2011年7月13日水曜日

世界経済のメルトダウン?

世界経済のメルトダウン?

米債務問題、世界が緊張 3日で時価総額1兆ドル減 国債格下げを意識 米国の連邦債務の上限引き上げに向けた与野党交渉が難航し、世界で最高の信用を誇る米国債の格下げなどに対し、市場が警戒態勢に入った。小康を保っていた世界の株価が大幅に下落。デリバティブ(金融派生商品)市場では米国債の信用保証料率が過去最高水準に上昇(信用度が低下)した。金融機関や企業には米国債離れの兆しなども出始めた。 8月2日の期限までに米議会が債務上限の上げで折り合えば緊張は和らぐ。しかし7月28日以降の採決を前に与野党は財政赤字削減の修正案など大詰めの調整を続けるが、なお予断を許さない。
 27日から28日にかけ、世界株安の様相が強まった。市場推計では前週末から27日までの3日間で世界の株式時価総額は1兆ドル強減った。 米国では27日、ダウ平均が198ドル下落し、約2カ月ぶりの下げ幅を記録。底堅かった日経平均株価も28日は下げ幅が一時190円を超え、心理的な節目の1万円を大きく割り込んだ。続く欧州株も軟調に推移した。 投資家心理の不安定さを示すシカゴ・オプション取引所算出の「恐怖指数(VIX指数)」は急上昇。東日本震災後すぐの3月18日以来の高水準になった。

 市場は米国債の格下げや元利払い停止の可能性を意識。特に、金融システムへの影響を懸念する。国際的な株価指数であるMSCIの業種別指数で「金融」は前週末比2.9%下落した。 代替の投資先が見あたらないことなどから、いまのところ米国債の金利に明確な影響は出ていない。ただ米国債の信用力は刻一刻と低下しつつある。信用リスクを映すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では指標性の高い米5年物国債の保証料率が28日に0.62%と2009年4月以来の高水準。目先の混乱を懸念し1年物は過去最高を更新した。 機関投資家らも万が一に備え始めた。日本の財務省の統計によると5月は米国の公債(国債、地方債、政府機関債)全体で2兆2194億円を売り越しており、単月の売越額としては過去最大となった。このうち大半が米国債とみられる。 対応は足元で加速。大手の金融機関からは米国債の値下がりに備え、「7月に入り残高を減らした」「短期での運用に切り替え始めている」などの声が強まる。

 お膝元の米国も同様だ。米バンク・オブ・ニューヨーク・メロンのロバート・ケリー最高経営責任者(CEO)は28日、「債務上限引き上げで合意できず市場が荒れるようなら米国債の担保としての割引率を拡大するかもしれない。現在の2%程度から例えば3%くらいに広げる」と語った。 米国では、預金のような性格を持ち元本の保護を重視するマネー・マーケット・ファンド(MMF)も、損失が発生する可能性がある米国債での運用を減らし、現金の比率を高める動きが強まっている。企業の間では金融市場の混乱で資金調達が難しくなるとの見方も増えている。(日経)

・米国で人種間経済格差が過去最大 不況が黒人ら直撃
 世界的な金融危機を経て、米国内で人種間の経済格差が過去最大となったことが26日、米調査機関ピュー・リサーチ・センターの分析で明らかになった。長引く不況が人種的少数派を直撃している実情があらためて浮き彫りになった。 2009年の政府調査を基に、世帯当たりの資産から債務を差し引いた純資産の中央値を人種ごとに分析。白人の11万3149ドル(約880万円)に対し、ヒスパニックは6325ドル、黒人は5677ドルで、白人はヒスパニックの18倍、黒人の20倍に当たる。人種別統計が公表された1984年以降、最大となった。【ワシントン共同】

ギリシャ国債「部分的デフォルト」…フィッチ
 欧米格付け会社フィッチ・レーティングスは22日、ユーロ圏17か国が決めたギリシャに対する第2次支援策の内容が、ギリシャ国債の「部分的デフォルト(債務不履行)」に該当するとの声明を発表した。 正式にデフォルトに格下げされれば、ユーロ圏の国で初めてとなる。 ギリシャ支援には、民間金融機関が、保有するギリシャ国債を償還期限30年の超長期国債に交換するなどの形で参加し、ギリシャの資金繰りを支援している。フィッチはこれが、投資家に当初より悪い条件への変更を求める、デフォルトに当たると判断した。【読売 ブリュッセル=中沢謙介】

金、初の1600ドル突破 欧米の信用懸念で 
 週明け18日のニューヨーク・マーカンタイル取引所で金先物相場は、取引の中心となる8月渡しが朝方の時間外取引で初めて1オンス=1600ドルの大台を突破、最高値を更新した。欧米の信用懸念を背景に「最も安全な資産」とされる金への投資資金流入が加速した。午前7時半現在の高値は1602・50ドル。
 難航する対ギリシャ追加支援問題をはじめ欧州諸国の財政をめぐる不安が依然強いことや、米連邦債務の上限引き上げ期限が8月2日に迫り、米格付け会社が米国債を格下げ方向で見直すと発表したことなどを要因に金が買われた。【ニューヨーク共同】

