脱原発への道筋: 原発の「安全性向上」論に回収されないために
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静岡県の湖西市長が、昨日(4/21)開かれた「静岡県市長会」で、浜岡原発の即時停止を要請した。中部電力の幹部が、防波壁の設置などの浜岡原発の「安全対策強化」に市長会の「理解」を求めたことに対し、三上市長は「対策を強化するのは現状の安全策が不十分だからではないか。まず原子炉を停止してから対策をすべきだ」と訴えたという。三上市長は、すでに「脱原発市町村長の会(仮)」を発足しており、長野県木曽町長などが賛同している。
湖西市は浜岡原発から50キロ以上も離れている。それでも三上市長は、「福島の現状を見れば、50キロでも安心できない」として脱原発を主張したという。明後日の統一地方選・第二ラウンド--私は統一地方選などより、原発問題に関する全国的・地域的議論を行うほうが、いま、はるかに重要だと考えているのだが--以後も、三上市長のように、稼働中原発を抱える自治体の首長から原発停止を訴える声がさらに上がることを期待したい。そのための持続的な働きかけを強めることが私たちにも求められている。
一方、実際に原発を抱える自治体では「脱原発」派がまだまだ圧倒的少数派であることも直視しなければならないだろう。
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・「原発運転継続容認」7割超 敦賀市長選世論調査 福井新聞社が行った敦賀市長選の世論調査で、新市長に力を入れてほしい政策(2項目選択)としては「原子力対策」が最も多く、全体の3割近くを占めた。東京電力福島第1原発事故を受け、敦賀の原発をどうすべきかについては「運転は止めずに安全対策を充実させる」が66.8%と最も多く、「これまで通り運転を続ける」を合わせた運転継続の容認意見が7割を超えた。
力を入れてほしい政策で「原子力対策」と回答したのは28.6%。各年代別、男女別でも最も高く、男女別では女性が16.3%と男性より4ポイントほど高かった。 次いで「高齢化・福祉対策」17.7%。「行財政改革」12.2%、「産業振興」11.7%、「中心市街地活性化や観光対策」11.3%、「少子化対策や教育政策」10.1%が続いた。「北陸新幹線の敦賀までの建設」は3.5%にとどまった。
深刻な事態に陥った福島第1原発事故を受け、敦賀の原発をどうすべきかとの問いでは「運転は止めずに安全対策を充実させる」66.8%、「これまで通り運転を続ける」が6.7%で、運転継続容認は73.5%に上った。 一方で「一度停止して国の基準、方針を待つ」は17.3%で2番目に多かった。「現在ある原発は廃止」は5.5%だった。
男女別では「運転は止めずに安全対策を充実」が男性69.4%に比べ女性は5ポイント低く、「一度停止して国の基準、方針を待つ」は女性が19.4%で男性より4.3ポイント高かった。 年代別では「運転は止めずに安全対策を充実」と答えた20、30、40代は7~8割台に上る一方、50、60代、70歳以上は5~6割台。「一度停止して国の基準、方針を待つ」は20代6%、30代11.5%、40代8.3%に対し、50代23.4%、60代21.2%、70歳以上26.8%で年齢が高い方がより慎重な姿勢を示す傾向となった。
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私が主張したいのは、
①政府と自治体自身が、電力会社任せにするのでなく、最低限度、耐震・津波想定基準を東日本大地震の破壊力を踏まえて策定し直し、
②それに応じた「安全対策」を各電力会社が施すまでは原発を一時停止し、
③停止中に原発の是々非々論を全国的にも地域的にも行い、
④最終的には広域的(半径30キロあるいは50キロ圏内の自治体)な住民投票(国民投票ではない)によって、原発をどうするかを決めよう、ということである。
⑤そのために新しい「原発住民投票」制度の導入も議論すべきだろう。もちろん、住民投票の実施までに、
⑥政府としてのエネルギー政策の基本方針が再度策定されねばならず、それをめぐる「国民的議論」も欠かせない。
しかしこの間、福島第一原発大災害を前にしても、脱原発に向けた輿論の高まりを、何とか原発の「安全性向上」論へと回収しようとする動きが国際的にも国内的にも強まってきている。
東電の「工程表」ならぬ、「気休め表」発表以降、福島第一原発問題が何かしら着実に「収束」に向かっているかのような、根拠なき楽観主義が蔓延する/演出される一方で、福島第一原発の1~4号機は廃炉にしても、それ以外の稼働中原発は一時停止もしなければ、廃止などありえない、といった原発推進派のバックラッシュが政界においても、原発を抱える地域においても起こっている。自民党の「原発政策の見直しの見直し」はその典型だ。
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・4号機プール高温続く 91度、水位には変化なし
福島第一原発の事故で、東京電力は22日、4号機の使用済み核燃料プールの水温が九一度だったと発表した。12日の測定とほぼ同じ水温で、高止まり状態が続いている。安定した冷温停止状態は約30度。プールには、原子炉から取り出して冷却期間が短い燃料が多数あり、東電は監視を強めている。 東電はこの日、生コン圧送機のアームに計測機器を取り付けて調査を実施し、水が燃料の上2メートルまであることを確認した。
水温は12日の測定でも約90度あったため、一日おきに140トンの水を注入し、冷却に努めていた。水注入について、東電は「計算通り蒸発分にほぼ見合う量。プールの水位に大きな変化はなかった」と説明している。 ただ、プール内の燃料棒は損傷が疑われているため、東電は水中カメラを用意したが、この日は高温で断念。注水などで水温が50度を下回った際に、撮影可能か検討する。 4号機のプールには核燃料棒を束ねた燃料集合体が1535体入っている。他号機のプールより千体前後多く、新品や炉から取り出したばかりの使用途中の集合体もある。(東京新聞より抜粋)
