2011年11月18日金曜日

政府・東電は「冷温停止」前倒し宣言を撤回し、謝罪すべきである(2)

11/20
福島第1原発:3号機で毎時1600ミリシーベルトを計測
 東京電力は20日、福島第1原発3号機の原子炉建屋1階で毎時約1600ミリシーベルトの放射線量を計測したと発表した。3号機では最も高い。14日にも付近で毎時1300ミリシーベルトが検出されていた。原子炉格納容器内から漏れたとみられる少量の水のふき取り作業とともに再計測した。ロボットによるふき取り作業は難航しているという。【毎日・奥山智己】

福島原発2号機は揺れで損傷か 専門家が解析
 東京電力福島第1原発2号機で、原子炉格納容器下部の圧力抑制プールが地震の揺れで早期に損傷したか、劣化した可能性が高いとする解析結果を19日までに、原子力安全の専門家がまとめた。
 東電は、地震による原子炉の明らかな損傷はなく、津波による電源喪失が事故原因との立場。揺れで損傷していれば、福島第1と同様に従来の耐震基準が適用されている他の原発への影響も必至だ。東電や政府の事故調査・検証委員会の調査結果が注目される。
 解析したのは日本原子力研究開発機構の元研究者で、社会技術システム安全研究所(茨城県ひたちなか市)の田辺文也所長。(共同)
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 「年内達成ありきで冷温停止判断がなされてはならない」・・・。
 その通りだと私は思うし、読者も異論はないだろう。
 しかし、細野原発担当相(つまり、野田政権)はそう語りながら、「冷温停止」前倒し宣言がすでに破たんしていることを認めようとしない。 そればかりか、いまだに「冷温停止」→「ステップ2の年内達成」が「可能と考えている」と述べているらしい。

 一方、東電の相沢善吾副社長は、昨日の記者会見で「謝罪」したという。

 が、相澤副社長(=東電)は、いったい何を謝罪したのか?
 昨夜遅く帰国し、時差ぼけ頭に悩まされている人間には、まったくわからない。
 相沢副社長と言えば、本ブログの読者には、原子力委員会の「新大綱策定会議」(第6回)での「福島第一原発は止まった」発言でおなじみの人であるが、何がどうなっているのか。
 まずは、「政府・東電は「冷温停止」前倒し宣言を撤回し、謝罪すべきである」(11/6)以降の状況をじっくり把握することから始めよう。


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年内の冷温停止に自信 細野担当相が福島第1原発の工程表改定で
 福島第1原発事故で、政府と東京電力の統合対策室は17日、事故収束に向けた工程表の改定版を公表した。放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられているとの見方を示した。
 1-3号機の原子炉圧力容器底部の温度は全て70度を下回って安定しているが、会見した細野豪志原発事故担当相は、原子炉の「冷温停止」を最大目標とする工程表「ステップ2」の達成宣言には踏み込まず、「ステップ2の年内達成は可能と考えている」(???)と述べるにとどめた。

 改訂版では、格納容器から新たに放出されている放射性物質の量は毎時0・6億ベクレルと、先月の同約1億ベクレルからさらに減少していると報告。これによる敷地境界での年間被ばく量は約0・1ミリシーベルトと、目標値(1ミリシーベルト)を大幅に下回っているとした。  また、圧力容器底部の温度は、1号機37度、2号機69度、3号機59度と100度以下で安定、損傷した核燃料が容器内に漏れだしていたとしても、十分に冷却されて蒸気発生が抑えられ、格納容器からの放射性物質の放出の危険も無いとの認識を示した。
 ただ、細野担当相は「年内達成ありきで冷温停止判断がなされてはならない」と慎重姿勢を強調。循環注水冷却システムの安定運転が確保されていることなどを評価したうえで「冷温停止宣言」をし、年内の「ステップ2」完了につなげる考えを示した。(産経)

