民主党はどこへゆく? 民主党:日米地位協定の改定方針後退
政権交代が現実性を帯びるにつれ、民主党の安保政策がブレてゆく。
民主党は、八月末の選挙までの間に、今後さらに「現実主義」路線へと方向転換をはかるだろう。
この国では、権力に近づけば近づくほど、強烈な安保の磁場に引き込まれ、その虜となってゆくのである。
対米追随を批判していた民主党がどこまで対米追随路線に屈服するか。しっかり見定めたいものである。
民主党:日米地位協定の改定方針後退 「09年政策集」で
民主党は23日、衆院選マニフェストの原案となる「09年政策集」を公表した。同党が目指す「より対等な日米同盟」の一環として主張してきた日米地位協定の改定方針を後退させ、「改定を提起する」の表現にとどめた。昨年10月に公表された政策集では「抜本的改定に着手する」としていた。
政策集は、外務・防衛分野の冒頭で「新時代の日米同盟の確立」として「主体的な外交戦略を構築し、日本の主張を明確にする」「率直に対話を行い、対等なパートナーシップを築く」とうたった。その上で「日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方等についても引き続き見直しを進める」としている。
民主党は08年4月、沖縄で頻発した米兵による事件を受けて社民、国民新両党と共同で地位協定改定案をまとめ、政府に実現するよう申し入れた。同年7月にまとめた「党沖縄ビジョン」でも「抜本的な地位協定改定を早急に実現する」と明記していた。
岡田克也幹事長は23日、群馬県太田市内で記者団に、日米関係について「地位協定の問題などいろいろあるが、全部机に並べてどうだということはない」と強調した。「まず鳩山(由紀夫)首相とオバマ大統領の信頼関係を作る」とも述べ、政権交代後直ちには地位協定などの具体的懸案は交渉せず、首脳同士の関係の構築を優先させる考えを示した。
一方、政策集では沖縄県への配慮も示した。鳩山代表が最も重視する「地域主権」で打ち出した「ひも付き補助金の廃止と一括交付金化」では、「まず沖縄県をモデルとして取り組む」と明記。沖縄県に多い米軍基地がある市町村からは、基地関係に使途が決まった補助金ではなく、使途が自由な交付金を求める要望が根強く、こうした声に配慮したとみられる。【上野央絵】
◇日米地位協定
日米安保条約に基づき在日米軍人・軍属の日本での法的な地位を定めて60年に締結された。米兵が日本国内で事件や事故を起こした場合、起訴まで日本側に身柄を引き渡さなくてもよいとするなど、日本側の捜査の障害となってきた。沖縄県で95年に起きた女児暴行事件を契機に運用での改善はあったが、改定されたことはなく、同県など基地がある自治体には抜本的な改定を求める声が根強い。毎日新聞 2009年7月23日