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半世紀以上に及ぶ国の「原子力行政」によって、原発建設を受け入れた自治体では原発なくして地域経済、「公共事業」、人々の生活が成り立ちようがない、それほどまでに原発依存が構造化している/そう仕向けられてきた現実がある。地域社会がこの「構造」から脱却するには何をどうすればよいのか。
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・福島影響?原発論議なし 青森・東通村議選
原発が立地する青森県東通村の村議選(24日投票)が静かに進んでいる。福島第1原発事故で原発の安全性が深刻な問題になっているが、東日本大震災に伴う自粛ムードもあって表立った原発への主張はなく、盛り上がりを欠いたまま終盤戦を迎えている。
同村は建設中の東京電力の原発1基と、既に立地し現在は定期検査中の東北電力の1基を抱える。村議選は定数14に対し16人が立候補した。うち現職12人は選挙カーを走らせず、街頭での訴えも自粛。現職、新人、元議員の計4陣営は街頭演説などに取り組む。
村にとって原子力との共存は、1965年に村議会が原発誘致決議を可決して以来の基本政策。運動自粛についてある現職陣営の幹部は「原発との共存をことさらに強調すれば、観光や海産物に対する風評被害を招く」と語る。
表立った支持拡大を控える各候補も、原発事故の影響を深刻に受け止めている。別の現職は雇用減などの不安が寄せられていることを指摘し、「支持者を集めて説明している」と話す。
活発化しない原発論議に、ある新人候補者は「原発を取り巻く国の状況が変わりつつあるのに、選挙で原子力政策が語られないのはおかしい」と強調している。(河北新報・菅谷仁)
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脱原発=原発のない社会論が「理想論」一般に終わらないためには、〈実現可能な原発からの自立のためのビジョン〉が必要だ。
①エネルギー政策/発電と需要、
②貿易・経済政策/原発輸出を通じた日本経済繁栄・成長論、
③地域(経済)の活性化。
この三つの領域において、原発依存・中毒状態からの脱却はどうすれば展望できるのか。
①の領域と「放射能汚染・被曝の危機」論に終始しない②と③の領域に踏み込んだ問題提起と提言が反/脱原発派に問われている。
たしかに、とても一筋縄では行かない、シビアな問題だ。しかし、〈放射能・プルトニウムと人間は共生しえない〉という福島第一原発大災害以後の現実を出発点にするなら、解決策はきっとあるはずだし、なければならないだろう。
こうした中、今日、福島県庁を訪れた東電社長に対し、佐藤県知事は福島県での「原発再開はあり得ない」と、キッパリ宣言した。今後、原発推進派による知事や福島県に対する恫喝・切り崩し攻勢が予想される。
福島や東北を見捨てず/見殺しにしない私たちの側の「支援」の質が試されている。
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⇒「エネルギー白書2010」
⇒「NEDO 再生可能エネルギー技術白書―新たなエネルギー社会の実現に向けて―」
⇒「温室効果ガス2050年80%削減のためのビジョン」(環境省)(⇒自公政権時代の環境省の「ビジョン」においては、2050年段階で原発の一次エネルギー供給に占める割合は26%になっている)。
⇒「省エネルギー・低炭素社会へ向けて~東日本大震災を受けて~」(気候ネットワーク)(⇒環境省の「ビジョン」より、かなりラディカルなプランに読める「気候ネットワーク」の「提言」においても、最終的脱原発には半世紀近くを要することがわかるだろう。それだけ日本は電源開発において原発依存を政策的に深めながら、「再生可能エネルギー」「自然エネルギー」への社会的シフトを怠ってきたのである。逆に言えば、いま真剣に政策的転換をはからないと、とてもじゃないが追いつかない、ということである)
⇒「特集ワイド:「国策民営」 日本の原子力、戦後史のツケ」(毎日新聞)
⇒「原子力ロビー「電気事業連合会」の力と実態」(フライデー)
⇒「経産省から電力会社に天下り 東電など6社に在職 塩川議員調査」(しんぶん赤旗)
⇒「敦賀市長選、揺れる有権者の声 原発共生と安全」(福井新聞)
⇒「統一地方選 後半戦告示(その1) 原発の町、どう動く」(毎日新聞)
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・美浜原発1号機、後継機計画を一時凍結 関西電力
関西電力は22日、40年を超えて運転している美浜原子力発電所1号機(福井県美浜町)について、敷地内での置き換え(リプレース)に向けたスケジュールを一時凍結する方針を固めた。福島の原発事故の収束にめどが立たず、地元・福井県の理解にはより時間が必要だと判断した。 八木誠社長が27日に予定している定例社長会見で発表する。
関電は昨年6月、美浜1号機の将来の廃炉と、後継機を増設する置き換えの方針を発表。今秋に予定していた1号機の運転継続期間の発表も含め、計画やスケジュールを根本から見直す。ただ、置き換えを目指す考えは変えない。
後継機の建設に向けた立地調査は震災後に中断。今年度中としていた高浜4号機(同県高浜町)でのプルサーマル発電や、来年夏に運転開始40年となる美浜2号機についての運転方針の判断も遅れそうだ。 福井県の西川一誠知事も「過度の原発依存を改める方向が望ましい」とするなど地元の態度は硬化。関電は震災を受けて原発の緊急安全対策を実施し、国や福井県の理解を求めている。「(既存原発の)安全対策がまず第一。将来の計画について予定通りの行動は事実上難しい」(関電首脳)としている。(朝日・清井聡)
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⇒「玄海原発プルサーマル問題」(佐賀新聞)
