2013年1月11日金曜日

『福島と生きる』メールマガジン第3号――息長く〈福島〉とつながり続けるために――

『福島と生きる』メールマガジン第3号
――息長く〈福島〉とつながり続けるために――

2013年1月11日発行(不定期刊)

ー目次―
◆イベント情報
◆ニュースクリップ
◆『福島と生きる』レビュー紹介

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◆イベント情報(イベント情報は変更されることもあります。必ず主催者サイトでご確認下さい)

1. 1月16日(水)13:00~17:00(予定)(参議院議員会館B107)
  「原子力災害対策指針(防災指針)に関する規制庁交渉
  ※原子力規制委員会は、福島事故の避難政策の検証もなく、避難基準を年20mSvとし、防災範囲を30kmに限定しようとしています。これを年明け早々に決め、原発立地周辺の自治体に防災計画の策定を急がせている状況です。この撤回を求める政府交渉です。
  ※主催:FoE Japanほか 詳細→イベントサイト http://www.foejapan.org/energy/evt/130116.html

2.1月20日(日)13:30-17:00(東京・立教大学池袋キャンパス マキムホール(15号館)M202教室)
  「公開討論会 原発事故・放射能汚染と農業・農村の復興の道
  ※『福島と生きる』共著者の一人、菅野正寿さん(福島県有機農業ネットワーク)のほか、小出裕章さんも登場。
  ※主催:日本有機農業技術会議
  詳細→イベントサイト  http://www.commonsonline.co.jp/column-event.html

3.1月21日(月)18:30-21:00(東京・四谷地域センター)
  「原発事故子ども・被災者支援に必要な施策を考える
  ※FoE Japanの渡辺瑛莉さんがパネリストの一人として参加。
  ※主催:ソーシャル・ジャスティス基金
  詳細→イベントサイト  http://www.foejapan.org/energy/evt/130121.html

4.2月1日(金)19:00~21:00
  「作家・柳美里X南相馬ひばりFM・今野聡――小さなラジオ局の伝える小さな声
  ※主催:JVC  詳細→イベントサイト
 http://www.ngo-jvc.net/jp/event/event2013/02/20130201-minamisouma.html#more

5.2月3日(日)ー7日(木)(郡山・福島・会津若松・いわき・田村)
  「李政美(い・じょんみ)福島コンサートツアー
  ※「原発いらない福島の女たち」が受け入れの中心です。
  詳細→李政美さんの公式ウェブサイトでご確認ください。(近日中に掲載予定)

◆イベント追加情報(1/12)

1.  1月 21日 (月)(米沢市)
  「健康相談会
  ※橋本俊彦(鍼灸師・快医学)さん、小林恒司(心療内科医師)による健康相談会。詳しい時間と場所は未定。
  ※主催:NPO法人ライフケア   詳細→NPO法人ライフケア・スケジュールサイト 

2. 1月22日 (火) 15:00―(須賀川市・自然食レストラン「銀河のほとり」)
  「健康相談会
  ※橋本俊彦(鍼灸師・快医学)さん、小林恒司(心療内科医師)による健康相談会。
  ※主催:NPO法人ライフケア   詳細→NPO法人ライフケア・スケジュールサイト 

3.1月22日(火)11:30-13:30(東京・参議院議員会館101会議室)
  「原発事故子ども・被災者支援法に基づく施策の早期実現を求める院内集会
  ※支援法ネットワークからの問題提起、被害者・被災自治体・支援者等からの要望を国会議員に伝えます。
  ※主催:原発事故子ども・被災者支援法ネットワーク  詳細→イベントサイト 

4.1月25日(土)-26日(日)(静岡県島田市)
  「放射線からいのちを守るセルフケア 2日 快医学講座
  ※ 講師:橋本俊彦(NPO法人ライフケア代表)
  詳細→NPO法人ライフケア・スケジュールサイト 

