2011年4月15日金曜日

原子力緊急事態: 「復興」と原発

原子力緊急事態: 「復興」と原発

 日本と同じ地震国、南米チリで原発の是非を問う世論調査が行われた。その結果、実に84.1%が原発建設に反対していることが明らかになった。一昨日(4/13)、チリのメディアが報じたという(共同通信)。昨年2月、大地震・大津波が発生し、500人以上が死亡したチリでは、先月、原発建設検討に向け、米国との原子力協定に署名したばかりだった。福島第一原発大災害が、原発に対するチリの人々の危機意識をかきたてたのである。当然のことだろう。
山岸凉子『パエトーン』(1988年)
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独首相、脱原発への政策転換 「6月に法改正」 ドイツのメルケル首相は15日、野党も含む国内16州(特別市含む)の州首相とエネルギー政策の見直しについて会談。福島第1原発の事故を受けて、早期に脱原発へ政策転換を図る方針を説明した。 会談後の記者会見で、メルケル首相は新政策について、6月上旬に閣議決定し、同月中旬までに連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)で関連法の改正を目指すことを表明。同時に、風力など再生可能エネルギーへの転換を促進することを強調した。 ドイツ政府は3月中旬、国内原発計17基のうち、旧式の7基など計8基の一時停止を発表。昨秋決めた、既存原発の稼働期間を延長する計画を急転換する方向だが、与党内での調整が残されている。 このためメルケル首相は、脱原発の具体的な時期や、政策転換に必要な巨額の財源などは明らかにしなかった。【ベルリン=共同】

フランス:ストラスブール市議会、市内の原発廃止を要求 フランス東部・ストラスブール市議会は12日、老朽化が著しい市内のフッセンハイム原発の閉鎖を求める決議案をほぼ全会一致で可決した。福島第1原発事故の影響とみられる。決議に拘束力はないが、電力の約8割を原子力に頼るフランスの原子力政策に影響を与える可能性がある。 仏フィガロ紙などによると、77年に運用が始まった同国最古の原発。だが使用限度とされる30年が経過した上、ライン川運河に面しており、福島の事故以来「防災設備が整っていない」などの批判が出ていた。地域住民や環境保護団体も廃止を求めるデモを行っていたという。また、この原発はドイツやスイス国境に近く、ドイツ側からも廃止を求める声が出ていた。 フランスは欧州連合(EU)の決定に従って国内の原発(約60基)の安全性を確認中で、政府は「問題がある原発は閉鎖する」との方針を示している。 【読売・パリ福原直樹】

風力・太陽光エネが原発を逆転 福島事故で差は拡大へ 2010年の世界の発電容量は、風力や太陽光などの再生可能エネルギーが原発を初めて逆転したとする世界の原子力産業に関する報告書を米シンクタンク「ワールドウオッチ研究所」が15日までにまとめた。 原発は、安全規制が厳しくなったことや建設費用の増加で1980年代後半から伸び悩み、2010年の発電容量は3億3500万キロワット。一方、再生可能エネルギーは地球温暖化対策で注目されて急激に増加し、風力と太陽、バイオマス、小規模水力の合計は3億8100万キロワットになり、初めて原発を上回った。 報告書は、福島第1原発事故の影響で廃炉になる原発が多くなり、新設も大幅には増えず、再生可能エネルギーとの差はさらに開くとみている。(共同)