・首都圏地盤に力、南関東のM7級誘発も
東日本大震災で起きた地殻変動の影響で、首都圏の地盤に力が加わり、地震が起きやすい状態になっているとの解析結果を、東京大地震研究所のグループが22日、発表した。 解析結果は、大震災後に発生した地震の分布ともほぼ一致している。同研究所では、国の地震調査委員会が今後30年間に70%の確率で起きると予測しているマグニチュード7級の南関東の地震が誘発される可能性があるとして、注意を呼びかけている。
同研究所の石辺岳男・特任研究員らは、首都圏で過去24年間に起きた約3万の地震で破壊された領域が、大震災でどのような影響を受けたかを解析。地震が起きやすくなる力が働く領域は約1万7000で、起きにくくなる領域の約7000よりも多いことが分かった。震源が30キロよりも浅い地震は静岡県東部から神奈川県西部で、30キロよりも深い地震は茨城県南西部、東京湾北部で起きやすくなっていることが判明した。(読売)
・原発反対が急伸 47カ国・地域 世論調査
各国の世論調査機関が加盟する「WIN-ギャラップ・インターナショナル」(本部・スイス・チューリヒ)は19日、福島第一原発事故を受けて世界の47カ国・地域で実施した世論調査結果を発表した。 原発反対は事故前の32%から11ポイント上昇して43%となる一方、支持が57%から8ポイント下落して49%となり、賛否の差は25ポイントから6ポイントに縮まった。
調査は3月21日~4月10日、日本やパキスタンを含むアジア各国のほか、北南米、欧州、アフリカなど計3万4千人以上を対象に行われた。 同社専門家は「原子力は過去十年、国際世論の安定した支持を得ていたが、世界の多くの人々が福島の事故を懸念して反対へ立場を変えたことになり、今後は議論が活発化しそうだ」と分析した。 日本やカナダ、サウジアラビアなど8つの国・地域で、事故後に賛否が逆転し反対が上回った。(共同より一部抜粋)
・日豪首脳会談、原子力の安全性向上で合意
菅首相は21日、首相官邸でオーストラリアのギラード首相と会談した。豪州は現在、国際原子力機関(IAEA)理事国で、両首相は東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、原発の国際的安全基準強化などを巡って協力することで一致した。 代替エネルギー開発でも連携を強化することで合意した。
菅首相は原発事故による風評被害も念頭に「あらゆる情報を豪州はじめ全世界にしっかり伝え、透明性の高い発信をしたい」と強調。ギラード首相は「情報公開が密になされることを歓迎したい」と応じた。また、菅首相は火力発電所への依存度が当面、高まることから、液化天然ガス(LNG)などの安定供給の継続を求め、ギラード首相は要請に応じる考えを表明した。経済連携協定(EPA)交渉は早期妥結へ努力することを確認した。
・イタリア:上院、原発凍結法案を可決…野党「わな」と反発
イタリア上院は20日、ベルルスコーニ政権が提出した、原発建設再開を無期限で凍結する通称「原発改正法案」を賛成133票、反対104票、棄権14票で可決、下院に付託された。
反原発派が多い野党は、法案が6月予定の原発再開などを問う国民投票を無効にする「わな」だと主張、反対した。原発再開の余地は残されており、法案には、政治的な思惑と福島第1原発事故で広がった国内の感情論をやり過ごす狙いがありそうだ。 採決前の演説でロマーニ経済発展相は、福島事故の影響とそれに伴う欧州連合の原子力計画が明らかになった時点で「イタリアでの原発の妥当性が初めて明らかになる」と語り、無期限凍結が覆る可能性を示唆した。
イタリアは稼働していた原子炉を90年に停止させた。だが、現政権が13年の稼働を目標に原発計画を推進。この結果、一部野党の提案で新たな国民投票が6月中旬に行われる。 国民投票は有権者の過半数が投票しなければ無効となるため、野党や有力紙は、投票率を低下させる狙いがあると指摘している。【毎日・ジェノバ 藤原章生】
・チェルノブイリ25年、米など処理費660億円
チェルノブイリ原発事故から25年を迎えるのを機にキエフで19日に開かれた国際会議で、同原発からの放射性物質拡散を防ぐため米露や欧州連合(EU)などが総額5億5000万ユーロ(約660億円)の拠出を表明した。
ウクライナ政府は爆発事故が起きた4号機を、巨大な鋼鉄の建造物で覆う計画だ。 4号機は事故後、コンクリートで覆われ、核燃料は「石棺」の中に閉じ込められた。しかし石棺は老朽化が進み、現在も放射性物質の放出は止まらない。18日に4号機近くを訪れると、放射線量の値は通常の20~30倍の高さだった。 こうした状況の中、放射能を封じる新たな対策が必要となった。
ウクライナ政府は石棺を高さ110メートル、幅260メートル、重さ3万トンの鋼鉄ですっぽり囲み、少なくとも今後100年の安全を確保するとしている。2012年春にも着工し15年の完成をめざす。 新たな放射能対策のためウクライナ政府は約7億4000万ユーロ(約888億円)の拠出を国際社会に求めており、資金の手当てが今回の会議の主要議題だった。
目標額の約75%の獲得に道筋をつけた同国のヤヌコビッチ大統領は「前例のない成功」と述べ、会議を締めくくった。 今回の会議は福島第一原発の事故を受け世界的に原子力の安全に対する関心が高まる中で開かれた。(読売・キエフ=寺口亮一)
・核燃料税収、既検査分除きゼロ=原発事故で―福島県
福島第1原発事故で、同第2原発を含めた原子炉計10基が全て停止したため、福島県が条例で定めた核燃料税(法定外普通税)の2011年度税収が2月定期検査分の約8億円を除いてゼロになる見通しとなっていることが20日分かった。
県税務課によると、核燃料税は原発の定期検査の際に核燃料が原子炉に挿入されたことを確認した時点で課税する。原子炉設置者の東京電力が納税義務を負うが、現在は事故で燃料が出し入れされていないため、課税できないという。
