小さな政府」など、「小泉改革」でおなじみの新自由主義的政策概念が彩りを与える格好になっている。
その意味では、国民政党としての日本維新の会とは、「未完の小泉改革」の完遂をめざし、それにあたって官僚主導からの脱却をはかれなかった民主党を反面教師とする、非常に保守色が際立った政党、と定義することもできる。 日本ではじめて登場した、政権奪取が展望できる「日本型ネオ・コン政党」と言えるかもしれない。
ところで、「維新八策」に疑問をいだいたり、矛盾を感じる人はかなり多いのではないか。
たとえば、「八策」のすべてが改憲か現行法の改定を必要とするので、仮に維新の会が政権交代を実現したとしても、「八策」が「絵に描いた餅」になる可能性が強い。
改憲を阻んでいるのは、最大の「護憲勢力」たる官僚機構である。その官僚機構の巻き返しに翻弄され続けてきた民主党の敗北を、維新の会はどう総括するのか。難問である。
あるいは、道州制はどうか。「大阪都」以前に、東京都と首都圏の行政的区割りをどうするのかの議論抜きに、道州制への移行などありえない。それを阻んでいるのも中央官庁である。これもかなり深刻な問題だ。
つまり、問題意識は理解できても、「八策」のそれぞれを実現する具体的な方法論や回路が見えてこないのだ。衆参両院で多数派を握り、「ねじれ国会」を克服すればそれでカタがつく、そんな生易しい問題ではない。 それを思うにつけ、民主党の改革路線がなぜ破たんしたのか、その総括がますます重要になってくるように思う。
「終わった」はずの野田政権は、「居座りつづける政権」になろうとしている観もあるが、いずれにしてももはや寿命は尽きている。
あっけないほど短命に終わった民主党の敗北を目撃してしまった以上、橋下流「地方分権」「官から政へ」路線に、そう楽観的にはなれそうにない。
(つづく)
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資料: 「日本維新の会 維新八策」
日本再生のためのグレートリセット
これまでの社会システムをリセット、そして再構築
給付型公約から改革型公約ヘ
~今の日本、皆さんにリンゴを与えることはできません。リンゴのなる木の土を耕し直します~
大阪維新の会
維新が目指す国家像
大阪維新の会の理念は、個人の自由な選択と多様な価値観を認め合う社会を前提に、
・自立する個人
・自立する地域
・自立する国家を実現することです。
そのためには、国民全員に開かれた機会の平等を出発点として自助、共助、公助の範囲と役割を明確にすること、公助から既得権を排し真の弱者支援に徹すること、そして現役世代を活性化し、世代間の協力関係を再構築することが必要です。 多様な価値観を認めれば認めるほど
・決定でき、責任を負う民主主義
・決定でき、責任を負う統治機構を確立しなければなりません。
中央集権と複雑な規制で身動きが取れなくなった旧来の日本型国家運営モデルは、もはや機能せず、弊害の方が目立つようになっています。今の日本を覆う閉塞感を克服し、国民の希望を取り戻すには、国からの上意下達ではなく、地域や個人の創意工夫によって社会全体を活性化し、グローバルな競争力を持つ経済を再構築する必要があります。そのためには国民の総努力が必要です。大阪維新の会の理念を実現するために、維新八策を提案する。
1.統治機構の作り直し~決定でき、責任を負う統治の仕組みへ~
【理念・実現のための大きな枠組み】
・中央集権型国家から地方分権型国家へ
・難問を先送りせず決定できる統治機構
・自治体の自立・責任・切磋琢磨(せっさたくま)
・国の役割を絞り込み、人的物的資源を集中させ外交・安全保障・マクロ経済政策など国家機能を強化する
・内政は地方・都市の自立的経営に任せる
・国の仕事は国の財布で、地方の仕事は地方の財布で・倒産のリスクを背負う自治体運営
・国と地方の融合型行政から分離型行政へ
【基本方針】
・首相公選制(人気投票的になることを防ぐ方法を措置)・現在の参議院廃止を視野に入れた衆議院優位の強化
・首相公選制とバランスのとれた議会制度・国会の意思決定プロセスの抜本的見直し
・政府組織設置に関し、法律事項から政令事項へ
・道州制を見据え地方自治体の首長が議員を兼職する院を模索(国と地方の協議の場の昇華)
・条例の上書き権(憲法94条の改正)
・地方財政計画制度・地方交付税制度の廃止・消費税の地方税化と地方間財政調整制度
・自治体破綻制度の創設・都市間競争に対応できる多様な大都市制度=大阪都構想・道州制が最終形
2.財政・行政・政治改革~スリムで機動的な政府へ~
【理念・実現のための大きな枠組み】
・役人が普通のビジネス感覚で仕事ができる環境の実現
・簡素、効率的な国会制度、政府組織・首相が年に100日は海外に行ける国会運営・持続可能な小さな政府
【基本方針】
・大阪府・市方式の徹底した行財政改革・外郭団体、特別会計の徹底見直し
