2013年7月23日火曜日

エジプト・クーデターの核心に、米軍による訓練

エジプト・クーデターの核心に、米軍による訓練
【APA‐Jフラッシュ No.242】
 クーデター主導者の経歴を大手メディアはあまり報じないが、軍トップのシシ 最高評議会議長兼国防相には、米国陸軍大学への留学経験があるという。 日本の陸上自衛隊からも米軍関係大学への留学がある。 例えばイラク派遣時の 「駆けつけ警護」発言が問題になった、元陸上自衛官、現自民党参議院議員の 佐藤正久は、米陸軍指揮幕僚大学への留学が経歴に記載されている。 (M)
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 エジプト・クーデターの核心に、米軍による訓練
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エジプトで7月はじめに発生した軍事クーデターに対するアメリカのどちらともつかない反応は、アメリカ軍とエジプト軍の長年の結び付きに矛盾するだけでなく、とりわけ新たな軍政指導者となったアブドル・ファッターフ・アル・シシ陸軍大将と米国との密接な関係からして腑に落ちない。
 
シシは、ほぼ名もない准将から軍のトップへ、そして今や事実上エジプトの元首の地位にまで上り詰める以前、米国陸軍大学への留学経験があった。シシが「親米」とみなされたことで、彼は国防省に入り、かつて軍政の元首だったタンタウィの後継者となり、オバマ政権はエジプトにおける軍の支配の行く末に不安を抱かずに済んでいたのである。
 
実際、今回の軍事クーデターは多くの意味でアメリカの手によるものと言ってよいだろう。ムバラク政権時代から、米軍は「イスラム過激主義」を力づくで制圧することを念頭に常にエジプト軍の訓練をおこなっていた。それを考えれば、イスラム系政党が結成をゆるされて選挙に勝ち政権を握ったあとも、軍をおとなしくさせることに苦労し、結局1年ももたなかったこともそれほど不思議なことではないだろう。
 
その意味では、今回のクーデターを米議会が支持していることも意外ではない。民主的に選ばれた「過激派」に対抗する方法として、シシのクーデターが他の中東地域の「模範になればよい」と米国陸軍大学の複数の講師が明言しているのをみれば、エジプトの反対勢力が今回のクーデターの裏にアメリカの支援を感じるのも当然だろう。
 
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出典:Antiwar.com(2013年7月8日)
翻訳:Sou Lingzi(APA‐J翻訳チーム)
翻訳チェック:タンノワ 監修:APA‐Jデスクチーム ppsg@jca.apc.org