2011年4月8日金曜日

まず稼働中の全ての原発を停止しよう-- 日本はこれ以上の大災害に耐えられない

まず稼働中の全ての原発を停止しよう-- 日本はこれ以上の大災害に耐えられない

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7日の余震で原子炉の計器一部故障 1号機
 東京電力は9日、7日に最大震度6強を記録した東日本大震災の余震で、福島第1原発1号機の原子炉の温度計など計器の一部が故障したと発表。炉心の状態を知る重要な機器が使えない事態だが、周辺の放射線量などから「原子炉は安定している」(???)とし、対策を検討している。
 故障したのは、原子炉内の温度を管理する給水ノズル温度計と、核燃料の異常反応を監視する放射線検出器(CAMS)。余震後の8日午前6時、温度計は9時間前の前回より約40度高い260.7度に、CAMSは3倍以上の毎時100シーベルトに急激に高まった。
 1号機では、原子炉内の圧力計の一つが異常に高い値を示し、4日に故障と判断。水位計も注水が続いているのに数値が変わらず故障の可能性が指摘されている。【毎日・山田大輔】
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 昨夜(4/7)宮城県沖で起きたM.7.4の地震。思い出してほしいのだが、昨夜の地震は、気象庁が6日、「震度5強以上の余震が3日以内に発生する確率」を「10%」と発表した翌日に起こったのだ。気象庁は、9日から3日以内の「確率」も「10%」としていた。しかし、昨夜の地震を前にして、これらの「確率」や今後の「予知」は、もはやほとんど何の意味も持たない。M.7クラス以上の地震は福島県沖でも、宮城・茨城県沖でも、新潟県沖でも、どこでも、いつでも起こりうるのである。

 巨大地震の余震活動は、岩手県沖から茨城県沖の広い範囲でずっと継続している。気象庁によれば、7日朝までにM7以上3回、M6以上66回、M5以上394回を記録した。昨夜の「余震」は、本震直後のM7.7、M7.5に次ぐ3番目の規模だ。報道によれば、宮城県沖地震がプレート境界型なのに対し、今回は震源が比較的深い太平洋プレートの内部で起きた可能性が高く、宮城県沖地震とは別物だとみられている。
 問題は、東日本大震災の巨大地震以降、震源域から遠く離れた場所でも地震活動が活発化していることだ。長野県北部、静岡県東部、秋田県内陸北部で震度5強以上が相次いでおり、巨大地震が内陸の地殻にかかる力に変化を起こし、地震を誘発している。これが大方の見方である。今後も「ひずみ」が蓄積された場所などで地震が再発する可能性が十分にあり、今後数年間は警戒を怠ることはできない。世界中の地震専門家がそう警告しているのである。

 3月16日に私は、「震度7の地震が現場を襲ったとしたら、消波堤を越える津波にのみ込まれたとしたら、どうなるのか? 惨劇が起こっていないのは、たまたままだ起こっていないという単なる偶然、僥倖でしかありません」と書いた。状況は何も変わっていない。気象庁も「6~11日の6日間に、M5以上の余震が起きる回数は20回程度、多い場合は60回程度、震源の場所などによって震度6弱~6強の恐れもあり、津波の可能性もある」と「予測」していた。現に昨夜の地震が起きた事実を起点にして、私たちは今後の対策を考えざるをえない。
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全電源喪失、国は「考慮する必要はない」と解説
 国や電力会社は、原子炉制御の“命綱”ともいえる電源を、どう位置づけてきたのだろうか。
 規制当局である内閣府の原子力安全委員会は、1990年に定めた発電用軽水炉の安全設計審査指針の解説に、長時間の全電源喪失について「考慮する必要はない」と明記している。 理由は「送電線の復旧または非常用交流電源設備(非常用ディーゼル発電機)の修復が期待できるため」としており、国は外部電源を失ってもすぐに非常用発電機が作動すると想定してきた。
 各原発は、同指針に基づいて設計されており、非常用電源を含むすべての電源喪失に対して万全の備えをしてきたとは言い難い。東北電力関係者は「外部送電線など電源確保の方法はたくさんあると考え、これまでは全電源喪失は想定していなかった」と話す。東京電力は急きょ(!!)、11日に柏崎刈羽原発で全電源喪失などを想定した訓練を行うことにした。(4月9日読売)

