2013年6月2日日曜日

アフリカの「開発」・「平和構築」と対テロ戦争

アフリカの「開発」・「平和構築」と対テロ戦争

・首相、サハラ安定に1千億円支援 TICADで表明
 安倍晋三首相は2日午前、横浜市で開催中の第5回アフリカ開発会議(TICAD)で演説し、サハラ砂漠南部の安定に向け、5年間で1千億円の開発支援を表明した。日本人10人が犠牲となったアルジェリア人質事件を踏まえた。砂漠南部地域でテロや治安対策部門の人材2千人を育成する方針も明らかにした。

 人質事件の背景にはサハラ砂漠南部の「サヘル地域」が経済成長から取り残されていたことや、リビア内戦を受けた武器流入などがあったとされる。日本は若者の失業対策や女性の自立支援などで地域の開発を後押しし、アフリカの安定につなげたい考えだ。(共同)

首相「治安対策に5年で1000億円」  アフリカ開発会議
 安倍晋三首相は2日午前、横浜市で開催中の第5回アフリカ開発会議(TICAD5)の平和構築に関する会合で演説し、アフリカの平和と安定に向けた支援策を打ち出した。
 治安悪化が深刻なサハラ砂漠南部のサヘル地域に対し、今後5年間に保健分野などの人道支援や失業対策で総額1000億円を援助。テロ対策や治安維持を担う人材を2000人育成する。

 安倍首相は1月に発生したアルジェリア人質事件に触れ、「サヘルの人々と共に働く日本人の安全対策を強化し、その活動を後押しする」と強調。治安改善への支援を通じて、日本企業の進出を後押しする考えを示した。テロの要因になる貧困や格差への対処、アフリカ各地の国連平和維持活動(PKO)活動への支援に積極的に取り組む考えも表明した。

 日本政府は30カ国以上に対して行政能力向上の支援を行う計画も発表。司法やメディア、地方自治、警察などの分野で計5000人の行政官を育成し、治安維持に不可欠な行政能力や法の支配の強化を後押しする。海賊被害が深刻なソマリア周辺海域の沿岸国に対しては、海上保安組織への職員研修や巡視船の供与を行う。(日経

安倍首相講演要旨「アフリカの平和構築に注力」
 -今後5年間で最大約3兆2000億円の官民の取り組みによりアフリカの成長を支援する。
 -政府開発援助(ODA)は約1兆4000億円
 -最大20億ドル(約2000億円)の貿易保険を引き受ける。
 -インフラ整備に今後5年で約6500億円を投じ、送電網整備などを進める。
 -人材育成の「安倍イニシアチブ」として、今後5年間でアフリカから1000人の若者を留学生として迎え、日本企業でインターンとして働く機会も提供する。
 -国際協力機構(JICA)の事業などと合わせ約3万人の人材育成に乗り出す。
 -エチオピアやセネガルなどの10カ所に「人づくり拠点」をつくり、職業訓練の専門家を送り込む。
 -日本は今後一層、アフリカの平和構築に力を注ぐ。
 -ジブチでは海賊対策のために、南スーダンでは国家建設の一助となるために自衛隊が奮闘している。
 -少し健康を害しても、誰もが気楽に病院へ行ける日本の制度、経験をアフリカに生かしたい。万人にとっての保健医療を推進する。
 -「食べるため」から「稼ぐため」の農業に変えたい。
 -できる限り早くアフリカの地を踏むつもりだ。
 -東京五輪を2020年に再び開けるように支持を願う。(産経

「マリ、シリアで膨大な難民」 国連難民高等弁務官が憂慮
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のアントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官が1日、朝日新聞のインタビューに応じ、膨大な数の難民を生んでいる西アフリカ・マリと中東・シリアについて、強い懸念を示した。
 高等弁務官によると、マリでは約30万人が国内避難民となり、20万人以上が周辺国に逃れた。リビアからの武器が流入し周辺国から戦闘員が集まってきており「複数の危険が組み合わさって、より強い脅威となっている」と指摘。

 日本人も犠牲になった今年1月のアルジェリアでの人質事件に触れ、「マリの危機はマリ国民のみならず、国際的な安全を脅かしている」と述べた。その上で、開催中のアフリカ開発会議(TICAD)が「発展と平和が表裏一体だという認識をアフリカ諸国に促した」と評価した。
 シリアについては、毎日約8千人の難民が生まれ、周辺国には160万人が逃れたとし、「冷戦後における最も危険で深刻な人道危機。受け入れ国の経済、社会、治安にも大きな影響を及ぼしている。政治的解決により紛争を止めなければ、中東の火だねが爆発しかねない」と警鐘を鳴らした。 (高橋友佳理)