5.1月26日(日)16:00-20:40(福島市・フォーラム福島)
  「イメージ. フクシマ IN福島 『フタバから遠く離れて』上映会
  ※16:00〜17:40 リバイバル上映『百万人の大合唱』
   18:00〜19:36 『フタバから遠く離れて』
   19:40〜20:40 ゲストトーク:舩橋淳監督×井戸川克隆町長
  ※主催:イメージ福島  詳細→イベントサイト 

6.1月31日(木)13:30-17:00(京都市・東本願寺視聴覚ホール)
  「真宗大谷派 第6回 原子力問題に関する公開研修会――いのちのつながりの回復をねがって」(誰でも参加できます)
  ※講演と発題・対談
  ※主催:真宗大谷派(東本願寺)解放運動推進本部  詳細→http://2011shinsai.info/node/3401

◆ニュースクリップ
1.大熊町民「納得いかない」 若松で環境省、中間貯蔵施設現地調査へ説明会  福島民報、2013年 1月9日
 中間貯蔵施設の建設候補地での現地調査に向けた環境省の説明会が8日、大熊町の該当行政区の住民を対象に会津若松市で開かれ、町民からは「納得いく説明ではなかった」と不満の声が相次いだ。 (略)
 「適さなかったら町外に候補地を移すのか」「われわれが同意しなければ建設しないのか」などの住民の質問に対し、環境省の藤塚哲朗中間貯蔵施設チーム長は「まずは調査をさせてほしい」と述べるにとどまった。
 住民からは補償や最終処分場の見通しを先に示すべきとの指摘も。これに対し、「何とか除染を進めたいとの思いがあり、お願いするしかない。一刻も早く青写真を示したく、全ては調査を終えてから」と理解を求めた。
 30年以内の県外での最終処分については「減容化などの技術進展によるところが大きく、研究開発に力を尽くしたい」と述べた。 町内でコメと野菜の有機栽培を行っていた渡部隆繁さん(63)は「具体的な住所や代替地などの話があると思ったが、全くなかった」と憤った。 自宅が搬入路の288号国道沿いという鈴木八洲男さん(65)は「いつ帰れるのか知りたかったが、答えはなかった。この手の説明会はいつも知りたいことを説明してもらえない」と話した。 (後略)

2.先行除染も手抜き 福島第一原発周辺の作業員証言  朝日新聞、2013年1月7日
 東京電力福島第一原発周辺の除染現場で働く作業員の交流会が6日、福島県郡山市であった。複数の参加者が朝日新聞の取材に対して、建物や道路から20メートル内の本格除染に先駆けて作業拠点となる役場などで実施した先行除染でも、回収しなければならない枝葉や水を捨てる「手抜き除染」をしていたと証言した。
 楢葉町で昨夏、先行除染をした作業員は「1次下請けの監督から『まじめにやってくれているのはいいけど、向こうに捨ててもいいんじゃないの』と言われ、枝葉を川に捨てた」と証言。葛尾村で先行除染をした作業員は「7月ごろ建物を洗浄した水をそのまま流していた。環境省の職員が来る日だけやらないように指示された」と語った。
 交流会は労働組合や弁護士らでつくる支援団体「被ばく労働を考えるネットワーク」などが主催。約20人の作業員が参加し、特殊勤務手当(危険手当)が適正に支給されていないことについて環境省に改善を求める方針を決めた。

3.被災者に目を向けず 議場目の前 代表団、仮設住宅素通り  東京新聞、2012年12月18日
 政府と国際原子力機関(IAEA)が開いた福島閣僚会議では、原発の過酷事故を防ぐための技術的、制度的な議論が繰り広げられた。だが原発事故の被災地・福島での国際会議にもかかわらず、十六万人の住民避難が続く「福島の今」に目を向けた議論は乏しかった。
 政府は会議に先立ち、各国代表団向けに東京電力福島第一原発や除染現場の視察ツアーを組むなど、収束作業の進展をアピールした。こうした取り組みは代表団からも「政府、東電の透明性に感謝したい」(アイルランド閣僚)などと好評だった。