原発の五つの壁、破れた 西山審議官が反省の弁
 「五つの壁があるなんて言ってきた。私も多重防護で絶対大丈夫と信じてやってきたが、こういう事態になった」。経済産業省の西山英彦官房審議官(原子力安全・保安院担当)は9日午前の記者会見で反省の弁(???)を述べ、これまでの原発の安全規制に甘さがあったことを認めた
 東京電力福島第1原発では多重防護が破れて放射性物質が周辺に拡散、事故が一向に収束できない状態が続いている。西山審議官は「国民の不安が高まっている。すべてのことについて、安全の方向に、早急に手を打つ必要がある」と自らに言い聞かせるように話した。 発言のきっかけとなったのは、7日深夜の余震で、東北電力東通原発の非常用ディーゼル発電機がすべて使えなくなったこと。西山審議官は「東通で起こったことを考えると、これまでの対応は十分でなかった」とした。(産経)

 西山審議官「今回の経験を踏まえ、これまでのことにとらわれず、すべてのことについて見直す必要がある」「絶対安全の意味が変わってきた。今回の津波なども想定した上で、絶対安全を目指さないといけない時代が来たと思う」(時事通信より)。
→「絶対安全の意味」は何も変わっていない。東日本大地震・大津波によって「絶対安全を目指さないといけない時代が来た」のではなく、元々原発が地域住民や〈私たち〉の「絶対安全」と安心を基準に造られてこなかったこと、そうした原発建設を推進してきた政府の原子力行政そのものが問題なのである。その責任は旧通産省→現経産省、旧科技庁+文部省→現文科省にある。いずれにせよ、「すべてのことについて見直す必要がある」。しかし見直す前に、まずは停止だ。
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 日本は、これ以上の大震災や原発災害に対応する力を持たない。私たちはこの冷厳たる現実を直視すべきである。
 まず、稼働中のすべての原発を停止しよう。知恵を出し合い、そのための方法や手順を考え、議論しよう。
 すべての人に呼びかけたい。国と自治体、政党とマスコミにこのことを訴えよう。福島原発以外の原発の存廃論議は、いったん稼働中の原発を停止させてからでも、いくらでもできる。本当にそうすべきだ。

 私は、東日本大地震を上回る規模の地震が起きるとか、福島原発事故以上の原発災害が必ず起きるとか、そういうことを言っているのではない。これ以上の大災害に対応する政府の力がこの国にはないし、私たちにもその準備がない、ということを言いたいのである。それはこの国、政府の統治力と危機管理能力、日本の社会的危機対処能力とその耐性の問題であり、イデオロギーや諸個人の力の問題ではない。
 原発災害が地震の規模に応じて起きる確率が高まる以上、まず①東日本の稼働中の原発を一時停止させ、②順次各地の原発もそうするよう具体的な取り組みを進めるべきである。真剣にそのための議論と、働きかけを始めるべきだ。


 〈危機意識〉のない全政党の「原発論議」
 重要なことは、稼働中の原発停止に向けたコンセンサスの形成を、原発推進VS.反/脱原発論争と切り離してはかることである。 私個人は、脱原発論者である。しかし私は、自分が脱原発論者であるから原発の停止を主張するのではない。日本政府に、私たちにこれ以上の大災害に対応できる能力がない、ゆえに万が一にも万が一が起こった場合には、日本は「メルトダウン」を超えて、本当に沈没しかねないと考えるから「停止すべき」と主張するのである。

