2013年6月19日水曜日

原発新基準 6原発が運転再開申請へ

 原発新基準  6原発が運転再開申請へ

 原子力規制委員会が今日(6/19)、この間見直しを進めてきた原発の新規制基準を正式に決めた。新基準は今後、安倍内閣の閣議決定を経て7月8日に施行され、規制委が各電力会社からの再稼働申請を受け付ける運びになるという。
 これに関するNHKのニュースから、ポイントを整理しておこう。
 
申請を準備している原発
・泊原発1号機から3号機
・大飯原発3、4号機
・高浜原発3、4号機
・伊方原発3号機
・玄海原発3、4号機
・鹿児島県川内原発1、2号機、計6原発12基
 
●これらの原発はいずれも、東京電力福島第一原発とは異なる「加圧水型」と呼ばれるタイプの比較的新しい原発。最終的にいくつの原発が施行後速やかに申請をするのかは流動的。
●申請後の審査について規制委は、「少なくとも半年程度かかる」という見解を示しているほか、運転再開までには自治体の同意も必要で、申請後再開までにどれほどの時間がかかるのかは不透明。
●規制委は、新基準に合わせて原発の運転期間を原則、40年とする制度も導入する予定。電力会社によっては、対策に時間や経費がかかる場合、運転を再開させずに廃炉を選択する可能性も。
 
新規制基準
●これまで電力会社の自主的な取り組みに任されてきた深刻な事故への対策を初めて義務づけるほか、地震や津波の想定をより厳しく評価するよう求めている。
●まず、深刻な事故時の対策拠点として地震や津波、それに放射線に耐えられる「緊急時対策所」や、福島第一原発と同じ「沸騰水型」と呼ばれる原発では放射性物質の大量放出を抑えながら格納容器内の圧力を下げる「フィルターベント」の設置を新たに求めている。
●また、これまでの安全対策の強化も要求し、原子炉の停止などに関わる重要な電気ケーブルを、原則、燃えにくい材質に交換することなど求めていて、これらのを対策は運転再開前に実施しなければならない。
●さらに、航空機による原子炉などへのテロが起きた場合に備えて、外部から燃料を冷やせる装置や、中央制御室の予備の制御室を含む「特定安全施設」と呼ばれる設備を、原子炉から100メートル離れた場所に、5年以内に設置するよう求めている。
 
地震・津波対策
●活断層について、これまでどおり、「12万年から13万年前以降に活動したかどうか」で評価するが、明確に判断できない場合は、「40万年前以降」にさかのぼって評価することを求めている。
●発生の可能性がある最大規模の津波を「基準津波」として想定し、防潮堤の設置や重要な機器がある建物に水が入り込まない対策を求めている。
●さらに、火山の大規模な噴火による火砕流や火山灰の影響や、竜巻による被害なども新たに評価するよう要求。
 
原子力規制委員会は新たな規制基準について、施行されたあとも、随時、改善を続けて「世界最高水準の安全規制を目指す」としている。

運転再開まで
●審査には、原子力規制委員会と事務局を務める原子力規制庁の職員があたり、規制庁では、20人からなる審査のチームを3チーム編成。
●このため、4つ以上の原発が同時に申請された場合には、1つのチームが2つ以上の原発を同時並行で審査する可能性が。
●原子力規制庁の森本英香次長。「審査すべき内容や規制庁の態勢や能力を考えると少なくとも半年程度かかる」→審査は来月から始まったとしてもことし中に終わるのは難しい情勢。
一方で、政府は、規制委が安全性を確認した原発について運転を再開させる方針
●運転再開までには、少なくとも、原発が立地する自治体の同意が必要なほか、規制委員会が「原発の施設の安全と両輪」と例える「防災対策」で、自治体や地域が実効性のある避難などの計画をどこまで策定できるのかも問われる。

安全対策の課題
●6つの原発のうち、緊急時対策所が完成しているのは愛媛県にある伊方原発だけで、残りの5つは、およそ2年後の完成を見込み、代わりの施設で対応する方針。このうち、鹿児島県にある川内原発の1号機2号機では、中央制御室近くの広さおよそ100平方メートルの部屋などで代用する予定。
●規制委は、大飯原発の3号機4号機を巡って、新基準に基づいて安全性を確認する際に、3号機4号機の中央制御室近くの広さ100平方メートル余りの会議室で代用するとした関西電力の計画を認めず、停止中の1号機と2号機の中央制御室と、隣の会議室の合わせて900平方メートルを代用する計画を了承→申請準備を進めている原発でも今後対策の見直しを求められる可能性も。
●津波対策を巡っても、新基準で想定を求められている最大規模の津波、「基準津波」について、大飯原発以外はいずれも「検討中」としている。
●6つの原発のうち、新基準で求められている「防潮堤」が完成しているケースはなく、電力会社は、「基準津波」の想定の妥当性や「防潮堤」がなくても安全が守られることをいかに説明していくのかが問われることに。

