2012年8月31日金曜日

安保適用は「一定状況下」?--「日米同盟という欺瞞、日米安保という虚構」2012

安保適用は「一定状況下」?--「日米同盟という欺瞞、日米安保という虚構」2012

1
 米国が日米安保の下で、「尖閣諸島」を自衛隊とともに「防衛」するのは「「一定の状況が重なった場合」に限ると言いだした。 「政府高官」とだけ報道され、人物は特定できないが、米国は次のように主張したとされている。

 「(安保が発動される)一定の状況」が実際に起きるのを避け、対話や外交を促して、武力行使などが想定される事態にならないようにすることが「米国の願い」(??)なのだと。
・・
安保適用は「一定状況下」 尖閣で米高官、表現微妙に変更 対中配慮か
 米政府高官は30日までに記者団に対し、中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島について「一定の状況が重なった場合に(日米安保条約の)日本防衛(義務)が適用される」と述べた。米政府はこれまで特に条件を付けずに条約の「適用対象」と明言してきたが、表現を微妙に変更。9月4~5日に予定されるクリントン国務長官の訪中を控えて中国側に配慮したとみられる。

 安保条約5条は、日本の施政権が及んでいる地域への武力攻撃があった場合の米国の日本防衛義務について、日米両国が「平和および安全を危うくする」と認めた場合にそれぞれの憲法に従って行動するなどと発動要件を規定。高官はこれを単に説明した可能性もある。高官は「(安保が発動される)一定の状況」が実際に起きるのを避け、対話や外交を促して、武力行使などが想定される事態にならないようにすることが「米国の願いだ」と強調した。(共同)
・・

 問題になっているのは、上の記事が言うような中国への「配慮」云々ではない。安保条約とはいったい誰のために結ばれた、どういう条約なのかという、条約の本質に関わる問題である。
 安保条約は、これまで条約に賛成する者からも、反対するものからも、「日本有事」=外部からの武力攻撃事態において、米軍と自衛隊が、共同して「敵」を撃退し、日本を「防衛」するための条約だと解釈されてきた。だから、安保は双務的な「日米共同防衛」条約=「軍事同盟」であり、日米関係は「同盟」関係なのだと。その根拠とされてきたのが、安保条約第5条(の解釈)である。

 たとえば、外務省は「日米安全保障条約(主要規定の解説)」において、第5条を次のように解釈している。 
・・
 第5条は、米国の対日防衛義務を定めており、安保条約の中核的な規定である。
この条文は、日米両国が、「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」に対し、「共通の危険に対処するよう行動する」としており、我が国の施政の下にある領域内にある米軍に対する攻撃を含め、我が国の施政の下にある領域に対する武力攻撃が発生した場合には、両国が共同して日本防衛に当たる旨規定している。
・・

 「共通の危険に対処するように行動する」、しかも「憲法上の手続きに従った」それが、「有事」の際の米国=米軍による「日本防衛」と、自衛隊との「共同防衛」⇒米国側からすれば、自国の防衛と直接関係ない「日本防衛」のために、「集団的自衛権」を行使することを規定した文言だと読めるだろうか? 読めるはずがない。
 にもかかわらず、実に信じがたいことに、日本政府・外務省、自民党に民主党、共産党・旧社会党に新左翼、さらにマスメディアまでもが、「読める」と主張してきたのである。
 その欺瞞と虚構を明らかにしたのが、2年前に出版した『日米同盟という欺瞞、日米安保という虚構』だった。
 2年後の今、早くも私は改訂版を書き下ろさねばならないようである。

・・・
米国が兵器調達増を提案 ASEANに、共同生産も
 米国が30日、カンボジア・シエムレアプで開催した東南アジア諸国連合(ASEAN)との経済閣僚会議で、ASEAN側に兵器の一部共同生産を含む米国製兵器の調達拡大を提案したことが31日、分かった。米ASEAN通商筋が明らかにした。
 一部加盟国が南シナ海で中国と領有権争いを抱えるASEANは近年、潜水艦や戦闘機を中心に兵器調達を急増させている。アジア重視を打ち出す米国との兵器取引における連携強化は中国を刺激する可能性もある。(シエムレアプ共同)
 

オスプレイ:司令官、事故の可能性言及(沖縄タイムス)
 「操縦士のミスが原因のクラスA級の重大事故が(実戦配備から)3年の間に6件は起きる」
オスプレイ米審査書分析 25市町村上空飛行、県全域で日常化(琉球新報)
「・・・米軍普天間飛行場周辺などで観測される、民間住宅地への「はみ出し飛行」の実態や、明らかにされていない各基地間の移動経路を勘案すると、さらに多くの市町村に影響が及ぶと予想される。
 防衛省は県内のオスプレイ配備関係市町村を18とし、29日に関係市町村の首長らに配備について説明したが、南部方面で飛行経路に入っている市町村を一部除外しており、飛行の影響を過小評価した形だ・・・」