2012年8月25日土曜日

ウズベキスタン、国内の外国基地を禁止

ウズベキスタン、国内の外国基地を禁止

【アルマティー(カザフスタン)ロイター】
 2日の地方紙で、ウズベキスタンは同国領内の外国軍事基地の禁止に踏み切る方針であることが伝えられ、隣国アフガニスタンでの作戦行動のための米国の基地再開を同国が許す可能性があるという観測には終止符が打たれた。 しかし一部の軍事アナリストによれば、この禁止措置で米国との軍事協力が妨げられることはないのではないかとも考えられ、米国が引き続きウズベキスタン国内の施設を利用して、アフガニスタンのタリバン等、地域の脅威に対する戦いで特殊部隊作戦を遂行することもあり得る。

 今回の措置はカリモフ大統領が提案した主要外交政策文書の一環で、下院議会で今週承認された。1991年のソビエト連邦からの独立以来、この種の文書は初めてだが、今月中に上院を通過する見込みである。

 中央アジアのウズベキスタンは、国民の多くがイスラム教徒だが、2005年5月にアンディザンで暴動が発生した際に政府がこれを鎮圧したため、米国政府およびヨーロッパ連合との関係が悪化し、米空軍をカルシ・ハナバードから立ち退かせた。人口3000万のこの国で独裁体制を敷くカリモフ大統領は、その後西側との関係を改善しており、米軍の基地再開を大統領が許す可能性があるという観測が国内外で広がっていた。

 しかし2日のウズベキスタンのメディアによれば、下院で採択されたこの文書は「領土内に外国軍の基地その他の施設の配置を許可しない」としている。また同文書によれば、ウズベキスタンはいかなる軍事・政治ブロックにも属さず、外国での平和維持活動にも兵士を参加させないとしている。6月にウズベキスタンは、モスクワが主導する集団安全保障条約機構(ロシア語の略称ODKB)の加盟国であることを一時停止した。ODKBは以前にソ連邦に属していた数カ国を集めたもので、NATOに対するこの地域での均衡勢力と見るアナリストもいる。

 モスクワを拠点とする中央アジア専門家のアルカディ・ドゥブノフは、立法府で反対もなく認められたウズベキスタンの新しい中立的な立場は、同国のODKB脱退計画に焦りをつのらす旧宗主国ロシアを懐柔するためのものだと語った。「カリモフ大統領がロシア側に、『そちらと同じ側でなくなったからといって、敵対しようということではない』というシグナルを送っているようだ」とドゥ > ブノフは言う。「しかも、国内に外国の軍事基地を配置しないという断固とした措置を取った結果としてアメリカとの協調関係が損なわれるわけでもない」。

 米国の特殊部隊は通常、作戦の展開に最小限の後方支援しか必要としないため、「NATO軍が2014年にアフガニスタンから撤退した後、特殊部隊は、テロリストの脅威を取り除くためのアフガニスタン攻撃をウズベキスタン国内の施設から仕掛けることができるだろう」とドゥブノフは語った。ウズベキスタンは、米国政府の言う北部供給ネットワーク(NDN)の一角を占めており、NDNは、ラトヴィア、ロシア、グルジア、アゼルバイジャン、カザフスタン、タジキスタンにも勢力を広げるタリバンに対抗する米国主導部隊への供給網となっている。

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出典:ロイター通信(2012年8月2日)
翻訳協力:さよか(APA‐J翻訳チーム)
翻訳チェック:川井孝子 監修:APA‐Jデスクチーム
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