・・・
6・1(土)シンポ&デモ!
誰のためのTICAD(アフリカ開発会議)か?
グローバリゼーションのなかで搾取と排除に抵抗するアフリカとアジアの人々

【ゲスト】
 チャイナ・ングバネさん
  南アフリカ共和国:クワズールー・ナタール大学市民社会センター
  デニス・ブルータス・コミュニティー奨学金プログラムのコーディネーター
【シンポジスト】
・日本のアフリカ外交の問題点
 小倉利丸さん(横浜でTICADを考える会)
・ヨコハマ・コトブキの地域活動から
 近藤昇さん(寿日雇労働者組合)
・ジブラルタルや喜望峰を越えてくる人びとと
 稲葉奈々子さん(NO-VOX「持たざる者」の国際連帯行動)
※会場では英語→日本語の逐次通訳はあります。

日 時:2013年6月1日(土)
    シンポジウム 13:30~16:30    横浜市内デモ 17:00~
場 所:横浜市従会館 4階ホール    神奈川県横浜市西区宮崎町25
交 通:JR桜木町駅、京浜急行「日ノ出町」駅10分
地 図:http://www.siju.or.jp/hall_info
参加費:500円(申し込み不要)
主 催:横浜でTICADを考える6・1国際シンポジウム実行委員会
English info http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/05/28/145129

★チャイナ・ングバネさん★
1974年、ジンバブエに生まれる。現在は南アフリカ・ダーバンに在住し、クワズル・ナタール大学の市民社会センターで、デニス・ブルータス・コミュニティー奨学金プログラムのコーディネーターを務める。国境なき市民、人道的活動家。ジンバブエなど周辺国から迫害を逃れて、あるいは生活のために南アに移り住む人々が、南アの住民から迫害される「外国人排除」との闘いに尽力。地域コミュニティにおける社会的抵抗と共存に尽力。国境なき開かれたアフリカを夢見ながら、地域の社会正義実現のための運動を組織。2013年3月にダーバンで行われたBRICsサミットに対抗して開かれたカウンター民衆サミット「Brics-from-below civil society summit」でも活躍した。
+ + + + +

 6月1日から3日まで、横浜で行われるアフリカ開発会議(TICAD)にあわせて、シンポジウムとデモをやります!TICADは日本政府の対アフリカ外交が目的の政府間会議です。外務省が作成したTICADのパンフレットのタイトルは「躍動のアフリカと手を携えて」。躍動するアフリカ市場へ日本企業が進出することが大きな目的の一つとなっています。
 そのために「平和・安定」と呼ばれる自衛隊や海上保安官の派遣、「援助」と呼ばれる企業支援、「友好」と呼ばれる非民主的政権との外交が日本政府の対アフリカ外交の基調になっています。
 私たちはTICAD開催を契機に、大企業や軍隊による「成長」や「安定」とは違う関係を考える取組みをおこないます。シンポジウムでは、アフリカ一の「先進国」となった南アフリカにおけるグローバル化と社会的亀裂、そしてそれに直面する社会運動のいまを南アフリカからのゲストに語ってもらいます。

 TICADの会場、みなとみらい地区のパシフィコ横浜は、横浜を象徴する華やかなビジネス・観光地帯の象徴ですが、そのすぐそばには港湾都市ヨコハマの発展を底辺で支えてきた労働者のまち、寿町があります。アフリカだけでなく日本でも貧困や人権の問題は深刻化しています。「躍動のアフリカ」のもうひとつの現実を知り、日本社会の問題をグローバルに理解する一助になることを願っています。
 シンポジウム後には、TICAD会場となっているみなとみらい地区周辺をデモします。TICADで来日しているアフリカの友人たちに、TICADでは聞けないもうひとつの声があることを街頭で訴えます。ぜひ参加を!