 「統一地方選」における「原発論争」を考えてみる。すると、各政党・無所属の候補者たちが、日本が今も「原子力緊急事態」下に存在することを忘れでもしたかのような、実に「気楽な論争」を展開していることに、厭でも気づかされる。
 原発推進派と反/脱原発派の「論争」は、「安全対策の強化」VS.「自然エネルギーへの転換」として展開されている。前者は民主・自民・公明・「みんなの党」など、後者は共産、社民、「市民派」無所属などが主張している。
 前者の「安全対策の強化」とは、先月(3/29、経産省がまとめた原発の「緊急安全対策」に基づくものだが、これは東日本大地震の破壊力に対応したものではないことを踏まえておく必要がある。〈電力の安定供給には引き続き原発が重要だと判断し、既存の原発について安全規制を強化〉するというものだ。その内容は、

①津波や地震で非常用電源が使えなくなっても、原子炉や使用済み燃料プールを冷却できるよう、電力会社への緊急時代替電源設置の義務づけ、
②電源喪失時に必要な要員の配置や訓練、
③電源車や消防車、消火ホースを備え付ける、この程度のことだ。各電力会社、民主・自民・公明は、これを「安全対策の強化」と言い、原発政策の推進を主張しているのである。

 もちろん、菅政権は、計画中の原子炉建設や「エネルギー政策」の「見直し」を打ち出している。しかしそれは、既存の原発の停止や廃炉を前提したものではない。民主党はあくまでも原発推進勢力なのだ。
「民主党エネルギー基本政策~2012年(第1約束期間最終年)をターゲットに」
(4) 原子力の平和利用
 原子力発電は、COP3におけるわが国の国際公約達成のために重要なエネルギー供給源であり、エネルギー供給の太宗を担いうる代替エネルギーの開発・実用化の時代までの橋渡しの役目を担う重要な資源です。一方、その開発、利用にあたっては、平和利用に限るとともに、安全確保と国民の信頼と安心が最優先されなければなりません。しかし、JOC臨界事故により周辺産業の安全性や行政の安全規制と防災体制に重大な不備があったことが露呈したことに鑑み、国民の信頼回復と安全確保のため、原子力の安全規制を一元的に行う機関を創設するとともに、情報公開を推進し、防災インフラ整備を一層充実させるなど原子力防災体制を確立します。
 また、核不拡散や資源の有効利用に加え、資源量の飛躍的な増加が期待できる核燃料サイクルの研究開発を国の責任において推進します。また、放射性廃棄物処分などバックエンド対策に関する研究開発も合わせて推進します。さらに、アジアにおける原子力先進国の責務として、原子力利用を進める周辺諸国への安全技術支援策を推進します。

 これらの内容は、「原子力の安全規制を一元的に行う機関」の「創設」、また「平和利用に限る」という意味においては、自民党内の一部「核武装」論者や経産官僚との「齟齬」をきたす可能性はあれ、基本ラインとしては自・公政権時代の政策を踏襲するものである。
 つまり、2005年に策定された国の原子力開発の基本方針たる「原子力政策大綱」を継承する新大綱の策定作業は今回の事故で中断されたわけだが、大綱の「見直し」とは「安全規制」の在り方やその「基準」なのであって、原発推進政策そのものの「見直し」ではない、ということである。

「原子力の推進・電力基盤の高度化施策について」(資源エネルギー庁/電力・ガス事業部政策課)
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1700万円を自民側に献金=東電役員、07年から3年間-「組織ぐるみ」の指摘も
 東京電力の役員の大半が自民党の政治資金団体「国民政治協会」に対し、2007年から3年間で計1703万円の政治献金をしていたことが8日、明らかになった。組織ぐるみの「事実上の企業献金」との指摘が出ている。福島第1原発の事故をめぐり東電と経済産業省の「もたれ合い体質」が問題視される中、これまで原子力政策を推進してきた自民党と東電との関係も問われそうだ。

