2011年11月5日土曜日

で、私たちは東電をどうするのか?(3)

で、私たちは東電をどうするのか?

 東電に対する野田政権の基本姿勢は、はっきりしている。
①東電を、公的資金を投入しながら、救済する、
②東電が「原子力事業」を継続することを承認する、
③資金投入分は、消費税導入・増税・電気料金値上げによって回収・補填する。

 私は、税金を投入し、東電を救済することに反対である。また、東電が柏崎刈羽を含め原子力事業を継続することにも反対である。被災者・被曝者の賠償・補償に税金が投入されることは、やむなしとする者だが、そのためには最低上の二点と、今回の原発災害に対する政府・東電・自治体の行政的・法的な責任を明確にする、ということが条件になる。
1、福島第一原発の5、6号機と第二原発の廃炉を正式に決定し、
2、東電から原子力事業を切り離し、柏崎を国の管轄下に置き、その将来的処遇は「広域的住民投票」で決定する、
3、賠償・補償については東電に「無限責任」を課すことを基本とし、「電力自由化」を経て東電が倒産するなら国=税金で補填する、という考え方えである。
 私個人は「電力自由化」そのもには、さして関心を持たないが、上の1から3を方針化しないから「自由化」も進行しないのである。 
 さて、読者は東電をどうすべきだと考えるだろう。
 原子力事業をかかえたままの東電の救済を支持するだろうか?

⇒「福島第一原発は「止まった」か?」更新

「批評する工房のパレット」内関連ページ
⇒「福島原発大災害の賠償/補償と政府-自治体・東電の責任-- ①で、私たちは東電をどうするのか?」(4/5)
⇒「で、私たちは東電をどうするのか?(2)」(5/15)

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東電援助、8900億円決定 経産相、事業計画認める
 野田政権は4日、東京電力による福島第一原子力発電所の事故の賠償を円滑に進めるために作った「緊急特別事業計画」を認めた。東電が政府に8900億円の援助を求め、年度内に5900億円のリストラをすることなどが柱。電気料金の値上げは今回の計画に盛り込まず、来春以降につくる総合特別事業計画で検討する。

 計画は、東電と原子力損害賠償支援機構が共同で作り、10月28日に政府へ提出。本格的な賠償を進めるにあたり適切な内容かどうかを経済産業省などが確認していた。政府は4日午前、「電力改革及び東京電力に関する閣僚会合」の初会合を開き、機構担当の枝野幸男経産相が計画認定を決めた。
 枝野氏は、閣議後の記者会見で、「国民のお金を一時的とはいえ預かる責任を十分踏まえ、徹底した合理化をするよう(東電や機構に)伝えた」と述べた。
 東電は今回の計画で、当面の賠償に必要な金額を約1兆円と見積もった。政府の保険制度で1200億円を受けとれるため、差額の8900億円を当面の賠償資金として援助を要請。東電が将来的に返していく。 (朝日)

東電歴代役員に1兆円賠償求める 一部株主が代表訴訟へ
 福島原発事故で東京電力が巨額の損失を出したのは、経営陣が津波や地震への安全対策を怠ったためだとして、一部の株主が歴代役員に計約1兆1千億円の賠償を求める株主代表訴訟を起こす方針を固めたことが4日、関係者への取材で分かった。
 関係者によると、訴訟を起こすのは脱原発を求める株主ら約30人。東電が8月に発表した原発事故の損失見込み額約1兆1千億円を賠償するよう、勝俣会長ら過去20年の役員約60人に求める。請求額は増える可能性がある。 11月中に東電の監査役に訴訟を起こすよう求めるが、応じない可能性が高い。60日以内に応じなかった場合、株主代表訴訟に移行する。 【共同通信】
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 私はこの要求を当然のことだと考えている。全面的に支持する。

東電:終身年金3割カット 10年で経費削減2.5兆円超
 東京電力と原子力損害賠償支援機構が策定した「緊急特別事業計画」(仮称)の全容が27日、明らかになった。福島第1原発の賠償資金を捻出するため、退職者も含めて企業年金を見直し、80歳以上に支払う「終身年金」の給付額を3割カットするなど経営合理化を徹底。今後10年間で総額2兆5000億円超の経費を削減し、新たに約5800億円の資金援助を政府に申請する。