県は2011年度当初予算に同税収44億7000万円を計上。震災前の2月に第2原発4号機の定期検査が行われたため、約8億円のみ確保できるとみている。(時事)
・警戒区域に設定=住民、数日中に一時帰宅―原発20キロ圏
東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の半径20キロ圏に位置する福島県の9市町村は22日午前0時、同圏内を「警戒区域」に設定した。住民らの立ち入りを禁じ、域内にとどまった場合、各市町村長は退去を命じることができる。また政府は、警戒区域の住民の一時帰宅について、第1原発から3キロ圏を除いて数日中に始める方針だ。 警戒区域の対象は大熊町、双葉町、富岡町の全域と、南相馬市、田村市、浪江町、楢葉町、川内村、葛尾村のそれぞれ一部で、域内の人口は約7万8000人(約2万7000世帯)。従来の避難指示より強制力が強く、違反者は10万円以下の罰金などが科される。
避難生活を送っている住民が自宅に貴重品を取りに戻るケースなどが後を絶たず、防犯上の効果も期待し、県が国に設定を要請。これを受け、菅直人首相が災害対策基本法に基づき、21日に各市町村長に指示した。 また、福島第2原発から10キロ圏の避難区域については8キロ圏に縮小。これにより8キロ圏は第1原発の20キロ圏に重なり、広野町と楢葉町のそれぞれ一部が避難区域から外れた。
一方、政府は21日、一時帰宅に関する「基本的な考え方」を公表した。それによると、第1原発の3キロ圏と毎時200マイクロシーベルトを超える高い放射線が測定された地域などは対象としない。安全対策についても規定し、
(1)1世帯1人に限り、バスで集団行動する
(2)防護服や雨がっぱなどを着用し、線量計やトランシーバーを携帯する
(3)警戒区域から出る際に被ばく状況調査(スクリーニング)を行う
(4)持ち出しは財布や通帳など必要最小限とし、在宅時間は最大2時間程度―とした。(時事)
⇒「福島が殺される--東京の身代わりなのか」(週刊現代)
・「具体的な回答ない」放射線量説明会に不満の声
文部科学省と福島県は21日、同省の放射線量の安全基準で屋外活動が制限されることになった福島市内の10の小中学校や幼稚園、保育園の保護者と教員を対象に、日常生活の注意事項などについて説明会を開いた。
会合は、午前と午後の2回に分けて開催された。午前の部には、保護者ら約400人が出席。質疑応答では、「私服はすぐ洗えても、学校の制服の洗濯はどうしたらいいのか」「これから暑い季節になって、教室の窓を開けてもいいのか」などの質問が相次いだ。
しかし、担当者側から「原子力災害対策本部と協議する」「過度に心配する必要はない」(???)などとあいまいな回答が目立ったため、参加者からは「具体的な回答がない」「何のためにここに来たのか」「子を持つ親の気持ちを全く分かっていない」と不満の声が上がった。
・法案名から「地域主権」削除の修正案可決 衆院総務委
衆院総務委員会は21日、菅政権が進める地域主権改革の関連法案について、「地域主権」の4文字を削除する民主、自民、公明各党による修正案を賛成多数で可決した。「地方分権」という用語を使ってきた自民党が削除を要求し、与党側が削除に応じた。 22日の衆院本会議で可決されたのち参院に送られ、可決される見通し。
修正後の法案名は「地域の自主性及び自立性を高める改革推進を図るための法案」(略称)で、民主党政権が官邸で開いてきた「地域主権戦略会議」の名称も法案から削除する。憲法上の「国民主権」と「地域主権」との混同も指摘されていたことから、今後の分権改革を「国民主権の理念の下に」進めることも明記した。 同法案は、国が法令で自治体の仕事を縛る「義務付け・枠付け」の見直し、「国と地方の協議の場」の法制化などからなる。(読売)
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自公民合意による「地域主権」の削除は、間違いなく「地方分権」そのものの百歩後退になる。
この問題は原発をはじめとした「国策」に対する地域住民の意思や住民投票の法的拘束力を強化する観点から言っても、きわめて重要かつ重大な問題だ。機会がある折に改めて考えてみたい。
・天下り規制に二重基準…特定企業不可と容認法案
国家公務員の天下り規制に対する政府の方針がぐらついている。
枝野官房長官は18日の記者会見で、東京電力顧問の石田徹・前資源エネルギー庁長官について、「個人の責任で適切な対応をされると期待している」と自発的な退任を求めた。東電の福島第一原子力発電所の事故後、政府と東電の密接な関係に批判が強まっているからだ。枝野氏は「今の法制度に基づくチェックで良いのかも含めて抜本的に考える」とも述べ、省庁と関係の深い特定企業への再就職に関し、法改正も含む規制強化の意向を示した。
ただ、国家公務員の天下り規制は、2008年施行の改正国家公務員法で従来の人事院による事前承認制が廃止となり、省庁が「あっせん」した再就職に限って禁止する制度に変わった。菅内閣が5日にまとめた公務員制度改革の「全体像」にも、あっせんがない場合の再就職は認める前提で新たな監視機関の設置を盛り込んだばかりだ。石田氏の顧問就任も、枝野氏自らが2月に「あっせんがなかった」とし、問題のない再就職だという「お墨付き」を与えていた。
枝野氏は19日朝、中野公務員改革相と顔を合わせた際、「方針に変更はありません。改革の『全体像』に基づいて進めてください」と伝えた。 政府内では「明らかな二重基準で、法改正で禁止対象を網羅的に規定するのは困難(???)だ」(内閣府幹部)という指摘が出ている。(読売)
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「法改正で禁止対象を網羅的に規定」などする必要は全くない。官僚主導となった菅内閣・民主党政権による議論のすり替えだ。「天下り」問題をめぐり議論を一からやり直す必要がある。
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★『特集上映 25年目のチェルノブイリ』(ポレポレ東中野) 4/23~5/6