 しかし会場となったイベント施設の外に目を向ければ、道路を挟んだすぐ近くに、福島県川内村と富岡町の約六百人が暮らす仮設住宅がある。代表団を乗せた大型バスは毎日、仮設住宅の前を通り過ぎるだけだった。 糖尿病を患いながら避難生活を送る女性(79)は「世界中から大臣が来ているらしいけど、ここには誰も来ない」と話した。会議は原発推進を前提に進んだ。 (後略)

◆『福島と生きる』レビュー紹介
 Amazonに2本のレビューが載りました!お二人に感謝です!
① ‘市民派’で生きる! ( 2013/1/7)
By ユウ
 本書は、震災後の福島において活動する草の根の市民活動家や著名な国際協力NGO(シャプラニール・JVC・FoE Japan)にスポットを当て、政府ではなくあくまで市民(住民)目線にこだわった形での‘復興’の現状と課題についてまとめてある。現地住民でもあり、草の根で活動している人々の声を収録していることもさることながら、日本国内で主に活動しているNPOではなく、あえて国際的な活動を本来の任務としている国際NGOにスポットを当て、これら国際的機関が果たすべき役割について検討している点が斬新で面白い。
 本書の後半に収録されているNGO共同討論の章は、実際に福島に関わり続けている上記NGOの関係者による対談が行われており、避難住民と受け入れ先住民との軋轢など現場の生の実態を多少なりとも知ることができる。

 勿論本書によって福島の実態すべてが把握できるわけではない。どの人もその全体像を完璧に把握することは不可能である。本書においてもシニカルな見方をすれば、熱心な一部の活動家の声の寄せ集めに過ぎず、またNGOについても各々の活動の報告と反省会にとどまり、‘対話’を避けているようにも見える。また本書が書店で置かれているコーナーに行けば、他にも一貫して科学的・経済的観点から、福島の復興や原発の是非を論じている著書が多数存在する。
 私は、それら書籍が各々の体験やまた様々な根拠に基づいて書かれている限りにおいて、それぞれ一定の現実を物語っているのだと思う。本書もそのうちの一つであるし、科学・経済的観点から述べた著書も同じく一つである。
 しかしながら客観的に見て、やはり多くの人々は科学・経済的観点を重視し、いつしかその当事者である被害者(この認識さえ一様ではない)の‘生の’声は、忘れ去られ捨象される傾向がある。現政権もいつしか原発再稼働に舵をきっている。その意味で、本書はそれら時代の趨勢に対するアンチテーゼとして、あくまで‘市民派’にこだわるその姿勢は一読に値するであろうし、また得るものもあると思われる。
 この書を是非、買おうと思わない・そもそも見向きもしない人にこそ読んでもらいたい。

②なぜ国際協力NGOが福島で活動したのか―「当事者」としての、挑戦の記録 (2012/12/30)
By 西島香織
 この本の特徴は、国際NGOで福島に取り組む方と、福島出身で実際に活動をされている方々からの原稿を集約したものであるということ。誰かの作った「ストーリー」ではなく、現場の人の心を、限りなく近く感じることができます。 
 地域や考え方の「分断」を生み出した放射能汚染、避難生活に対して、いかなる決断をした人も安心して暮らすことのできるような支援は必要だ――多くの海外支援NGOが、初めて日本において活動を開始した根拠には、このような合意がありました。しかしその結論に至るまでに、様々な葛藤があったと書かれています。

 「分断」「支援」「復興」、これらとどのように、向き合えばよいのか。真剣に向き合ってきた市民活動家の記録が書かれています。
 支援としてだけではなく、自分自身の問題として、これまでの活動をある種、内省的に見つめなおすきっかけとなった福島。 当事者として、ふくしまとともに社会を考えることが必要だということを教えてくれる書籍です。 個人としての生き方と、社会に対して何をすべきかということ、この両方を、「福島とともに」という言葉にのせている、タイトルも素晴らしい。

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『福島と生きる』メールマガジン第3号
2013年1月11日日発行
※『福島と生きる』メールマガジンは、『福島と生きる--国際NGOと市民運動の新たな挑戦』の共同執筆者の団体や活動の関連情報を発信していきます。

発行人=中野憲志・藤岡美恵子
(『福島と生きる--国際NGOと市民運動の新たな挑戦』共編者)