大学研究と軍事研究 2014
・東大独自ルール「軍事忌避」に反旗 複数の教授ら米軍から研究費
軍事研究と外国軍隊からの便宜供与を禁止している東京大学で、複数の教授らが平成17年以降、米空軍傘下の団体から研究費名目などで現金を受け取っていたことが(4月)30日、分かった。
東大は昭和34年から軍事研究を、さらに42年からは外国軍隊からの資金供与も禁止して「学問の自由」を事実上、制限してきた。これまで学内の独自ルールに手足を縛られてきた研究者が反旗を翻した格好だ。
関係者によると、東大の男性教授は平成17年、スイス・ジュネーブ郊外の欧州原子核研究機構(CERN)で反物質の研究を行う際、米空軍傘下の「アジア宇宙航空研究開発事務所(AOARD)」から「研究費」として7万5千ドルを受領した。
さらに、応用物理学に関する学会が19年に開かれた際、東大の男性准教授(当時)が米空軍の関連団体から学会の開催費用として1万ドルを受領。17年の学会でも別の男性教授(当時)が5千ドルを学会として受け取ったとしている。
米空軍は東大に限らず有能な研究者を対象に研究費だけでなく、学会開催費名目などで資金供与を行っている。
東大は産経新聞の取材に「調査に時間がかかっている」としている。研究費を受領した教授は「軍事研究はやっていない」と主張。学会の開催費用を受け取った当時の准教授は「東大の教員としてではなく、あくまで学会のメンバーとしてもらった。問題はない」(???)と話している。
東大は昭和34年、42年の評議会で「軍事研究はもちろん、軍事研究として疑われるものも行わない考えを確認している」と主張している。
こうした評議会の確認事項を根拠に、現在でも全学部で軍事研究の禁止を続けている(???)。(産経)
↓
〒106-0032 東京都港区六本木7-23-17
米国国防総省空軍科学技術局 アジア宇宙航空研究開発事務所
・ロボット開発にも東大独自ルールの壁 「頭脳流出」問われる姿勢
東京大学は戦後一貫して軍事に関する研究を遠ざけてきた(???)。世界の主要国は産学官軍が協力し、安全保障の研究開発にしのぎを削っている中で、日本では学外・国外への「頭脳流出」が目立つ。憲法に規定される「学問の自由」にも抵触しかねず、今後、大学側の姿勢が問われそうだ。
東大で人型ロボット開発を行ってきた研究者ら有志が平成24年、東大を離れ、ベンチャー企業「SCHAFT(シャフト)」を立ち上げた。理由は予算が思うように獲得できなかったから。東大の独自ルールが壁になったのは明らかだ。
シャフトは25年11月、ロボット事業に意欲を示す米グーグルに買収され、翌12月には米国防総省国防高等研究計画局(DARPA)主催の災害救助ロボットコンテストの予選で、米航空宇宙局(NASA)など強豪15チームを抑えトップの成績を収めた。
私大でも早稲田大学が2年に「軍事研究および軍事開発は行わない」などのガイドラインを決めている。
一方、政府は25年11月の衆院文部科学委員会で「軍事研究を禁止する全学の内規は東大に存在していない」と答弁。(→正しい)
同年12月に閣議決定した国家安全保障戦略では「産学官の力を結集させて安全保障分野においても有効に活用するように努めていく」と明記した。安保分野の研究開発をめぐる政府と大学側の認識の違いはあまりに大きい。(産経)
〈東大、および日本の(国立)大学において「軍事研究」が「禁止」されているという幻想について〉
上の二つの産経新聞の記事において、東大が「軍事研究」を「禁止」してきたと、誤った理解の根拠とされているものに情報理工学系研究科のサイトに掲載されている 「科学研究ガイドライン」がある。
「ガイドライン」は、次のように述べている。
・・
この科学研究ガイドラインは、情報理工学系研究科に在籍するすべての学生が、研究を始める前、入学(転入)時に読み理解すべきものです。情報理工学系研究科における研究は、このガイドラインに沿って行われなければなりません。特に、学位論文の作成はこのガイドラインに従わなければなりません。
科学研究における倫理
科学研究といえども、法律・社会通念に従って遂行されなければなりません。いうまでもなく、本研究科が対象としている情報科学技術に関する研究も、決して例外ではありません。 以下のような研究は「不適切な研究」とされ、一般に禁止されています。
.人間および社会に害をなす研究
.許可されていない人間および動物を対象とする研究
.法令に違反する研究
.利益相反する研究
さらに、東京大学では軍事研究も禁止されています。
以下の項では、軍事研究、許可されていない人間および動物を対象とする実験、および、利益相反する研究について簡単に補足します。
軍事研究
東京大学では、第二次世界大戦およびそれ以前の不幸な歴史に鑑み、一切の例外なく、軍事研究を禁止しています。
自ら軍事研究を行わずとも、共同研究の過程で、意図せずに軍事研究に関わってしまうおそれがありますので、注意してください。
・・
この「ガイドライン」には、「軍事研究」とは何をさすのか、その定義がどこにも書かれていない。つまり、どのような「研究」が「軍事研究」を構成するのか、その具体例が何も示されておらず、「軍事研究」なる概念が、ただ抽象的・観念的に語られているだけである。 その結果、、「学生」にも私たちにも、どのような研究が「軍事研究」に該当し、東大で「禁止」されているのか、何もわからない。
本ページの下段に示した【参考資料】にあるように、実際のところ「民生技術」と「軍事技術」が相互に転用され、両者の境界線が「融合」(デュアルユース)している現代の軍事技術の研究現場の実態から言えば、この「ガイドライン」は、東大の研究者・院生の「軍事研究」を、ある拘束力をもつ形で、何ら「禁止」するものにはなっていないのである。
