2012年1月19日木曜日

3・11福島大集会の〈アジェンダ〉を考える

3・11福島大集会の〈アジェンダ〉を考える

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 脱原発世界会議が終わり、3・11福島大集会まで50日と迫った。この集会は、東日本大震災で亡くなった人々の慰霊とともに(だから、「デモ」や「パレード」という表現はなじまないかもしれない)、「脱原発宣言」を発した福島がほんとうに「原発のない社会」を実現できるかどうかを占う、とても重要な日になると私は思う。
 福島がこれまで通りの「原発と共存する社会」になってしまえば、今後何十年たっても日本で脱原発なんか実現できるはずがない。 昨日の、傍聴人を締め出し強行された大飯原発の「ストレステスト妥当評価」をはじめ、連日のように原発をめぐる洪水のような報道にさらされ、ただ情報を追うだけで疲れてしまう毎日が続いているが、この一年をふり返り、〈問題〉を整理するためにも、私にとっての「3・11福島大集会のアジェンダ」を考えてみたい。


 「原発のない福島」なくして「原発のない日本」はありえない
 私の机の上には、『週刊朝日』の最新号(1/27日号)がある。この号に、「今も「原子力ムラ」で大きな影響力を持つ人物」と「東電幹部」との間で交された、福島第二原発の再稼働に関するメールのやりとりをスクープした記事が掲載されている。
 「原子力ムラの大物」曰く。「事故以来、「原子力ムラは劣勢である。だが事故はいつかは風化し、記憶から消えてゆく。火をつないでことが大切である」・・・。
 詳しくここでくり返すことはしないが、国、東電、原子力ムラは、福島第一5、6号機と第二原発を廃炉にしないことを大前提にこの間動いてきた。半年前のNEWSポストセブンの「福島第一原発5、6号機いつでも再稼働可能と東電協力会社幹部」(2011年8月25日)。
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 東電は、「工程表」に基づき、原子炉循環系の確保、海洋汚染防止のための遮蔽壁の設置、余震、津波対策などを同時並行で進め、そこには5、6号機向けの防波堤補修など再稼働へ向けた準備も含まれる。
 「再稼働」について、東電広報部はこう説明する。 「発表はしていませんが、防波堤補修のために、消波ブロックの積み上げ工事を、9月末までをめどに行なっているのは事実です。1万個? いや、約3000個と聞いています。再稼働については、国や地域のご理解をいただきながら進めるもので、今、申し上げる段階ではありません。また、5、6号機も福島第二も大切な経営資源という認識です」
 人も組織も簡単には変われない。原発は今も東電にとって推進すべきものだし、ある程度は情報や資料を公開しているものの、「知らしむべからず」の基本姿勢に変わりはない。その「ブレない東電」に政治がブレずに対応できるのか。電力行政に関する「ポスト菅」の役割は大きい。
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 郡山で開催される3・11福島大集会の第一の〈アジェンダ〉は、既定の方針として確定している福島第一1~4号機の廃炉だけでなく、第一・第二全号機の廃炉と、福島からの「原子力事業所」の廃絶および「原子力産業」の退去を明確に打ち出すことにある。
 まずは集会実行委がこの点を明確にすることだ。そして、県知事はじめ福島県内の関係者が「脱原発宣言」を「宣言倒れ」にしてしまわぬよう、政治的に形あるものとする具体的な行動が問われている。3・11までの50日間、どこまでこれらができるか。福島のみならず、日本の脱原発派にとって3・11は大きな試金石となるだろう。