首長9割「安全性揺らいだ」(毎日新聞アンケート)
 東日本大震災で深刻な事態に陥った東京電力福島第1原発事故を受け、原発が立地または建設計画がある自治体首長の約90%が「原発の安全性が揺らいだ」と受け止めていることが、毎日新聞の調査で分かった。津波対策や耐震性の強化なしで「現状のまま運転を認める」とした首長は2首長にとどまった。運転継続や再開には地域の理解が不可欠だが、国や電力各社には、安全性確保や不信感払拭(ふっしょく)への高いハードルが待ち受けている。 調査は3月30日以降、原発を抱える(建設中、計画中含む)道県と市町村の計39自治体の首長に実施。今月14日までに34首長が文書または口頭で答えた。
・福島第1原発の事故について、「トラブル発生は問題」と答えたのは79%、「原発の安全性が揺らいだ」が88%と大半が問題視。課題では「電源確保対策の不足」「津波対策の欠如」「事業者の判断の遅れ」が挙がった。
・現在ある原発を「直ちに止める」と答えた首長はいなかった。しかし、現状の対策のまま今後も運転を継続できると答えたのは、北海道泊村と福井県高浜町のみ。その理由を、高浜町は「電力供給が逼迫(ひっぱく)している現状では難しい」としている。
・一方、定期検査などで停止中の原発がある自治体は、「地元の了承が得られるまで再開を認めない」(静岡県)、「事故原因が解明されなければ再稼働を認めない」(石川県志賀町)と条件を付けた。具体的には、「設備の抜本的強化」「事故に十分対応できる人員・体制確保」などを挙げた。
 現在の原発の耐震基準を示す指針は06年、25年ぶりに改定された。この指針について「見直しが必要」と答えたのは62%。理由では、「津波対策が不十分」「想定を超えた災害への対策が不十分」との指摘が目立った。
・国や電力各社への注文も相次いだ。「想定を超える災害時に、原子力政策にかかわる関係機関の役割が不明瞭」(山口県)、「原発の安全規制体制の全面的な見直し」(新潟県柏崎市)、「風評被害への国の万全の対策」(鹿児島県薩摩川内市)、「エネルギー政策の国民的な議論」(福島県双葉町)などが寄せられた。不安の払拭には、適時適切な情報提供が重要だが、85%が国や東電の姿勢を「不十分」と答えた。【まとめ・永山悦子】
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 私がこの間主張しているのは、
①こういう「世論調査」を原発を抱える自治体で、また日本全体できちんとやろう、そして
②稼働中原発の「絶対安全」が確認されるまで、とりあえず一時停止しよう、ただそれだけのことだ。
 この程度のことが、原発事故が頻発する「原発立国」日本で、なぜ通用しないのか? 少なくとも、福島を始め、宮城・岩手・青森・茨城の五県では「復興構想」の「指針」が固まる前に実施される必要があるだろう。

「復興構想会議」という舞台装置
 昨日の「復興構想会議」(議長・五百旗頭真防衛大学校長)初会合。その模様をさまざまな新聞メディアが報じている。例えば、毎日新聞の記事は、原発問題を「議論の対象から外す」(???)ように「指示」した菅首相に対し、哲学者の梅原猛特別顧問らから「異論が噴出」したと報じている。 「原発問題を考えずには、この復興会議は意味がない」。そう梅原氏が会議終了後、記者団に語ったという。当然のことではないのか?
 福島県の佐藤雄平知事も「原子力災害も皆さんに共有していただきたい。安全で安心でない原子力発電所はありえない」と提起し、秋田県出身の脚本家、内館牧子氏も「地震、津波、原発事故という3本の柱で考えたい」と述べたという。これも、当然のことではないだろうか。

 「文明論として原発議論 扱いめぐり対立も、復興構想会議」(共同通信)で報じられた各委員の発言。
・議長の五百旗頭真防衛大学校長の会議冒頭発言。「原発事故は危機管理的な状況にあり、任務から外すよう(菅直人首相から)指示されている」。
・赤坂憲雄福島県立博物館長「文明的な問題として、原発の問題を抜きにしては前に進めない」。
・梅原猛氏「原発で生活が豊かになったが、その文明が裁かれている。この裁きに対してどう答えを出すか」。
・五百旗頭氏の会議後記者会見「原発の技術的な問題を議論することはできないが、原発を含む複合災害として国民全体で考える姿勢が大事だ」。

・芥川賞作家であり、禅宗(臨済宗)の僧侶でもある玄侑宗久委員「別に話し合って加える形にしないと福島県民にとって会議が意味のないものになってしまう」(日経「復興会議初会合、原発は任務外との指示に委員ら異論」より)。
⇒「梅原猛・哲学者――原発事故は「文明災」、復興を通じて新文明を築き世界の模範に」(東洋経済)
 「今回の事故は、あらためて近代文明の是非を問い直し、新しい文明を作るきっかけにもなるのではないか。まずは日本が率先して原発のない国を作り、それを世界に広げていくべきだと思う。 そのためにやるべきことは二つ。
 まず、代替のエネルギーとして、太陽光エネルギーの研究をすすめるべきだ。これまで、原発を推進する研究に莫大な研究費を投じてきた。その研究費を、太陽光エネルギーに投入する。日本企業も京セラなどはこれまでも取り組んできたが、それ以外の企業も本気で取り組むべきだろう。
 もう一つは、過剰なエネルギーを浪費するような生活から脱却すること。今原発が賄っている電力は全体の3割程度。太陽エネルギーによる代替とともに、一人ひとりが生活を改めることが重要だ。 スリーマイル島の時も、チェルノブイリの時も、国や東京電力は、日本の原発は絶対に安全だと言い続けてきた。しかし、日本の原発だけが安全などということはあるわけがない。今回の事故で、それが明らかになった。今こそ原発から脱却する新しい国をつくらなければ、必ずまた同じような事故が起こる」。

