2012年8月16日木曜日

「「戦後」の未総括」という不都合な真実

「「戦後」の未総括」という不都合な真実


 「戦後教育」の最大の誤りは、「戦後」に関する教育をしてこなかったところにある。「ゆとり教育」によって子どもの学力が低下したとかしないとか、そういう次元の問題ではない。

 私たち、「戦争を知らない子どもたち」やその子ども、またその孫が一番知らないのは、私たち自身が生きてきた「戦後」という時代なのだ。
 たとえば、サンフランシスコ「平和」条約によって日本は「主権」を回復し、占領統治からの「独立」を果たした、と私たちは学校教育で学んできた。が、実はそうではなかったことが「北方領土」「竹島」「尖閣諸島」等々の「領土問題」を通じて明らかになった。
 日本の「戦後」は、植民地支配とその賠償問題の国家的/「国民」的未決着/未総括を抱え込んだまま、67年が経過し、現在に至っている。その未決着/未総括の「ツケ」を、いったいいつまで私たちは払い続けることになるのか。

 あるいは、私たちは生涯、その「ツケ」を払い続ける以外に選択肢を持たないのかもしれない。それは、認める/認めないの問題ではない。国家/「国民」的に、不都合な真実から目をそむけてきた「報い」として、集団的に私たちが払わざるをえない「ツケ」(=コスト)として。


 「歴史認識の不一致」という言葉で問題をすまそうとする誤り

 ある事柄をめぐり、AとB、二者の間に「認識の不一致がある」と言う場合には、その事柄をめぐる事実関係に関しては両者の間で確認されていることが前提になる。事柄の事実関係が両者の間でどの程度共有できているのか、互いに確認し合うことができなければ、「認識の一致」など、はかれるはずがないからだ。

 そう考えると、「尖閣諸島」「北方領土」「竹島」などの領土問題、日中・日ロ・日韓の二国間条約や、「戦後処理」の枠組み中で、実は棚上げにされてきた問題の根底にあるのは、日本とこれらの国々、それぞれの「国民」との間の「歴史認識の不一致」ではないことがわかる。 連合国による日本の「戦後処理」において、またそれぞれの国々との二国間条約の交渉・締結・批准過程において、さまざまな密約や謀議、裏取引が行われた。私たちはそれらの内容の多くを、まだ知らない。外務省が「外交機密」の名の下に隠ぺいし続けてきた/いるからである。

 つまり、「自虐史観」云々を語ってきた彼/彼女らも、その彼/彼女らを「歴史修正主義」者と批判してきた者たちのいずれの「歴史観」も、実は「史実」に基づいていないものが多々ある、ということだろう。これは「教科書検定」以前的な問題である。
 もちろん、歴史認識とはそれ自体がイデオロギーであるが、双方が史実に基づかない、それこそ不毛な「歴史イデオロギー」論争をいくら繰り返してみたところで、本当の意味での歴史認識は双方とも深まりようがない。

 私たちとこれらの国々の「国民」は、「領土問題」に関して「本当は何があったのか?」、まずその事実関係を確認し合うことから再出発せざるをえないのではないだろうか。そうでなければ、互いが互いの自己主張を相手にぶつけ、互いに相手を「不当」だとののしり合うような、これまで続けてきた不毛な論争を、これからも延々と繰り返すだけになるからである。

 「尖閣諸島」「北方領土」「竹島」問題いずれも、三年後に控えた2015年の「戦後」/「解放」70周年に向け、「領土紛争」の様相をますます深めてゆくことは必至である。
 「固有の領土」「領土問題は存在しない」「実効支配を強化せよ」を互いに叫び合っていたのでは、問題は何も解決しない。
 少なくともこのことだけは、日本、中国、ロシア、韓国、香港、台湾の市民の間で確認し合うことができるだろうか。

 ナショナリズムとショーヴィニズム(排外主義)、そしてジンゴイズム(好戦主義)は、国家にからめとられ、利用されるだけである。 
 そして、「漁夫の利」を得るのは誰か? よ~く、考えてみたいと思うのである。

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「不法入国に当たらない」=尖閣上陸事件で逮捕の9人-海保(時事)
「・・・入管難民法違反(不法入国)容疑で逮捕された9人が、取り調べに対して「不法入国に当たらない」と供述し、いずれも容疑を否認していることが16日、分かった。・・・9人は全員容疑を否認し、「尖閣諸島は中国の領土であり、不法入国には当たらない」と供述・・・」
竹島をジオパークに=年内にも指定へ-韓国(時事)

谷垣総裁:野田政権の外交批判 「上陸問題」相次ぎ(毎日)
「・・・谷垣禎一総裁は16日昼、党本部であった「外交・領土に関する特命委員会合同会議」で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)に香港の活動家らが上陸した問題について、「北方領土、尖閣、竹島(島根県)と相次いで問題が起きている。日本外交の立て直しを進めないといけない」と述べ、野田政権の外交を批判・・・」
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 「外交の立て直し」が自民党にできるとは、とても思えない。
 まず必要なことは、日韓基本条約と日中友好条約などの「交換公文」を含む全外交文書の速やかな開示である。

中国「反日カード」露骨に利用?過激活動の団体(読売)
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 中国側から見れば、日本が「反中カード」を「露骨に利用」しているという論理が成り立つことを忘れないようにしたい。
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・「特集 二つの被曝地 --チェルノブイリと福島」(河北新報)

沖縄知事「納得いかない」 オスプレイ墜落報告書を批判
 仲井真知事。「『機体に欠陥がなく操縦士のミスだった』との原因分析で何がクリアされるのか。(米軍普天間飛行場という)人口密集地帯に配備するにあたって地域住民はおそらく納得いかないし、私もすとんと胸に落ちない」。
 「要するに落っこちたという事実がある。操作上、運転上も事故が起こりにくいとの結論にならなければおかしい」。
 山口県の二井(にい)知事。「フロリダの事故の原因究明の結果もある。国で判断して具体的な説明があると思うので、説明を聞いてどう対応するかだ」「安全性を国が確認しても、県民のみなさんの安心に結びつけるまでは時間がかかる問題だ」。(朝日)

オスプレイ:男性2人が反対訴えハンスト
【北中城】 垂直離着陸機MV22オスプレイ配備計画に抗議するため、元小学校教諭の小橋川共行さん(69)=うるま市石川=ら年配男性2人が15日午前、キャンプ瑞慶覧の石平ゲート(北中城村)前で無期限のハンガーストライキに入った。小橋川さんは、これまで県内で起きた数々の米軍機墜落に触れ、「家族の命や生活を守りたい。どこまでできるか分からないが、オスプレイは駄目だという思いを多くの人と共有したい」と訴えた。
 もう1人は那覇市出身で、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの元代表世話人、上原成信さん(85)=東京。2人は猛暑の中、「ハンガーストライキ」と書かれたプラカードを掲げ、配備反対や普天間飛行場の閉鎖・返還をアピールした。数十人の支援者も集まり、三線を演奏したり、通行する車に声を掛けたりしていた。(沖縄タイムス)