 現在、閲覧可能な政治資金収支報告書は07~09年分。国民政治協会の収支報告書によると、東電役員は、07年は42人が543万円、08年は50人が591万円、09年は47人が569万円をそれぞれ献金した。 献金額は職位ごとにほぼ横並びで、例えば09年は勝俣恒久会長清水正孝社長が30万円、6人の副社長は全員が24万円、9人の常務は1人を除き12万円だった。 役員の献金は07年以前も行われていたとみられる。官報によると、勝俣会長に関しては00年と01年に各24万円、社長に就任した02年以降は毎年30万円献金していた。
 09年分の献金は12月に集中しており、同年8月の衆院選で敗れ、野党に転落した後も自民党への資金提供が続いていたことになる。一方、民主党の政治資金団体「国民改革協議会」の収支報告書には、役員からの献金はなかった。
 政治資金団体は、政党が1団体に限り届け出ることができ、企業・団体献金の受け取りも認められている。ただ、東電は石油ショック後の1974年、電気料金引き上げへの理解を得るため、政治献金の廃止を決めた経緯がある。東電役員の献金について、同社広報部は「あくまで個人の判断で役員が名を連ねた。会社が指示したり、強制したりしたことはない」と説明。また、国民政治協会事務局も「純粋な個人献金として受け取り、収支報告書に記載している。企業献金との認識はない」(???)としている。(時事)
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 一方、共産、社民はどうか。
 日本共産党。「被災者支援・復興、原子力・エネルギー政策の転換を――東日本大震災にあたっての提言」(4/1)。
 「日本の原子力行政の最大の問題は、「安全神話」を基礎としていることにある。原発に関しても、政府は、「苛酷事故――大量の放射性物質が放出されるような重大事故――が起こることは日本では現実に考えられない」として、国際原子力機関(IAEA)が求める苛酷事故を想定した対策をつくることすらしてこなかった。「安全神話」とは、「原子力は安全だから心配はない」とする立場だが、これを国民に宣伝するとともに、自分もこの「神話」にとらわれて、安全対策をおろそかにするというものである。こんな「神話」に固執している国は、日本以外には世界のどこにもない。
 アメリカで、1979年にスリーマイル島の原発事故が起こったとき、事故調査の最終報告書でもっとも強調されたのは、「原子力発電は安全だ」という思い込みに最大の問題があった、これを「原子力発電は本来的に危険性の高いものである」という姿勢に切り替えなければならないという反省だった。この教訓は、いまでは世界の多くの国ぐにの共通の認識になっている。 こんどこそ「安全神話」を一掃し、原子力のもつ本来的な危険性について国民に正直に語り、だからこそ政府が国民の安全確保のために万全の体制をとる正直で科学的な原子力行政へと転換することを強く求める」。

 (2)自然エネルギー、低エネルギー社会への戦略的転換を
 「原発依存のエネルギー政策から脱却し、太陽光・熱、風力、水力、地熱、波力、潮力、バイオマスなど再生可能エネルギーへの転換を決断し、大胆な目標と、それを実行するプランを策定すべきである」(⇒ぜひとも、共産党自身が「策定」してほしい)。
 「同時に、社会のあり方として、「大量生産、大量消費、大量廃棄」、いわゆる「24時間型社会」という社会のあり方を、根本的に見直し、低エネルギー社会への転換をはかるべきである。異常な長時間労働を是正し、夜間労働を規制して、人間らしい労働と生活を保障することは、その重要な内容の一つである」(⇒一般論としては、私も異論はない。国がどうやってこれらを「保障」するのか、共産党にはぜひその具体的青写真を示してほしい)。
 しかし、「正直で科学的な原子力行政」と「自然エネルギー、低エネルギー社会への戦略的転換」は両立するのだろうか? 「段階的」に「戦略的転換」をはかるとしても、その政策論的階梯が明らかにならなければ「戦略的転換」はかけ声一般に終わるだけである。