米大統領、債務上限上げで妥協案も 議会幹部に計画案要請
 オバマ米大統領は15日の記者会見で、与野党で協議中の財政赤字削減と債務上限の引き上げについて「大型の包括案を決めるのは難しい」と語った。債務上限だけを引き上げる案にも言及するなど妥協も検討せざるを得ない状況であることを示した。同時に議会幹部に債務上限の引き上げに向けた計画を早期に提出するように要請した。 米政府は8月2日にも法律で決められた債務上限を回避する手段がなくなり、それまでに同上限を引き上げなければ米国債がデフォルト(債務不履行)に陥る恐れがある。民主、共和両党は同時に中長期的な財政再建策も議論しているが、協議は難航している。
 オバマ大統領は「引き続き大きな合意を求めている」としながらも、不可能なら「少なくとも財政赤字削減の手付金を得ることを目指す」と指摘。与野党が対立している歳入改革には基本的に踏み込まず、歳出削減で合意することもあり得るとの見方を示したとみられる。 さらに最も魅力がないとしながらも「財政赤字問題で進展がなくても、債務上限を引き上げる」との案にも触れた。この場合には、その後も財政赤字削減に向けた同様の協議を続ける必要がある。オバマ大統領が妥協案を示唆したことは、米国債のデフォルトを絶対に避けることが重要と判断していることが背景にある。
 一方、共和党のベイナー下院議長も15日の記者会見で「誰も米国が(利払いなどの)義務を怠るようにはしたくない」と強調。ただし「増税はすべきでない。雇用を失うことになる」と述べ、民主党が求める歳入改革は受け入れられないと強調した。 カンター下院院内総務は共和党が10年間で6兆2000億ドルの歳出削減を提案しているのに対し「オバマ大統領と民主党は恐らく1兆5000億ドル程度(を提案)」として、大きな開きがあると指摘した。【日経・ワシントン=御調昌邦】

NY株大幅下落 欧州財政危機の拡大を懸念
 11日のニューヨーク株式市場は、ギリシャなどの債務問題が欧州全体へ拡大するとの懸念から大幅に下落し、ダウ平均株価は前週末比151.44ドル(1.2%)安の1万2505.76ドルで取引を終えた。ダウ平均を構成する銘柄30社が軒並み下落し、特に銀行大手バンク・オブ・アメリカJPモルガン・チェース、コンピューター大手ヒューレット・パッカードなどが大きく値下がりした。S&P500種指数は前週末比24ポイント安、ハイテク株中心のナスダック総合指数も同57ポイント安だった。
 欧州市場でも債務問題がイタリア、スペインなどに波及するとの懸念が広がり、株価が急落した。この影響で、外国為替市場ではドルがユーロに対して1.7%急騰。安全資産を求める動きから米10年債利回りが3%を下回り、金先物相場が上昇した。原油先物相場は1バレル=95.15ドルに下落した。投資家の不安心理を示す変動性指数(VIX)は前週末比より18%高い18.8だった。(ニューヨーク、CNNMoney

欧州株が全面安 イタリアなど財政懸念、独仏でも急落  
 12日の欧州市場では欧州株が全面安の展開となり、イタリアなど南欧だけでなく独仏の株価も一時3%前後下落するなど大幅に下げた。財政危機が南欧主要国にまで波及しかねないとの懸念から市場心理が極端に悪化している。 欧州主要株の値動きを示すSTOXX欧州600指数は3営業日続落し、一時前日比2.7%下げた。3日間の下落率は4.7%に達した。11日のユーロ圏財務相会合でギリシャ追加支援の結論が先送りされたことを受け、投資家はリスク回避の姿勢を強めている。【日経・ロンドン=松崎雄典】

欧州不安で1ドル79円台 ユーロは一時110円突破
 12日の金融市場は、欧州の財政不安の再燃でユーロが急落したのをきっかけに、円高と株安が進んだ。円相場は対ドルで一時、約4カ月ぶりの円高水準となる1ドル=79円15銭まで上昇。日経平均株価の終値は約1週間ぶりに1万円の大台を割り込んだ。
 対ドルの円相場は、3月の東日本大震災後の急激な円高を抑えるために日米欧が協調介入した3月18日以来の高値となった。午後5時現在は、対ドルが前日午後5時時点より97銭円高ドル安の1ドル=79円77~78銭。対ユーロは上げ幅がさらに大きく、同3円74銭円高ユーロ安の1ユーロ=110円44~48銭。一時は4カ月ぶりに110円を突破し、109円55銭まで上昇した。その後、ニューヨーク市場でも1ドル=79円台で取引されている。
 一方、日経平均株価は一時、前日より161円72銭安い9907円81銭まで下がった。終値も同143円61銭(1.43%)安い9925円92銭で、今月5日以来の水準に落ち込んだ。円高を嫌気して、自動車や電機など輸出関連株を中心に売りが広がったためだ。 (朝日)

貧困率16・0%、過去最悪 国民生活基礎調査
 全国民の中で生活に苦しむ人の割合を示す「相対的貧困率」が、2009年は16・0%となり、国が貧困率を公表している1985年以降、最悪の水準となったことが12日、厚生労働省の「2010年国民生活基礎調査(概況)」で分かった。 18歳未満の子どもが生活の厳しい家庭で育っている割合を示す「子どもの貧困率」も、15・7%と過去最悪の水準に。厚労省は「所得の低い65歳以上の高齢者や非正規労働者の割合が増えたため」と分析している。(共同)

「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「ポスト〈3・11〉の日本社会の「メルトダウン」は防げるか? というか、防がねばならないという話」(3/17)
⇒「ハイパー・スタグフレーションの時代」(3/10)
⇒「米国経済がなぜ破綻するのか」(2/17)
⇒「ドル経済の終焉・米国の崩落・壊れる米国の大学」(2/7)