原発推進と「クリーンエネルギー」?-- 菅政権の「4・12宣言」を批判する
昨日(4/12)、菅首相は、現在稼働中の原発について「今の段階で停止させることは考えていない」と宣言した。そして、原発の具体的な「安全対策」についても、地震発生時の原発内電源の「確保」という、これまですでに公表されてきた内容を、ただオウムのようにくり返すに終わった。 さらに、今後の「エネルギー政策」では「原発の安全性を求めると同時に、クリーンエネルギーに積極的に取り組んでいく」と、原発推進政策を明確に打ち出した。原子力委員会の近藤駿介委員長も、定例会後、「絶えずリスクを下げる努力をしながら(原発推進の)政策を進めていく」と述べたという。
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4/14
私は、先週7日宮城県沖で起きたM.7.4の「余震」に触れ、8日に次のように書いた。
「思い出してほしいのだが、昨夜の地震は、気象庁が6日、「震度5強以上の余震が3日以内に発生する確率」を「10%」と発表した翌日に起こったのだ。気象庁は、9日から3日以内の「確率」も「10%」としていた。しかし、昨夜の地震を前にして、これらの「確率」や今後の「予知」は、もはやほとんど何の意味も持たない。M.7クラス以上の地震は福島県沖でも、宮城・茨城県沖でも、新潟県沖でも、どこでも、いつでも起こりうるのである」。
日本政府や、稼働中原発の一時停止など必要ないと考えている人々は、下の記事や「専門家」の提言に真摯に耳を傾けるべきである。
・女川原発、余震でも想定超す揺れ 耐震指針運用見直しも
東北電力女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)で、7日夜にあった東日本大震災の余震で、2006年の新耐震指針の想定を超す揺れが観測されたことがわかった。同原発では3月11日の本震だけでなく、余震でも揺れが想定を超えたことで、耐震指針の運用見直しが議論になりそうだ。経済産業省原子力安全・保安院は13日、同社に詳細分析を指示した。
宮城県沖を震源とする地震(マグニチュード7.1)で7日、県内で震度6強が観測された。東北電力が翌日公表した資料によると、女川原発1号機の最下階では、揺れの目安になる地震計で、想定の451ガル(上下方向、ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)を超す476.3ガル(暫定値)を観測した。 この観測点では3月11日の本震で、水平方向の揺れが想定を超えたが、上下方向は439ガルで超えていなかった。 原発で指針の想定を超える揺れが観測されると、機器の損傷の確認や原因の分析が必要になる。東日本大震災では規模の大きい余震が相次いでおり、仮に運転を再開したとしても、揺れで自動停止する可能性もある。 事故を起こした福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)や、日本原電の東海第二原発(茨城県東海村)でも、本震では想定を上回る揺れが観測されている。
保安院の西山英彦審議官は13日の会見で原発の設計の前提として想定される揺れ(基準地震動)について「基本的に(???)超えることがあってはいけない」としたうえで、「定め方をよく吟味しなくてはいけない」と指針の運用を見直す考えも示した。 女川原発は3月11日の東日本大震災で自動停止。1~3号機の9カ所で想定を上回る揺れが観測された。3号機の最下階では、想定の512ガルの約1.1倍の573ガルだった。(朝日・小堀龍之)
・「日本政府は不毛な地震予知を即刻やめよ」 ゲラー東大教授 「日本政府は不毛な地震予知を即刻やめるべき」などとする、ロバート・ゲラー東京大教授(地震学)の論文が14日付の英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。「今こそ(政府は)地震を予知できないことを国民に率直に伝えるとき」とも提言しており、世界的な学術誌への掲載は地震多発国・日本の予知政策に影響を与える可能性もある。
論文では、予知の根拠とされる地震の前兆現象について「近代的な測定技術では見つかっていない」と指摘し、マグニチュード8クラスの東海・東南海・南海地震を想定した地震予知は方法論に欠陥がある、としている。 福島第1原発事故についても「最大38メートルの津波が東北地方を襲ったとされる明治29年の明治三陸地震は世界的によく知られている」とし、「当然、原発も対策されているべきで、『想定外』は論外だ」とした。