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静岡県の湖西市長が、昨日(4/21)開かれた「静岡県市長会」で、浜岡原発の即時停止を要請した。中部電力の幹部が、防波壁の設置などの浜岡原発の「安全対策強化」に市長会の「理解」を求めたことに対し、三上市長は「対策を強化するのは現状の安全策が不十分だからではないか。まず原子炉を停止してから対策をすべきだ」と訴えたという。三上市長は、すでに「脱原発市町村長の会(仮)」を発足しており、長野県木曽町長などが賛同している。
湖西市は浜岡原発から50キロ以上も離れている。それでも三上市長は、「福島の現状を見れば、50キロでも安心できない」として脱原発を主張したという。明後日の統一地方選・第二ラウンド--私は統一地方選などより、原発問題に関する全国的・地域的議論を行うほうが、いま、はるかに重要だと考えているのだが--以後も、三上市長のように、稼働中原発を抱える自治体の首長から原発停止を訴える声がさらに上がることを期待したい。そのための持続的な働きかけを強めることが私たちにも求められている。
一方、実際に原発を抱える自治体では「脱原発」派がまだまだ圧倒的少数派であることも直視しなければならないだろう。
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・「原発運転継続容認」7割超 敦賀市長選世論調査 福井新聞社が行った敦賀市長選の世論調査で、新市長に力を入れてほしい政策(2項目選択)としては「原子力対策」が最も多く、全体の3割近くを占めた。東京電力福島第1原発事故を受け、敦賀の原発をどうすべきかについては「運転は止めずに安全対策を充実させる」が66.8%と最も多く、「これまで通り運転を続ける」を合わせた運転継続の容認意見が7割を超えた。
力を入れてほしい政策で「原子力対策」と回答したのは28.6%。各年代別、男女別でも最も高く、男女別では女性が16.3%と男性より4ポイントほど高かった。 次いで「高齢化・福祉対策」17.7%。「行財政改革」12.2%、「産業振興」11.7%、「中心市街地活性化や観光対策」11.3%、「少子化対策や教育政策」10.1%が続いた。「北陸新幹線の敦賀までの建設」は3.5%にとどまった。
深刻な事態に陥った福島第1原発事故を受け、敦賀の原発をどうすべきかとの問いでは「運転は止めずに安全対策を充実させる」66.8%、「これまで通り運転を続ける」が6.7%で、運転継続容認は73.5%に上った。 一方で「一度停止して国の基準、方針を待つ」は17.3%で2番目に多かった。「現在ある原発は廃止」は5.5%だった。
男女別では「運転は止めずに安全対策を充実」が男性69.4%に比べ女性は5ポイント低く、「一度停止して国の基準、方針を待つ」は女性が19.4%で男性より4.3ポイント高かった。 年代別では「運転は止めずに安全対策を充実」と答えた20、30、40代は7~8割台に上る一方、50、60代、70歳以上は5~6割台。「一度停止して国の基準、方針を待つ」は20代6%、30代11.5%、40代8.3%に対し、50代23.4%、60代21.2%、70歳以上26.8%で年齢が高い方がより慎重な姿勢を示す傾向となった。
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私が主張したいのは、
①政府と自治体自身が、電力会社任せにするのでなく、最低限度、耐震・津波想定基準を東日本大地震の破壊力を踏まえて策定し直し、
②それに応じた「安全対策」を各電力会社が施すまでは原発を一時停止し、
③停止中に原発の是々非々論を全国的にも地域的にも行い、
④最終的には広域的(半径30キロあるいは50キロ圏内の自治体)な住民投票(国民投票ではない)によって、原発をどうするかを決めよう、ということである。
⑤そのために新しい「原発住民投票」制度の導入も議論すべきだろう。もちろん、住民投票の実施までに、
⑥政府としてのエネルギー政策の基本方針が再度策定されねばならず、それをめぐる「国民的議論」も欠かせない。
しかしこの間、福島第一原発大災害を前にしても、脱原発に向けた輿論の高まりを、何とか原発の「安全性向上」論へと回収しようとする動きが国際的にも国内的にも強まってきている。
東電の「工程表」ならぬ、「気休め表」発表以降、福島第一原発問題が何かしら着実に「収束」に向かっているかのような、根拠なき楽観主義が蔓延する/演出される一方で、福島第一原発の1~4号機は廃炉にしても、それ以外の稼働中原発は一時停止もしなければ、廃止などありえない、といった原発推進派のバックラッシュが政界においても、原発を抱える地域においても起こっている。自民党の「原発政策の見直しの見直し」はその典型だ。
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・4号機プール高温続く 91度、水位には変化なし
福島第一原発の事故で、東京電力は22日、4号機の使用済み核燃料プールの水温が九一度だったと発表した。12日の測定とほぼ同じ水温で、高止まり状態が続いている。安定した冷温停止状態は約30度。プールには、原子炉から取り出して冷却期間が短い燃料が多数あり、東電は監視を強めている。 東電はこの日、生コン圧送機のアームに計測機器を取り付けて調査を実施し、水が燃料の上2メートルまであることを確認した。
水温は12日の測定でも約90度あったため、一日おきに140トンの水を注入し、冷却に努めていた。水注入について、東電は「計算通り蒸発分にほぼ見合う量。プールの水位に大きな変化はなかった」と説明している。 ただ、プール内の燃料棒は損傷が疑われているため、東電は水中カメラを用意したが、この日は高温で断念。注水などで水温が50度を下回った際に、撮影可能か検討する。 4号機のプールには核燃料棒を束ねた燃料集合体が1535体入っている。他号機のプールより千体前後多く、新品や炉から取り出したばかりの使用途中の集合体もある。(東京新聞より抜粋)