 社民党。「原発の停止」を菅政権に「申し入れた」ことは私も知っている。しかし社民党に共産党の主張より、より説得力のある「脱原発政策論」があるのかどうか、定かではない。
 社民党にはまず、「停止」を「申し入れ」だけに終わらせず、全国各地で運動的に取り組むよう提案したい。


 〈まずは「柏崎原発一時停止」の議論から始めよう〉
 一応、各電力会社は今月末までに、安全対策強化計画を国に提出することになっている。それをどこかの電力会社のように、代替電源設置や防災訓練の強化一般に矮小化することを認めないことが肝腎である。
 原発推進派の人々も、「安全第一」が大前提であるのは否定すべくもないだろう。ならば、安全点検と一時停止を合体させることは、まったく不可能なことではない。一度に完全停止できないと言うなら、計画的・段階的に一時停止を積み重ねればよいのである。

 いま、日本の中で電力需要に占める原発依存率に一番低いのは、東電の圏内である。一部稼動中の柏崎原発に頼っているが、全体の13,4%である。電力総需要量を抑制しつつ、超短期的には火力発電に切り替え、長期的には「自然エネルギー」への転換をはかる現実的シナリオが描けるなら、柏崎刈羽の稼働中原子炉の段階的停止→全面的停止が実現可能となる。
 
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⇒「上杉隆氏ら自由報道協会による「原発事故」取材の報告」(4/6)

震度6強余震 原発のもろさ再び露呈
 7日深夜に最大震度6強を観測した東日本大震災の余震で、北海道-関東の原発は再び強い揺れに見舞われた。一部の原子力発電所で外部からの電力供給を断たれた。また、外部電力の復旧後も非常用電源(ディーゼル発電機)が故障した。今のところ、東京電力福島第1原発(福島県)のような深刻な事故にいたっていないが、今後もマグニチュード7級の余震が起こるとみられ、経済産業省原子力安全・保安院は「安全策をもっと担保する必要がある」と指摘する。地震国・日本で、原発の電力確保が「綱渡り」であることが改めて浮き彫りにされている。【毎日・足立旬子、平野光芳、西川拓、永山悦子】
◇電源対策が急務
 東北電力東通原発(青森県)は、7日午後11時32分の地震発生直後、県内の広範囲にわたる停電の影響などで、2系統あった外部からの送電が止まった。直後に非常用ディーゼル発電機1台が起動し、使用済み核燃料プールの冷却は維持された。8日午前3時半には、外部電源1系統が復旧した。定期点検中で運転しておらず、外部に放射性物質は漏えいしていない。 ところが同午後2時前、運転中の非常用ディーゼル発電機から軽油が漏れ出して故障。全部で3台備えているが、別の2台は検査で使えない。今後、再び外部電源が遮断すれば、電源車で対応するしかないという。
 東北電力女川原発(宮城県)は地震直後、停電のため3系統ある外部からの送電のうち2系統が止まった。1~3号機は3月11日の震災後、運転していなかった。1系統残ったが、強い揺れで使用済み核燃料プールの計器が誤作動して自動停止し、一時、プールの冷却ができなくなった。結局、機器に損傷はなく、約1時間後、手動で冷却を再開した。
 震災で福島第1原発は、非常用を含む全電源が喪失し、炉心溶融や水素爆発、プールの温度上昇など深刻な事態を招いた。海江田万里経済産業相は3月30日、各電力会社に原発や原子力施設が全電源を喪失する事故を想定した緊急対策の策定を指示した。非常電源車の配備や訓練の実施などを盛り込み、今月中に報告するよう求めている。
 今回、福島第1原発のような事故は免れたが、住田健二・大阪大名誉教授(原子炉工学)は「(東通の非常用ディーゼル発電機の故障は)あってはならない。一方、非常用ディーゼル発電機は、うまく起動しないことが多く不安定な電源だ。装置を複数準備するだけではなく、異なる種類の対策を講じることが必要だ」と指摘する。 また、内閣府原子力安全委員会の代谷誠治委員は8日の会見で、「当面は、経済産業相が指示した追加対策で対応する。しかし、必要があれば、原発の安全性を判断する国の安全審査指針を見直したい」と述べた。