・「大地震誘発の可能性ある」東北大が研究成果を報告 東北大は13日、東日本大震災の被害状況や地震、津波に関する研究結果をまとめた報告会を仙台市で開き、研究者がそれぞれのテーマについて発表した。 海野徳仁教授(地震学)は、東北地方の乗った陸のプレート(岩板)が地震で20~30メートル東に移動、陸地は最大約1メートル沈降したとする解析結果を紹介。次々に地震を誘発した平成16年のスマトラ沖地震を例に挙げ「今回も、震源域周辺に大地震を誘発する可能性がある」と警戒を呼び掛けた。
海底に設置した圧力計を解析した日野亮太准教授は「地震の際に海底が5メートル隆起しており、巨大な津波につながった」と報告。今村文彦教授(津波工学)は「防波堤や防潮林などがどの程度機能したかを丹念に調べ、われわれの防災対策のどこが駄目だったかの知見を今後につなげたい」と話した。(産経)
・震源域東側でM8級、早ければ1か月内 東日本大震災の震源域の東側で、マグニチュード(M)8級の巨大地震が発生する可能性が高いとして、複数の研究機関が分析を進めている。 日本海溝の東側で海のプレート(岩板)が引っ張られる力が強くなっているためで、早ければ1か月以内に津波を伴う地震が再来する危険がある。 M9.0の東日本大震災は、押し合っていた海のプレートと陸のプレートの境界面が破壊されて起きた。そのため周辺の地殻にかかる力が変化し、東日本全体で地震が誘発されている。
京都大防災研究所の遠田晋次准教授(地震地質学)は全地球測位システム(GPS)の測定データから、海のプレート内部で引っ張られる力が強くなっていることを突き止めた。明治三陸地震(1896年)の37年後、昭和三陸地震を起こしたメカニズムと共通しているという。「今、昭和三陸規模の地震が起きると、仙台市で10メートルの津波が押し寄せる計算になる」と言う。(読売)
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この国には、原発推進の内閣府組織として「原子力委員会」があり、推進を大前提にした「原子力安全委員会」および官僚機構としての「経産省原子力安全・保安院」がある。どんな原発大災害が起ころうと、何人住民・作業員が被曝したり死んだりしようが、あらゆる議論は「原発推進」に向けて収斂(しゅうれん)してゆく政治・行政構造になっている。菅政権の「4.12原発停止しない、原発推進やめない宣言」を理解するにあたっても、とくに若い世代の人々は、この〈政治・行政構造〉に目を向けてほしい。
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・「社会的に許されない」=電力会社への経産OB天下り
枝野幸男官房長官は13日午後の記者会見で、放射能漏れ事故を起こした東京電力に監督官庁の経済産業省OBが天下りしていることについて、「(原発への)チェック態勢が甘くなったのではないかと疑義を持たれるのは当然だ。法律上、天下りに該当するかにかかわらず、社会的に許されるべきではない」と述べた。 枝野長官は「行政権の範囲の中で、こうしたことを今後させないため、ほかの電力会社を含めて許さない姿勢で対応したい」と強調した。(時事)(⇒民主党は今更、そして今頃になって何を言っているのか?)
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ともあれ、大災害から1ヵ月を経て、蓋を開けてみると、、
①〈3・11〉に関する政府・東電の責任問題が曖昧化され、
②原子力政策の「抜本的見直し」も行わず、
③原発大災害の補償・賠償責任も不透明なまま、
④〈3・11〉以前の原発推進路線への「軌道修正」がなし崩し的にはかられようとしていることが明らかになった。この国は、「大山鳴動」しても「ネズミ一匹」さえ出てこない国であるらしい。
「反/脱原発」以前的な問題として、稼働中原発の「不安全」の継続状態をどうするかという問題に、依然として私たちは直面したままだ。こんな無茶苦茶なことは、とうてい受け入れることはできない。
いま一部の人々が「原発の国民投票」を訴えている。しかし、現状では「原発の国民投票」はただの空論に終わってしまう。そこで1週間前、私は「国民投票」の論議をする以前に地域ごとの「世論調査」の実施の重要性を訴えた。それは、今月5日付の仏紙フランス・ソワールが世論調査を行い、20~30年以内に電力の原発依存を減らすことを望む人が83%に達したとする結果を掲載したという報道に接したからである。電力需要の80%近くを原子力に依存する「原発大国」フランスにおいて、実に73%の人々が実際に原発依存脱却が可能と考えているのである。
北海道、東北、関東、北陸、中部、関西、中国、四国、九州の何%の人々が、「20~30年以内に電力の原発依存を減らすこと」を望んでいるだろう? 日本人の何%が「実際に原発依存脱却が可能」と考えているだろう? 東京都民・千葉・埼玉「都民」の何%が、柏崎刈羽原発の「段階的停止」を望んでいるだろう? 東北の人々の何%が原発を望んでいるだろう?
