2011年11月27日日曜日

「自主」避難者に、正当で幅広い「損害賠償」を!

「自主」避難者に、正当で幅広い「損害賠償」を!
・避難費用実費を賠償すべき
・一律の、雀の涙の「見舞金」など許されない!!
http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-cdf5.html
第一次締め切り 12月2日(金)、第二次締め切り 12月9日(金)
◆署名フォーム1(PC対応): http://goo.gl/2HQzW
◆署名フォーム2(PC、携帯対応):
https://pro.form-mailer.jp/fms/795bfc1624252

 11月25日に開催された原子力損害賠償紛争審査会では、自主避難者・残留者を問わず、すべて一律同額の賠償とする方向で議論が進められました。このままでは、避難に伴う生活費の増加や何度も往復する交通費、子どもや妊婦の付き添いで必要な家族の避難にかかわる費用など、避難に関わる実費を算入することができなくなります。結果的に、一律の見舞金的なものとして、実際に避難にかかった費用に比べて大幅な減額となる可能性が出てきます。

 審査会での「一律同額」の根拠は、行政手続きが煩雑になるということでしたが、これは理由になっていません。中間指針に示されている避難区域内の避難者への賠償と同様、被害者からの実費の請求で済む話です。区域内からであろうと、区域外からであろうと、賠償は同様であるべきです。
 また、賠償が支払われる期間があまりに短すぎます。審査会では、草間委員から、「緊急時避難準備区域が解除された9月まで」という驚愕の発言がとびだし、結果的には12月という方向が示されていますが、除染に2年かかる、すなわちそれまでには線量が十分さがらないということを考えれば、賠償を認める期間は最低でも2年とし、それ以降も検討できるようにすべきです。

 さらに「第二期」(事故後一定期間が経過したのちの期間)は子ども・妊婦本人しか賠償の対象にしないなど、賠償の範囲があまりに限定的です。子ども・妊婦への配慮は、基本的な賠償の範囲を決めて、さらに追加的に賠償範囲を広げる議論の中でなされるべきものであり、賠償範囲を限定するために持ち出されるべきではありません。私たちは、これらの問題を指摘するとともに、原子力損害賠償紛争審査会に、とりわけ以下を要請します。
●一律一括の金額ではなく、避難費用の実費がカバーできる賠償とすること
賠償期間は、少なくとも2年間とすること、また、
●東京電力に対しては審査会の議論がどうあれ、自主避難にかかった実費を完全に補償することを求めます。

(呼びかけ)
国際環境NGO FoE Japan(エフ・オー・イー・ジャパン)
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
問い合わせ先:
国際環境NGO FoE Japan 満田/090-6142-1807
福島老朽原発を考える会 阪上/090-8116-7155

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⇒「県内全域で賠償を 原発自主避難精神的損害」(12/9,福島民友)
⇒「クローズアップ2011:避難区域外の原賠審指針 避難の実費、認めず」(12/7,毎日)
⇒「「自主避難」と「風評被害」」(3/26)より
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 国や自治体は、私たちが何もしないで放っておいたら、私たちの「生命と財産」を守らない。これが「ボトムライン」だ。

 私たちは、福島第一原発から漏出し、放出される放射能に汚染されずに生きる「権利」がある。しかし、その「権利」は憲法にも法律にも明文化されていない。つまり、国や自治体にはその「権利」を保障する憲法/法律上の「義務」はない。
 私たちは、憲法やいろんな法律の関連条文・条項を引っ張り出し、国・東電・自治体に対して、私たちが放射能に汚染されずに生存する「権利」を保障させるよう、仕向けるしかない。そして国・東電・自治体が果たすべき行政・企業責任を明確にし、被害を受けた場合には、その補償をきちんとさせる。あたりまえの事だ。そのために私たちは政府・自治体に税金を払い、東電に電気代を払い、彼/彼女らすべての、特権的でぜいたくな生活を保証している/かれらが真っ先に、勝手に自分たちに保証することを許しているのだから。

