2014年7月8日火曜日

日本のレイシズム・ヘイトスピーチ・ナショナリズム

日本のレイシズム・ヘイトスピーチ・ナショナリズム

【参考資料】
8月20日・21日、国連人種差別撤廃委員会(CERD)にて行われる日本政府の報告書審査に向けて提出された、日本のNGOのカウンターレポート。
人種差別撤廃委員会に提出したNGOレポート
人種差別撤廃委員会に提出したNGOレポート(ヘイトスピーチ)

在特会による京都朝鮮学校襲撃事件 控訴審判決文 他  7月8日大阪高裁

【京都新聞の記事より】
・差別や罵声、どう向き合う 反ヘイトスピーチ模索
 在日コリアンらを標的に差別的な罵詈(ばり)雑言を浴びせる「ヘイトスピーチ」に対抗する動きが広がっている。
 京都朝鮮第一初級学校に街頭宣伝を行った「在日特権を許さない市民の会(在特会)」に京都地裁が昨年損害賠償や街宣禁止を命じたが、今もヘイトスピーチはやまない。過激な差別にどう向き合っていくのか、模索が続く。

 6日夕、京都市下京区の京都タワー前で、在特会メンバーら約20人が街宣し、拡声器で「朝鮮人どもが暴動起こしたら殺されるで」と叫んだ。向い側でカウンター行動の約70人が、差別反対のプラカードを上げ、大声で「帰れ」コールを繰り返した。にらみ合う両グループの間には、京都府警の機動隊員が並んだ。
 カウンター行動は、京都以外にも東京・新大久保や大阪・鶴橋などヘイトスピーチが頻発する地域で行われている。在日コリアンへの憎悪をむき出しにした街宣に対し、激しく抗議の声を浴びせる。カウンター行動が始まった2009年から参加している京都市の男性は「街宣をかき消し、差別者の言論を拡大させない」のが狙いという。
 ただ、カウンター行動側も罵声の応酬や中指を立てる挑発が見られ、共感を呼びにくい面もある。在特会の元幹部でデモに長く参加する40代男性は「カウンターは『帰れ』と叫ぶだけ。私たちの主張を論破せず、気にならない」と話す。

 そんな中、別の形でヘイトスピーチ反対を発信する動きも芽生えている。
 13年7月、大阪市のメーンストリート・御堂筋で「仲良くしようぜパレード」が開かれた。約600人の市民が、太鼓や色とりどりの旗を手に「差別はやめよう」と訴えて行進した。
 中心メンバーの伊藤健一郎さん(33)=京都市北区=は「迎え撃って対決するカウンターと異なり、差別に反対する側から明るくポジティブに訴える狙いだった。ツイッターなどで共感が広がり、予想以上に多くの人が集まった」とし、今月20日も催す予定だ。
 ほかにも、在特会デモの傍らで、在特会側の主張の誤りや背景を通行人に丁寧に解説する人たちが現れている。

 在日コリアン社会は、現状をどう受け止めているのか。
 在特会が京都朝鮮第一初級学校に街宣した時、3人の子が通っていた龍谷大教授の金尚均(キムサンギュン)さん(47)は「京都地裁で差別行為が断罪され安心はしたが、被害回復の特効薬ではない。露骨な差別が社会に定着してしまった」という。一方で「カウンター行動や仲良くしようぜパレードの存在で、日本に味方がいると分かり在日コリアンは救われた」と話す。

 「人種差別撤廃NGOネットワーク」世話人の師岡康子弁護士は「政府が『表現の自由』を理由に人種差別法などの法整備に動かないのは、ヘイトスピーチが顕在化している現実から目を背けている。外国籍の人と交流する機会を多く設けるなど教育面も大切だ」と話す。