そのことは、新世代核兵器研究・開発と原子力研究・開発や、ロボット兵器研究・開発と「民生用」ロボット研究・開発との境界線がどこにあるのかを少し考えてみるだけで、誰にでも理解できることではないだろうか。
重要なことは、どのような「民生技術」と「軍事技術」がどこで、どのように「融合」しているのか、その実態を把握し、それに即した「ガイドライン」をまず大学・独立行政法人の研究者(グループ)が策定し、それを東大をはじめ、各大学、研究機関の「ガイドライン」とする取り組みをはじめることである。 間違っても、東大や日本の大学で「軍事研究」が「禁止」されているなどという誤った幻想は持たないようにしよう。
5/6
・日仏首脳会談 「高速炉」研究で協力 防衛装備品開発へ協定
【パリ=時事】 安倍晋三首相は五日午前(日本時間同日午後)、フランスのオランド大統領とパリの大統領府で会談し、防衛装備品の共同開発に関する政府間協定締結に向けた交渉入りで合意した。
次世代型原子炉である「高速炉」の研究開発やベトナムなど第三国への原発輸出での協力促進も確認し、共同文書に盛り込んだ。
会談では防衛装備品協力に関し、警戒監視のための無人機の分野を中心に進めることになった。首相は会談後の共同記者会見で「欧州、東アジアの安全保障環境が厳しさを増す中、両国の緊密な連携が必要との認識で一致した」と述べた。
両首脳は、外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の第二回会合を来年東京で開催することで合意し、サイバー防衛に関する当局間の協議の枠組み設置も確認。
また、中国やロシアを念頭に、国際法に反して力により他国の領土を奪い、または権利を主張することに反対を表明。公海での航行・上空飛行の自由の重要性を強調した。
特に、ロシアのクリミア併合に対しては、「国際体制が基盤とする諸原則に違反する」と共同文書に明記する一方、対話による解決を目指すべきだとの認識でも一致。首相は会見で「外交的解決へのドアは引き続き開いている」と対話に応じるようロシアに呼び掛けた。
大統領は、東・南シナ海での中国と日本など周辺国との対立に関しても「対話が重要だ」と指摘し、首相は高村正彦自民党副総裁の訪中を挙げ「いろいろ努力している」と説明した。
<高速炉> フランスや中国などが放射性廃棄物を減らすことを主な目的に研究開発を進める次世代型の原子炉。核分裂反応で生じる中性子を高速のまま減速させずに連鎖反応を起こさせるのが基本原理。
開発が成功すれば、原子炉を稼働させると増殖するプルトニウムなど放射性物質を減らしながら発電することが可能になるとされる。放射性廃棄物の最終処分場の立地が多くの国で決まっていないことから、廃棄物を減らす技術開発に期待する声は大きい。(東京新聞)
・(ザ・テクノロジー:1)ロボットバブルとグーグル
米西海岸シリコンバレーはいま、ロボット技術への熱気に包まれている。 4月9日、カリフォルニア州パロアルト市で開かれた小さなロボット展示会。そこへ、投資家ら次世代技術の目利きたち1500人が殺到した。
空気の出し入れで動くゴム人形のようなロボット、壁を上っていく尺取り虫のような物体、人工知能でコースを正確に走るミニカー……。40社が展示した製品はそれぞれ独自性にあふれていた。
創業50年近いベンチャーキャピタルのデブダット・エールカーは「次の大きな波は何かと検討してきたが、ロボット分野だ」と断言した。
ロボットバブルに火をつけたのは、世界的なIT大手の米グーグルだ。ロボットベンチャー8社を一気に買収したことが昨年12月に判明し、ニュースが世界を駆け巡った。
グーグルは買収後、徹底した秘密主義を貫き、買収目的も明かさない。シリコンバレーで今月開かれたシンポジウムで、主催者が聴衆に語りかけた。 「グーグルはロボット関連企業をどんどんのみ込んでいる。いったん吸収されると、そこから情報は一切漏れてこない。まるでブラックホールのようだ」
8社のなかで、特に注目されたのが、東京大発ベンチャーの「シャフト」だ。 昨年12月、米フロリダ州のカーレース場で開かれたロボットコンテスト予選。シャフトは、米航空宇宙局(NASA)やマサチューセッツ工科大学(MIT)など強豪を押しのけて、参加16チームのなかで、断トツで予選を通過した。
コンテストを主催したのは、米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA〈ダーパ〉)。ダーパは、米国の国防費を背景にした豊富な予算を国内の大学や研究機関につぎこみ、最新のテクノロジーを吸い上げて軍事技術に応用している。
12月のコンテストは、2011年3月の東京電力福島第一原発事故がきっかけになっていた。ロボットが、がれきが積み重なる過酷な状況でも作業できるかがテーマだった。
災害現場を模した会場で、ロボットたちはがれきの中を歩いたり、はしごを上ったり、ホースを消火栓につないだりする八つの課題に挑戦。ほかのロボットが止まったまま動かなかったり、転倒したりするなか、シャフトの二足歩行ロボット「S―One(エス・ワン)」だけは着実に課題をこなしていった。
圧巻だったのは、ロボットによる四輪駆動車の運転だ。エス・ワンは腕と足を使ってハンドルやアクセルを器用に操作。75メートルのコースを完走すると、観客から歓声が上がった。予選トップのシャフトは、来年初めの本選でも優勝候補の本命だ。
予選直前の昨年11月にグーグルに買収されたシャフトは、その後ホームページを事実上閉鎖。マスコミの取材にも応じない。経済産業省が問い合わせてもなしのつぶてだ。(敬称略)(朝日電子版 高山裕喜、畑中徹=パロアルト、大鹿靖明)
・(ザ・テクノロジー:2)「日本の快挙」がグーグルに