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半世紀以上に及ぶ国の「原子力行政」によって、原発建設を受け入れた自治体では原発なくして地域経済、「公共事業」、人々の生活が成り立ちようがない、それほどまでに原発依存が構造化している/そう仕向けられてきた現実がある。地域社会がこの「構造」から脱却するには何をどうすればよいのか。
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・福島影響?原発論議なし 青森・東通村議選
原発が立地する青森県東通村の村議選(24日投票)が静かに進んでいる。福島第1原発事故で原発の安全性が深刻な問題になっているが、東日本大震災に伴う自粛ムードもあって表立った原発への主張はなく、盛り上がりを欠いたまま終盤戦を迎えている。
同村は建設中の東京電力の原発1基と、既に立地し現在は定期検査中の東北電力の1基を抱える。村議選は定数14に対し16人が立候補した。うち現職12人は選挙カーを走らせず、街頭での訴えも自粛。現職、新人、元議員の計4陣営は街頭演説などに取り組む。
村にとって原子力との共存は、1965年に村議会が原発誘致決議を可決して以来の基本政策。運動自粛についてある現職陣営の幹部は「原発との共存をことさらに強調すれば、観光や海産物に対する風評被害を招く」と語る。
表立った支持拡大を控える各候補も、原発事故の影響を深刻に受け止めている。別の現職は雇用減などの不安が寄せられていることを指摘し、「支持者を集めて説明している」と話す。
活発化しない原発論議に、ある新人候補者は「原発を取り巻く国の状況が変わりつつあるのに、選挙で原子力政策が語られないのはおかしい」と強調している。(河北新報・菅谷仁)
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脱原発=原発のない社会論が「理想論」一般に終わらないためには、〈実現可能な原発からの自立のためのビジョン〉が必要だ。
①エネルギー政策/発電と需要、
②貿易・経済政策/原発輸出を通じた日本経済繁栄・成長論、
③地域(経済)の活性化。
この三つの領域において、原発依存・中毒状態からの脱却はどうすれば展望できるのか。
①の領域と「放射能汚染・被曝の危機」論に終始しない②と③の領域に踏み込んだ問題提起と提言が反/脱原発派に問われている。
たしかに、とても一筋縄では行かない、シビアな問題だ。しかし、〈放射能・プルトニウムと人間は共生しえない〉という福島第一原発大災害以後の現実を出発点にするなら、解決策はきっとあるはずだし、なければならないだろう。
こうした中、今日、福島県庁を訪れた東電社長に対し、佐藤県知事は福島県での「原発再開はあり得ない」と、キッパリ宣言した。今後、原発推進派による知事や福島県に対する恫喝・切り崩し攻勢が予想される。
福島や東北を見捨てず/見殺しにしない私たちの側の「支援」の質が試されている。
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⇒「エネルギー白書2010」
⇒「NEDO 再生可能エネルギー技術白書―新たなエネルギー社会の実現に向けて―」
⇒「温室効果ガス2050年80%削減のためのビジョン」(環境省)(⇒自公政権時代の環境省の「ビジョン」においては、2050年段階で原発の一次エネルギー供給に占める割合は26%になっている)。
⇒「省エネルギー・低炭素社会へ向けて~東日本大震災を受けて~」(気候ネットワーク)(⇒環境省の「ビジョン」より、かなりラディカルなプランに読める「気候ネットワーク」の「提言」においても、最終的脱原発には半世紀近くを要することがわかるだろう。それだけ日本は電源開発において原発依存を政策的に深めながら、「再生可能エネルギー」「自然エネルギー」への社会的シフトを怠ってきたのである。逆に言えば、いま真剣に政策的転換をはからないと、とてもじゃないが追いつかない、ということである)
⇒「特集ワイド:「国策民営」 日本の原子力、戦後史のツケ」(毎日新聞)
⇒「原子力ロビー「電気事業連合会」の力と実態」(フライデー)
⇒「経産省から電力会社に天下り 東電など6社に在職 塩川議員調査」(しんぶん赤旗)
⇒「敦賀市長選、揺れる有権者の声 原発共生と安全」(福井新聞)
⇒「統一地方選 後半戦告示(その1) 原発の町、どう動く」(毎日新聞)
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・美浜原発1号機、後継機計画を一時凍結 関西電力
関西電力は22日、40年を超えて運転している美浜原子力発電所1号機(福井県美浜町)について、敷地内での置き換え(リプレース)に向けたスケジュールを一時凍結する方針を固めた。福島の原発事故の収束にめどが立たず、地元・福井県の理解にはより時間が必要だと判断した。 八木誠社長が27日に予定している定例社長会見で発表する。
関電は昨年6月、美浜1号機の将来の廃炉と、後継機を増設する置き換えの方針を発表。今秋に予定していた1号機の運転継続期間の発表も含め、計画やスケジュールを根本から見直す。ただ、置き換えを目指す考えは変えない。
後継機の建設に向けた立地調査は震災後に中断。今年度中としていた高浜4号機(同県高浜町)でのプルサーマル発電や、来年夏に運転開始40年となる美浜2号機についての運転方針の判断も遅れそうだ。 福井県の西川一誠知事も「過度の原発依存を改める方向が望ましい」とするなど地元の態度は硬化。関電は震災を受けて原発の緊急安全対策を実施し、国や福井県の理解を求めている。「(既存原発の)安全対策がまず第一。将来の計画について予定通りの行動は事実上難しい」(関電首脳)としている。(朝日・清井聡)
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⇒「玄海原発プルサーマル問題」(佐賀新聞)
