2013年1月12日土曜日

2013年の「保護する責任」? ~フランスがマリに軍事介入

2013年の「保護する責任」? ~フランスがマリに軍事介入

 マリ(西アフリカ)で非常事態宣言が発令され、フランス(オランド社会党政権)が軍事介入した。部の報道(日経)では、フランスはすでに空爆を開始したとも伝えられている。
 マリの「旧宗主国」フランスによる旧植民地に対する軍事介入を主要メディアがどのように報じているか。まずそこから確認していこう。
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マリが全土に非常事態宣言 フランスは軍を派遣 (CNN)
 西アフリカ・マリのトラオレ暫定大統領は11日、同国北部を支配するイスラム武装勢力の脅威に対し、テレビを通して非常事態宣言を出した。これに先立ち、旧宗主国のフランスは同国への軍派遣を発表した。
 フランスのオランド大統領は、マリが北部で「テロリスト」の攻撃にさらされ、国家の存続と国民や同国に滞在する仏国民らの安全が脅かされていると述べた。軍事作戦は「必要な限り続ける」としている。同時に、国連との協議に基づく国際法の枠内での介入だと強調した。

 部隊の規模は公表されていないが、ファビウス仏外相によると作戦には空爆も含まれる。トラオレ大統領も非常事態宣言の発令に際し、フランス軍から空爆を含む支援を受けることを認めた。
 フランスはこれまでアフリカ介入を縮小する方針を示し、マリへの直接介入も否定してきた。今回部隊の派遣に踏み切ったのは、マリ情勢に対する重大な懸念の表れとみられる。
 マリでは昨年3月のクーデター後、国際テロ組織アルカイダ系のイスラム武装勢力が北部を制圧。イスラム法による厳格な支配体制を敷き、国際社会から批判を浴びている。国連安全保障理事会は昨年12月、マリの治安回復に向け、周辺諸国主導の支援部隊による1年間の作戦を認める決定を下した。

仏、西アフリカのマリに軍事介入  イスラム過激派との対立激化 (日経 一部抜粋)
「・・・暫定大統領は軍事介入を受けて記者会見し、マリ全土に非常事態宣言を発令した上で「イスラム過激派に大規模で容赦ない反撃を加える」と語った。暫定大統領は10日、イスラム過激派が、政府の拠点がある同国南部に侵攻するのを食い止めるため、仏政府に軍事支援を要請していた。
 マリ情勢を巡っては、昨年3月にバマコで正規軍の待遇などに不満を持つ兵士が政府転覆を狙ったクーデターを画策。当時の暫定首相を拘束して政府機能がまひした。
 この混乱に乗じて国際テロ組織「アルカイダ」と関連のあるイスラム過激派が北部地域を掌握した経緯がある。事態の悪化を受け、国連安全保障理事会では昨年12月20日、イスラム過激派に対する軍事介入を認める決議を全会一致で採択していた。

 オランド大統領の発表を受け、ナイジェリアなど15カ国で構成する西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は「国連決議に基づく軍隊の派遣を承認した」との声明を公表。ロイター通信によると、マリ国防省報道官はフランスのほか、ナイジェリアとセネガルが軍事介入に加わると説明したが、仏側は「現時点で仏単独でマリ部隊を支援している」(ファビウス外相)という。
 仏政府はマリをイスラム過激派が掌握し、国際テロ組織の拠点になれば、ただでさえ不安定な北・西アフリカ諸国の政情が一段と悪化しかねないと判断。同地域からは原油や鉱物資源も調達しており、歴史的、経済的に結びつきの深い地域情勢の安定を目指す。
 ヘイグ英外相は11日、「フランスの決定を支持する」と表明。ウェスターウェレ独外相は「軍事面だけではなく、政治的な解決を図るべきだ」と述べた。

マリ 旧仏植民地で9割がイスラム教徒
 アフリカ西部に位置する内陸国で、面積は124万平方キロメートルで日本の3倍強。人口は約1550万人で9割をイスラム教徒が占める。フランスの植民地だったが1960年に独立した。公用語はフランス語。在留仏人は約6000人とされる。国内経済は農業が主力で、鉱物資源も豊富。1人当たり国内総生産(GDP)は1000ドル(約8万9千円)前後と貧しい。

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Britain to send aircraft to Mali to assist French fight against rebels Guardian 1/13
"...Britain announced on Saturday night that it was deploying aircraft to assist French military operations against Islamist rebels in Mali as an escalation in hostilities was claimed to have killed more than 120 people. David Cameron's offer to transport foreign troops and equipment involved Britain in a fresh conflict that could provoke terrorist reprisals against European targets. President François Hollande yesterday placed France on high alert as French planes bombarded targets in Mali..."

Mali intervention will put French citizens at risk: Islamists
..."There are consequences, not only for French hostages, but also for all French citizens wherever they find themselves in the Muslim world," Sanda Ould Boumama told Reuters. "We are going to continue resisting and defend ourselves. We are ready to die fighting."...