・(ザ・テクノロジー:3)ヒト型ロボットの源流は日本に
・無人潜水機を日仏で共同研究 武器禁輸の転換踏まえ
日本、フランス両政府は防衛装備品の共同開発の一環として、警戒監視に使う無人潜水機の共同研究を開始する方針を固めた。 5月5日の安倍晋三首相とオランド仏大統領の首脳会談で合意する方向で調整している。日本政府関係者が(4月)29日、明らかにした。
日本側には武器輸出三原則に基づく禁輸政策の転換を踏まえて安全保障分野で連携を強め、フランスとの関係強化を図る中国に対抗する狙いがある。 防衛装備品の研究については、水中で長時間の警戒監視活動ができる無人潜水ロボットの燃料電池など関連技術を想定している。防衛省は既に、2014年度予算に無人機技術の研究費約5億円を計上している。(共同)
・日豪 防衛装備品共同開発加速で一致
オーストラリアを訪れている小野寺防衛大臣はジョンストン国防相と会談し、防衛装備品の共同開発に向けて事前の交渉を加速させることに加え、自衛隊とオーストラリア軍による共同訓練などを充実させることで一致しました。
会談の冒頭、小野寺防衛大臣は「防衛装備移転三原則」を新たに閣議決定したことも踏まえ、「両国の友好な関係をさらに強化するため、防衛装備品の技術協力などについて意見交換したい」と述べました。
これに対し、ジョンストン国防相は「地域の安定のため、具体的な防衛装備の強化について日本とも協力を進めていきたい」と述べ、日本が持っている潜水艦技術に高い関心を示しました。
そのうえで、両氏は先の日豪首脳会談で防衛装備品の共同開発に向けて事前の交渉を始めることで合意したことを受けて、事務レベルの作業を加速させ装備・技術面での協力を強化することで一致しました。
さらに、自衛隊とオーストラリア軍による共同訓練やアメリカも加えた日米豪の枠組みの共同訓練を充実させることで一致し、中国の海洋進出を念頭に力による現状変更は容認できないという立場を改めて確認しました。会談のあと、小野寺大臣は記者団に対し「地域の安定を保つためには、日本の防衛力の強化だけではなくオーストラリアやアメリカ、韓国との関係を強化していきたい」と述べました。(NHK)
・防衛装備庁の新設提言 自民部会 政府関与を促す
武器の禁輸政策を撤廃して輸出容認に転換した防衛装備移転三原則を受けて、自民党の国防部会(左藤章部会長)は(四月)二十一日、輸出や国際共同開発の交渉を民間任せにせず、政府が専門部署として防衛装備庁を新設し、積極的に関わるよう求める提言を小野寺五典防衛相に渡した。
防衛省は提言を参考に、五月にも防衛産業の強化戦略を決定する。
提言では「(武器の)生産基盤と技術基盤を担う防衛産業は、自衛隊の戦力の一部であり、国家として防衛産業の安定的な保持に努めなくてはならない」と指摘。武器の国際共同開発や輸出の拡大に向けて、政府間交渉に乗り出すよう要求した。
防衛装備庁は輸出促進のための専門部署と位置付け、早期に設置すべきだと要請した。大学と連携した研究開発や関連企業への政府の補助金、優遇税制の活用の必要性も強調した。
小野寺氏は「防衛技術の基盤整備が大変重要だ。党の提言をしっかり受け止め、五月か六月に防衛省として方針を出す」と述べた。(東京新聞)
【参考資料】
(1) 情報通信研究機構と防衛省技術研究本部との研究協力の推進に係る包括協定の締結について 2014年3月26日
独立行政法人情報通信研究機構(理事長:坂内正夫、以下「NICT」)と防衛省技術研究本部(本部長:渡辺秀明、以下「TRDI」)は、平成26年3月26日(水)に、電子情報通信分野における双方の研究開発を一層推進するため、研究協力に係る包括協定を締結しました。
NICTでは、研究成果の展開を積極的に推進しており、この観点から、外部機関との連携強化に努めてまいりました。これまでも、例えば、全球降水観測(GPM)計画における衛星搭載二周波降水レーダーの開発をJAXAと、またヘリサット(消防防災ヘリコプターに搭載する直接衛星通信システム)の開発で消防庁と連携してきました。
こうした取組みの一環として、今般、NICTは、サイバーセキュリティ技術、ネットワーク仮想化技術等の分野において、新たに防衛省とも相互に協力することとし、包括的な協定を締結することとしたものです。
サイバーセキュリティ技術に関しては、NICTでは最先端のサイバー攻撃可視化技術や検証環境構築支援技術等の研究開発を推進しており、TRDIが取り組むサイバー演習環境構築技術の研究との連携を行うことにより、さらなる研究の推進を図ってまいります。
また、ネットワーク仮想化技術に関しては、NICTでは最先端のSDN多重化技術や広域SDN構築運用技術等の研究開発を推進しており、TRDIが取り組むサイバー攻撃時における通信ネットワークの抗たん性向上のための研究に、NICTのネットワーク仮想化技術の適用を図ることで、双方の研究の高度化に取り組んでまいります。
NICTでは、TRDIとの研究協力を通じて、NICTの研究成果の一層の促進を図り、早期の実用化を目指します。
(2) 航空科学技術に関する研究開発の推進のためのロードマップ
「航空科学技術ロードマップ検討委員会報告書 ―我が国のあるべき姿とそれを実現するために求められる方向性、強化すべき技術とその優先度編」 平成24年8月21日 JAXA航空科学技術ロードマップ検討委員会
1. 我が国の航空分野の現状
・・・ 安全保障の観点としては、航空分野は防衛力・抑止力に直結するものであり、従来は防衛部門が航空産業の主要な売上げであったが、近年では防衛部門は半分程度で、漸減傾向にある。しかし、全機開発をはじめとして技術のコアとして防衛部門は依然として極めて重要な意味を持つ。
2.4 我が国の安全保障に資するデュアルユースでの貢献におけるあるべき姿