・首都圏地盤に力、南関東のM7級誘発も
東日本大震災で起きた地殻変動の影響で、首都圏の地盤に力が加わり、地震が起きやすい状態になっているとの解析結果を、東京大地震研究所のグループが22日、発表した。 解析結果は、大震災後に発生した地震の分布ともほぼ一致している。同研究所では、国の地震調査委員会が今後30年間に70%の確率で起きると予測しているマグニチュード7級の南関東の地震が誘発される可能性があるとして、注意を呼びかけている。
同研究所の石辺岳男・特任研究員らは、首都圏で過去24年間に起きた約3万の地震で破壊された領域が、大震災でどのような影響を受けたかを解析。地震が起きやすくなる力が働く領域は約1万7000で、起きにくくなる領域の約7000よりも多いことが分かった。震源が30キロよりも浅い地震は静岡県東部から神奈川県西部で、30キロよりも深い地震は茨城県南西部、東京湾北部で起きやすくなっていることが判明した。(読売)
・原発反対が急伸 47カ国・地域 世論調査
各国の世論調査機関が加盟する「WIN-ギャラップ・インターナショナル」(本部・スイス・チューリヒ)は19日、福島第一原発事故を受けて世界の47カ国・地域で実施した世論調査結果を発表した。 原発反対は事故前の32%から11ポイント上昇して43%となる一方、支持が57%から8ポイント下落して49%となり、賛否の差は25ポイントから6ポイントに縮まった。
調査は3月21日~4月10日、日本やパキスタンを含むアジア各国のほか、北南米、欧州、アフリカなど計3万4千人以上を対象に行われた。 同社専門家は「原子力は過去十年、国際世論の安定した支持を得ていたが、世界の多くの人々が福島の事故を懸念して反対へ立場を変えたことになり、今後は議論が活発化しそうだ」と分析した。 日本やカナダ、サウジアラビアなど8つの国・地域で、事故後に賛否が逆転し反対が上回った。(共同より一部抜粋)
・日豪首脳会談、原子力の安全性向上で合意
菅首相は21日、首相官邸でオーストラリアのギラード首相と会談した。豪州は現在、国際原子力機関(IAEA)理事国で、両首相は東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、原発の国際的安全基準強化などを巡って協力することで一致した。 代替エネルギー開発でも連携を強化することで合意した。
菅首相は原発事故による風評被害も念頭に「あらゆる情報を豪州はじめ全世界にしっかり伝え、透明性の高い発信をしたい」と強調。ギラード首相は「情報公開が密になされることを歓迎したい」と応じた。また、菅首相は火力発電所への依存度が当面、高まることから、液化天然ガス(LNG)などの安定供給の継続を求め、ギラード首相は要請に応じる考えを表明した。経済連携協定(EPA)交渉は早期妥結へ努力することを確認した。
・イタリア:上院、原発凍結法案を可決…野党「わな」と反発
イタリア上院は20日、ベルルスコーニ政権が提出した、原発建設再開を無期限で凍結する通称「原発改正法案」を賛成133票、反対104票、棄権14票で可決、下院に付託された。
反原発派が多い野党は、法案が6月予定の原発再開などを問う国民投票を無効にする「わな」だと主張、反対した。原発再開の余地は残されており、法案には、政治的な思惑と福島第1原発事故で広がった国内の感情論をやり過ごす狙いがありそうだ。 採決前の演説でロマーニ経済発展相は、福島事故の影響とそれに伴う欧州連合の原子力計画が明らかになった時点で「イタリアでの原発の妥当性が初めて明らかになる」と語り、無期限凍結が覆る可能性を示唆した。
イタリアは稼働していた原子炉を90年に停止させた。だが、現政権が13年の稼働を目標に原発計画を推進。この結果、一部野党の提案で新たな国民投票が6月中旬に行われる。 国民投票は有権者の過半数が投票しなければ無効となるため、野党や有力紙は、投票率を低下させる狙いがあると指摘している。【毎日・ジェノバ 藤原章生】
・チェルノブイリ25年、米など処理費660億円
チェルノブイリ原発事故から25年を迎えるのを機にキエフで19日に開かれた国際会議で、同原発からの放射性物質拡散を防ぐため米露や欧州連合(EU)などが総額5億5000万ユーロ(約660億円)の拠出を表明した。
ウクライナ政府は爆発事故が起きた4号機を、巨大な鋼鉄の建造物で覆う計画だ。 4号機は事故後、コンクリートで覆われ、核燃料は「石棺」の中に閉じ込められた。しかし石棺は老朽化が進み、現在も放射性物質の放出は止まらない。18日に4号機近くを訪れると、放射線量の値は通常の20~30倍の高さだった。 こうした状況の中、放射能を封じる新たな対策が必要となった。
ウクライナ政府は石棺を高さ110メートル、幅260メートル、重さ3万トンの鋼鉄ですっぽり囲み、少なくとも今後100年の安全を確保するとしている。2012年春にも着工し15年の完成をめざす。 新たな放射能対策のためウクライナ政府は約7億4000万ユーロ(約888億円)の拠出を国際社会に求めており、資金の手当てが今回の会議の主要議題だった。
目標額の約75%の獲得に道筋をつけた同国のヤヌコビッチ大統領は「前例のない成功」と述べ、会議を締めくくった。 今回の会議は福島第一原発の事故を受け世界的に原子力の安全に対する関心が高まる中で開かれた。(読売・キエフ=寺口亮一)
・核燃料税収、既検査分除きゼロ=原発事故で―福島県
福島第1原発事故で、同第2原発を含めた原子炉計10基が全て停止したため、福島県が条例で定めた核燃料税(法定外普通税)の2011年度税収が2月定期検査分の約8億円を除いてゼロになる見通しとなっていることが20日分かった。
県税務課によると、核燃料税は原発の定期検査の際に核燃料が原子炉に挿入されたことを確認した時点で課税する。原子炉設置者の東京電力が納税義務を負うが、現在は事故で燃料が出し入れされていないため、課税できないという。
県は2011年度当初予算に同税収44億7000万円を計上。震災前の2月に第2原発4号機の定期検査が行われたため、約8億円のみ確保できるとみている。(時事)
