東海村の「原子力センター」構想
茨城県東海村で、「原子力センター」構想なるものが進んでいる。
この「原子力センター」構想は、東海村の「村おこし」のみならず、茨城県の「災後の地域再生」の振興策の目玉の一つとしても位置付けられたものなのだが、私たちは、いまのこの時期に「原子力センター」の名を冠した地域プロジェクトを立ち上げることの問題性に加え、これが「東海第二原発の廃炉問題には触れない」形で進んでいることを重大視する必要がある。
昨年来、茨城県では、東海第二原発の廃炉要求を中心とした、脱原発運動がかつてないほど広がりをみせている。この「原子力センター」構想は、まさにそうした運動の広がり、茨城県民の第二原発に対する懸念や不安を顧みず、県内の脱原発の高まりに水をさすものだと言わねばならないだろう。
しかし、全国的には、この「構想」なるものが十分に認識されているわけではない。だからまずは「構想」に対する理解を深めることから始めたい。
1、「原子力センター」構想とは何か
3月7日付の毎日新聞の記事。
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・原子力センター構想:東海村が懇談会 原発事故収束を先導、大筋合意 東海第2除外に異論 /茨城
東海村は7日、原子力の人材育成や平和・安全規制基盤研究の推進と地域社会の調和を目指し策定を進める「原子力センター構想」の懇談会(田中俊一会長)を同村のテクノ交流館リコッティで開いた。東京電力福島第1原子力発電所事故収束の「先導役」を目指す方向性について大筋で合意する一方、日本原子力発電東海第2原発を構想から除外する方針に対して異論が出た。
懇談会には原電、原子力研究開発機構の関係者や茨城大の研究者ら22人が参加。同懇談会の主要メンバーで組織する検討会議で昨秋から議論してきた村の構想素案について意見交換した。検討会議では、東海第2原発を構想から除外することや、世界最高水準の大強度陽子加速器施設(J-PARC)などの原子力関係施設を積極的に活用することなどが大筋で了承されている。
この日は、原発事故収束の先導役を目指すことについて「廃炉技術の研究に期待が集まっている」(渋谷敦司・茨城大地域総合研究所教授)などと肯定的な意見が出された。一方、東海第2原発を除外する方針に対しては、茨城キリスト教学園の滝田薫常務理事が「東海第2原発を前提にして真剣に議論すべきでは」などと疑問を呈した。田中会長は「議論できる状況、環境にない。構想はもっと幅広いもの」と述べた。【杣谷健太】
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しかし、これだけでは東海村で何が起こっているのか、よくわからない。同じく、毎日新聞の記事。
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・東海村議会:「原発再稼働を容認」 選挙結果で、推進派が村長けん制 /茨城
東海村議会は(3月)8日、代表質問が行われ、日本原子力発電東海第2原子力発電所の再稼働を巡り、原発推進会派に所属する議員が1月の村議選結果を「再稼働容認」ととらえ、村上達也村長の見解をただす一幕があった。村議選後の新たな会派構成は原発推進派と慎重・中立派で拮抗(きっこう)しており、「脱原発」を明言する村長をけん制した形だ。
質問に立ったのは鈴木昇議員(新政会)。村上村長に対し、村議選の各候補の得票数に対する評価を尋ねた。村長は「原子力について触れていない人が6人もいた。原発問題の明確な投票行動があったとは思えない」と答弁。これに対し鈴木議員は、吉田充宏(新政会)、越智辰哉(新和とうかい)、武部慎一(同)の3議員の得票数が合わせて約4500票になることを指摘。「東海第2原発の再稼働の方向に向いている村民が多い」と主張した。
新政会、新和とうかいは村議会内で原発推進寄りとみられている。村議選前には両会派で定数20のうち計11議席を占めていた。選挙後は計10人に減少したものの、議長に新政会の村上邦男議員、副議長に新和とうかいの大内則夫議員が就任した。慎重・中立会派は、村上村長に近い光風会(3人)、豊創会(2人)の2会派のほか、▽共産党(2人)▽公明党(2人)▽無所属(1人)。【杣谷健太】
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懇談会の田中俊一会長とは、「東海村と原子力の未来を考える有識者会議」の座長でもあり、(財)高度情報科学技術研究機構の会長(前・原子力委員会委員長代理) である。さらに、福島県の「除染アドバイザー」も兼務している人物である。
座長以下の「有識者会議」の委員は以下の通り。
・上坂充 東京大学大学院工学系研究科 原子力専攻教授(専門職大学院)
・谷口武俊 (財)電力中央研究所 研究参事(前・社会経済研究所長)
・宮正治 J-PARCセンター長
・横溝英明 日本原子力研究開発機構理事・東海研究開発センター長
・増子千勝 茨城県企画部 理事兼科学技術振興監
まさに東海村の中の「原子力ムラ」という布陣なのだが、この「原子力センター」構想は、実は昨年12月に策定された、今後10年間を見据えた「東海村第5次総合計画」の中に位置づけられた「構想」なのである。