我が国の安全保障で培われたデュアルユースの技術が民生部門へ活かされている。
また、我が国の中期防衛力整備計画には、戦闘機の開発を選択肢として考慮できるよう、将来戦闘機のための戦略的検討を推進すること、より一層の効果的かつ効率的な装備品等の取得を推進すること、無人機を含む新たな各種技術動向等を踏まえ、広域における総合的な警戒監視態勢の在り方について検討することと記載されているが、短・中期的に特に重要として推進されているデュアルユースの技術はこれら防衛部門にも貢献している。
3. あるべき姿を実現するための全般的活動
・・・ 安全保障の観点としては、防衛部門の産業界の育成と技術力維持が必要である。また、民間機と防衛航空機で開発された新技術製品の双方向の適用による調達価格の低減化や、民生部門との共通的技術課題における協力等が求められている。
そして上記3つの観点における共通事項として、航空機産業の魅力を高めることを目標として我が国の総力を結集する産学官連携体制を構築し、地域クラスターの形成等効果的・効率的な取り組みを推進するとともに、検査や認証、契約や法務等についても知識・経験の共有化を図り、これを充実させることが必要である。
また海外との連携は今後より一層重要となってくると考えられ、人材交流やLow Cost Countryを含むサプライチェーンの国際化を強化していくべきである。一方、他国との差別化を図りつつ我が国航空部門のプレゼンスを向上させるためには、海外との競争と協調の使い分けが必要となる。また、革新的な技術については大学等学界の技術シーズ・知見を活用できる仕組みが求められる。
(3) 日本国防衛庁と米国国防省の弾道ミサイル防衛に関する了解覚書のもとで実施される艦載型戦闘指揮システムに係る日米共同研究のための附属書の締結について 平成18年 4月 5日
本日、防衛庁管理局長と米海軍省次官補との間で、艦載型戦闘指揮システムに係る日米共同研究を実施するための附属書の締結を行った。この事業は、平成16年12月に防衛庁長官と米国防長官との間で締結された弾道ミサイル防衛に関する了解覚書のもとで実施される日米共同研究である。
本共同研究は、艦艇の戦闘指揮システムのオープンアーキテクチャ(OA)化に基づきCOTS*計算機等の積極的活用による情報処理能力向上を通じて、BMD対処能力を含めた同時多目標対処能力向上に資するものであり、ライフサイクルコスト低減にも寄与するものである。
*COTS(Commercial Off The Shelf):民生品
艦載型戦闘指揮システムに係る日米共同研究 本共同研究は、艦艇の戦闘指揮システムのオープンアーキテクチャ(OA)化に基づきCOTS*計算機等の積極的活用による情報処理能力向上を通じて、BMD対処能力を含めた同時多目標対処能力向上に資するものであり、ライフサイクルコスト低減にも寄与するものである。
イメージ図
(4) これまでの日米共同研究開発・改修プロジェクトの概要(防衛省)
「批評する工房のパレット」内関連ページ
2010年11月2日 「続・大学を解体せよ--人間の未来を奪われないために」
2010年11月23日 「1960年代の日本の大学の軍事研究」
2010年11月25日 「グローバル軍産学複合体の中の東京大学、そして日本の大学(1)」
2012年3月9日 「廃墟となったJAXA(宇宙航空研究開発機構)?――あるいは、「戦後官制」による「大学革命」がもたらしたもの」
・・・
・ 米無人偵察機、三沢に一時配備 5月下旬に
青森県三沢市は1日、無人偵察機グローバルホークが5月下旬に米軍三沢基地(同市)へ一時配備される見通しだと明らかにした。東北防衛局から市に連絡が入った。具体的な日時は知らされていないという。
グローバルホークは米軍がグアムで運用する無人偵察機で、地上から遠隔操作する。現地の台風シーズンを避けるため、5月から10月ごろまで2機を米軍三沢基地に配備する予定。同機が国内で配備されるのは初めて。
国土交通省は、三沢基地周辺を飛行する小型機やヘリコプターの操縦者に対し、グローバルホークへの注意を呼び掛ける航空情報(ノータム)を出している。(共同)
・PKO物資融通で交渉開始へ 日英首脳が一致
【ロンドン共同】 安倍晋三首相は1日午後(日本時間同日夜)、英国のキャメロン首相とロンドンの首相官邸で会談し、国連平和維持活動(PKO)などの現場で自衛隊と英国軍が物資や輸送業務を提供し合う「物品役務相互提供協定」(ACSA)の交渉開始で一致した。
日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉に関し、2015年中の実質合意を目指すことも確認した。 外務・防衛閣僚級協議(2プラス2)の創設にも合意し、これらの内容を盛り込んだ共同声明を発表した。
安倍首相は会談で「自由や民主主義の価値を共有する英国と、安全保障や経済での協力関係を発展させたい」と表明。
・東大独自ルール「軍事忌避」に反旗 複数の教授ら米軍から研究費
軍事研究と外国軍隊からの便宜供与を禁止している東京大学で、複数の教授らが平成17年以降、米空軍傘下の団体から研究費名目などで現金を受け取っていたことが(4月)30日、分かった。
東大は昭和34年から軍事研究を、さらに42年からは外国軍隊からの資金供与も禁止して「学問の自由」を事実上、制限してきた。これまで学内の独自ルールに手足を縛られてきた研究者が反旗を翻した格好だ。
関係者によると、東大の男性教授は平成17年、スイス・ジュネーブ郊外の欧州原子核研究機構(CERN)で反物質の研究を行う際、米空軍傘下の「アジア宇宙航空研究開発事務所(AOARD)」から「研究費」として7万5千ドルを受領した。