 福島の復興・再生は、たんなる「自治体・産業の復興・再生」にあらず
 二つ目の〈アジェンダ〉がこれである。非常にデリケートな問題であるが、今、県や市町村の自治体レベルで進めている「帰還運動」と「再生可能エネルギーの一大拠点化(企業・研究機関誘致)」との関係で考えるとわかりやすい。
 一市民(県内外の家を追われた人々、農民(専業であれ兼業であれ)、漁師、こども・・・)の目から言えば、重要なのは「3・11以前」の生活/労働環境の原状回復、そしてそれが叶えられるまでの期間における生活と労働の補償と保障なのであって、必ずしもそれは「自治体・産業の復興・再生」とは一致しない。
 この意味において、県や一部市町村レベルの「帰還運動」は、自治体機能の崩壊を怖れるあまりの「行政的思考の産物」と言うことができる。少なくとも、「原子力緊急事態」の完全収束が客観的に確認できる以前の住民に対する帰還アピールは時期尚早、と思うのだがどうだろう。

 また、「再生可能エネルギーの一大拠点化」、そのための企業・研究機関誘致についても、どのような再生可能エネルギー、企業、研究機関なのか、が問われねばならないだろう。少なくとも、現在構想され、進められているものは国と自治体の官僚機構主導のものであって、「草の根」のイニシアティブの根をはぐくむようなそれでないことは確認しておく必要があるのではないか。 県と自治体のホームページを見れば明らかなように、「復興計画」はそれぞれ何回かのヒアリングを経ながらも、「市民の声」を反映しているとは言えないのである。


 汚染・除染・帰還--立場の違いと意見の〈多様性〉を認め合うこと

 「たんぽぽ舎」に、「福島へ行こうバスツアー」に対し、「S区Y氏」からこんなメールが届いたそうだ。
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 いつもご苦労様です。メール情報で勉強させていただいております。 が、本日下記の情報には目を疑いました。
☆ さようなら原発1000万人アクション in 福島 現地集会
  3月10日(土)・11日(日)福島へ行こうバスツアー 申込み開始

 私は皆様と同じく反原発の立場に立つ者で、原発をなくすために 微力を尽くしたいと考えるものの一人です。
 しかし上記ツアーについては、会津など比較的線量が低いところで行われるというなら別ですが、もし、そうでないのなら懸念します。
 あれから一年という節目のイベントが大事なものであることは一般論としては理解できるとしても、それをあえて福島という高線量地域で行うこと、他地域からわざわざツアーを組んで向かう意味は私には理解できません。決死隊ですか? もちろん違いますよね。参加しようとする方は実際は真剣な方ばかりだと思いますが、 私には、何か間違っているように思えます。浜岡原発ツアーとか、柏崎刈羽ツアーとか、それならばわかりますし 私も参加してみたいと思ったりします。
 しかし、福島なら行けません。そんなに気軽に行ってよいところではないと思うのですけれど、 参加者はそれなりのリスクを理解して行くのでしょうか…。脱原発派の中には、現実の放射能被爆に対しては意外と 無頓着な人がいるという話も聞いたことがありますので心配です。短期滞在とはいえ、反原発のこれからを担って行くであろう人材たちに 被爆を積み重ねてほしくないなあ、と思ってしまいます。まさか子連れで参加しようなんていう方がいたら、私は絶叫するかもしれません。私には全くもって驚くべきツアーですが、さらには、主催ではなくとも、たんぽぽ舎が 関わっているということに正直、驚いています。無論、たんぽぽ舎の存在意義は大きいという私の認識には変わりはありませんが…。
 以上、読者の一感想としてお伝えしたく思います。上記の懸念が杞憂であり、イベントが安全な地域で行われるものであることを願ってやみません。