◇「プールの弱点、明白に」
 一方、女川原発では、使用済み燃料プールが強く揺れ、水が端からあふれて建屋内にこぼれ出た。漏れた水は、1号機2.3リットル▽2号機3.8リットル▽3号機1.8リットルで、放射能量は817~5410ベクレル。幸い、国に報告が求められる基準値(370万ベクレル)を下回った。 地震に伴う水漏れは過去にも発生している。
 07年の新潟県中越沖地震では、東京電力柏崎刈羽原発で、地震の揺れによって、使用済み核燃料プールの水がこぼれた。震度6強の強い揺れで、地震動とプールの水が共振して揺れが拡大する「スロッシング現象」が起きたとされる。その結果1、5、6号機のプールから水がこぼれ、近くにいた作業員にかかったほか、6号機では、その水が外部へ漏れた。
 福島第1原発の4号機では水素爆発が発生し、放射性物質が外部に広がったが、プールが原因となった。
 NPO法人「原子力資料情報室」(東京)の伴英幸共同代表は、「プールが原発の弱点になることが明らかになった。もし原発を続けるのであれば、プール自体をいかに閉じ込めるか検討することが必要だ」と指摘。気象庁が8日、「今後も(今回と同様に)マグニチュード7級の余震はありうる」と予測したことを踏まえ、伴さんは「福島第1原発以外の原発も危うい状況におかれていることを認識すべきだ」と訴える。

東通原発、非常用発電機全て使えず 女川も1台故障
 7日深夜に起きた余震では、東北地方の複数の原子力施設で外部電源からの電力供給が途絶した。このうち東北電力東通原発や女川原発では、バックアップ用の非常用ディーゼル発電機が使えないなど、危うい状態が続いたままだ。今回は辛うじて難を免れたが、今後も予想される大規模な余震の揺れと津波に、原発は耐えられるのか。
 東北電力によると、東通原発(青森県東通村)1号機は、余震で外部からの電力供給が2系統とも遮断されたため、非常用ディーゼル発電機による冷却に切り替えた。  8日午前3時半、外部電源が復旧。外部電源とともに非常用発電機による電力供給も続けたところ、午後2時10分ごろ、発電機の燃料循環ポンプ付近で燃料の軽油がもれているのを作業員が見つけ、運転を止めた。燃料漏れの理由は調査中。 同原発は3月11日の東日本大震災時には定期検査中で、原子炉に燃料棒はなく、現在、外部電源で使用済み核燃料貯蔵プールの冷却を続けている。非常用ディーゼル発電機は3台あるが、もう2台も、点検中のためすぐには起動できないという。
 女川原発(宮城県石巻市、女川町)1号機でも、非常用ディーゼル発電機2台のうち1台が壊れたまま1週間にわたって必要な機能を果たせない状態にあることがわかった。経済産業省原子力安全・保安院が8日、明らかにした。
 保安院によると、同電力が今月1日、1号機の発電機の定期点検をしたところ、2台のうち1台が発電所内の電源にうまく接続できないことが分かった。 東北電力は接続不良の原因をつきとめて8日、原子炉等規制法に基づいて保安院に報告したが、この間、新たな発電機の配備はないという。 (朝日)

「津波警報で必死に逃げた」=被災者ら、不安と疲れ―震災後最大余震から一夜明け
 またも激しい揺れに襲われた東北地方。一夜明けた8日午前、宮城、岩手両県の避難所では、被災者らが先月の大震災以来の大きな揺れに、不安や疲れを隠せない様子だった。
 震度6強を記録した仙台市宮城野区。市立岡田小学校に避難する遠藤こまさん(78)は「津波警報が出たので必死に校舎の3階まで逃げた。最初(先月11日)に怖い思いをしたので、今回もとっても怖くて…」と不安を隠し切れない。
 同じく震度6強だった宮城県栗原市では、南三陸町から集団避難してきた住民が暮らす日帰り温泉施設で天井に穴が開く被害が出た。就寝中だった三浦育子さん(34)は動転する母をなだめ、布団を頭までかぶって耐えた。「南三陸町に残った親戚の家が今度こそ津波で流されてしまうのではないかと心配だった」という。