さらに、応用物理学に関する学会が19年に開かれた際、東大の男性准教授(当時)が米空軍の関連団体から学会の開催費用として1万ドルを受領。17年の学会でも別の男性教授(当時)が5千ドルを学会として受け取ったとしている。
米空軍は東大に限らず有能な研究者を対象に研究費だけでなく、学会開催費名目などで資金供与を行っている。
東大は産経新聞の取材に「調査に時間がかかっている」としている。研究費を受領した教授は「軍事研究はやっていない」と主張。学会の開催費用を受け取った当時の准教授は「東大の教員としてではなく、あくまで学会のメンバーとしてもらった。問題はない」(???)と話している。
東大は昭和34年、42年の評議会で「軍事研究はもちろん、軍事研究として疑われるものも行わない考えを確認している」と主張している。
こうした評議会の確認事項を根拠に、現在でも全学部で軍事研究の禁止を続けている(???)。(産経)
↓
〒106-0032 東京都港区六本木7-23-17
米国国防総省空軍科学技術局 アジア宇宙航空研究開発事務所
・ロボット開発にも東大独自ルールの壁 「頭脳流出」問われる姿勢
東京大学は戦後一貫して軍事に関する研究を遠ざけてきた(???)。世界の主要国は産学官軍が協力し、安全保障の研究開発にしのぎを削っている中で、日本では学外・国外への「頭脳流出」が目立つ。憲法に規定される「学問の自由」にも抵触しかねず、今後、大学側の姿勢が問われそうだ。
東大で人型ロボット開発を行ってきた研究者ら有志が平成24年、東大を離れ、ベンチャー企業「SCHAFT(シャフト)」を立ち上げた。理由は予算が思うように獲得できなかったから。東大の独自ルールが壁になったのは明らかだ。
シャフトは25年11月、ロボット事業に意欲を示す米グーグルに買収され、翌12月には米国防総省国防高等研究計画局(DARPA)主催の災害救助ロボットコンテストの予選で、米航空宇宙局(NASA)など強豪15チームを抑えトップの成績を収めた。
私大でも早稲田大学が2年に「軍事研究および軍事開発は行わない」などのガイドラインを決めている。
一方、政府は25年11月の衆院文部科学委員会で「軍事研究を禁止する全学の内規は東大に存在していない」と答弁。(→正しい)
同年12月に閣議決定した国家安全保障戦略では「産学官の力を結集させて安全保障分野においても有効に活用するように努めていく」と明記した。安保分野の研究開発をめぐる政府と大学側の認識の違いはあまりに大きい。(産経)
〈東大、および日本の(国立)大学において「軍事研究」が「禁止」されているという幻想について〉
上の二つの産経新聞の記事において、東大が「軍事研究」を「禁止」してきたと、誤った理解の根拠とされているものに情報理工学系研究科のサイトに掲載されている 「科学研究ガイドライン」がある。
「ガイドライン」は、次のように述べている。
・・
この科学研究ガイドラインは、情報理工学系研究科に在籍するすべての学生が、研究を始める前、入学(転入)時に読み理解すべきものです。情報理工学系研究科における研究は、このガイドラインに沿って行われなければなりません。特に、学位論文の作成はこのガイドラインに従わなければなりません。
科学研究における倫理
科学研究といえども、法律・社会通念に従って遂行されなければなりません。いうまでもなく、本研究科が対象としている情報科学技術に関する研究も、決して例外ではありません。 以下のような研究は「不適切な研究」とされ、一般に禁止されています。
.人間および社会に害をなす研究
.許可されていない人間および動物を対象とする研究
.法令に違反する研究
.利益相反する研究
さらに、東京大学では軍事研究も禁止されています。
以下の項では、軍事研究、許可されていない人間および動物を対象とする実験、および、利益相反する研究について簡単に補足します。
軍事研究
東京大学では、第二次世界大戦およびそれ以前の不幸な歴史に鑑み、一切の例外なく、軍事研究を禁止しています。
自ら軍事研究を行わずとも、共同研究の過程で、意図せずに軍事研究に関わってしまうおそれがありますので、注意してください。
・・
この「ガイドライン」には、「軍事研究」とは何をさすのか、その定義がどこにも書かれていない。つまり、どのような「研究」が「軍事研究」を構成するのか、その具体例が何も示されておらず、「軍事研究」なる概念が、ただ抽象的・観念的に語られているだけである。 その結果、、「学生」にも私たちにも、どのような研究が「軍事研究」に該当し、東大で「禁止」されているのか、何もわからない。
本ページの下段に示した【参考資料】にあるように、実際のところ「民生技術」と「軍事技術」が相互に転用され、両者の境界線が「融合」(デュアルユース)している現代の軍事技術の研究現場の実態から言えば、この「ガイドライン」は、東大の研究者・院生の「軍事研究」を、ある拘束力をもつ形で、何ら「禁止」するものにはなっていないのである。
そのことは、新世代核兵器研究・開発と原子力研究・開発や、ロボット兵器研究・開発と「民生用」ロボット研究・開発との境界線がどこにあるのかを少し考えてみるだけで、誰にでも理解できることではないだろうか。
重要なことは、どのような「民生技術」と「軍事技術」がどこで、どのように「融合」しているのか、その実態を把握し、それに即した「ガイドライン」をまず大学・独立行政法人の研究者(グループ)が策定し、それを東大をはじめ、各大学、研究機関の「ガイドライン」とする取り組みをはじめることである。 間違っても、東大や日本の大学で「軍事研究」が「禁止」されているなどという誤った幻想は持たないようにしよう。
5/6
・日仏首脳会談 「高速炉」研究で協力 防衛装備品開発へ協定