こうした地域ごとの詳細な調査を、NHKは早急にやるべきではないのか? 民放もやるべきではないのか? 読売・朝日・毎日・産経・東京新聞、その他の「地方新聞」もやるべきではないのか? その上で、①「原子力緊急事態」の政治責任・経済責任をどうするのか、②東電をどうするのか、③原発をどうするのか、④夏の電力供給・節電をどうするのか等々、もっと議論を深める必要がある。そういう議論の「メディア」の役割を果たすことが「マスメディア」の本当の責任ではないのだろうか?
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・原発:「30年後減らして」7割 新エネルギー増、9割望む 環境系シンクタンク調査
原発に頼る電力が30年後に減ってほしいと希望している人が7割を超えたとの調査結果を、環境系のシンクタンク「幸せ経済社会研究所」(枝広淳子代表)がまとめた。東京電力福島第1原発事故後、20~70歳の男女を対象にインターネットで実施。居住地の人口比や年齢が現状に合うよう調整し1045人の回答を分析した。 それによると、エネルギーに関する考えや意見が、事故をきっかけに変わった人は74%に達した。変化の内容を記述してもらったところ、最も多かったのは「原発の安全性への信頼が揺らいだ」の47%で、「節電・省エネ意識が高まった」と答えた人が24%いた。
電気事業連合会によると、08年の日本の電源構成は、原子力が24%を占める。その他は石炭が27%、天然ガスが26%、石油13%、水力7%、太陽光などの新エネルギーが3%となっている。
30年後の電源のあり方を聞くと、原子力は「ゼロ」22%▽「大きく減少」28%▽「やや減少」22%で、計72%が現状より減っていることを希望した。また、新エネルギーの増加を望む人は93%に上った。一方で、51%が「30年後の消費電力量が減っていることが望ましい」と答えた。 日本の電力量は、30年前と比べて倍増した。同研究所は「右肩上がりの電力需要を原発の増設で賄うという考え方から、節電や新エネルギーの活用など、事故を境に人々の考えに変化が生まれつつある」と分析する。【毎日・元村有希子】
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問題は、この「願い」を形にし、現実化する〈政策〉と、それを国・自体体・原発電力産業、「産官学連携」の日本の〈原子力複合体〉に要求してゆく〈私たち〉の運動である。そのためには〈私たち〉自身がそのためのビジョンを持つこと、そのビジョンにあった生き方、生活、働き方の社会的「パラダイム・チェンジ」が欠かせない。これまでのような理論一般、解釈や掛け声一般ではなく、実生活・実労働・実人生に即した「チェンジ」である。
決して「一筋縄」ではいかない。しかし実現可能性はある。これも「長いたたかい」になりそうだ。
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M.8クラス以上の破壊力を持つ東日本大地震の「余震」が、日本の「保守的」な専門家でさえ今後2、3年、海外では10年も続く可能性もあると言われるなか、稼働中原発の一時停止を検討もせず、付け刃の「安全対策」によって「国民の目」をたぶらかし、ほとぼりが過ぎれば既定の原発推進路線への舞い戻りをはかろうとする民主党・菅政権に対し、「主権者の意思」を知らしめることが第一だ。
いま、本当に原発の地元住民や地域住民が求めているのは何なのか。それをきちんと菅政権に突きつけるために、NHKや民放連、各新聞メディアに対し、原発を抱える自治体と各電力企業の管轄地域ごとに集計される、このような「世論調査」を行うよう、要求することをみなさんに訴えたい。
⇒What Caused the High Cl-38 Radioactivity in the Fukushima Daiichi Reactor #1(英日対訳)
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福島を放射能で汚した東電はあらゆる損害を補償せよ!