過激派ら100人超死亡 仏軍空爆のマリ中部
 【ナイロビ共同】西アフリカのマリ中部で11~12日にフランス軍が実施した空爆やイスラム過激派とマリ軍との戦闘で、過激派やマリ軍兵士を含む100人以上が死亡した。ロイター通信が12日、マリ軍当局者や目撃者の話として伝えた。
 地域機構の西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は12日、マリに対する即時の部隊派遣を許可した。ECOWASは兵力3300人の部隊派遣計画を昨年まとめており、ニジェールなどが12日、派兵を表明した。 マリ北部を掌握するイスラム過激派は、数日前から暫定政府の支配地域に南下し、マリ軍との戦闘が激化。

マリ軍事介入で武装勢力阻止=テロ警戒強化も-仏大統領(パリ時事)
  フランスのオランド大統領は12日、仏軍部隊がアフリカ西部マリの政府軍支援のため軍事作戦に着手したことを受けてテレビ演説し、仏部隊の介入がマリ北部からのイスラム武装勢力の進撃を「食い止めるのに役立った」と成果を強調した。 オランド大統領は演説で、仏軍介入は「テロとの戦いが唯一の目的だ」と言明。
 「フランスは友好国の安全以外の権益を守るつもりはない。だからこそ(軍事介入は)全世界から支持され、全アフリカ諸国から歓迎されている」と正当性を訴えた。
 その上で大統領は、マリへの軍事介入や、ソマリアで12日行われた仏情報機関要員救出作戦を受けてイスラム過激派のフランスに対する反発が強まると想定し、テロ警戒を強化すると表明した。公共の建物や交通機関での警戒度を高めるという。
 
仏軍、工作員の救出失敗 ソマリア南部で
 フランス軍は12日未明、ソマリア南部でイスラム過激派組織アルシャバーブに拘束されていたフランス人男性工作員の救出作戦に失敗した。ルドリアン国防相は同日、戦闘で軍兵士1人が死亡したと明らかにした。工作員も殺害されたとみられるとしている。ロイター通信などが伝えた。
 国防相によると、軍兵士1人が新たにアルシャバーブに拘束された。一方、アルシャバーブは、工作員は生存しており、作戦現場とは別の場所に拘束されているとインターネットで発表した。
 フランス軍は救出作戦にヘリコプターを出動。同国国防省はアルシャバーブのメンバー17人を殺害したとしている。工作員は2009年7月、ソマリア軍の訓練のため滞在していた首都モガディシオのホテルから誘拐された。(ナイロビ=共同) 
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「批評する工房のパレット」内の関連ページ

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安保理、マリへの「軍事介入」承認 武装勢力一掃目指す      アフリカ西部のマリ
 アフリカ西部マリの北部地域が武装勢力に制圧され、無政府状態となっていることを受け、国連安全保障理事会は20日、周辺国の部隊派遣を認める決議案を全会一致で採択した。武装勢力の一掃を目指す。
 決議は、マリの旧宗主国のフランスが案をつくり、採択まで議論を主導した。軍事力による強制措置を定めた国連憲章第7章下の行動だと明記したうえで、「マリの治安、安定を保障するため、全土にわたってマリ軍を配置することが重要だ」と強調。国連加盟国や国際組織に、マリ軍兵士の訓練などを求めている。「軍事介入」は来年9月以降の見通しだ。
 また、ナイジェリアやニジェールなど周辺国の部隊で構成するアフリカ国際マリ支援部隊(AFISMA)に対し、今後1年、マリ国内での展開を許可。マリ全土の主権・領土回復に向け、軍事力行使も含む「全ての必要な措置」を国際人道法・人権法に従って講じることを認めた。ロイター通信などによるとAFISMAには計3300人が加わる見通しだ。 (朝日 ニューヨーク=春日芳晃、ナイロビ=杉山正 2012, 12/20)

西アフリカのマリ、反政府勢力MNLAが北部独立を宣言(AFP  2012, 4/6)
「・・・西アフリカ・マリで6日、同国北部を掌握したトゥアレグ(Tuareg)人反政府勢力「アザワド解放民族運動(National Movement for the Liberation of Azawad、MNLA)」が北部の独立を宣言した。西アフリカ随一の民主国家とうたわれた同国だが、先月22日に起きたクーデター以降、深刻な人道問題が懸念されている。
 MNLAは6日午前、数十年にわたり反政府闘争を続けてきた同グループが「アザワド(Azawad)」と呼ぶマリ北部の独立を宣言。MNLAの報道官は仏ニュース専門テレビ局「フランス24(Francem
24)」に「我々は本日をもってアザワドの独立を宣言する」と述べて、同団体のウェブサイトに掲載された声明を事実と認めた。また、同報道官はMNLAは周辺国との国境を尊重し、すべての軍事行動を停止すると語った。
 クーデターの発生から2週間が経過したマリは現在、反乱軍が支配する南部と反政府勢力が支配する北部とに分断されており、各国は対応策の模索に追われている・・・」

National Movement for the Liberation of Azawad、MNLA

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