○たんぽぽ舎からの返事
1.メールありがとうございました。集会会場は、郡山市です。郡山市の放射線量モニタリングの数値は、市合同庁舎で、0.69から0.70マイクロシーベルト(1月14から16日)くらいです。
2.この行動は、さよなら原発1000万人アクションが中心です。(福島県内で1万人、県外から1万人、計2万人の予定) 福島からはぜひ「福島を忘れていない」意味からも来てほしい、と熱烈なよびかけです。私たちと親しい市民グループからもきています。これらの人たちとの連帯が原発廃止運動に重要だと考えています。
3.私たちは、放射能はイヤですが、「連帯」を重視します。もちろん、「マスクも帽子、手袋なども用意」して、対策には努めます。ご心配いただいてありがとうございます。
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1/26
 放射能汚染に対する「一般的恐怖」「現実的恐怖」「犯罪的無知」という表現を使ってきた。
 「汚染や被ばくは限りなくゼロであるのが望ましい」という以上に、被ばく量に関する「科学的基準」などない。文献にあたり、専門家の見解を参考にしながら、私たちは私たちの「知見」を深めるしかない。

 放射能汚染や被ばくを好む人はいない。その意味で言えば、表現上どこか真意を測りかねるところはあるが、「S区Y氏」の懸念は正論である。正論ではあるが、福島の集会に参加しようとしている者の一人として言えば、これまでも耳にしてきたこのような主張が忘れているものがある。それは、県外に避難した人々よりも県内にとどまっている人々の方が福島県人の圧倒的多数を占める、という現実である。

 福島の中で、とりわけ浜通りや中通りと呼ばれている県中央以東の地域で、復興支援や被災・被曝者支援活動を行うことは、ある種の「覚悟」を要求する。当然のことだ。そこで住んでいる人々が「覚悟」を決めて生活しているからである。住んでいる者も、支援する者も、内部と外部両方の積算被ばく量を慮りながら、生活し支援しているのである。
 しかし実際には、自分がどれだけ被ばくしているかなんて、ほとんどの人は正確に把握できていないだろうし、日常の生活や活動の中では「そんなこと」に構っていられなく局面も多い。そういう現実を人々に強いているという一点において、原発災害と「3・11」以後の国・東電・自治体・原子力ムラの対策や対応は犯罪的なのだと私は思う。

 もう一点。「覚悟」は要求されるが誰もその「覚悟」を強いられる謂れはない。呼びかけに呼応し集会に参加するもしないも、何か行動するもしないも、すべてはそれぞれの判断次第である。誰も強いないし、誰からも強いられることもない。 日常生活の中で私たちは「外部世界」からの様々な「呼びかけ」を受け、何をする/しないの自己決定を下しているが、それと同じことである。
 呼びかけに応えて私は私の覚悟で福島に行く。あなたはあなたの覚悟で行く/行かない。あえて「それだけのこと」、と言うことにしたい。
 それぞれの「覚悟」に、それぞれが敬意を示しあう、そうありたいものだと思う。

 「帰還宣言」?
 ところで。 「3・11」以後、警戒区域と緊急時避難準備区域(昨年9月解除)に指定された福島県川内村が今月の31日、「帰還宣言」を発するという。報道によれば、除染によって3月末までの全員帰村を目指し、4月からは役場や学校も再開する予定とのことだ。しかし、汚染は広がり、除染は進まず、帰還の前途は厳しいものがある。

 3・11福島大集会の〈アジェンダ〉の一つに、自治体の復興をかけた「帰還運動」をどう考えるか、がある。
 私が知るかぎりでも、福島の人々が置かれている状況は、とても複雑だ。今でも避難したくともできない人々、帰りたくとも帰れない人々がいる。どんなことがあっても生まれた場所で生きてゆこうときめた人々もいる。
 職場に仕事、学校、資金、家族構成等々、さまざまな条件や要因が絡み合い、それぞれの人々がそれぞれの選択をしている。 その複雑さを、まず理解することから始めたいと思う。

 私には、国や自治体の「行政方針」としての避難区域の見直し→帰還運動が、その着眼と発想において、「それぞれの人々のそれぞれの選択」を保障し保証するものとはどうしても思えない。その意味において、私は「帰還運動」や「帰還宣言」に反対の立場にたっている。
 3・11大集会では、そうしたそれぞれの人々のそれぞれの選択が保障され保証されるよう、国・東電・自治体に訴えかけてゆくことが問われている。