「冷温停止」先送り 「避難域解除方針出ず、宣言できないのが実情」か
 17日に改訂された福島第1原発の事故収束に向けた工程表で、年内の最大目標である「冷温停止状態」の宣言は見送られた。冷温停止は避難区域の解除の前提でもあり、宣言を待ち望む人は多い。すでに1~3号機とも、9月末には冷温停止状態の条件を達成した(?)が、なぜ宣言が行われないのか。
 矛盾する説明に、民主党政権が重視する「政治主導」が垣間見える。(原子力取材班)
■あとは何が必要?
 「故障や地震などが発生しても現状を維持できるか慎重に評価している(?)ところだ」。細野豪志原発事故担当相は記者会見でそう述べ、冷温停止状態の宣言はしなかった。
 しかし、冷却装置などのバックアップ体制は強化されている。東京電力が示した工程表ステップ2以降の「施設運営計画」についても、原子力安全・保安院は「妥当」と評価する。政府や東電の従前の説明に照らすと、今回宣言を見送った理由は見当たらない。
■矛盾する説明
 政府・東電の説明には矛盾もある。2号機では11月2日、原子炉から放射性キセノンが検出され、核分裂が連鎖する臨界の可能性が浮上した。結果的に否定されたが、原子炉の状況が、今も把握できていないことが浮き彫りとなった。
 2号機に設置された「ガス管理システム」により判明した事実だが、1、3号機にはまだ設置されていない。東電は設置を急いでいるものの「冷温停止の判断には関連しない」(東電)(???)としている。臨界の有無など原子炉の状況把握につながる装置の完成を待たずに冷温停止宣言に持ち込む構えは、「慎重判断」の姿勢とは対照的だ。
■パフォーマンス
 こうした対応について、政府・東電統合対策室のある幹部は「冷温停止宣言はいつでも出せるが、それとセットの避難区域解除の方針がまだ決まっておらず、宣言したくてもできないのが実情」と明かす。
 だが、冷温停止の「年内達成」は是が非でも実現させたいのが政府の本音。年内の設置が間に合いそうにないガス管理システムを、冷温停止の条件に加えないのもそのためとも取れる。
 エネルギー総合工学研究所・原子力工学センターの内藤正則部長は「冷温停止の判断は周辺住民の安心・安全にも関わり、技術的に判断すべきこと。政治パフォーマンスで決められたら、たまったものではない」と話している。(産経)

福島第1原発:3号機北東側で1300ミリシーベルト
 東京電力は(11月)16日、福島第1原発3号機の原子炉建屋1階の北東側で、毎時約1300ミリシーベルトの放射線量を計測したと発表した。3号機の原子炉建屋内で計測された中で最も高い
 14日、格納容器入り口にあるコンクリート製扉を動かすレールにたまった水をロボットがふきとった際、床面から高さ10~20センチで検出された。ロボットは、格納容器内の気体を浄化して外部に放出する「ガス管理システム」の取り付け作業の準備で投入した。松本純一原子力・立地本部長代理は「事故で格納容器内の圧力が高くなって、放射性物質が漏えいした可能性がある」と語った。
 1号機の原子炉建屋では8月に毎時5000ミリシーベルト超が計測されている。【毎日・久野華代】

福島2、3号機の手順書公開 長時間無電源に対応不能
 経済産業省原子力安全・保安院は16日、東京電力福島第1原発2号機と3号機の事故時運転操作手順書を公開した。10月の1号機に続き、個人名を除いて黒塗りの部分はほとんどなかった。
 公開したのは、原子炉停止や全電源喪失時の対応など今回の事故に直接関係する部分で、全体の約1割。手順書と実際の対応を比較した東電の資料も公開した。
 1号機と同様に、長期間の電源喪失を想定せず、今回のような事故には対応できない内容。保安院は「今後の事故調査の中で、専門家の意見も聞きながら分析する」としている。【共同通信】