 法律的に言えば、現在私たちは「原子力災害対策特別措置法」が定める「原子力緊急事態宣言」発令後、「原子力緊急事態解除宣言」が発令されるまでの中間期間に生きている。政府がいまやっているのは、「原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む)の拡大の防止を図るため実施すべき応急の対策」ということになる。
 いま政府は、「緊急事態応急対策及びその実施責任」を負っている。逆に言えば、私たちは政府にその「責任」を果たさせなければならない

 政府が果たすべき/政府に果たさせるべき「責任」の内容は、「措置法」第二十六条が規定している。 具体的には、
 一  原子力緊急事態宣言その他原子力災害に関する情報の伝達及び避難の勧告又は指示
 二  放射線量の測定その他原子力災害に関する情報の収集、
 三  被災者の救難、救助その他保護
 四  施設及び設備の整備及び点検並びに応急の復旧、
 五  犯罪の予防、交通の規制その他当該原子力災害を受けた地域における社会秩序の維持
 六  緊急輸送の確保、
 七  食糧、医薬品その他の物資の確保、居住者等の被ばく放射線量の測定、放射性物質による汚染の除去その他の応急措置の実施、
 八  前各号に掲げるもののほか、原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む)の拡大の防止を図るための措置

 昨日の報道の問題は、「避難の勧告」地域の拡大が、「異常な水準の放射線量」の「検出」が「前提」でなければならないかのように、政府が主張したことに対し、その批判的論評がなかったことだ。(⇒ここで言う「放射線量」とは、第十五条一項が定める「主務大臣が受けた通報に係る検出された放射線量又は政令で定める放射線測定設備及び測定方法により検出された放射線量」のことをさす)
 毎日新聞の記事は、次のように書いている。
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1, 20~30キロ圏内に対する自主避難要請は24日夜、首相官邸の主導で対象の9市町村に伝えられたうえで、枝野幸男官房長官が25日の記者会見で発表。
2, 原子力災害対策特別措置法(原災法)に基づく避難指示を出せば、放射性物質による汚染拡大を政府が正式に認定することになり、周辺住民の不安に拍車をかけかねない(⇒完全なる詭弁、欺瞞)。一方、屋内退避の長期化で不自由な生活への不満が住民側に強まっていたため、超法規的な「要請」によって政府批判の緩和を狙った・・・。
3, 原発事故の対応を超えた政治判断は保安院にはできないため、25日に原子力安全委員会の臨時会を開き、放射線のモニタリング結果などを理由に、自主避難が「望ましい」と助言する形をとった・・・。
4, 原災法に基づく避難指示は「異常な水準の放射線量」の検出が前提。自主避難を自治体に要請する根拠法はなく、実際に住民を避難させるかどうかの判断は各市町村に委ねられた。避難先の確保や移動手段なども市町村が考えなければならず、野党からは「中途半端」などの批判がかえって強まっている・・・。
5, 菅直人首相は25日夜、避難指示に切り替えなかったことについて「原子力安全委員会の専門家の判断を尊重した対応」と強調、しかし保安院関係者は「先に判断したのは官邸。避難指示は放射線量が高いまま下がらない場合などに検討する」と語り、官邸指示に従った苦肉の策だと認めた・・・。
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 私は、上の1~5、すべてが無茶苦茶だと思う。
 おそらくこの問題、原発事故をめぐる「被害」と「避難」の問題は、「原爆訴訟」や「水俣訴訟」と同様に、今後半世紀以上をかけた対東電、国賠訴訟へと発展してゆくだろう。