2、東海村第5次総合計画
「前期五年間の基本計画」は、その「7 原子力科学・原子力エネルギーと地域社会が調和したまち」において言う。
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東海村は,これまでの原子力エネルギーと新しい原子力科学 - この二つと東海村との関係を明確にし,これらと調和したまちづくりを推進し,東海村を原子力開発から最先端科学に及ぶ幅広い原子力の拠点として,世界へ貢献する「原子力センター」にするべく,「原子力センター構想(仮称)」を策定しています。
東海村が目指す「原子力センター」とは,“原子力の拠点(Center Of Excellence)”を意味しています。これは,原子力とまちづくりに関する理念を共有し,優秀な人材と卓越した施設・設備が集約され,世界的に評価される地域という趣旨です。
東海村の有する歴史,そこで培われてきた風土・土壌を踏まえ,地域主権の考え方に立脚し(???),東海村*の各構成員が自ら協議し,地域としての考え方を自らまとめ,自ら実行に移すとともに,国を含む関係機関へ提言し,理解を得て,協働で実現することにより,世界に類例を見ない21世紀型の「原子力センター」を目指します。
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こうした「構想」の下で、東海村は①原子力センター構想の実現に向け先導的役割を果たしながら、②高度科学研究文化都市構想をより一層発展させ,原子力センター構想(仮称)の実現に向けた環境整備を進める、というのである。
とくに注目したいのは、「現状と課題」と題された以下のような「現状」の内容である。
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【 現状】
◇高度科学研究文化都市の形成に向けた環境整備については,主に研究者を対象とした質の高い環境整備,世界に通じる都市空間づくりを目指す「東海村高度科学研究文化都市構想」に基づき,必要な整備を進めています。
◇科学研究環境,文化教育環境の整備については,茨城県整備の「いばらき量子ビーム研究センター」内に,東京大学大学院や茨城大学大学院,KEK*が入居する形でキャンパスが設置され,併せて,東海村としても「東海村研究交流プラザ」を設置しました。また,茨城大学との「連携協力協定」に基づき,公開講座等の取組みを共同で実施しています。
◇J-PARCの稼働に合わせ,行政サービスの国際化の視点から,配布物やホームページを多言語化するとともに,商工会及び東海村飲食店組合に対して,村内の飲食店等における英語表記への協力依頼を実施しました。
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これを脱原発をめざし、東海第二原発の廃炉を求める茨城県民や私たちはどのように考えるべきか。
私は福島県民でも東海村の村民でもないが、脱原発宣言を発した福島県の「復興計画」や村長の孤軍奮闘だけが伝わる東海村の「第5次総合計画」には強い違和感を覚えている。 次回は、「原子力センター」構想の何に違和感を覚えているのか、具体的な検討を加えながら述べてみたい。
「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「東海第2原発の再稼働中止と廃炉を求める署名」(7/14, 2011)
⇒「村上東海村村長が東海第2原発の廃炉を要望」(10/12, 2011)
【参考サイト】
・脱原発ネットワーク茨城
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・東海第二廃炉 求める意見書案 県議会が否決
県議会は二十二日、梶岡博樹議員(みんなの党)が提出した東海第二原発の廃炉を求める意見書案を反対多数で否決した。
梶岡議員は「東海第二原発が福島第一原発と同様の事態になれば、被害は予想できないほど甚大なものになる」と廃炉を主張、賛同を求めた。採決では出席議員六十三人中、賛成は梶岡議員ら三人にとどまった。公明党の四人は退場し棄権した。 守谷市の市民団体が提出した東海第二原発の再稼働中止と廃炉を求める請願についても、付託した防災環境商工常任委員会の決定通り不採択とした。(東京新聞)
・東海第2廃炉求め来月1日集会 ひたちなか笠松運動公園
東海第2原発の廃炉や自然エネルギーへの転換を求めて、「さよなら原発 4・1大集会inいばらき」(同実行委員会主催)が4月1日、ひたちなか市の笠松運動公園で開かれる。作曲家の池辺晋一郎さんや茨城大名誉教授の田村武夫さんら9人が呼び掛け人となり、県内外の各団体から約5000人が参加する予定。集会後は、同原発がある東海村の日本原子力発電前まで車でパレードする。