 「日本が率先して原発のない国を作り、それを世界に広げていくべき」という梅原氏の主張に共感する人は多いだろう。その梅原氏を「復興構想会議」の「特別顧問」に招いておきながら、菅首相は12日の記者会見で「原発停止しない、原発推進する宣言」を発したのである。
 毎日新聞の記事は、「復興構想の中に原発をどう位置づけるかが議論の焦点の一つになりそうだ」と書き、共同通信は、会議後の五百旗頭発言が冒頭発言を「軌道修正」したものだとしている。しかし、「復興構想会議」の問題はそこにあるのではないし、五百旗頭発言を「軌道修正」と受け取ることも間違っているだろう。この国の原発官僚機構、〈産官学原子力複合体〉は、そんなに生易しい代物ではない。

 まずはっきりさせねばならないのは、福島・宮城、青森、もっと言えば茨城県でも「原発をどう位置づけるか」は「復興構想」とは切り離せるはずがないことだ。問題は、にもかかわらず、菅政権がそれを無理やり切り離し、「復興構想」を「有識者」に「提言」させることを、すでに決定してしまったことである。ここを見なければ、〈「復興構想会議」のポリティクス〉は何も見えてこないだろう。
 たしかに今日(4/15)午前の記者会見で、枝野官房長官は「復興構想会議」のテーマについて「今回の震災の1つの大きな要因が福島第1原発事故で、どう位置付けるかは当然議論の対象だ」と述べてはいる。当初政府として原発問題を扱わないとしたことに関し、「若干(原発問題の)位置づけが定義できていなかった」と釈明し、「復興における原発問題」と「事故収束の具体策」を切り離し、後者を構想会議の議論の対象外とすると説明した。

 しかし、議論するも何も特別顧問・梅原氏の結論ははっきりしている。「日本が率先して原発のない国を作り、それを世界に広げていくべき」というものだ。当然、「原発のない福島」「原発のない東北」「原発のない日本」が梅原氏の「復興構想」の根幹にあるだろう。それは「原発の安全性の確保」を最重要課題とする菅民主党政権の「復興構想」とはまったく相容れないものだ。梅原氏が「脱原発・原発停止論者」であることは相当前から知られており、それを承知の上で菅内閣は氏を招聘したのである。 
 いったい菅政権は、何のために梅原氏を「特別顧問」に招いたのか? 人をバカにしているのだろうか?
 マスコミはまず、この問題を政府に質すことが先決ではないのか。

東電・電力会社に「公共企業」としての社会的倫理はあるか?
 一昨日、東電の清水正孝社長が、2007年新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原子力発電所(新潟県柏崎市、刈羽村、全7基)で今も停止中の2~4号機のうち、3号機について「運転再開に向けてできるだけ早く、年内には手続きに入りたい」と発言し、これに対し柏崎市の会田洋市長が昨日、「福島第一原発の状況が収束していない状況で、そうした発言がなされることは理解できないし、驚いている」と反発し、「原発の安全性について国から新しい方針が示されないと、運転再開は難しい」と発言したことが報道された。
 さらに、東電の柏崎刈羽原発所長が昨日、自社の社長発言を否定し(「(社長発言は)会社の希望として言ったことだと考えている。定期検査をいつまでに終えるといった工程ありきの発言ではない」)、「謝罪」するという、一般社会の常識では理解できない、意味不明のことが報道された。横村所長は「本店には一つ一つのプロセスを着実にこなし、国や地元の意向を踏まえて作業を進めると伝えている」と説明したたいうが、東電が「年内運転再開」を撤回したという報道はない。
 けれども、下の文章に目を通すなら、このような東電の姿勢が関電を始めとするその他の電力会社の姿勢と、まったく同じものだということがよくわかる。