 毎日新聞は今日(3/26)の社説で、こう書いている。
 「原発から20~30キロ圏の人々は長期にわたる屋内退避を指示されたまま、日常生活が困窮している。被ばくを恐れ、外部からの物資も届かない。こうした状況は、かねて指摘してきたように、一刻も早く解消すべきだった。
 政府は25日になって、この地域に「積極的な、自主的避難」を呼び掛けた。なんともあいまいな表現だが、政府や自治体は住民がスムーズに避難できるよう、手立てを尽くしてほしい。事情があって後に残る人々への手当てにも、責任を持ってもらいたい。(⇒政府が「責任」をとろうとしないから「あいまいな表現」にしようとするのである)。
 放射性物質の拡散の仕方をみると、同心円状の避難対策では対応しきれない(?)こともわかってきた。原発の北西約35キロでも一日中外にいると一般人に定められた1年間の線量限度を超える地点が出てきている。 政府は、まず、各地域の放射線量の積算値や増減傾向を地図上で示してほしい。さらに、今後の「注意予測」を、地域ごとに示してほしい。そうした情報があってこそ、自治体も住民も行動計画が立てられる」。

 「こうした状況は、かねて指摘してきたように」と書いているが、私は毎日新聞が「自主避難」地域の撤廃→避難地域の拡大を社説で「指摘」した事実を知らない。もちろん、私が見落としているだけかもしれないが、事故発生後、朝日、読売、産経の社説でそのような主張をしたものは一つもない。日経や東京新聞の社説に関する記憶もない。
 おそらくこれが、大地震による災害報道と原発による災害報道の決定的違いだろう。メディアの「眼」が、放射能汚染の拡大に焦点があてられ(首都圏への「影響拡大」など)、現場周辺地域で汚染や被曝の被害を受ける人々の存在に向わないのだ。原発事故被災者の「見捨て/見殺し」の構図である。

 「放射性物質の拡散の仕方をみると、同心円状の避難対策では対応しきれない」というのも、私には意味がわからない。これは放射性物質が第一原発から同心円状=均一的に拡散しないという、当たり前の事後的調査の結果をもってそう言っているだけのことであって、避難地域を拡大しないことの正当化にはなりえない。どこにどれだけ放射能被害が現れるかを事前に予想することはできないからだ。つまり、避難区域は同心円的に拡大する以外に方法はない。それをした上で、被害が集中している地域をモニタリングによって特定し、その地域に対する重点的救援・支援を実施する責任が国にはあるのである。
 

 「原子力災害対策特別措置法」は国、原子力安全委員会、原発電力会社に都合のよい法であり、今回の事故により明らかになったことを教訓化し、より被災者と潜在的被災者(=私たち)の視点に立ち、全面的に改正される必要がある。
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福島第1原発:08年に津波可能性 本店は対策指示せず
 2008年に東京電力社内で、福島第1原発に想定を大きく超える津波が来る可能性を示す評価結果が得られた際、原発設備を統括する本店の原子力設備管理部が、現実には「あり得ない」と判断して動かず、建屋や重要機器への浸水を防ぐ対策が講じられなかったことが27日、分かった。東電関係者が明らかにした。
 12月に中間報告を出す政府の事故調査・検証委員会も経緯を調べており、研究の進展で得た津波リスク評価の扱いや対応が適切だったかが焦点となる。

 東電関係者によると、社内研究の成果である新たな津波評価を受け、原子力・立地本部の幹部らが対応策を検討した。その際、設備を主管する原子力設備管理部は「そのような津波が来るはずはない」と主張。評価結果は学術的な性格が強く、深刻に受け取る必要はないとの判断だったという。同本部の上層部もこれを了承した。  原子力設備管理部は、06年に発覚したデータ改ざんの再発防止のため実施した07年4月の機構改革で「設備の中長期的な課題への計画的な対応や設備管理の統括をする」として新設された。部長は発足時から昨年6月まで吉田昌郎現福島第1原発所長が務めた
 東電は08年春、明治三陸地震が福島沖で起きたと仮定、想定水位5.7メートルを大幅に超え、最大で水位10.2メートル、浸水高15.7メートルの津波の可能性があるとの結果を得た。東電関係者は「評価結果をきちんと受け止めていれば、建屋や重要機器の水密性強化、津波に対応できる手順書作りや訓練もできたはずだ」と指摘している。

 東電広報部は「自主的に試算した内容については、土木学会に審議してもらい、設備に反映させていくつもりだった。学会に審議を要請したのは08年10月で、軽視や放置をしていたわけではない」としている。(毎日)