 「除染ボランティア」
 「帰還運動」は地元住民の「除染作業」への「雇用」や「除染ボランティア」への動員と一体化している。
 私は、これらいずれに対しても反対である。国・東電・自治体が除染に関して「やるべきこと」をやらないまま、地元住民を「雇用対策」の一環として、あるいは「ボランティア」として動員しようとしてきた/いるとしか思えないからだ。
 
(つづく)

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汚染焼却灰「記念品だ」 福島・塙町長が東電に手渡す
 福島県塙町の菊池基文町長は25日、東京電力本店(東京)を訪ね、白河、会津地方の自主避難者も福島第1原発事故の損害賠償の対象に入れるよう求めた。高い放射線量が出て処理できない汚泥の焼却灰を持参し、「福島を分断することは許されない」と訴えた。
 菊池町長は灰をドクロマークの紙を張った容器に入れ、交渉に臨んだ。「この灰は捨てる場所がなく、成仏できない。花咲かじいさんは木に灰をまいて花を咲かせたが、この灰は人を滅ぼす。白河、会津地方は蚊帳の外に置かれたが、われわれはこんな恐ろしい灰とともに生活している」と述べた。
 東電の西沢俊夫社長は「誠心誠意対応する」と答えた。菊池町長は交渉後、皮肉交じりに「記念品だ」と言い、灰の容器を東電の役員に渡した。  灰は塙町など西白河郡の4町村でつくる衛生組合のし尿処理場の廃棄物。1キロ当たり8000ベクレルの線量が検出され、約3トンが行き場を失って処理場の車庫に保管されている。
 菊池町長は白河、会津地方の26市町村長で構成する原子力損害賠償対策本部の一員として参加した。本部は国の原子力損害賠償紛争審査会の指針が白河、会津地方の自主避難者を損害賠償の対象から外したことに異を唱え、指針が賠償の対象とした浜通り地方などの23市町村の住民と同様に賠償するよう要求した。
(河北新報)

1/20
除染事業、環境省が格安で発注 地元業者「できるのか」
 東京電力福島第一原発事故の警戒区域内で環境省が進める除染の受注業者を決める初の競争入札で、大手ゼネコン2社が1億円超の金額を示すなか、同省が予定価格を大きく下回る1650万円で契約を決めた。地元の建設業者からは「こんな低価格できちんとした除染ができるのか」との声が出ている。
 初の発注となったのは、福島県楢葉町役場の周囲約4ヘクタールで、放射能汚染を清掃や高圧水で取り除く作業。5日に環境省で競争入札があり、前田建設工業1650万円、清水建設1890万円、大林組1億2300万円、大成建設2億7700万円――という応札額(消費税抜き)になった。  同省会計課によると、1650万円は、同省が事前に定めた予定価格(非公表)を大きく下回っていた。このため、この日の契約は見送り、翌日に前田建設工業から事情を聴いた結果、特に問題はないことを確認して契約したという。 (朝日)

震災がれき受け入れ問題 静岡県(島田市)内混迷 (静岡新聞)
福島の汚染石材問題 対応後手に回り、流通防げず(河北新報)