運転再開難しい原発
●敦賀原発2号機は、規制委員会が「真下を走る断層は活断層である」と判断し、事業者の日本原子力発電が新たな調査結果を示して規制委員会の判断を覆さない限り2号機は運転ができず廃炉になる可能性が。
●青森県にある東通原発など4つの商業用の原発で活断層の調査を進めるほか、新潟県にある柏崎刈羽原発など3つの原発の断層については、電力会社が自主的な調査などを行っていて、結果によっては、長期間運転できない可能性が。
●また、火災対策も運転再開に向けたハードルの一つで、運転開始が昭和54年より古い原発のうち13基では、2000キロにも及ぶといわれる電気ケーブルで、燃えやすい材質が使われている。→長距離にわたる電気ケーブルの交換は容易ではない。
●古い原発では、40年を超えて運転する場合、原子炉や格納容器などの劣化を詳しく調べて評価する「特別点検」が求められることに。→経営上の判断として、対策に時間や経費がかかる場合、古い原発の運転を再開せずに廃炉を選択する可能性も。
●中国電力の苅田知英社長。「運転再開を目指すのか、廃炉にするのかは、今は判断せず2年後に決めたい」。

廃炉の課題
●廃炉を進めるうえで、原子炉の解体や核のゴミの処分も大きな課題。
●浜岡原発1号機と2号機の場合、準備からすべての作業を終えるまで28年かかる。原発1基を解体すると、国の試算では、50万トンから54万トンのゴミが出るとされている。
●このうち炉心周辺から出る放射能レベルが比較的高いものは200トン前後。これらは地下50メートルから100メートル程度につくられた施設に処分するとされているが、その場所が決まらないまま各地で原発が廃炉になれば、核のゴミがたまり続ける状況に拍車をかけることに。(NHK

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首相が「原発新基準尊重」 自治体理解得て再稼働
【ベルファスト共同】 英国訪問中の安倍晋三首相は18日夜(日本時間19日午前)の記者会見で、原子力規制委員会が19日に決定する原発の新規制基準に適合した原発は、関係自治体の理解を得ながら再稼働していく方針を重ねて表明した。
 「再稼働は安全を最優先にし、専門的判断を尊重して進める。立地自治体の理解と協力が得られるように最大限取り組む」と強調した。
 英国訪問に先立ち、東欧4カ国首脳と原子力や再生可能エネルギー分野での協力深化で合意したことについて「日本の高い技術力に大きな関心が表明された。包括的な協力を進める」と述べ、原発輸出に意欲を示した。
 
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原子力規制を監視する市民の会 より
http://kiseikanshishimin.jimdo.com/

★6/19(水)傍聴を!抗議を!拡散希望!水曜日の規制委の傍聴と抗議行動のよびかけ
【緊急署名】大飯原発は新基準に適合していません!直ちに運転停止を!
・1次集約:6/20(木)22時!
 ネット署名:http://goo.gl/bqUV9
 携帯から:http://fs220.xbit.jp/n362/form1/index.cgi
 紙版の署名用紙:http://greenaction-japan.org/internal/130618_ohi-shomei.pdf

★「原発事故子ども・被災者支援法」をきちんと報道しない・できない大手マスメディアへの激しい抗議を込めて!マスメディアが報道しないなら、市民の手で拡散しましょう!
**UPLANさんの映像を超~緊急文字おこし** ★文字おこし★ページへ
FoEJapan満田さんのスピーチ
【超ー緊急!文字おこし1】テレビ朝日へ抗議を込めて!6.14復興庁前抗議!by原子力規制を監視する市民の会

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福島第1原発:高濃度汚染水を検出 2号機、観測用の井戸から
 東京電力は19日、福島第1原発2号機タービン建屋と海の間に設けた観測用の井戸から、1リットル当たりトリチウム(三重水素)が最高50万ベクレル、ストロンチウム90が同1000ベクレルなど、高濃度の放射性物質を含む汚染水が検出されたと発表した。
 東電は、事故直後の2011年4月に2号機の取水口付近で放射性汚染水が漏れた際、一部が地中に残留していた影響だと説明。海水中の濃度に変化はないとして、新たな海洋汚染の可能性を否定した。東電は3日に異常を認識していたが、発表は16日後に遅れた。

 ストロンチウム90は放出基準の約33倍、トリチウムは8倍以上。東電によると、井戸は2号機東側の海から27メートル地点。放射性物質の海への流出を調べるため設置され、昨年12月には基準値以下だったが、5月24日に採水した2回目の検査で高濃度汚染を確認した。
 東電は、建屋から漏れた可能性について、汚染水が漏れ出ないよう閉じ込めの対策をしており、可能性は低いと説明。放射性セシウムは土壌が吸着しているとした。一方で、完全に海に漏れ出ない構造ではないため、近く護岸付近に薬剤を注入して地盤改良する。
 放射性汚染水の対策で、東電は汚染される前の地下水をくみ上げ、海へ放出する計画を立てているが、地下貯水槽の汚染水漏れなどトラブルが頻発。風評被害を懸念する漁協の反対で計画は進んでいない。(毎日 鳥井真平、河内敏康)