2013年10月21日月曜日

エジンバラ大学、米国無線操縦無人機の部品製造企業への投資終止

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エジンバラ大学、米国無線操縦無人機の部品製造企業への投資終止
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 英国屈指の名門大学が、米国の殺人無線操縦無人機の部品を作る軍需会社への投資120万ポンド(およそ1億8600万円)をやめることにした。理由は、この会社の事業が社会的責任を果たしていないからだという。
 エジンバラ大学は、学生やキャンペーン活動グループからの要求に従い、ウルトラ・エレクトロニクス社への投資を終止した。ミドルセックスのグリーンフォードに本社をおくこの企業は、米空軍のプレデターやリーパーなど無人飛行機向けに航行制御装置を製造している。

 こうした無人機はヘルファイア・ミサイルを搭載し、テロリストと見られるグループを標的として殺害するためパキスタン、イエメン、ソマリアへ送られている。しかし、ロンドン大学を拠点とするビューロー・フォー・インヴェスティガティヴ・ジャーナリズム(「調査報道局」2010年設立。市民に真実や情報を届けることを使命とするNPO組織)によれば、2002年以降430回以上の攻撃で、少なくとも428人の一般人が殺され、内173人は子どもであった。

 人権擁護専門の弁護士は、米国が交戦状態には無い国でこうした攻撃を行っているのは国際法違反であると主張している。ペシャワールのパキスタン高裁は、攻撃が戦争犯罪であると5月に判決を下し、現在国連によって調査が進められている。

 エジンバラ大学学友会(Eusa)、学生環境保護グループ「ピープル・アンド・プラネット」、人権擁護慈善団体「リプリーブ」は、大学に投資を止めるよう求め6月に運動を開始。情報公開請求に応じた大学の回答により、2012年末現在ウルトラ・エレクトロニクス社への投資残高は124万4672ポンドであることが明らかとなった。

 大学によると、それ以後、投資は「積極的運用」の下に行われており、投資額は約40万ポンドにまで減少した。「Eusaによって提起された問題を受け入れ、ウルトラ・エレクトロニクス社への投資を止めることにした」と、大学の広報担当者は当紙(ガーディアン)に語った。
 「我々は、社会的責任ある投資を一貫して遂行しており、ヨーロッパで国連の責任ある投資原則に最初に署名したのは、本学である。」

 エジンバラ大学は、約2億3千万ポンドの投資資産を保有する。オックスフォード、ケンブリッジに次いで3番目であり、投資先は、シェル、トタル、テスコ、モンサントなど100社以上の企業にわたる。キャンペーンを立ち上げた活動家たちは、大学の対応を歓迎し、次は化石燃料企業への投資を止めるよう働きかけている。「大学の投資を浄化する取組みは、環境責任問題まで広げることが可能であり、必要」と「ピープル・アンド・プラネット」のアンディーン・シュミット氏は述べている。

  「リプリーブ」のキャサリン・ギルフェダー氏は他の大学にもエジンバラ大学を模範として後に続くように求めた。「無人飛行機の隠密計画により、パキスタンとイエメンでは何百人もの市民が殺され、多くの人々が傷つき、トラウマの被害を受けています」と語った。
 「エジンバラ大学は、ウルトラ・エレクトロニクス社への投資をやめることで、殺戮から利益を得るような企業を非難し、社会的責任ある投資の重要性を表明したのです。」

 ウルトラ・エレクトロニクス社は、航空機の航行制御部品を製造したことを認めたが、顧客の名前は守秘義務があるとして回答を拒んだ。しかし会社のウェブサイトには、プレデターやリーパーの地上制御局に技術提供していると書かれている。
 「当社は、製品と技術を責任を持って輸出しており、国内外の輸出管理規制を厳格に遵守しています」と広報担当者は述べ、「ウルトラ・エレクトロニクス社はロンドン証券取引所に上場しており、個人でも団体でも希望に応じて自由に同社株を取引できます」と続けた。

ロッド・エドワーズ
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出典:ガーディアン(2013年9月19日)
翻訳:四季(APA‐J翻訳チーム)
翻訳チェック:HSナオコ 監修:APA‐Jデスクチーム ppsg@jca.apc.org

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ロボティック・シンポジウム
ロボット関連技術の境界線 発展する無人機の可能性と国際動向


開催日時:2013年11月8日(金) 14:00-18:30(開場13:30)
開催場所:東京ビックサイト 会議棟701+702会議室
参加費:無料(定員80名)
申し込み先:seminasanka@npo-ric.org
***件名に「ロボティック・シンポジウム参加希望」と明記し、氏名、所属先、役職、メール・アドレスを記載の上、お申し込みください。定員になり次第締切りとなります。

主催:NPO法人ロボティック普及促進センター
共催:公益財団法人川崎市産業振興財団、一般財団法人機械振興協会技術研究所、「武器と市民社会」研究会
後援:かわさき・神奈川ロボットビジネス協議会
企画運営:(株)ロボットメディア

<主なプログラム>
- 第1部 無人機の開発と実用化動向
 14:00-15:30
・報告1「実用化無人機(業務用無人機)の紹介」
大津良一(知能技術(株) 代表取締役)
・報告2「災害監視無人機システムの研究開発と実証実験」
石川和敏(宇宙航空研究開発機構航空本部運航システム・安全技術研究グループ無人機システム技術セクション セクションリーダ)
・報告3「災害対応ロボット向け通信システム等の検討」
竹内芳明(総務省総合通信基盤局電波部電波政策課長)

- 第2部 軍事用無人機の研究開発動向 15:40-16:40
・報告1「防衛省における無人機研究の取組み」
野間俊人(防衛省経理装備局技術計画官)
・報告2「諸外国の軍事用ロボットの概要」
岩永正男((一財)防衛技術協会 防衛用ロボット研究部会長)

- 第3部 軍事用無人機の国際的な制度と規範形成のトレンド 16:50-17:50
・報告1「イントロダクション:軍事用無人機をめぐる諸問題」
福田毅(国立国会図書館調査員)
・報告2「UNROCA、ワッセナー・アレンジメント、オタワ・オスロ条約からATTへ:近年の国際規範形成の経緯と背景」
夏木碧((特非)オックスファム・ジャパン ポリシー・オフィサー)
・報告3「致死性自律型ロボットの国際法規制に関する新動向」
岩本誠吾(京都産業大学法学部教授)
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【米英無人機攻撃】市民の巻き添えを止めよ (高知新聞 10/20)
米無人機攻撃、パキスタンでは市民400人超が犠牲に=国連調査(ロイター、10/18)


批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒2013年7月17日 ヒューマノイド兵士開発・研究の現段階 
⇒2013年4月3日無人爆撃機(drones)廃絶と武器貿易条約(ATT)を考えるための基礎的情報