 東電と支援機構は計画を月内に枝野幸男経済産業相に提出し、11月上旬の認定を目指す。認定後に政府から賠償資金の援助を受け、合理化による資金と合わせて原発事故の被害者救済を急ぐ。
 2013年3月末までに約4兆5000億円と試算される賠償費用のうち、当面の必要額は政府援助約5800億円と原子力損害賠償法に基づき申請した政府補償分1200億円を合わせた約7000億円で賄う。対象とする賠償期間は、原子炉をより安定的に冷却し冷温停止状態に持ち込む「ステップ2」の終了までを目安とする。

 経営合理化では、11年度内に約2400億円の経費を削減。年金見直しでは、65歳以上80歳未満に支払う「有期年金」も、会社が保証する運用利回りを最低2・0%から1・5%に引き下げ、削減効果を10年間で総額1000億円超と見込む。見直しには労働組合の同意や、退職者の3分の2以上の同意が必要となる。
 合理化の具体的なペースや達成期限、手順などを明示する「工程表」を策定。東電と支援機構の首脳や実務者レベルの作業部会を設置し、工程表の進捗(しんちょく)状況を確認する。
 東電と被害者の賠償交渉が難航して訴訟に発展する事態を避けるため、東電が「原子力損害賠償紛争解決センター」の和解仲介案を尊重することを明記。センターに実質的な強制力を持たせる。(毎日)
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 読者は、これで十分と考えるだろうか?

三菱重、トルコ原発に意欲 仏アレバと共同参入を示唆
 トルコ英字紙ヒュリエト・デーリー・ニューズ(電子版)は4日までに、同国の黒海沿岸シノップの原子力発電所建設計画について、三菱重工業の有原正彦執行役員が「計画への参画に関心を抱いている」と述べ、受注に向けた意欲を示したと伝えた。
 同紙によると、有原氏は、フランス原子力大手アレバと共同で受注を目指す可能性を示した。また、三菱重工が手掛ける加圧水型(PWR)原子炉を運用する関西電力が、運営主体として参入する可能性にも言及したという。【カイロ共同】

原発地元に匿名寄付500億円 福井、大半は電力業界か
 全国最多の原発15基(1基は解体中)を抱える福井県と県内立地4市町に、匿名を希望する大口寄付が2010年度までに少なくとも計502億円寄せられていたことが、自治体への情報公開請求などでわかった。朝日新聞の今回の取材で、約3割の150億円は、同県内に原発をもつ関西電力など電力事業者からと特定できた。
 自治体関係者は「電力事業者以外に大口寄付はほぼない」と語っており、残りも電力業界からの可能性がある。福井県と原発近くの県内市町には1974~2009年度に、電気利用者が払う電気料金を原資とした「電源三法交付金」が国を通して計3245億円交付されているが、ほかにも巨額の金が利用者に見えない形で地元に入っていた。
 判明した匿名寄付は、福井県・計197億5千万円(92~10年度)▽敦賀市・計133億1千万円(69~10年度)▽おおい町・計102億4千万円(81~10年度)▽高浜町・計13億4千万円(80~10年度)▽美浜町・計55億3千万円(91~10年度)。千万円以上を計上し、電力事業者からと判明した匿名寄付は小口分も含めた。
(朝日)

原発事故自主避難の411世帯、東電に賠償請求
 東京電力福島第一原発事故を受け、政府が指定した避難対象区域外から自主的に避難した福島県内の住民らが(8月)12日、東電に転居費用や慰謝料など計約11億7000万円の賠償を求める請求書を提出した。
 支援団体によると、請求したのは、すでに自主避難したり自主避難を検討したりしている同県や宮城、茨城両県などの計411世帯。
 政府の原子力損害賠償紛争審査会が今月5日に決定した中間指針では、自主避難した住民は賠償の対象に盛り込まれず、今後も議論されることになった。
 請求書と同時に提出した要請書で、住民らは「現状では、自主的に避難した住民は賠償などを得られる保証がない。東電は責任を持って自主避難者への賠償を明言するべきだ」と訴えた。これに対し、東電は「紛争審査会の検討を待ちたい」と回答したという。(2011年8月12日 読売)

⇒「11/5 避難の権利集会 in 東京 ~自主的避難に賠償を!~
1.「自主的」避難と東電賠償~原子力損害賠償紛争審査会の最新の議論より
2.区域外の福島で、生じていること~渡利問題の今
3.自主避難者の訴え
4.渡利からのアピール