 関電が管理する福井県若狭湾に面した美浜(美浜町)、大飯(おおい町)、高浜(高浜町)の3原発。
 先月24日、これらが想定する地震による津波の最大波は、いずれも高さ2メートル未満としていることが判明した。福井県内や島根県の日本海側にある他社の原発の想定と比較しても低い数値だが、関電は「日本海側には海溝型プレートがなく、大型津波は発生しない」と強弁したのである。
 具体的には、関電が各原発で想定している津波の最大波は、1, 美浜1~3号機が1.53~1.57メートル, 2, 高浜1~4号機0.74~1.34メートル, 3, 大飯1~4号機1.66~1.86メートル。(因みに、3原発に近い日本原子力発電の敦賀原発(敦賀市)は2.8メートル、日本原子力研究開発機構のもんじゅ(同)5.2メートル、中国電力島根原発(松江市)5.7メートル)。
 これまで、若狭湾周辺で想定される地震が、最悪でもマグニチュード8レベルの「活断層型」であることが、「海溝型」の太平洋側の原発に比して、津波の想定最大波を異様に低く見積もることの正当化の論理とされてきた。今回の大震災で、その全面的見直しを関電は余儀なくされたのである。

 では、関電はこの間、どのような「対策」を講じ、原発の「絶対安全」を保証しようとしてきたのか。
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関電が原発安全策700億円超、福井県へ提出 防潮堤も
 関電は8日、東京電力の福島第1原子力発電所事故を踏まえた「安全性向上対策の実行計画」を策定、同日、福井県に報告したと発表した。
1, 電源車の増加などすでに発表済みの対策に加え、
2, 消防ポンプの大量導入や既存防潮堤のかさ上げなどを新たな対策として実施、既存対策とあわせて700億円以上の対策費を投入する。
 計画は福井県からの要請で策定。津波発生時に電源や炉心冷却機能などを確保するため、
①今月中をめどに行う「緊急対策」と、
②今年度から来年度にかけて行う「応急対策」で構成されている。
 緊急対策では福井県内の3カ所の原発で計6台が導入されている消防ポンプを、12日までに新たに160台導入する。さらに、ディーゼル発電機建屋への海水侵入を防ぐため、扉の隙間にシール施工を行うとしている。 応急対策では美浜、高浜原発の防潮堤を今年度中にかさ上げをするが、具体的な高さについては「今後、検討する」(担当者)としている。
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 上の「緊急対策」は完了しておらず、「応急対策」はまったく手がつけられていない

原発災害の「社会的コスト」と稼働中原発の一時停止
 日経電子版の4/12付の記事、「東電の悪夢、問われる原発の合理性 吹き飛んだ2兆7000億円弱」(産業部編集委員・安西巧) がとても興味深い。

・東電の「株式時価総額は震災前の3兆4599億円から8035億円に急減。企業価値で2兆6564億円が吹き飛んだ」。
・「同社の有利子負債は7兆6211億円(2010年9月末時点)、このうち社債の発行残高が約5兆円」。
・「東電はもはや政府の後ろ盾なくしては信用を維持できないところに追い込まれている。格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は4月1日に東電の長期格付けをAプラスからBBBプラスへと3段階引き下げた」。「少なくとも海外マーケットでは、東電はすでに実質「国有化」された状態とみなされている」。
・「震災前に東電は2011年3月期業績を連結売上高5兆3850億円、連結純利益1100億円と見込んでいた。10年3月期時点の株主資本は2兆4657億円、株主資本比率は18.7%、営業キャッシュフローは9883億円と1兆円近くもあった。内外の主要格付け会社が東電の長期債にそろってダブルA以上の高い評価を与えていた」。

・「今回の事故とその後広範な周辺地域に及んだ数万人規模(半径20キロ圏内だけで約8万人)の住民避難、農産物、海産物への被害、そして「最大10兆~11兆円」(外資系証券会社の試算)ともいわれる補償額を考慮すると、「原発の経済合理性」は説得力を持たなくなる。仮に原子力損害賠償法の下で政府が負担を肩代わりするとしても、その原資は税金であり、「社会のコスト」として果たして国民が受け入れるかどうか疑問符がつく」。
・「これほどやっかいな原発を電力会社の経営者は「国策事業」として背負い続けていくのか。株主は大事故を起こせば株価が暴落するリスクに耐えられるのか。そして危険を覚悟で事故処理に立ち向かう従業員を今後も確保できるのか――。電力会社のステークホルダーだけでなく、国民全体の電力事業への価値観が見直されるべき時期に来ている」。

 まったくその通りだと思う。
 「果たして国民が受け入れるかどうか」? 少なくとも私は、絶対に受け入れない。
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東電社長「合理化、人員削減も視野」 賠償に備え
 東京電力の清水正孝社長は15日、都内で会見し、損害賠償の支払いに備えるために「聖域のない合理化に取り組む必要があり、人員削減を視野にいれている。資金調達にも最大限の努力をする」と述べた。賠償金の総額について「事態が収束しておらず現時点では申し上げられない」と述べた。 金融機関からの約2兆円の借入金については「当面の運転資金や火力発電所の修繕などに充当する」と述べ、損害賠償の支払いに充当しない方針を示した。(日経)