 約650人が避難する宮城県石巻市の市立門脇中学校で、両親と5歳の娘の4人で生活する吉田恵美さん(36)は、防災無線で津波警報を知った。「前回は昼間だったので周りの状況が分かったが、今回は暗い中。娘も恐怖で体をぶるぶる震わせていた」と振り返った。
 約260人が身を寄せる岩手県大船渡市の市民文化会館。地震後すぐ、道路より低い位置にある1階から2階に避難者が駆け上がった。2階にいた勝部美香さん(46)は「パニック状態で人が津波のように流れ込んできた」と振り返る。
 一家4人で1階にいた主婦村上奈穂さん(40)も「揺れが収まらないうちに、途中で転びそうになりながら」2階へ避難。「高台に逃げた方がいい」という声を聞き、外に出て高台に通じる階段を途中まで上った。妻子と一緒に不安な夜を過ごした村上広樹さん(46)は「一番のショックはやっと復旧した電気や水道が止まったこと」と話し、「ライフラインのない生活がまた続くのか」とため息をついた。(時事)

一部で観測データ得られず=緊急地震速報に遅れも―気象庁
 気象庁は8日、震度6強を観測した7日夜の余震で、地震観測点と震度観測点のそれぞれ12カ所で新たにデータを入手できず、適切に発表できない状態にあると発表した。緊急地震速報が間に合わない場合も想定されるといい、同庁は「揺れを感じたら、危険回避行動を取ってほしい」と注意を呼び掛けた。 データが得られない地震観測点は、東北地方26カ所中、青森、秋田、岩手、宮城各県の12カ所。停電により2~3時間はバッテリーで稼働していたが、それも切れたとみられる。(時事)

送電線が遮断、北海道から本州への送電ストップ
 宮城県沖で7日深夜に発生した地震の影響で、北海道と本州を結ぶ送電線「北本連系線」が遮断し、北海道電力から本州への送電ができない状況となっている。 送電設備の損傷具合によっては、大規模な停電が発生している東北各県の電力復旧に影響が出る可能性がある。同線を所有する電源開発が遮断の原因を調査している。 同線は津軽海峡の海底を約43キロ・メートル通っており、電線の直径は14センチ・メートル。60万キロ・ワットの送電能力があり、東日本大震災後の3月13日から、本州に電力を送っていた。(読売)

福島第1原発10年で廃炉計画 東芝が東電に提出
 福島第1原発の原子炉などを製造した東芝が、同原発の約10年での廃炉案を東京電力と経済産業省に提出していたことが8日、明らかになった。これまでの原発の廃炉よりも期間を短くすることが可能としている。 計画は、米スリーマイルアイランド原発事故の廃炉作業の経験をもつ東芝子会社の米ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)などとともに作成。東芝によると、同事故では事故発生から廃炉まで約14年かかったが、米企業の経験を生かすことで、期間短縮ができるとみている。
 計画は、福島第1原発の1号機から4号機の原子炉圧力容器にある燃料棒や貯蔵プールの使用済み核燃料を取り出し、設備の撤去作業や土壌改良などを行うのに約10年がかかるとしている。
 同じく福島第1原発の建設に関わった日立製作所と米ゼネラル・エレクトリック(GE)連合も同様の対応案を近く出す見通しで、廃炉に向けた具体的な対応はこれらの案をもとに進められるとみられる。 国内では、中部電力の浜岡原発1、2号機が廃炉作業に入っており、2036年度の終了を見込んでいる。(共同)
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 東芝の「計画」にはいろいろ言いたいことがあるが、私の素人考えは後日にまわすとして、東電の顧問はもっと「悲観的」だ。