http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-10859458243.html
福島県農民連事務局長・根本敬(ねもと・さとし)
農家の動揺が収まりません。私たちは、原発事故の「被災者」のはずです。
ところが、放射能汚染の土壌調査結果が発表されると農家のあせりと不安をかわすために前のめりとも言える状況が広がり、一部の地域を除いて、行政・農協が農作業の自粛を解除した。
しっかりとした調査と分析、その後の対処も曖昧のまま作るか、作らないかの判断が農家に任せられてしまった。「危ないとわかっていても、つくらないと損害の対象にならない」こんな馬鹿げた話があるでしょうか。
まだ原発事故は収束の見通しもたっていないのです。放射性物質の飛散は止まっていません。土壌の汚染は続いていると思います。作物の汚染も続いていると思います。
政府がいう「直ちに体に影響を与えるものではない」という暫定値だけが一人歩きしています。私たちは、安全が「担保」されていない状況でものを作っていいのだろうかと毎日揺れています。消費者の過剰な反応を「風評被害」だといいます。
いま現実に起こっていることは、根も葉もない風評ではありません。東電が起こした原発事故による放射能が大地と作物を汚染している実害です。「風評被害」で片付けることは、消費者に責任をなすりつけ東電を免罪することです。心ある方々から「福島の産品」を買い支えたいという申し出がきます。 こういうみなさんに、私はこう応えています。「お気持ちはうれしい。でも、みなさんにお願いしたいのは東電はあらゆる損害をすべて補償せよという世論を消費地で起こしてほしい。私たちが安心して作物を作れるようになるまで運動を継続してほしい」と。
私たちは、豊かで美しい福島を取り戻すために農民として生き抜く覚悟です。
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菅首相は今日、首相官邸での松本内閣官房参与との会談の中で、福島第一原発辺の避難対象の区域について「当面住めないだろう。10年住めないのか、20年住めないのかということになってくる」と語ったという(→後に参与が訂正。しかし「10年住めないのか、20年住めないのかということになってくる」のは事実だろう。そういう事態を招いた国の責任、原状回復、人々の生活保障と補償、そのすべてを国と東電が負わねばならない)。また、読売新聞電子版によれば、今日、東芝と日立が「共同廃炉処理案」を出したという。「すべての作業を終えるまでに約30年かかるとみられる」。「設計・建設から、廃炉・跡地利用まで」の日米の「原発利権」。それが「安保利権」とまったく同じ構造であることを、よく見極めておく必要があるだろう。
さらに今日、東電の清水正孝社長は、福島第一原発の5、6号機と福島第二原発について「将来は未定」(???)として、廃炉などの判断を保留した。
原発周辺住民、福島県民のみならず、〈私たち〉は今後、東電と政府がドサクサにまぎれて福島に原発を再建する機をうかがっていることにも十分警戒しなければならないだろう。
絶対に、だまされないようにしよう。
⇒「福島原発大災害の賠償/補償と政府-自治体・東電の責任-- ①で、私たちは東電をどうするのか?」
⇒Buy Fukushima, Buy Ibaraki!
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・4号機プール、再び水温上昇
東日本大震災後の3月15日に原子炉建屋が爆発で大破した東京電力福島第1原発4号機で、使用済み核燃料プールの水温が90度まで上昇していることが13日、東電の調べで分かった。付近の放射線量も毎時84ミリシーベルトと極めて高い。通常は普段着で歩くことができる同0.0001ミリシーベルトという。一方、東電は同日、建屋が爆発で吹き飛んだ1、3、4号機でプールから燃料を取り出す検討に入ったことを明らかにした。
同原発では、海水で冷やすという通常の循環冷却装置システムが失われ、外部からの注水で冷やしている。 4号機のプールには1331体の燃料集合体がある。このうち548体は炉内工事のため全量が取り出され、通常の使用済みの燃料棒に比べ、高い熱を放出する可能性がある。このため、燃料の余熱でプールが沸騰し、露出した燃料棒が過熱して被覆管が水と反応。水素が発生し爆発したとされる。その後、コンクリート圧送車で水を補給し、事態は落ち着いたとされていた。