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大飯4号機の安全評価提出 関西電力、全国3例目
 関西電力は17日、定期検査で停止中の大飯原発4号機(福井県おおい町)について、再稼働の前提となる「安全評価」の1次評価結果を、経済産業省原子力安全・保安院に提出した。関電の大飯3号機、四国電力伊方3号機に次ぎ、全国で3例目。
 関電は10月、大飯3号機について、想定する揺れの強さ(700ガル)の1・8倍、津波は想定の4倍の11・4メートルまでは核燃料が損傷せずに耐えられる(?)との1次評価結果を提出。構造がほぼ同じ4号機についても、評価を進めていた。 【共同通信】

福島第一、タンクの森 増える汚染水を保管
 東京電力福島第一原発の敷地内で、森林を伐採して放射能汚染水をためるタンクの設置が進められている。17日現在で容量は11万トンを超えた。上空から見ると、青色や灰色のタンクがずらりと並ぶ。汚染水は増える一方で、東電はタンクの増設に追われている。
 原子炉を冷やした水や地下水が建屋地下に流れ込み汚染水としてたまり続けている。東電は汚染水を浄化処理などしてタンクにためている。タンク置き場は、かつては「野鳥の森」と呼ばれた敷地内の森林。東京ドームの8倍もの広さに相当する37万平方メートルを切り開いてつくった。
 タンクの容量の8割にあたる約9万トンにすでに汚染水が入れられた。現時点で1~4号機の建屋地下に約8万トン残っている。東電はたまった汚染水を浄化処理して減らし、年内にゼロにする計画だった。しかし、地下水などの流入が予想外に多く、実現のめどは立っていない。

環境省:送られた汚染土壌、職員が空き地に投棄…自宅近く
 細野豪志環境相は17日会見し、福島市内で採取されたとみられる放射性物質を含む土壌が今月、環境省に2度送りつけられ、そのうち1回分の土壌を同省職員が埼玉県内の空き地に投棄していたことを明らかにした。細野氏は「除染の役割を担っている環境省として決してあってはならないこと。国民に深くおわび申し上げる」と謝罪した。
 同省によると8日午前9時ごろ、A4コピー用紙入りの箱よりも一回り小さい段ボール箱が送られてきた。中にはビニール袋入りの土と「福島市の自宅で採取した土で、環境省で保管、処分してほしい」という趣旨の手紙が添えられ、送り主の記載もあった。手紙には自宅周辺の放射線量のデータも記載されていたという。 放射線量は、0.8メートル離れた時点で1時間当たり0.18マイクロシーベルト、ビニール袋の外側で0.6マイクロシーベルト。放射性物質濃度は推定で1キロ当たり約4000ベクレルだった。

 この土壌の処分法を検討する過程で、官房総務課長が「送ってくる住民の気持ちは分かる。線量は低いので、千葉県柏市の自宅の庭で処分しようか」と話したため、同課職員が12日に埼玉県内の自宅に持ち帰り、翌日、近くの空き地にすてたという。  16日にも、同一人物と思われる送り主から前回より小さい箱が送られてきたため細野氏ら同省幹部に報告、不適切な処分が発覚した。この箱は品名欄に「灰」と書かれており、開封せずに線量を測定した結果、前回と同程度だった。
 細野環境相は、「何人も汚染土壌をみだりに投棄してはならない」と定めた福島第1原発事故による放射性物質汚染の対処に係わる特別措置法(来年1月施行)に違反する可能性があり、極めて不適切として、官房総務課長を異動させるなど、関係職員の処分を検討、自身の監督責任も検討中としている。【毎日・江口一、藤野基文】

九電原発再稼働「認めない」 枝野氏、経営姿勢を問題視
 枝野幸男経済産業相は17日の参院予算委員会で、九州電力が経営姿勢を改めない限り原発を再稼働させない考えを明らかにした。社民党の福島瑞穂党首の質問に、「自ら委託した第三者委員会の報告書を受け止めず、メンバーとトラブルになっているガバナンス(企業統治)の状況では、到底(原発の)再稼働を認めることができる会社ではない」と答えた。
 枝野氏はこれまで、記者会見などで「やらせメール」問題をめぐる九電の対応を批判してきたが、国会で批判するのは初めて。枝野氏は真部利応社長の続投方針などに不快感を繰り返し示しており、事実上、第三者委の見解を受け入れた上で、経営陣を刷新してガバナンスを見直すよう求めたものと見られる。
 また、福島氏が「傲岸不遜(ごうがんふそん)な九電の態度を見ていると(電力会社の)地域独占が問題だと思う」と指摘したのに対し、枝野氏は「九電に対する評価は全く同感だ」と応じた。