・無駄な公共事業の復活阻止・密室の談合を排した行政プロセスの可視化
・行政のNPO化、バウチャー化→行政サービスの主体を切磋琢磨させる・国会、政府組織の徹底したICT化
・プライマリーバランス黒字化の目標設定
・国民総背番号制の導入・歳入庁の創設
・衆議院の議員数を240人に削減・議員スタッフ機能の強化・歳費その他の経費の3割削減
・企業・団体献金の禁止、政治資金規正法の抜本改革(全ての領収書を公開)・政党交付金の3割削減
・地域政党を認める法制度・ネットを利用した選挙活動の解禁
3.公務員制度改革~官民を超えて活躍できる政策専門家へ~
【理念・実現のための大きな枠組み】
・公務員を身分から職業へ・倒産のリスクがない以上、人材流動化制度の強化・省益のためでなく国民全体のために働く行政組織・厳しくとも公の仕事を望むなら公務員に
【基本方針】
・大阪府・市の公務員制度改革(頑張ったものは報われる、能力、実績主義、職位に見合った給料)を国に広げる
・官民給与比較手法(総額比較)の抜本的改正、人事院制度の廃止
・地方公務員も含めた公務員の総人件費削減・大阪府・市職員基本条例をさらに発展、法制化
・公務員の強固な身分保障の廃止・内閣による人事権の一元化・内閣による公務員採用の一元化
・社会人中途採用を基本・採用試験の抜本的見直し・任期付を原則とする等官民の人材流動化を強化
・管理職の内外公募制・大胆な政治任用制度(次官、局長級幹部の政治任用)・年齢・在職年数によらない職務給制度・任期付の場合には民間に劣らない給与・処遇・若手時代は官庁間異動を原則
・公務員労働組合の選挙活動の総点検・公務員の関係首長選挙活動の制限・国家公務員制度に合わせて地方公務員制度も抜本的改革
4.教育改革~世界水準の教育復活へ~
【理念・実現のための大きな枠組み】
・自立する国家、自立する地域を担う自立する個人を育てる・基礎学力を底上げしグローバル人材を育成
・格差を世代間で固定化させないために、世界最高水準の教育を限りなく無償で提供する
・あしき平等・画一主義から脱却し、理解ができない子どもには徹底的にサポートし、理解できる子どもはぐんぐん伸ばす、個人の能力を真に伸ばす教育ヘ・教育行政機関主導から生徒・保護者主導へ
【基本方針】
・文科省を頂点とするピラミッド型教育行政から地方分権型教育行政へ
・教育委員会制度の廃止(首長に権限と責任を持たせ、第三者機関で監視)、教育行政制度について自治体の選択制
・生徒・保護者による公公間、公私間学校選択の保障・選択のための学校情報開示の徹底
・公立学校長の権限の拡大・強化、校長公募など、学校マネジメントの確立・学校を、学長・校長を長とする普通の組織にする
・国立大学長の権限拡大・強化、大学マネジメントの確立・世界標準の英語教育と海外留学支援、最先端を行くICT教育環境
・教育バウチャー(クーポン)制度の導入=教育機会を拡大するとともに教育機関の切磋琢磨を促す
・校長・教頭等の人材確保のための適正な給与、教諭の定期昇給は一定在職年数まで・教員を雑務から解放し教育に専念させる・教員は幅広い学部出身者と社会人から実力重視で採用
・障害者教育の充実・大学入試改革を通じた教育改革・高度人材養成機関としての大学院の質向上と選抜性強化
・大阪府・市の教育関連条例をさらに発展、法制化・教職員労働組合の活動の総点検
5.社会保障制度改革~真の弱者支援に徹し持続可能な制度へ~
【理念・実現のための大きな枠組み】
・真の弱者を徹底的に支援・自立する個人を増やすことにより支える側を増やす
・個人のチャレンジを促進し、切磋琢磨をサポートする社会保障・若年層を含む現役世代を活性化させる社会保障
・負の所得税(努力に応じた所得)・ベーシックインカム(最低生活保障)的な考え方を導入=課税後所得の一定額を最低生活保障とみなす=この部分は新たな財源による給付ではない
・持続可能な制度・世代間・世代内不公平の解消・受益と負担の明確化・供給サイドヘの税投入よりも受益サイドヘの直接の税投入を重視(社会保障のバウチャー化)→供給サイドを切磋琢磨させ社会保障の充実を通じて新規事業・雇用を創出
【基本方針】
・自助、共助、公助の役割分担を明確化・社会保障給付費の合理化・効率化
・(給付費の効率化には限界があるので)高負担社会に備え積立方式を導入・生活保護世帯と低所得世帯の不公平の是正
・(1)努力に応じた、(2)現物支給中心の、最低生活保障制度を創設
・所得と資産の合算で最低生活保障・所得と資産のある個人への社会保障給付制限・(受益と負担の関係を明らかにするため)提供サービスをフルコストで計算・社会保険への過度な税投入を是正、保険料の減免で対応
[年金]・年金一元化、賦課方式から積み立て方式(+過去債務清算)に長期的に移行・年金清算事業団方式による過去債務整理
・高齢者はフローの所得と資産でまずは生活維持(自助)・国民総背番号制で所得・資産(フロー・ストック)を完全把握・歳入庁の創設