福島第1原発 「燃料棒除去の着手まで10年」東電顧問
 東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発について、東電の榎本聡明(としあき)顧問が毎日新聞のインタビューに応じた。原子炉を冷却し、廃炉に不可欠な核燃料の取り出しに着手するまでに約10年かかるとの見通しを明らかにする一方、「放射性物質を残したまま埋めてしまうことはない。燃料は必ず取り除く」と、住民感情を踏まえ、チェルノブイリ原発のように燃料ごとコンクリートで埋める「石棺方式」は取らないことを強調した。【山田大輔】
 東電の勝俣恒久会長は1~4号機を廃炉にする方針を明らかにしている。通常の廃炉でも20~30年かかるとされるが、福島第1の場合、損傷した核燃料を取り出す専用装置開発から始める必要があり、廃炉完了までの期間がさらに長引くことは確実だ。
 榎本顧問は東電本店で取材に応じ、1~3号機で続いている原子炉への注水作業について「水を注入するほかない。燃料がこれ以上溶解するのを食い止めたい」と説明。本来の冷却システム「残留熱除去系」の復旧には少なくとも1カ月かかるとの見通しを示した。予備の冷却システム増設も併せて進め、原子炉内が「冷温停止」と呼ばれる安定な状態になるまでには数カ月かかると述べた。
 放射能漏れにつながっている汚染水の問題については、放射線量を放流できるレベルまで落とす浄化設備を今月中に着工。数カ月後をめどに、放射性物質を原子炉建屋内に閉じ込める対策も並行して進めると述べた。周辺自治体に対する避難・屋内退避指示の解除などは、この段階が検討開始の目安になるとみられる。

 廃炉への課題として榎本顧問は
(1)原子炉建屋が損傷しており、まず放射性物質の拡散を防ぐ対策が必要
(2)1~3号機の燃料棒が推定で25~70%損傷しているため、従来の方法では取り出せない、と指摘。燃料の回収装置を新たに開発し、燃料回収を始めるまでに10年はかかると述べた。
 事故に対して「我々が予測していなかった問題が次々と出てくる。現場の観察自体が難しく、思うように進まないのが今までの積み重ねだった」と、対応の遅れを振り返った。
 米原子力規制委員会によると、炉心燃料の約45%が溶融したとされるスリーマイル原発事故(79年3月)の場合圧力容器のふたが開けられる状態になるまでに5年、さらに燃料取り出し完了までに6年かかった。解体作業はまだ始まっていない。 榎本顧問は東京大工学部卒、65年東電入社。福島第1では1号機の試運転(70年)を含め4回勤務した。副社長・原子力本部長だった02年、「トラブル隠し」が発覚し引責辞任した。

日米合同で福島原発廃炉の計画
 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は7日、東京電力福島第1原発に設備を納入した東芝や子会社の米原発大手ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)などの技術者で構成する日米合同チームが、原子炉の廃炉に向けた計画づくりに取り組んでいると報じた。同紙によると、合同チームは今月4日、廃炉にした上で「跡地に関する長期計画」を東電に提出したが、実行には巨額の費用が必要という。同紙は、一つの原発にある損傷した原子炉を4基も廃炉にするのは前代未聞で「計画の策定に急ぎすぎるということはない」と指摘した。チームを構成するのは他に米原子力関連機器メーカーのバブコック&ウィルコックスなど。同紙によると、米技術者は約2週間前から日本に滞在。東芝本社の一室に陣取って作業を進めている。【ニューヨーク共同】
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 ①廃炉計画が6基ではなく4基であること、②東電の「跡地に関する長期計画」の全貌が早急に情報公開される必要があること、③「巨額の費用」の調達ルートをモニターする必要があること、以上をとり急ぎ確認しておきたい。