同公園駐車場を会場に午前11時から音楽演奏などの「つながるステージ」、午後1時から「いばらき大集会」を開催。集会では茨城、福島からの発信として、東海村の村上達也村長と福島県浪江町の馬場有町長のメッセージが読み上げられ、子どもの被ばくを心配する母親や福島県からの避難住民のリレートークがある。ほかに交流テントには、子育て中の母親が交流できる「ママカフェ」などを設ける。田村名誉教授は「全国で反原発の声が高まる中、福島第1原発事故から1年を契機に茨城からも東海第2原発廃炉の意思表明をしていく」と話した。(茨城新聞)
・東海第2原発:古河市も「廃炉を」 市議会、意見書可決 首相、知事らに提出 /茨城
古河市議会は最終日の19日、東海村の日本原子力発電東海第2原子力発電所の廃炉を求める意見書を賛成多数で可決した。首相、経済産業相、環境相と衆参両議長、橋本昌知事に提出したという。県などによると、東海第2原発の廃炉を求める意見書はこれまでに土浦、北茨城、取手、つくばの4市と阿見町で可決されている。
意見書は、東海第2原発について「東京電力福島第1原発と同じ深刻な事態になるところだった」と指摘。東海第2原発から20キロ圏内には、福島の警戒区域の10倍に当たる71万人が暮らしており、茨城県庁も含まれることや、運転開始から32年が経過し、老朽化によるトラブルも頻繁に起きている点を挙げた。 その上で、
①県の原子力防災計画を見直し、安全対策や避難計画を立てること
②住民合意のないままに東海第2原発の再稼働を認めないこと
③東海第2原発の廃炉を国と事業者に求めること--の3項目を求めている。【毎日、宮本寛治】
・東海第2原発:廃炉求め新組織 石岡の5団体が発足 /茨城
日本原子力発電東海第2原子力発電所(東海村)の廃炉を目指す活動に取り組む石岡市内の5団体が18日、市民会館で会議を開き、新たに「東海原発の廃炉を求める石岡地域の会」を発足させた。
これまで別々に活動を行ってきた団体が連携して活動することで、東海第2原発廃炉への動きを拡大するのが目的。会議には各団体代表や一般住民ら約25人が参加し、署名活動や勉強会開催などの活動方針を話し合った。「原発は我々の生活には合わない」「東海第2原発をなくすことは我々の使命」など活発な意見が交わされた。
呼び掛け人の一人、「茨城保健生協いしおか支部」の杉本美江代表は「孫、娘のことを考えると、このままでいいのかと切実に感じている。やれることはやっていかないといけない」と話した。【毎日、杣谷健太】
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Dear Kenji Nakano;
We did it! Today the FCC announced the biggest victory for community radio since we led the fight to pass the Local Community Radio Act more than a year ago. The FCC will dismiss thousands of applications for translators (repeater stations) to clear the airwaves for community radio.
Across the country, hundreds of channels that would have gone to giant networks will now be preserved for our communities to use. This victory would not have happened without years of effective advocacy from Prometheus and grassroots activists. And we couldn't have done it without you. Thank you!
Today's announcement will help hundreds of local groups to build their own community radio stations for the first time. But our work isn't over. We still have another fight ahead at the FCC, and we are leading a grassroots campaign to help community groups apply for radio licenses and build their stations. Today's win creates a historic opportunity, but to take advantage of it, we need your help. Will you donate today to help us continue our work?
Electromagnetically yours,
Stephanie Thaw (and the rest of the Prometheus staff collective)
P.O. Box 42158
Philadelphia, PA 19101
United States