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中部電力、“悲願”の原発推進に高い壁
 東日本大震災による東京電力の福島第1原子力発電所の事故を受け、中部電力唯一の原発「浜岡原発」(静岡県御前崎市)に注目が集まっている。福島と同じ太平洋岸で東海地震の想定震源域という立地条件、首都圏に比較的近いなど類似点が多いからだ。中部電は津波の防波壁建設を急遽決め、大震災の緊急対策訓練も行うなど安全策のPRに躍起だが、風当たりは強くなる一方だ。
次の危険な原発?
 「浜岡原発のように地震域の上に立っている危険な原発を緊急に停止するというお考えはあるか」。震災から約1カ月の12日に行われた菅直人首相の記者会見で、こんな質問が飛び出した。浜岡原発への関心の高まりを表す事例だ。国内外メディアからの取材依頼が増えており、米大手ケーブルテレビのCNNも現地を取材し、「地震で国全体に新たな巨大放射能災害を引き起こしかねない」などとリポートした。

 浜岡原発が立地する御前崎市沿岸は東海地震の想定震源域とされる。想定マグニチュードは8程度。東海地震は30年以上前に危険性を指摘する学説が発表されて以来、「いつ起きてもおかしくない」とされ、静岡県は巨額の地震対策事業費を注ぎ込む。 「安全対策を早急に取っている。理解いただくよう努力したい」。3月下旬の中部電の定例会見で、地元理解を得るための施策を水野明久社長は話した。
 これまで中部電は原発前の砂丘で津波を防げるとしてきた。しかし、東日本大震災後、即座に高さ15メートル、長さ1.5キロにも及ぶ巨大防波壁の建設を決定。また、自治体関係者を招いた安全対策の見学会や緊急時対策訓練を行うなど、安全策の説明に力を入れている。 だが、地元の反応は厳しい。定期点検中で稼働を停止していた3号機は3月末までに再起動の予定だったが、5月以降へと延期。国が再開にあたっての新たな安全ガイドラインを示したことや、当初は早期再開に理解を示していた静岡県の川勝平太知事がさらなる安全対策の説明を求めたことが一因だ。
 また、6号機の新設を平成27年から1年、4号機で24年にも予定していたプルサーマル発電計画も1年遅らせることを余儀なくされた。 「今のまま進めることはできない」(川勝知事)。「県内立地は無理」(10日三重県知事に初当選した鈴木英敬氏)。市民団体も運転停止を求める5万人署名を中部電に提出するなど“包囲網”は強まるばかりだ。

「悲願」達成はいつ 石油ショックや公害を経て、国の施策が火力から原子力に転換していく中で原発増設は中部電の悲願だった。同社管内は人口密集地が多く、建設基準を満たす岩盤強度の土地も少ないなど、立地の適地が限られている。中部電の原子力発電比率は14%と、原発を持つ全国9電力会社のなかで最低で、火力発電への依存度が高い。電力需要が増大する中で厳しい環境規制をひかれた火力の増設は、事実上不可能。火力は石油や天然ガスなど資源価格の変動に左右され、コスト高とされる。実際、原発への依存度が高い関西電力などと比べると、電気料金は割高という。 中部電は管内にトヨタ自動車など自動車関連産業が集積していることから、大口顧客への販売シェア(占有率)が5割近くあり、他電力に比べて高い。大口顧客は電力の自由化で、より安い電気を求める可能性もあり、新規立地は「長年の願い」(首脳)だった。 しかし、立地計画はとん挫の連続だ。三重県南部での建設計画では、地元の反対で平成12年に白紙撤回。13年には近隣の自治体が地域振興として誘致を目指したが、住民投票で否決北陸、関西の両電力と進めた石川県北部の計画も15年に凍結された。
 悲願達成へ同社は2月24日、2030(平成42)年に原発比率を50%に引き上げることを柱とした長期経営計画を発表した。新規立地へ「私の在任中に前へ進める」(水野社長)と満を持しての発表だったが、2週間後に発生した震災で計画もかすみ始めている。 原発が問題視される中、原発依存度が低い中部電は「有利」な立場になるようにもみえるが、首脳は「『火力回帰』で燃料が上がり、手当てが難しくなっている。長期的には厳しい。低炭素社会を目指すために原発は必要」と方針を堅持する考えだ。「今は世論が沸騰しているが、落ち着くのを待ちじっくり説明する」と話す。悲願を待ち受ける壁は、高くなる一方だ。(産経)