【パリ=時事】 安倍晋三首相は五日午前(日本時間同日午後)、フランスのオランド大統領とパリの大統領府で会談し、防衛装備品の共同開発に関する政府間協定締結に向けた交渉入りで合意した。
次世代型原子炉である「高速炉」の研究開発やベトナムなど第三国への原発輸出での協力促進も確認し、共同文書に盛り込んだ。
会談では防衛装備品協力に関し、警戒監視のための無人機の分野を中心に進めることになった。首相は会談後の共同記者会見で「欧州、東アジアの安全保障環境が厳しさを増す中、両国の緊密な連携が必要との認識で一致した」と述べた。
両首脳は、外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の第二回会合を来年東京で開催することで合意し、サイバー防衛に関する当局間の協議の枠組み設置も確認。
また、中国やロシアを念頭に、国際法に反して力により他国の領土を奪い、または権利を主張することに反対を表明。公海での航行・上空飛行の自由の重要性を強調した。
特に、ロシアのクリミア併合に対しては、「国際体制が基盤とする諸原則に違反する」と共同文書に明記する一方、対話による解決を目指すべきだとの認識でも一致。首相は会見で「外交的解決へのドアは引き続き開いている」と対話に応じるようロシアに呼び掛けた。
大統領は、東・南シナ海での中国と日本など周辺国との対立に関しても「対話が重要だ」と指摘し、首相は高村正彦自民党副総裁の訪中を挙げ「いろいろ努力している」と説明した。
<高速炉> フランスや中国などが放射性廃棄物を減らすことを主な目的に研究開発を進める次世代型の原子炉。核分裂反応で生じる中性子を高速のまま減速させずに連鎖反応を起こさせるのが基本原理。
開発が成功すれば、原子炉を稼働させると増殖するプルトニウムなど放射性物質を減らしながら発電することが可能になるとされる。放射性廃棄物の最終処分場の立地が多くの国で決まっていないことから、廃棄物を減らす技術開発に期待する声は大きい。(東京新聞)
・(ザ・テクノロジー:1)ロボットバブルとグーグル
米西海岸シリコンバレーはいま、ロボット技術への熱気に包まれている。 4月9日、カリフォルニア州パロアルト市で開かれた小さなロボット展示会。そこへ、投資家ら次世代技術の目利きたち1500人が殺到した。
空気の出し入れで動くゴム人形のようなロボット、壁を上っていく尺取り虫のような物体、人工知能でコースを正確に走るミニカー……。40社が展示した製品はそれぞれ独自性にあふれていた。
創業50年近いベンチャーキャピタルのデブダット・エールカーは「次の大きな波は何かと検討してきたが、ロボット分野だ」と断言した。
ロボットバブルに火をつけたのは、世界的なIT大手の米グーグルだ。ロボットベンチャー8社を一気に買収したことが昨年12月に判明し、ニュースが世界を駆け巡った。
グーグルは買収後、徹底した秘密主義を貫き、買収目的も明かさない。シリコンバレーで今月開かれたシンポジウムで、主催者が聴衆に語りかけた。 「グーグルはロボット関連企業をどんどんのみ込んでいる。いったん吸収されると、そこから情報は一切漏れてこない。まるでブラックホールのようだ」
8社のなかで、特に注目されたのが、東京大発ベンチャーの「シャフト」だ。 昨年12月、米フロリダ州のカーレース場で開かれたロボットコンテスト予選。シャフトは、米航空宇宙局(NASA)やマサチューセッツ工科大学(MIT)など強豪を押しのけて、参加16チームのなかで、断トツで予選を通過した。
コンテストを主催したのは、米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA〈ダーパ〉)。ダーパは、米国の国防費を背景にした豊富な予算を国内の大学や研究機関につぎこみ、最新のテクノロジーを吸い上げて軍事技術に応用している。
12月のコンテストは、2011年3月の東京電力福島第一原発事故がきっかけになっていた。ロボットが、がれきが積み重なる過酷な状況でも作業できるかがテーマだった。
災害現場を模した会場で、ロボットたちはがれきの中を歩いたり、はしごを上ったり、ホースを消火栓につないだりする八つの課題に挑戦。ほかのロボットが止まったまま動かなかったり、転倒したりするなか、シャフトの二足歩行ロボット「S―One(エス・ワン)」だけは着実に課題をこなしていった。
圧巻だったのは、ロボットによる四輪駆動車の運転だ。エス・ワンは腕と足を使ってハンドルやアクセルを器用に操作。75メートルのコースを完走すると、観客から歓声が上がった。予選トップのシャフトは、来年初めの本選でも優勝候補の本命だ。
予選直前の昨年11月にグーグルに買収されたシャフトは、その後ホームページを事実上閉鎖。マスコミの取材にも応じない。経済産業省が問い合わせてもなしのつぶてだ。(敬称略)(朝日電子版 高山裕喜、畑中徹=パロアルト、大鹿靖明)
・(ザ・テクノロジー:2)「日本の快挙」がグーグルに
・(ザ・テクノロジー:3)ヒト型ロボットの源流は日本に
・無人潜水機を日仏で共同研究 武器禁輸の転換踏まえ
日本、フランス両政府は防衛装備品の共同開発の一環として、警戒監視に使う無人潜水機の共同研究を開始する方針を固めた。 5月5日の安倍晋三首相とオランド仏大統領の首脳会談で合意する方向で調整している。日本政府関係者が(4月)29日、明らかにした。
日本側には武器輸出三原則に基づく禁輸政策の転換を踏まえて安全保障分野で連携を強め、フランスとの関係強化を図る中国に対抗する狙いがある。 防衛装備品の研究については、水中で長時間の警戒監視活動ができる無人潜水ロボットの燃料電池など関連技術を想定している。防衛省は既に、2014年度予算に無人機技術の研究費約5億円を計上している。(共同)
・日豪 防衛装備品共同開発加速で一致