原発推進:11大学に104億円 国と企業が提供
 東京大や京都大など11国立大学の原子力関連研究に対し、06~10年度、国や原子力関連企業などから少なくとも104億8764万円の資金が提供されたことが、毎日新聞の集計で分かった。規模の大きな大学は毎年、数億円規模で受け取っている。「原子力推進」に沿う限り、研究資金を安定的に得られる仕組みで、大学が国策に組み込まれている構図が鮮明になった。
 各大学への情報公開請求で得た資料を分析した。原子力関連の研究室や研究者が、受託研究▽共同研究▽奨学寄付金▽寄付講座--の形で、国、日本原子力研究開発機構などの政府系団体、電力会社や原子力関連企業から受け取った金額を集計した。未公開部分もあるため、実際にはもっと多いとみられる。
 ほとんどは受託研究が占め93億円。特に国からの委託は高額で、文部科学省が福井大に委託した「『もんじゅ』における高速増殖炉の実用化のための中核的研究開発」(5億1463万円、10年度)など億単位も目立つ。  共同研究は総額4億1083万円。企業側が数十万~数百万円を負担することが多い。 奨学寄付金は総額2億1822万円で、研究者が自由に使えるケースも多い。
 個人別で最多だったのは、福島第1原発事故直後、当時の菅直人首相から内閣官房参与に任命された有冨正憲・東京工業大教授で1885万円。有冨氏は「持病があり、学会などで海外渡航する際にエコノミークラスが使えず、旅費がかさむ。その点を配慮してくれているからでは」と話す。  企業からの寄付が研究結果をゆがめる恐れについては、「気をつけている。私は安全評価より開発研究が中心で、問題は生じないと思う」と話した。
 一方、原発の危険性に警鐘を鳴らし続けてきた京都大の小出裕章、今中哲二の両助教には、「原子力マネー」の提供はなかった。 寄付講座は4大学が電力会社などの寄付で開設し、総額4億9100万円だった。 大学別では、京都大33億640万円、東京大25億5895万円、東京工業大16億7481万円の順だった。【毎日、日下部聡】

「原発事故は今も進行」 政府事故調説明会で訴え 
 政府の東京電力福島第一原発事故調査・検証委員会は20日、福島市で県内の自治体を対象にした中間報告説明会を開いた。出席した市町村からは「浪江町の砕石場の土砂問題が判明するなど原発事故は今も進行中だ。どこまで調査するのか」など今後の調査・検証への意見や要望が相次いだ。
 昨年12月26日に公表した中間報告書の説明会で、県内の49市町村と県の担当者が参加。畑村洋太郎委員長ら6人が臨んだ。畑村委員長は「この事故の教訓を後世に生かすことが大切。疑問点や要望を伝えてほしい」と述べた。
 説明後の意見交換では、福島市の担当者が「事故はまだ収束していない。今後の調査方針を示してほしい」と質問した。これに対し、作家の柳田邦男委員は「今回の原発事故は、事故そのものの調査のほか、被害調査こそが重要だ。被害がどう拡大し、なぜ防げなかったのか、最大限検証したい」と答えた。
 県は中間報告で記された「これまでの原子力災害対策で全体像を俯瞰(ふかん)する視点が希薄だった」との点について説明を求めた。委員会側は「行政も原子力安全委員会も東電も、それぞれ自分の担当の仕事は一生懸命やった(?)が、全体がどうなっているのかという視点が十分ではなかった」と問題点を指摘した。  委員会は今後、当時の閣僚の聞き取りなどを経て、夏に最終報告をまとめる。(福島民報)

「反面教師にして欲しい」双葉町の井戸川町長インタビュー(ourplanet)

「意見聴取会」に対する抗議行動の報告
 みなさまへ
 本日のストレステスト意見聴取会についてのご報告です。
 保安院は本日、関西電力大飯原発3・4号機のストレステスト結果を「妥当」とした結論をまとめ、意見聴取会に提出しました。しかしその意見聴取会は、市民を締め出し、直接の傍聴もモニタを通じた傍聴もない、密室審議でした。保安院は市民を完全に閉め出した状況でストレステストを妥当とする評価を出すという暴挙に出たのです。井野さんと後藤さんの2名の委員は、傍聴のない審議には応じられないとし、その会議には参加していません。意見聴取は十分行われたとはいえず、今日の会議は無効にすべきです。