市町村が申請窓口とは…東電仮払金に怒る首長
 東京電力が福島第一原発の事故を受けて15日、避難住民らに1世帯100万円、単身世帯には75万円を支払うと正式発表した仮払金。 東電は約5万世帯を対象に周辺市町村と調整し、準備が整い次第、避難所で説明会を開いて手続きを始めるとするが、首長らからは批判の声が上がった。 東電は、申請方法について、郵送や避難所での東電社員への手渡しなどを挙げ、「自治体と協議」とした。しかし、政府の原子力被災者生活支援チームが自治体に配布した資料には、申請について「市町村の窓口で受け付け、東電より直接支払う」と記されている。 二本松市に役場機能を移転させた、浪江町の馬場有町長は「我々は日常業務だけで精いっぱい。とても無理だ」と話し、富岡町の佐藤秀夫総務課長も「東電には、自分たちで誠意を持って対応する姿勢が感じられない」と憤った。(読売)

「賠償は国と東電で 原子力は基軸」 電事連の八木新会長
 関西電力の八木誠社長が15日、電気事業連合会の会長に就任し記者会見した。 東京電力福島第1原子力発電所事故により避難している周辺住民への損害賠償で、電力各社に負担を求める議論があることについて「承っていない。まずは国と東電が原子力損害賠償法(原賠法)の仕組みの中で対応することだ」と述べた。 また、事故を経てもなお「電力の安定供給を支える基軸は原子力だ」とし、安全対策に取り組む姿勢を強調した。
 八木会長は、電力各社が他社の事故対応のために資金負担するには「電力料金を支払っているお客さまの理解を得ることが必要」で、株主の意向を踏まえる必要もあると指摘。今後の原賠法の運用を見守る考えを示した上で、資金負担の要請があった場合は「具体的な内容と趣旨を聴いた上で判断したい」と述べた。 今回の事故については「未曾有の非常事態。原発の信頼回復に向け最大限の努力を傾けたい」とした。電力各社が人材を派遣し、機材提供で東電を支援していることを明らかにし、国の指示に従って各社とも震災、津波対策を進めていると強調した。
 福島以外の原発立地地域でも不安が高まっているが、「日本のエネルギー自給率は4%しかない。電力会社の最大の使命である電力の安定供給を支える上で原発は大切な電源だ」と述べ、「原子力の維持、成長」を図るため、各社で原発の信頼を回復することが不可欠との考えを示した。 また、今後のエネルギー政策に関しては、「事故の収束がみえた段階で、国民的議論が行われるだろう。その際に真摯に対応したい」とした。原発新設計画への影響については明言を避け、「運転中の原発の安全確保に最大限努力する」とだけした。 電事連会長は、東電の清水正孝社長が務めていたが原発事故を受けて14日、会長職を辞任。電事連は15日、代わって関電の八木氏を選任した。(産経)

日本に不満くすぶる=原発安全強化へ情報不可欠―原子力条約会合
 原子力の安全問題を話し合う主要な国際会議としては、福島第1原発の事故後、初めてとなった原子力安全条約再検討会合は14日、事故の教訓を原発の安全対策に生かすことで合意して閉会した。各国は、教訓を生かすには日本からの情報提供が不可欠との認識で一致。日本は応じる姿勢を示したが、各国からは依然として不満の声が上がっている。 日本は再検討会合のほか、国際原子力機関(IAEA)と共催した事故の状況を報告する4日の緊急会合で「透明性」をアピールし、情報の提供を約束。議長声明は「日本は情報をできるだけ迅速に提供すると確約した」「日本は情報を入手次第、全面的に提供すると確認した」として、一定の評価を与えた。
 一方で、議長声明は事故に関し、「多くの締約国がメディアや国民に迅速かつ信頼できる情報を提供するのが困難と報告した」と紹介した。 また、議長団は会合終了後の記者会見で、安全強化策を探る上で、今後はこれまで確定していなかった情報も必要になると指摘。具体例として、「原子炉の中の状態」を挙げたが、これは「ほんの一例にすぎない」と述べ、日本からの情報は足りないとの考えを示唆した。【ウィーン時事】