オーストラリアを訪れている小野寺防衛大臣はジョンストン国防相と会談し、防衛装備品の共同開発に向けて事前の交渉を加速させることに加え、自衛隊とオーストラリア軍による共同訓練などを充実させることで一致しました。
会談の冒頭、小野寺防衛大臣は「防衛装備移転三原則」を新たに閣議決定したことも踏まえ、「両国の友好な関係をさらに強化するため、防衛装備品の技術協力などについて意見交換したい」と述べました。
これに対し、ジョンストン国防相は「地域の安定のため、具体的な防衛装備の強化について日本とも協力を進めていきたい」と述べ、日本が持っている潜水艦技術に高い関心を示しました。
そのうえで、両氏は先の日豪首脳会談で防衛装備品の共同開発に向けて事前の交渉を始めることで合意したことを受けて、事務レベルの作業を加速させ装備・技術面での協力を強化することで一致しました。
さらに、自衛隊とオーストラリア軍による共同訓練やアメリカも加えた日米豪の枠組みの共同訓練を充実させることで一致し、中国の海洋進出を念頭に力による現状変更は容認できないという立場を改めて確認しました。会談のあと、小野寺大臣は記者団に対し「地域の安定を保つためには、日本の防衛力の強化だけではなくオーストラリアやアメリカ、韓国との関係を強化していきたい」と述べました。(NHK)
・防衛装備庁の新設提言 自民部会 政府関与を促す
武器の禁輸政策を撤廃して輸出容認に転換した防衛装備移転三原則を受けて、自民党の国防部会(左藤章部会長)は(四月)二十一日、輸出や国際共同開発の交渉を民間任せにせず、政府が専門部署として防衛装備庁を新設し、積極的に関わるよう求める提言を小野寺五典防衛相に渡した。
防衛省は提言を参考に、五月にも防衛産業の強化戦略を決定する。
提言では「(武器の)生産基盤と技術基盤を担う防衛産業は、自衛隊の戦力の一部であり、国家として防衛産業の安定的な保持に努めなくてはならない」と指摘。武器の国際共同開発や輸出の拡大に向けて、政府間交渉に乗り出すよう要求した。
防衛装備庁は輸出促進のための専門部署と位置付け、早期に設置すべきだと要請した。大学と連携した研究開発や関連企業への政府の補助金、優遇税制の活用の必要性も強調した。
小野寺氏は「防衛技術の基盤整備が大変重要だ。党の提言をしっかり受け止め、五月か六月に防衛省として方針を出す」と述べた。(東京新聞)
【参考資料】
(1) 情報通信研究機構と防衛省技術研究本部との研究協力の推進に係る包括協定の締結について 2014年3月26日
独立行政法人情報通信研究機構(理事長:坂内正夫、以下「NICT」)と防衛省技術研究本部(本部長:渡辺秀明、以下「TRDI」)は、平成26年3月26日(水)に、電子情報通信分野における双方の研究開発を一層推進するため、研究協力に係る包括協定を締結しました。
NICTでは、研究成果の展開を積極的に推進しており、この観点から、外部機関との連携強化に努めてまいりました。これまでも、例えば、全球降水観測(GPM)計画における衛星搭載二周波降水レーダーの開発をJAXAと、またヘリサット(消防防災ヘリコプターに搭載する直接衛星通信システム)の開発で消防庁と連携してきました。
こうした取組みの一環として、今般、NICTは、サイバーセキュリティ技術、ネットワーク仮想化技術等の分野において、新たに防衛省とも相互に協力することとし、包括的な協定を締結することとしたものです。
サイバーセキュリティ技術に関しては、NICTでは最先端のサイバー攻撃可視化技術や検証環境構築支援技術等の研究開発を推進しており、TRDIが取り組むサイバー演習環境構築技術の研究との連携を行うことにより、さらなる研究の推進を図ってまいります。
また、ネットワーク仮想化技術に関しては、NICTでは最先端のSDN多重化技術や広域SDN構築運用技術等の研究開発を推進しており、TRDIが取り組むサイバー攻撃時における通信ネットワークの抗たん性向上のための研究に、NICTのネットワーク仮想化技術の適用を図ることで、双方の研究の高度化に取り組んでまいります。
NICTでは、TRDIとの研究協力を通じて、NICTの研究成果の一層の促進を図り、早期の実用化を目指します。
(2) 航空科学技術に関する研究開発の推進のためのロードマップ
「航空科学技術ロードマップ検討委員会報告書 ―我が国のあるべき姿とそれを実現するために求められる方向性、強化すべき技術とその優先度編」 平成24年8月21日 JAXA航空科学技術ロードマップ検討委員会
1. 我が国の航空分野の現状
・・・ 安全保障の観点としては、航空分野は防衛力・抑止力に直結するものであり、従来は防衛部門が航空産業の主要な売上げであったが、近年では防衛部門は半分程度で、漸減傾向にある。しかし、全機開発をはじめとして技術のコアとして防衛部門は依然として極めて重要な意味を持つ。
2.4 我が国の安全保障に資するデュアルユースでの貢献におけるあるべき姿
我が国の安全保障で培われたデュアルユースの技術が民生部門へ活かされている。
また、我が国の中期防衛力整備計画には、戦闘機の開発を選択肢として考慮できるよう、将来戦闘機のための戦略的検討を推進すること、より一層の効果的かつ効率的な装備品等の取得を推進すること、無人機を含む新たな各種技術動向等を踏まえ、広域における総合的な警戒監視態勢の在り方について検討することと記載されているが、短・中期的に特に重要として推進されているデュアルユースの技術はこれら防衛部門にも貢献している。
3. あるべき姿を実現するための全般的活動
・・・ 安全保障の観点としては、防衛部門の産業界の育成と技術力維持が必要である。また、民間機と防衛航空機で開発された新技術製品の双方向の適用による調達価格の低減化や、民生部門との共通的技術課題における協力等が求められている。