ところが、今月12日に燃料棒の損傷度を調べるためプールの水を遠隔操作で採取した結果、水温が爆発前日の84度を上回る90度と判明。プールの約6メートル上空で通常の10万倍以上の放射線量が計測された。燃料は水に覆われているが、東電は原因を「プール内の燃料の損傷か、圧力容器内の物質が出た可能性が考えられる」と推測。放射性物質の成分を分析している。 プールへの冷却水を増やすと、放射性物質に汚染された水があふれるというジレンマに直面し、注水量は蒸発分の補充にとどまる。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「通常の冷却システムを早く復旧させたいが、建屋内の放射線量が高く作業ができない」と対応に苦慮している。
燃料の取り出しでは、外に足場を作り、上からクレーンで密閉型の収納容器を入れて燃料を挿入後、引き上げる案が浮上している。しかし、通常でも搬出には数年間の冷却を経ており、今回は事故で燃料棒が損傷している可能性があるため実現性は不透明だ。どのプールから始めるかは未定といい、一時的な搬出先として仮設の燃料プールなどを想定している。【毎日・山田大輔、八田浩輔】
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東電は13日、4号機の使用済み核燃料プールで採取した水から、1立方センチメートル当たり401ベクレルの放射性物質が検出されたと発表。東電「一部の燃料棒が損傷した可能性は否定できない」。
12日に大型ポンプ車を使いプールから水を採取。分析の結果、1立方センチメートル当たりの放射性ヨウ素131は220ベクレル、セシウム134は88ベクレル、同137は93ベクレル。平常時のプールではヨウ素131やセシウム134の濃度は検出限界以下。
・余震10年続く恐れ指摘 米地質調査所の研究者
米紙ワシントン・ポストは12日、米地質調査所(USGS)の研究者の話として、東日本大震災を引き起こしたマグニチュード(M)9.0の地震によって、震源付近の断層のひずみが高まっている恐れがあり、余震が終息するまでに10年かかる可能性があると報じた。 問題を指摘しているのはUSGSの地球物理学者、ロス・スタイン氏と京都大のグループ。試算では、地震によって、断層の一部が沈み込むなどして、震源周辺の広い部分にひずみがたまっており、震源の北や南側で大きな余震が起きる可能性があるという。 スタイン氏は、東京では長期間の監視が必要で、余震が数週間や数カ月でなくなると思わない方がよいとしている。(共同)
・福島原発の廃炉作業に最長100年…英科学誌
英科学誌ネイチャー(電子版)の最新版は、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業に数十~百年かかるとする記事を掲載した。 同誌は、1986年に国際的な尺度でレベル7の大事故を起こしたチェルノブイリ原発では、放射性物質の汚染除去などの作業が、2065年まで続く見通しだと指摘。東芝などが作った10年計画の廃炉工程表に言及し、実現性に疑問を投げかけている。 57年に火災事故を起こした英セラフィールド核施設では一時、作業を中断したため、放射線量が下がり、計画を練る余裕ができた。同施設の元幹部は同誌に「封印し、百年がかりで」と提言している。
米スリーマイル島原発の撤去・除染作業にかかわった専門家は、炉ごとにクレーンを備えた建物を作り、炉内作業用ロボットを用意するなどで、準備だけで数か月はかかるとしている。【読売・ワシントン=山田哲朗】
・福島県の20小学校で土壌検査、19校から検出
福島県災害対策本部は13日、福島第一原発の放射能漏れ事故を受け、県内の小学校20校で実施した土壌検査の結果を発表した。 4月5、6日、各校で校庭の表層5センチの土壌を採取し、放射性ヨウ素とセシウムの濃度を測定。19校で土壌1キロ・グラムあたり874~5万9059ベクレルを検出し、最高は川俣町立山木屋小で土壌1キロ・グラムあたり5万9059ベクレル。南会津町立田島小では検出されなかった。 県は国に対し、土壌に含まれる放射性物質量と大気中の放射線量の関係を分析した上で、児童の屋外活動の可否について基準を示すよう求めている。(読売)
・福島第1原発:事故賠償補償料足りず 差額、国民負担に