「大津波にも耐えられる」小中学生の副読本記述見直しへ 文科相
 高木義明文部科学相は15日の閣議後記者会見で、文科省と資源エネルギー庁が平成22年2月に発行した小中学生向けのエネルギー学習用の副読本について、放射性物質(放射能)を「しっかりととじこめています」などとする複数の記述が、東京電力福島第1原発の事故と照らし合わせた際に不適切だとして、内容の見直しを行うことを明らかにした。
 副読本は小学生向けの「わくわく原子力ランド」と中学生向けの「チャレンジ!原子力ワールド」で、合わせて約1500万円で作成し、それぞれ全国の小中学校に配布済み。小学生向けの副読本では「原子力発電所では、放射性物質が外にもれないよう、五重のかべでしっかりととじこめています」などと表記し、中学生向けの副読本でも「大きな地震や津波にも耐えられるよう設計されている」と解説している。 文科省の委託で日本原子力文化振興財団が運営するホームページ(HP)からもダウンロードできるようになっていたが、13日以降はいずれも削除された。 高木大臣は「今回(福島第1原発の事故)の事実を受け止め、事実に反したところは見直していく」と述べた。(産経)

3号機圧力容器の一部で急激な温度上昇 保安院「直ちに問題はない」
 福島第1原子力発電所の復旧作業は一進一退が続く中、14日夜、3号機の原子炉圧力容器の一部で、急激な温度上昇が起きていることがわかった。原子力安全・保安院は「3号機については、炉心で1つ、注意しなきゃいけないことがありまして、少し温度が上がっております」と話した。
 圧力容器のフランジと呼ばれる接続部分が、2日間でおよそ80度、温度が上昇している。原子力安全・保安院は、直ちに問題はない(???)としているものの、その原因や影響については不明(???)としている。 また、東京電力の福島事務所は14日夜、福島第1原発1号機と2号機付近の地下水に含まれる放射性物質の濃度が、1週間でおよそ10倍に上昇したと発表した。震災38日目、「復興」という言葉は、原発周辺ではまだ聞こえてこない。(FNN)

地下水の放射能濃度、1週間で17倍に 2号機周辺
 福島第一原発2号機周辺の地下水に含まれる放射能が、1週間前に比べて17倍の濃さになっていた、と東京電力が14日発表した。2号機では高濃度の汚染水がタービン建屋地下や外の坑道にたまっており、しみ出た可能性もある。経済産業省原子力安全・保安院の指示で今後、週に1回の計測を3回に増やし、警戒を強める。 東電は13日に1~6の各号機の周囲に付設した井戸で水を採取し分析した。
 その結果、2号機ではヨウ素131が1ccあたり610ベクレル検出され、6日の36ベクレルに比べて17倍になっていた。1号機も400ベクレルで6倍とほかに比べ濃かった。2号機では、外の坑道にたまった水から毎時1千ミリシーベルト以上と高い放射線量を計測。この水が取水口付近にある作業用の穴の亀裂から海へ流れ出していた。6日に止水し、一部はポンプでくみ出したが、大部分は残っている。
 東電は「止水で行き場が無くなった水が地下で回り込んでいる可能性もある」と説明している。 他号機の放射能の濃度は横ばいか減少で、十数ベクレル~1ベクレル未満だった。これらは周囲に飛散した放射能が雨などで地下に浸透した可能性がある。 (朝日)

対岸4キロ原発計画 山口・祝島で元稚内市職員が被災児受け入れ
 瀬戸内海に浮かぶ山口県上関(かみのせき)町祝島(いわいしま)で、元稚内市職員の農業氏本長一さん(61)が東日本大震災で被災した子供の受け入れ準備を進めている。島の対岸4キロで中国電力上関原発の建設が予定されるが、島民約500人の8割が反対し、食料やエネルギーの自給自足を目指している。  小学生5、6人と保護者を無償で受け入れ、島内にある児童数5人の小学校に通学させる。島内の空き家に家族で住むか、子供だけの場合は島民の家にホームステイしてもらう。島民の大半が漁業か農業に従事しており、当面の食事や食材も無料で提供する。 氏本さんは祝島で生まれ、1972年に帯畜大を卒業して稚内市役所に入り、市営牧場長などを務めた。2007年に故郷へ戻り、現在は自給飼料で豚40匹を飼育、特産のビワも無農薬で栽培する。祝島の原発反対運動のリーダー的な存在だ。
 上関原発は82年に建設計画が表面化。中国電力は東日本大震災後に準備工事を中断しているが、来年着工、18年稼働の計画は撤回していない。 氏本さんは「原発によって豊かな海や山が失われることが、福島の事故で明らかになった。受け入れる子供たちの未来のためにも計画を阻止したい」と話している。 (北海道新聞