・警戒区域に設定=住民、数日中に一時帰宅―原発20キロ圏
東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の半径20キロ圏に位置する福島県の9市町村は22日午前0時、同圏内を「警戒区域」に設定した。住民らの立ち入りを禁じ、域内にとどまった場合、各市町村長は退去を命じることができる。また政府は、警戒区域の住民の一時帰宅について、第1原発から3キロ圏を除いて数日中に始める方針だ。 警戒区域の対象は大熊町、双葉町、富岡町の全域と、南相馬市、田村市、浪江町、楢葉町、川内村、葛尾村のそれぞれ一部で、域内の人口は約7万8000人(約2万7000世帯)。従来の避難指示より強制力が強く、違反者は10万円以下の罰金などが科される。
避難生活を送っている住民が自宅に貴重品を取りに戻るケースなどが後を絶たず、防犯上の効果も期待し、県が国に設定を要請。これを受け、菅直人首相が災害対策基本法に基づき、21日に各市町村長に指示した。 また、福島第2原発から10キロ圏の避難区域については8キロ圏に縮小。これにより8キロ圏は第1原発の20キロ圏に重なり、広野町と楢葉町のそれぞれ一部が避難区域から外れた。
一方、政府は21日、一時帰宅に関する「基本的な考え方」を公表した。それによると、第1原発の3キロ圏と毎時200マイクロシーベルトを超える高い放射線が測定された地域などは対象としない。安全対策についても規定し、
(1)1世帯1人に限り、バスで集団行動する
(2)防護服や雨がっぱなどを着用し、線量計やトランシーバーを携帯する
(3)警戒区域から出る際に被ばく状況調査(スクリーニング)を行う
(4)持ち出しは財布や通帳など必要最小限とし、在宅時間は最大2時間程度―とした。(時事)
⇒「福島が殺される--東京の身代わりなのか」(週刊現代)
・「具体的な回答ない」放射線量説明会に不満の声
文部科学省と福島県は21日、同省の放射線量の安全基準で屋外活動が制限されることになった福島市内の10の小中学校や幼稚園、保育園の保護者と教員を対象に、日常生活の注意事項などについて説明会を開いた。
会合は、午前と午後の2回に分けて開催された。午前の部には、保護者ら約400人が出席。質疑応答では、「私服はすぐ洗えても、学校の制服の洗濯はどうしたらいいのか」「これから暑い季節になって、教室の窓を開けてもいいのか」などの質問が相次いだ。
しかし、担当者側から「原子力災害対策本部と協議する」「過度に心配する必要はない」(???)などとあいまいな回答が目立ったため、参加者からは「具体的な回答がない」「何のためにここに来たのか」「子を持つ親の気持ちを全く分かっていない」と不満の声が上がった。
・法案名から「地域主権」削除の修正案可決 衆院総務委
衆院総務委員会は21日、菅政権が進める地域主権改革の関連法案について、「地域主権」の4文字を削除する民主、自民、公明各党による修正案を賛成多数で可決した。「地方分権」という用語を使ってきた自民党が削除を要求し、与党側が削除に応じた。 22日の衆院本会議で可決されたのち参院に送られ、可決される見通し。
修正後の法案名は「地域の自主性及び自立性を高める改革推進を図るための法案」(略称)で、民主党政権が官邸で開いてきた「地域主権戦略会議」の名称も法案から削除する。憲法上の「国民主権」と「地域主権」との混同も指摘されていたことから、今後の分権改革を「国民主権の理念の下に」進めることも明記した。 同法案は、国が法令で自治体の仕事を縛る「義務付け・枠付け」の見直し、「国と地方の協議の場」の法制化などからなる。(読売)
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自公民合意による「地域主権」の削除は、間違いなく「地方分権」そのものの百歩後退になる。
この問題は原発をはじめとした「国策」に対する地域住民の意思や住民投票の法的拘束力を強化する観点から言っても、きわめて重要かつ重大な問題だ。機会がある折に改めて考えてみたい。
・天下り規制に二重基準…特定企業不可と容認法案
国家公務員の天下り規制に対する政府の方針がぐらついている。
枝野官房長官は18日の記者会見で、東京電力顧問の石田徹・前資源エネルギー庁長官について、「個人の責任で適切な対応をされると期待している」と自発的な退任を求めた。東電の福島第一原子力発電所の事故後、政府と東電の密接な関係に批判が強まっているからだ。枝野氏は「今の法制度に基づくチェックで良いのかも含めて抜本的に考える」とも述べ、省庁と関係の深い特定企業への再就職に関し、法改正も含む規制強化の意向を示した。
ただ、国家公務員の天下り規制は、2008年施行の改正国家公務員法で従来の人事院による事前承認制が廃止となり、省庁が「あっせん」した再就職に限って禁止する制度に変わった。菅内閣が5日にまとめた公務員制度改革の「全体像」にも、あっせんがない場合の再就職は認める前提で新たな監視機関の設置を盛り込んだばかりだ。石田氏の顧問就任も、枝野氏自らが2月に「あっせんがなかった」とし、問題のない再就職だという「お墨付き」を与えていた。
枝野氏は19日朝、中野公務員改革相と顔を合わせた際、「方針に変更はありません。改革の『全体像』に基づいて進めてください」と伝えた。 政府内では「明らかな二重基準で、法改正で禁止対象を網羅的に規定するのは困難(???)だ」(内閣府幹部)という指摘が出ている。(読売)
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「法改正で禁止対象を網羅的に規定」などする必要は全くない。官僚主導となった菅内閣・民主党政権による議論のすり替えだ。「天下り」問題をめぐり議論を一からやり直す必要がある。
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★『特集上映 25年目のチェルノブイリ』(ポレポレ東中野) 4/23~5/6