原発事故の損害賠償制度を定めた原子力損害賠償法(原賠法)に基づき、電力会社が毎年国に納めた補償料が、1962年の制度開始から2010年度まで累計で約150億円しかないことが12日、分かった。東京電力福島第1原発事故で、国は最低でも1200億円を支払う必要があるが、これまで受け取った補償料では足りず、不足分は国民負担で賄うしかない。(⇒これは問題報道だ。「不足分は国民負担で賄うしかない」というのは、ただ単に「現行法に基づけば」という仮定の話であって、東電の「負債」額に上乗せすればよいだけの話である)
現行制度では大規模事故への備えが十分ではないため、政府は賠償措置額の増額や補償料率の引き上げなど制度を見直す方向で検討する。 原賠法では、原子力施設ごとに、事故時に国が支払う上限額が「賠償措置額」として決められている。同法が初めて適用された99年の東海村臨界事故では、約154億円の賠償金のうち、核燃料加工会社の賠償措置額10億円が国から支払われた。発電所の賠償措置額は1カ所当たり1200億円で、今回の事故で福島第1原発と同第2原発が賠償の対象になれば、国の負担は最大2400億円に膨らむ。
原発の賠償措置額は当初は50億円だったが、法改正で段階的に引き上げられ、09年の改正(10年1月施行)では、東海村事故を受けて600億円から1200億円に倍増した。ただ、措置額を引き上げると、保険料に相当する電力会社の補償料負担も重くなるため、09年改正では補償料率を「賠償措置額の1万分の5」から「1万分の3」に引き下げ、電力会社の負担を2割増に抑えた。
福島第1・第2、柏崎刈羽の3発電所を運転する東電の納付額は現在、年間1億数千万円、他の電力会社からの分も含めると、年間の補償料総額は8億~9億円とみられる。補償料は別会計で積み立てられる保険のような仕組みではなく、政府の一般会計に入れられているため、支払いも一般会計から出すことになる。
これまで補償料率は「今回のような大規模の原発災害を想定せずに設定していた」(文部科学省幹部)。今回の事故で「原発のリスクに比べ、電力会社の負担が低すぎる」との意見が強まっており、賠償措置額や補償料率など、制度の抜本的見直しは不可避だ。ただし、電力会社の負担増は電気料金に跳ね返るため、政府は消費者の負担との兼ね合いもにらみながら議論を進める。【毎日・永井大介】
〈原子力損害賠償法〉--- 原子力事故時の損害賠償の枠組みを定めており、電力会社は国が支払う賠償措置額の一定割合を「補償料」として国に納める。補償料率は損失の発生見込みなどを基に算定し、09年の改正では、民間保険で保険料率が低下傾向にあることを反映して料率を引き下げた。事故で賠償が必要になる可能性は極めて低いとの見方から、補償料は国の一般会計に入れられて使われている。
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原発事故の補償・賠償が、最も安易で原発産業・国に有利な「受益者負担」と増税によって処理されぬように、「原子力損害賠償法」の抜本的改正が必要だ。これも今後の重要な課題となる。
・福島原発「完全解体に30年」 日立が廃炉計画提案
日立製作所は米ゼネラル・エレクトリック(GE)などと共同で、福島第1原子力発電所の廃炉に向けた長期計画を12日までに東京電力に提出した。溶け出した核燃料の処理から最終的な廃炉措置まで作業手順を5段階に分け、10年単位で取り組む内容。計画実行に向けて、事故処理を担う日米合同専門家チームを同日新設するなど、福島原発の支援体制を強化した。 提出した長期計画は、
(1)冷温停止から核燃料の取り出し
(2)プラント(原子炉)の除染
(3)核廃棄物処理
(4)中期的なプラントの保管
(5)最終的な廃炉措置――の5段階で構成。それぞれに要する期間は明示しなかったものの、「10年単位の作業となる」(日立)。 日立は一般論と断ったうえで、冷温停止と燃料棒の取り出しに成功した場合でも、核廃棄物を処理できるレベルに放射線を低減させるのに10年、プラント内部と建屋の完全解体までには30年程度かかると説明している。 日立は同日、社長直轄組織の「福島原子力発電所プロジェクト推進本部」のほか、GE、米プラント大手ベクテル、米電力最大手エクセロンの技術者を含む「日米合同専門家チーム」をそれぞれ新設した。東芝も、廃炉に向けた計画をすでに東電に提出している。(日経)
・玄海原発2・3号機の早期再開容認 地元町長
佐賀県玄海町の岸本英雄町長は、東京電力福島第1原発事故を受け発電再開が遅れている定期検査中の九州電力玄海原子力発電所(同町)2・3号機を「電力需要が高まる夏まで止めておくのは現実的でない」と述べ、早期の運転再開を容認する考えを示した。条件として、九電に安全対策の徹底した見直しと住民への情報公開を求める方針も明らかにした。12日までに日本経済新聞の取材に応じた。