福島原発の廃炉処理、チェルノブイリより困難=独重機メーカー
 福島第1原発事故で放水作業などを行う生コン圧送機を製造する独プツマイスター社の技術部門責任者、ジェラルド・カーチ氏がロイターとのインタビューに応じ、福島第1原発を廃炉にするためにコンクリートで覆う作業は、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と比較してはるかに難しいと語った。  プツマイスター社は1986年のチェルノブイリ事故でも圧送機を送り、事故処理に当たった。カーチ氏は、チェルノブイリと福島の原発事故は容易に比較できないとした上で、「チェルノブイリでは原子炉1機をコンクリートで覆うのに、11台の圧送機が何カ月にもわたって作業した。だが、福島では4機の原子炉に対処しなくてはならない」と指摘。
 また、チェルノブイリは1機の爆発によるもので、福島第1原発とは違って原子炉を冷却する必要がなく、爆発後すぐにコンクリートで覆うことができたと説明した。 今後の対処については、日本側でまだ決定されていないとしながらも、冷却が終わり次第、原子炉をコンクリートで覆うのが最も理にかなっていると、カーチ氏は主張。一方で、必要な圧送機を現場に送り込むといった作業を計画・実行することが、福島第1原発を運営する東京電力にとって、まさに大きな課題になるとの考えを示した。 [アイヒタール(ドイツ)/ロイター]

タービン建屋地下水、放射性濃度上昇 福島原発1・2号機
 東京電力は14日、福島第1原発1、2号機のタービン建屋付近の地下水について、放射性物質の濃度が1週間前に比べて10倍ほど上昇していると発表した。タービン建屋地下には高濃度の汚染水があり、しみ出した可能性がある。東電は同日、経済産業省原子力安全・保安院に報告、監視強化の指示を受けた。 1~6号機の地下水について13日に試料を採取して調べた。1号機は放射性ヨウ素131が1立方センチメートル当たり400ベクレル、2号機は同610ベクレルと1週間前の6日に比べて10倍ほど濃度が高まった。原子炉の通常運転時に炉心にある水とほぼ同等の濃度という。
 同原発では一時、2号機の取水口付近から高濃度の汚染水が海に流れ出ていた。土壌固化剤などの投入で6日に流出は止まった。(日経)

インフラ復旧事業、国費負担率99% 大幅引き上げへ
 国土交通省は、東日本大震災で被災したインフラの復旧に関する自治体の公共事業の国庫負担率を大幅に引き上げる方針を固めた。最高で99%程度まで国費負担率を引き上げてほぼ全額を国費で賄い、自治体の負担を減らす。
 国交省によると、県や市町村が管理する道路や堤防、港湾、下水道などの被害は3月末時点で1万3602カ所、被害額は1兆2千億円に上る。復旧工事の費用を賄えない自治体が相次ぐとみられ、同省は最大限の補助率の適用を検討している。
 災害復旧にかかる費用は、通常3分の2が国費で補助され、さらに、大規模な災害だと政府が指定すれば、80~99%までかさ上げできる。これとは別に被災した自治体は、復旧工事のために地方交付税の特別交付を受けることができる。制度を併用すれば、自治体は復旧工事のほぼ全額を国費に頼ることができる。  また、今回の震災では、自治体の機能が低下した市町村も多いため、自治体による被害額の査定手続きも大幅に緩和する。図面や被害写真がなくても、国の航空写真で代替することを認め、現地に行かずに査定できる限度額を300万円から5千万円に引き上げる。(朝日・歌野清一郎)

観光への風評被害も補償対象…枝野官房長官
 枝野幸男官房長官は14日の参院内閣委員会で、福島第1原発事故の風評による観光への被害に関し「因果関係が相当ある範囲(?)は当然補償の対象になる」と述べ、一定の因果関係を条件に補償対象とする考えを示した。ただ、補償の範囲については「どこまでが風評被害で、どこまでが広い意味での自粛の影響かは難しい」と述べ、言及しなかった。 同事故を巡っては、農作物被害や漁業被害は既に補償対象となっているが、周辺の旅館の宿泊キャンセルが相次ぐなど、農業以外にも影響が広がっている。枝野氏は「補償と別次元で、原発の影響を受けているさまざまな産業に、政府としてしっかりと支援を行いたい」とも話した。いずれも岡田広氏(自民)への答弁。【毎日・影山哲也】