[生活保護]・高齢者・障害者サポートと現役世代サポートの区分け・現物支給中心の生活保護費・支給基準の見直し
・現役世代は就労支援を含む自立支援策の実践の義務化・有期制(一定期間で再審査)
・医療扶助の自己負担制の導入・被保護者を担当する登録医制度・受給認定は国の責任で
[医療保険・介護保険]・医療保険の一元化・公的保険の範囲を見直し混合診療を完全解禁
・高コスト体質、補助金依存体質の改善・公的医療保険給付の重症患者への重点化(軽症患者の自己負担増)
6.経済政策・雇用政策・税制~未来への希望の再構築~
~経済政策~
【理念、基本方針】
・実経済政策・金融政策(マクロ経済政策)・社会保障改革・財政再建策のパッケージ・実経済政策は競争力強化
・国・自治体・都市の競争力強化・競争力を重視する自由経済・競争力強化のためのインフラ整備・産業の淘汰を真正面から受け止める産業構造の転換・グローバル化する知識経済に適応できる産業構造への転換
・自由貿易圏の拡大・国民利益のために既得権益と闘う成長戦略(成長を阻害する要因を徹底して取り除く)
・イノベーション促進のための徹底した規制改革・付加価値創出による内需連関・供給サイドの競争力強化による質的向上=額(量)だけでなく質の需給ギャップも埋める
・新エネルギー政策を含めた成熟した先進国経済モデルの構築
・TPP参加、FTA拡大
・為替レートに左右されない産業構造・貿易収支の黒字重視一辺倒から所得収支、サービス収支の黒字化重視戦略・高付加価値製造業の国内拠点化・先進国をリードする脱原発依存体制の構築
~雇用政策~
【理念、基本方針】
・民民、官民人材の流動化の強化徹底した就労支援と解雇規制の緩和を含む労働市場の流動化(衰退産業から成長産業への人材移動を支援)・ニーズのない雇用を税で無理やり創出しない・社会保障のバウチャー化を通じた新規事業・雇用の創出(再掲)・国内サービス産業の拡大(=ボリュームゾーンの雇用拡大)
・正規雇用、非正規雇用の格差是正(=同一労働同一賃金の実現、非正規雇用の雇用保護、社会保障強化)
・新規学卒者一括採用と中途採用の区分撤廃の奨励・グローバル人材の育成・外国人人材、女性労働力(→保育政策の充実へ)の活用・ワークライフバランスの実現
~税制~
【理念、基本方針】
・簡素、公平、中立から簡素、公平、活力の税制へ・少子高齢化に対応→フロー課税だけでなく資産課税も重視
・フローを制約しない税制(官がお金を集めて使うより民間でお金を回す仕組み)・グローバル経済に対応
・成長のための税制、消費、投資を促す税制・受益(総支出)と負担(総収入)のバランス・負の所得税
・ベーシックインカム的な考え方を導入(再掲)・超簡素な税制=フラットタックス化・所得課税、消費課税、資産課税のバランス
7.外交・防衛~主権・平和・国益を守る万全の備えを~
【理念、実現のための大きな枠組み】
・世界の平和と繁栄に貢献する外交政策
・日本の主権と領土を自力で守る防衛力と政策の整備
・日米同盟を基軸とし、自由と民主主義を守る国々との連携を強化
・日本の生存に必要な資源を国際協調の下に確保
【基本方針】
・日本全体で沖縄負担の軽減を図るさらなるロードマップの作成・国連PKOなどの国際平和活動への参加を強化
・自由で開かれた経済ネットワークの構築・豪、韓国との関係強化
・平等互恵と法の支配を前提とする、中国、ロシアとの戦略的互恵関係の強化・ロシアとの間で北方領土交渉を推進
・ODAの継続的低下に歯止めをかけ、積極的な対外支援策に転換・外交安全保障の長期戦略を研究、立案、討議するための外交安全保障会議の創設・学術や文化交流の積極化と人材育成、外国研究体制の拡充・外国人への土地売却規制その他安全保障上の視点からの外国人規制
8.憲法改正~決定できる統治機構の本格的再構築~
・憲法改正発議要件(96条)を3分の2から2分の1に・首相公選制(再掲)
・首相公選制と親和性のある議院制=参議院の廃止も視野に入れた抜本的改革・衆議院の優位性の強化(再掲)
・地方の条例制定権の自立(上書き権)(「基本法」の範囲内で条例制定)憲法94条の改正
・憲法9条を変えるか否かの国民投票
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・維新、衆院選350人擁立へ
橋下氏。「政治的決定をやる以上は、(衆院選で単独)過半数を目指す」
「地方で何かをやろうとしてもすべて永田町や霞が関の壁にぶつかってしまう。地方の自立を促すためには国の根っこの部分を変えていく」
「国と地方のあるべき姿を目指すために国政政党に一歩踏み出したい」
「大阪都」構想を巡り、「(関連)法は成立したが、まだまだ不十分。目指していた大阪都とは非なるもので、法律改正を考えないといけない」( 読売)
・維新国政進出 やはり「橋下頼み」 発言ぶれ、組織動揺(毎日)