横浜でTICADを考える会公式ブログhttp://ticakov.hatenablog.com/)の記事

◆横浜でTICADを考える会の紹介
 http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/02/19/131009
◆海外ゲスト:チャイナ・ングバネさんの紹介
 http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/05/14/204638
・チャイナさんの論考
 「占拠を準備する旧黒人居住区の住民運動」2012年7月3日
 http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/05/25/013947
 「貧しいものが貧しいものを攻撃するとき」2010年8月3日
 http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/05/15/131156

◆私たちの主張
・福島康真:TICADはトップダウンのアフリカ投資相談会
 http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/05/22/220251
・大友深雪:「アフリカ開発支援」に対する批判的視点-南アの現状と歴史を手がかり

 http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/03/06/112506
・小倉利丸:ソマリア-海賊か自衛か
 http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/05/21/234638
・パトリック・ボンド:アフリカは蜂起しなければならない(1~3)
 http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/03/21/133657
 http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/04/04/210811
 http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/04/06/002934
・もうひとつの連帯は可能だ! 日本-アフリカ開発会議にNOを!
 戦争と新自由主義ではないアフリカと日本の関係のために
 日本語 http://ticakov.hatenablog.com/about
 フランス語 http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/05/22/220909
 英語 http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/05/22/220806

◆第1回学習会:平和と友情が築かれるアフリカと日本のために(結成トークセッション)
・学習会報告:http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/03/21/142438
・茂住衛さん:http://www.youtube.com/watch?v=kJqI_T3vsNU

◆第2回学習会:北アフリカ革命
・学習会報告:http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/04/10/142703
・高林敏之さん:北アフリカ革命と日本・アフリカ関係
 動画:http://www.youtube.com/watch?v=Y1TjqUoqwaM
 配布資料:http://sdrv.ms/13TDYUf
・小倉利丸さん:WSFチュニジアから
 動画:http://www.youtube.com/watch?v=LcfkqLAWDY0
・山中達也さん:チュニジア民衆の闘い
 動画:http://www.youtube.com/watch?v=eymInqq10CA

◆第3回学習会:ソマリア海賊問題
・高林敏之さん:<海賊対処>と自衛隊ジブチ基地設置のもつ意味
 動画:http://www.youtube.com/watch?v=NI_HchqzgBs&feature=youtu.be
 配布資料:http://sdrv.ms/14a89U7
・木元茂夫さん:自衛隊の現状とアフリカ派兵
 動画:http://www.youtube.com/watch?v=JKyn96s_610
 配布資料:http://sdrv.ms/14a7SAo


「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「今アフリカ農村で何が起きているのか? ~日本・ブラジル・モザンビーク三角協力による熱帯サバンナ農業開発(プロサバンナ)を考える
⇒「叛乱鎮圧部隊化する国連PKO
⇒「The Al-Qaida Papers - Drones and US Drone Bases in Africa
⇒「アルジェリア人質事件の顛末について
⇒「フランスのマリへの軍事介入: ~「対テロ戦争」? それともトゥアレグ遊牧民族の民族自決と
自治の圧殺?
⇒「ポスト「3・11」の世界と平和構築

・・・
対中武器輸出に懸念 日仏防衛相会談
 小野寺五典防衛相は2日午前(日本時間同)、フランスのルドリアン国防相とシンガポールで会談し、フランスによる中国へのヘリコプター着艦装置売却について「東アジアの緊張を高める」と懸念を示すとともに、輸出を自粛するよう要請した。 ルドリアン氏は「直接武器に当たるものではない」と理解を求めた。 
 小野寺氏は、フランスによるロシアへの強襲揚陸艦輸出についても「極東の軍事バランスが崩れる」と懸念を伝えた。

 両氏は、武器の共同開発を加速させることで合意。フランスの領土であるニューカレドニアなどがある太平洋を中心に、海上安全保障の協力を強化することも確認した。
 アルジェリア人質事件を踏まえたテロ対策や、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮問題をめぐっても協議した。フランスのオランド大統領は6日から来日予定で、7日には安倍晋三首相との首脳会談が予定されている。(共同)

緊急展開チーム編成、アルジェリア人質事件で邦人保護策
 政府は(5月)30日、1月のアルジェリア人質事件を受け、「海外緊急展開チーム」(ERT)の編成などを柱とした在留邦人・在外企業の安全確保策をまとめた。ERTは関係省庁から邦人保護業務の経験者や各地域の専門家ら60人程度をあらかじめ登録し、事件発生後速やかに現地に派遣する。

 警察庁の国際テロリズム緊急展開班(TRT-2)の派遣体制強化や防衛駐在官の新規派遣、官民合同による海外安全セミナーの開催なども盛った。
 セミナーは7月に東京で開催する予定。中東・北アフリカ地域に関しテロへの対処方法や予防策などを学ぶ。これとは別に緊急事態時の対応をシミュレーションする官民合同演習も実施。政府と企業による定期的な情報交換や、在留邦人に携帯電話のショート・メッセージ・サービス(SMS)を活用し危険情報を発信する取り組みも行う。(共同)