<ドキュメント>
 会議場には、杉原さんら市民20名余りが入りました。私は4時すぎに、少し遅れて郡山の方と10階のモニター別室ではなく、11階のリアル会議が行われている部屋に向かいました。テレビは「市民団体乱入」などと伝えていましたが、すんなりと部屋の中に入れました。乱入でも何でもありません
 20名くらいの市民が、傍聴者を締め出しての審議を批判し、傍聴者を入れての審議と利益供与を受けている委員の辞任を求めました。いっしょに入った郡山の方は、福島の深刻な状況を伝えていました。こんな状況でなぜ再稼動について議論できるのかと。さらに委員に「福島の事故は本当に収束したのですか?」と問いかけていました。答えた委員は誰もいませんでした。みなうつむいて市民側の訴えに反応しまいとしていました。

 会議は開始1時間以上たっても始められず、警官が廊下に並び、私服がうろつくという異様な状況でした。とても議論ができる状況ではなく、普通なら流会、後日仕切りなおしでしょう。しかし保安院は、流会の宣言をせず、今日の対応について協議すると言って、委員を外に連れ出しました。井野さんと後藤さんは応じられないと残りました。5時半から枝野大臣が、部屋に入った市民を批判する会見を開きました。
 その後、保安院は、関電とJNESの説明者も連れ出しました。何が何でも今日中に決めるということでしょう。こちらは、流会にせよ、もし今日やりたければ講堂を確保して傍聴希望者全員を入れることと、利益供与を受けた委員を出席させないことを条件に出しました。しかし7時20分になって、保安院は、会合を別の会場で再開する、会場にはマスコミを入れるが傍聴者は入れないと宣言、部屋には、井野さんと後藤さん、それにマスコミと市民が残っていましたが、一体どういうつもりかと保安院を取り囲んで聞いていました。
 その後、保安院の別の担当者が、井野さんと後藤さんに、別室での会合に参加して欲しい、さもなくば欠席扱いにするぞと。お二人は、市民の傍聴が前提、傍聴ができない密室審議は審議そのものが認められないと抵抗しました。保安院が 出て行くと、その場は自然と市民側の記者会見場になりました。その後、会場を後にし、別館の前で続いていた屋外の市民集会に合流しました。

<これから>
 すぐそばで傍聴を希望する市民の意思よりも、IAEAが来る前に手土産を優先するという許されない暴挙だと思います。しかし、みなさんの力により、傍聴完全排除という形式でしか審議をさせなかったことは成果だと思います。IAEAの調査、4大臣の承認、そして地元の了解と、まだハードルがあります。
 さらにハードルを儲けようと、国会の事故調が徹底した原因究明を行うまで再稼動の判断をしないよう求める文面の議員署名を集めます(19日14時参議院議員会館ロビー集合)。さらに26日には、再処理問題と原発運転再開問題に焦点を当てた政府交渉を準備しています。26日13時参議院議員会館ロビー集合です。こちらにも是非足を運んでください。集会デモも予定されています。がんばりましょう。

 阪上 武(福島老朽原発を考える会)

<報道より>
関西電力大飯原発ストレステスト専門家会議 3時間遅れで開催、「妥当」との審査結果(FNN、1月19日、動画)
「密室」判断に憤り=反原発派「逃げるな」―傍聴求め怒号も・意見聴取会(時事通信、1月18日)
ストレステスト会議 開催できず(NHK、1月18日 18時8分、動画)
大飯原発:3、4号機の安全評価「妥当」保安院が初判断(毎日、1月19日)

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南西諸島全域の有効活用
2010年12月に策定した防衛大綱に基づき日本の南西地域の島しょ部防衛を想定し、陸上自衛隊、米軍、第1海兵機動展開部隊との共同訓練をロサンゼルス沖合にある米海軍が管理する離島サンクレメンテ島などで初めて実施します。期間は1月16日から約1カ月間で、日本からは約180人(延べ人数5580人)が参加しアメリカ海兵隊員と行うそうです。多額の税金を使ってなぜアメリカにまで行って訓練をやる必要があるのでしょうか?(NO BASE 馬毛島- 1.16)