■「在特会」に8日高裁判決
 「在日特権を許さない市民の会(在特会)」などが京都市内の朝鮮学校に行った「ヘイトスピーチ」をめぐる民事訴訟控訴審で大阪高裁が8日、判決を言い渡す。
 昨年10月の一審京都地裁判決は、人種差別撤廃条約に基づき人種差別行為と認定して同会側に約1200万円の損害賠償を命じ、学校周辺半径200メートルでの街頭宣伝を禁じており、高裁の判断が注目される。

 問題のヘイトスピーチは09~10年、在特会メンバーらが当時の京都朝鮮第一初級学校(南区)の公園違法使用に対する抗議名目の街宣で行った。判決によると、同校前などで「朝鮮人をたたき出せ」「スパイの子ども」「端のほう歩いとったらええ」と大声を上げるなどした。
 控訴審は今年3月の第1回口頭弁論で即日結審した。在特会側は「表現の自由」を主張し、条約適用を批判した。学校を運営する京都朝鮮学園側は地裁判決を「行為の悪質性や甚大な被害から極めて妥当な判断」と訴えた。(京都新聞

・被害救済の姿勢維持 在特会街宣、二審も禁止
 一審京都地裁判決を踏襲した8日の大阪高裁判決は、ヘイトスピーチに人種差別撤廃条約という「重し」を乗せて対峙(たいじ)し、被害救済を積極的に行う司法の姿勢をあらためて示すとともに、民族教育の重要性にも踏み込んだ。

 問題となった朝鮮学校への街頭宣伝は、暴力的で差別的な主張が公然と声高に叫ばれ、インターネットで流布される現実が存在することを、社会へ突き付ける発端となった。高裁判決が「今後も被害が拡散、再生産される可能性がある」と危惧(きぐ)する通りだ。
 「在日特権を許さない市民の会」(在特会)側は訴訟で「表現の自由」を一貫して訴えた。「たとえ差別的でも政治性を帯びた言論への制裁は表現の自由を損ないかねない」。ヘイトスピーチ規制への慎重論を隠れみのにするかのような在特会側の主張を、高裁判決は「公益目的は認めがたく、表現の自由で保護されるべき範囲を超えている」と断じた。

 差別行為を許さない態度と表現の自由の保障は並び立つ。司法は当然の答えを示した。
 学校の子どもたちや在日コリアンに深い傷を残したヘイトスピーチの被害をどこまで直視できるのか。訴訟が投げかけた問いの本質は、そのまま社会にも向けられている。(京都新聞

ヘイトスピーチ  差別許さぬ態度貫こう
 「・・・ 権力の恣意(しい)的な運用を防ぐため、表現の自由の侵害につながる法整備に慎重であるべきなのは言うまでもない。
 一方で、政府が言う「国内に法規制するほどの民族・人種差別はない」との説明も現実を直視しているとはいえない。
 外国人への嫌悪をあらわにする街宣は今も散発する。野放しにすれば日本の人権意識が問われる。現行法の枠内での対処を徹底するとともに、ヘイトスピーチの定義を明確にした上で、諸外国も参考に法制化の在り方を議論したい。

  同時に自らの差別意識と向き合い、憂さ晴らしに誰かを標的にする行為が身近にないかを点検したい。サッカーJリーグでの差別的な横断幕や四国遍路の休憩所 での張り紙問題も記憶に新しい。憎悪や罵声の応酬でなく異文化を認める対話型の活動を広げ、卑劣な差別を容認しない社会を目指したい。

 安倍晋三 首相は言葉の暴力や差別を許さぬ姿勢を一貫して示さねばならない。
 ネット上では歴史認識や領土問題で強硬姿勢をみせる政権を賛美する声もある。
 中韓との関 係に修復の糸口が見えないことも偏狭な排外主義を増幅させている面があることを、政権は真剣に受け止めるべきだろう。」(京都新聞 7/9 社説

【リンク】
コリアNGOセンター
北海道アイヌ協会
市民外交センター
琉球弧の先住民族会(AIPR)
移住労働者と連帯する全国ネットワーク
反差別国際運動(IMADR)