そして上記3つの観点における共通事項として、航空機産業の魅力を高めることを目標として我が国の総力を結集する産学官連携体制を構築し、地域クラスターの形成等効果的・効率的な取り組みを推進するとともに、検査や認証、契約や法務等についても知識・経験の共有化を図り、これを充実させることが必要である。
また海外との連携は今後より一層重要となってくると考えられ、人材交流やLow Cost Countryを含むサプライチェーンの国際化を強化していくべきである。一方、他国との差別化を図りつつ我が国航空部門のプレゼンスを向上させるためには、海外との競争と協調の使い分けが必要となる。また、革新的な技術については大学等学界の技術シーズ・知見を活用できる仕組みが求められる。
(3) 日本国防衛庁と米国国防省の弾道ミサイル防衛に関する了解覚書のもとで実施される艦載型戦闘指揮システムに係る日米共同研究のための附属書の締結について 平成18年 4月 5日
本日、防衛庁管理局長と米海軍省次官補との間で、艦載型戦闘指揮システムに係る日米共同研究を実施するための附属書の締結を行った。この事業は、平成16年12月に防衛庁長官と米国防長官との間で締結された弾道ミサイル防衛に関する了解覚書のもとで実施される日米共同研究である。
本共同研究は、艦艇の戦闘指揮システムのオープンアーキテクチャ(OA)化に基づきCOTS*計算機等の積極的活用による情報処理能力向上を通じて、BMD対処能力を含めた同時多目標対処能力向上に資するものであり、ライフサイクルコスト低減にも寄与するものである。
*COTS(Commercial Off The Shelf):民生品
艦載型戦闘指揮システムに係る日米共同研究 本共同研究は、艦艇の戦闘指揮システムのオープンアーキテクチャ(OA)化に基づきCOTS*計算機等の積極的活用による情報処理能力向上を通じて、BMD対処能力を含めた同時多目標対処能力向上に資するものであり、ライフサイクルコスト低減にも寄与するものである。
イメージ図
(4) これまでの日米共同研究開発・改修プロジェクトの概要(防衛省)
項目 | 概要 | 開始時期 |
ダクテッド ロケット・エンジン | 外部からの空気を加えてロケット固体燃料を2次燃焼させるための基礎技術に関する研究 | 1992年9月 (終了) |
先進鋼技術 | 潜水艦の耐圧殻等に使用する超高張力鋼材の溶接の基礎技術に関する研究 | 1995年10月 |
戦闘車両用 セラミック・エンジン | セラミック材料を適用したディーゼルエンジンの基礎技術に関する研究 | 1995年10月 |
アイセーフ・ レーザーレーダー | 目に安全性の高い波長のレーザーレーダー装置の基礎技術に関する研究 | 1996年9月 |
射出座席 | 戦闘機の射出座席に乗員拘束装置及び座席安定化装置を付加するための改修 | 1998年3月 |
先進ハイブリッド 推進技術 | 固体燃料と液体酸化剤から構成され、推進力制御可能な推進装置の基礎技術に関する研究 | 1998年5月 |
浅海域音響技術 | 浅海域における音波の伝搬、海底での反射等の特性の分析・解析に関する研究 | 1999年6月 |
弾道ミサイル 防衛技術 | 海上配備型上層システム(NTWD)のミサイルの4つの主要構成品(赤外線シーカ、キネティック弾頭、第2段ロケットモータ及びノーズコーン)に関する研究 | 1999年8月 |
野戦砲用 高安全性発射薬 | 被弾時における発射薬への意図しない誘爆を回避する発射薬の基礎技術に関する研究 | 2000年3月 |
FS-X共同開発 | 航空自衛隊の現有支援戦闘機(F-1)の後継機(F-2)を、F-16をベースに日米の優れた技術を結集して改造開発する。 | 1988年11月 (終了) |
「批評する工房のパレット」内関連ページ
2010年11月2日 「続・大学を解体せよ--人間の未来を奪われないために」
2010年11月23日 「1960年代の日本の大学の軍事研究」
2010年11月25日 「グローバル軍産学複合体の中の東京大学、そして日本の大学(1)」
2012年3月9日 「廃墟となったJAXA(宇宙航空研究開発機構)?――あるいは、「戦後官制」による「大学革命」がもたらしたもの」
・・・
・ 米無人偵察機、三沢に一時配備 5月下旬に
青森県三沢市は1日、無人偵察機グローバルホークが5月下旬に米軍三沢基地(同市)へ一時配備される見通しだと明らかにした。東北防衛局から市に連絡が入った。具体的な日時は知らされていないという。
グローバルホークは米軍がグアムで運用する無人偵察機で、地上から遠隔操作する。現地の台風シーズンを避けるため、5月から10月ごろまで2機を米軍三沢基地に配備する予定。同機が国内で配備されるのは初めて。
国土交通省は、三沢基地周辺を飛行する小型機やヘリコプターの操縦者に対し、グローバルホークへの注意を呼び掛ける航空情報(ノータム)を出している。(共同)
・PKO物資融通で交渉開始へ 日英首脳が一致
【ロンドン共同】 安倍晋三首相は1日午後(日本時間同日夜)、英国のキャメロン首相とロンドンの首相官邸で会談し、国連平和維持活動(PKO)などの現場で自衛隊と英国軍が物資や輸送業務を提供し合う「物品役務相互提供協定」(ACSA)の交渉開始で一致した。
日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉に関し、2015年中の実質合意を目指すことも確認した。 外務・防衛閣僚級協議(2プラス2)の創設にも合意し、これらの内容を盛り込んだ共同声明を発表した。
安倍首相は会談で「自由や民主主義の価値を共有する英国と、安全保障や経済での協力関係を発展させたい」と表明。