九電の真部利応社長は3月30日の記者会見で、同原発2・3号機の運転停止などが続けば夏季の電力需要に対応できないとして、「希望としては5月中に営業運転に入りたい」と表明。地元自治体の了解が前提との見解も示している。
岸本町長は「原発が動かず九州でも計画停電が実施されれば、市民生活や地域経済への悪影響は深刻だ」と指摘。「夏で電力需要が跳ね上がる前に何とかしたいという九電の思いは痛いほど分かる。できるだけ早く再開した方がいい」と理解を示した。 ただ、福島の事故の深刻化で「玄海町民の不安は十分ぬぐい切れてはいない」とも主張。2・3号機の運転再開の条件として「今後少しでも起こりうる事態については取りこぼしなくシミュレーションをし、対応策を住民に分かりやすく説明してほしい」と述べた。 具体的には、玄海原発の敷地の海抜11メートルをはるかに超える津波が襲った場合の被害想定や対応策など。「徹底した再検証と平時から説明を尽くす姿勢が住民には大きな安心材料になる」とした。
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①〈緻密な節電計画の実施によって、市民生活や地域経済への悪影響を回避しながら、予測不能な大災害の可能性に備え、稼働中の原発を一時停止する〉。首都圏の、東電による無政府的「計画停電」の経験によって、これまで不可能と思えた様々な電力需要軽減策が、実は可能であることが明らかになった。これについては後日、検討してみたい。
②〈広域的な住民投票の実施によって、原発をどうするかを決定する〉。
こういう議論を全国的に巻き起こすことが大切である。
・「国は事故を過小評価」専門家から批判の声も
福島第一原子力発電所の事故の国による評価は、事故発生直後の「4」が3月18日に「5」に、そして20日以上たった4月12日になって最悪の「7」に変わった。専門家からは「国は事故を過小評価しようとしてきたのではないか」との批判の声も上がっている。
原子力安全委員会が12日に公表したデータによると、外部に放出された放射性物質の大半は、1~3号機で核燃料が全露出し、1、3、4号機で水素爆発や火災が相次いだ3月16日頃までに放出されていた。 2号機で圧力抑制室が損傷した15日には、フランス原子力安全局と米民間機関「科学国際安全保障研究所」が相次いで「レベル6か7」との見解を公表したが、保安院の西山英彦審議官は「外部への放射線量は健康にかかわるものでない」と主張し、見直す姿勢は見せなかった。 しかし、18日には国際世論に押されるように「5」に変更した。西山審議官は「各号機とも圧力や温度などが大きく変動し、評価が難しい状況だった」と弁明。その後は「6にするには早い」と繰り返してきた。 (読売)
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4月24日の集会とデモ
日時:4月24日(日)14:30~集会 デモ出発15:30
場所:東京・港区「芝公園23号地」(地下鉄「御成門駅」5分)
※地図 http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/access001.html
内容:パーベル・ヴドヴィチェンコさん(NGOラディミチ国際プログラムマネージャー)のお話
・福島の現状報告(澤井正子さん/原子力資料情報室)/福島現地報告、他
デモ:芝公園→経産省前→中部電力東京支社前→東電本社前→銀座→東京駅前→常盤橋公園
主催:原発とめよう!東京ネットワーク(TEL03-3357-3800/原子力資料情報室)
●25日の講演会
日時:4月25日(月)18:30~
会場:総評会館 2階大会議室(東京都千代田区神田駿河台3-2-11)
交通:地下鉄「新御茶ノ水駅」「淡路町駅」「小川町駅」、JR「御茶ノ水駅」
(地図)http://www.sohyokaikan.or.jp/access/index.html
内容:福島原発とチェルノブイリ(伴英幸さん/原子力資料情報室共同代表)
チェルノブイリ原発事故を振り返る
パーベル・ヴドヴィチェンコさん(NGOラディミチ国際プログラムマネージャー)のお話
資料代:1,000円
主催:原発とめよう!東京ネットワーク(TEL03-3357-3800/原子力資料情報室)