2011年10月3日月曜日

「内省に欠ける国」の避難準備区域解除

「内省に欠ける国」の避難準備区域解除

 10月1日付の茨城新聞の記事、「原発を考えるインタビュー 村上東海村長 極めて内省に欠ける国」は一読に値する。
 JCO臨界事故と今回の福島第一原発の大災厄に触れて、村上村長は実に率直、虚心坦懐にこう語っている。

 「JCO臨界事故も慢心が招いたもので、この国はいつまでも反省しないという印象だ。利益を追求するあまり、原発推進を「国策だ」と言い続け、安全神話を作るなど、極めて内省に欠ける国だということ。
 JCO臨界事故の時も思ったが、今回も案の定だ。何にも学んでいない。福島第1原発事故の初期対応を見ても、何という国だと思った」。

 私も、そう思った。読者の多くもそう思っただろう。「この国はいつまでも反省しない」「極めて内省に欠ける国」「何にも学んでいない」「何という国だと思った」・・・。
 日本のエネルギー政策、電力供給の問題点を問われ、村長はこうも語っている。

 「日本は地震多発地帯で、1900年からの100年間でM8以上の地震回数は世界一という報告がある。そんな国に54基も原発を置いていいのか。正気の沙汰とは思えない
 「日本は原子力推進そのものがエネルギー政策で、自然・再生可能エネルギーの発展を封じていた面がある。原発は炭酸ガスを出さないから環境にいいと言い、放射能・放射線の問題にはふたをして、原発の後処理も後世に先送りしてきた。それはまさに、哲学なきエネルギー政策だという気がする」。

 私もまったく同感だ。読者の多くも同感するに違いない。しかし、私が村長にもっとも共感するのは、次のくだりである。「「脱原発」は可能か。日本における再生可能エネルギーの可能性は?」と問われ、村長が返答したくだり。
 「福島第1原発事故を起こした以上、日本は脱原発について真剣に考える義務がある。脱原発を追求しなければならず、できるできないはその次でいい」。

 私自身を含む脱原発派は、往々にして結論=原発廃棄から問題を立てがちになる。結論が先にあって、演繹的に「運動」なるものを、その「戦術」なるものを考えがちになる。 しかし、ある意味では、そうした発想、そうした思考、そうした「哲学」の積み重ねが「3・11」を招いてしまった、それを止める事ができなかった、という事も事実なのではないか。 内省が問われているのは、政府・民主党、官僚機構ばかりではない。 私たち自身にも、問われているのではないだろうか。

・「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「東海第2原発の再稼働中止と廃炉を求める署名 」

緊急時避難準備区域の解除は正しいか?
 反省しない人間は同じ失敗や誤りをくり返し、内省しない人間はなぜ同じ失敗や誤りをくり返すのかが分からない。
 しかし、その失敗や誤りが、あくまでも個人的なものですんでいる間は、まだよい。これが私たちの生存や生活に深刻な影響を与える政治家や官僚の話となると、とんだ災難になる。
 「内省に欠ける」この国は、そのことをどこまで理解しているだろう。

 先月末、国によって指定された避難準備区域が解除された。というより、国が勝手に解除したのである。 この措置をどう考えるべきだろう。読者は賛成するだろうか、それとも反対だろうか。

 賛否以前に、私には解除の根拠が理解できない。国が言う「冷温停止」を達成した上で解除するなら、まだ国としての論理の辻褄は合うだろう。「冷温停止」以前に、除染作業もまだろくに進んでいない状況において、なぜ解除するのか、なぜ待てないのか、なぜ国は解除をそれほどまでに急ぐのか? 

 「福島第1原発:避難準備区域を解除…除染など課題」(毎日新聞)やその他の新聞記事を読んで、気になることがあった。それは、毎日新聞を含め、日本の新聞メディアが解除の事実や「課題」を指摘するだけで、解除そのものに反対していないことである。
 
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⇒「学校再開、避難区域解除でも見通せず 根強い放射能不安」(朝日、10/3)
 ↓
 当然のことではないだろうか? にもかかわらず、解除を急いだ国、それを要求した自治体関係者の方がどうかしているのである。
 記事の中にこういうくだりがある。
 「避難準備区域内では、保護者たちが車で元の学校まで子どもたちを送迎し、その先はバスで往復している。青木紀男(としお)市教育長は「母校に帰れば子どもや親、先生の負担解消とともに、落ち着きを取り戻せる効果がある」と期待する」
 
 「期待する」のは、自治体の教育長や教育委員会、もっと言えば教師たちの自由であり、勝手なのだが、実際には期待通りに事は運ばない。なぜか? 「冷温停止」どころか、「事態」は未だに収拾しておらず、除染もこれから始めようかという段階で、放射能廃棄物の処理問題についても何も解決しておらず、どれもこれもが「解除尚早!」を告げているからだ。子どもたちの親たちが、一番敏感にそのことを察知しているだろう。

 もしかしたら、6ヶ月半を過ぎてなお、私たちはまだ「内省」が足りないのかもしれない。

⇒「福島第1原発:増え続ける廃棄物 循環注水3カ月」(毎日)
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ウォール・ストリートは燃えている
 ウォール・ストリートが「燃えている」。ちょっと古いが「ロンドン・コーリング」ならぬ、ニューヨーク・コーリングだ。
 とりいそぎ、記事を三つ、紹介しておこう。占拠の模様、逮捕の瞬間などの映像、写真が見れる。
Hundreds Arrested, Including AlterNet Reporter, as Occupy Wall Street Keeps Growing(AlterNet)
Police Arrest More Than 700 Protesters on Brooklyn Bridge(NY.Times)
ガーディアン紙のOccupy Wall Streetのページ

 「 [占拠している]ぼくらが若いっていうのは、何も行動しなければ、ぼくらが一番損をするからだよ。ただそれだけのこと」。
 確かに。しかしこれは、おそらく米国よりも日本の方が言えることだと思うのだけれど、どうだろう。
 
 右の写真は、Alternetの記事、How Killer Student Debt and Unemployment Made Young People the Leaders at Occupy Wall Street より。