 第三者委の委員長を務めた郷原信郎弁護士ら3人の元委員もこの日、福岡市内で記者会見を開き、九電のトップが暴走しているとして経産省が適切に指導、監督するよう要望した。郷原氏は、真部氏は第三者委の見解を受け入れず、細部の反論にこだわっているとして「自分たちの組織を変えるつもりがなく、原発を運営する事業者として信頼は得られない」と述べた。 (朝日)

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馬毛島の開発許可取り消し検討 鹿児島県知事
 鹿児島県の伊藤祐一郎知事は18日の定例記者会見で、西之表市馬毛島の開発をめぐり県の現地調査を拒否しているタストン・エアポート(東京)に対し、開発許可の取り消しを検討する意向を明らかにした。「調査拒否は許可条件に違反する」としている。
 馬毛島は米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の移転候補地で、同社が島の大半を所有している。滑走路整備に無許可開発の疑いなどがあり、県は2回にわたって現地調査の実施を要請したが、拒否されている。  伊藤知事は「一般的に、調査をさせてもらえないなら開発許可もストップになる。その手順をどうするか、丁寧に考えていきたい」と述べた。 (南日本新聞)
⇒「馬毛島の軍事施設化を許さない屋久島の会
⇒「特集 米軍移転計画」(南日本新聞)

与那国「民意」二分 陸自説明会紛糾
 夜の公民館に怒号が飛び交った。「誘致ありきじゃないか」「町民無視だ」―。
 17日、与那国島への自衛隊部隊配備について防衛省と与那国町が開いた住民説明会。賛成派を上回る町民556人の署名を集め、誘致は町民全体で合意されていないとする反対派町民に対し、2009年の町長選で民意は示されたとする外間守吉町長の主張は平行線。島内を二分したまま、配備が着々と進み島民の反発と危機感が強まっている。(又吉嘉例)

 説明会冒頭。反対派町民でつくる与那国改革会議の崎原正吉議長が、防衛省職員の紹介を制し「町民全体の議論がなされていない。町民の合意を基に、防衛省が説明するのが筋だ」と発言。「どうして誘致か、町長が説明会を持て」「誘致反対の署名数をどう受け止めるのか」と続いた。
 外間町長は「誘致について町長選と別に民意を問うつもりだったが、皆さん(反対派)が争点にして私が当選した。すでに民意は出ている。町として説明することは何もない」と拒否。
 与党多数の町議会9月定例会で、自衛隊誘致活動の中止を求める要請決議案が否決されたことも挙げ「(否決は)誘致に向けて頑張ってくれ、という意思表示だ」と述べた。

 反対派町民は「防衛省の説明を受けたら、既成事実づくりになる」と数十人が退席。公民館の外で集会を開き、「町長は住民の声を聞け」「防衛省は帰れ」と気勢を上げた。
 崎原議長は「町民全員が納得した上で説明会をやったと思われたらたまらない。賛成、反対はあっても議論に基づき決めるのが民主主義のルール。町民を無視したやり方で進めるのはおかしい」と町側を批判。
 集会では牧野トヨ子さん(88)が「沖縄戦では与那国も空襲を受けた。何もないところに弾は飛んでこない。平和な島に自衛隊はいらない」と訴えた。
 集会に参加した与那国中学校の2年生は「島の将来を守るのは僕たち中学生。自衛隊に任せるのはおかしい」と誘致を疑う。 一方、集会後に与那国防衛協会の金城信浩会長は「賛成派、反対派が話し合う機会ができてよかった。皆さん納得したと思う」と配備計画が進むよう期待した。(沖縄タイムス)